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アリアの休息

朝食を食べ終えたアリアは元神官長であったマリスのもとを尋ねた。

マリスはアリアが14歳で神官長に就任してから引退してのどかな老後を過ごしている。

神殿敷地内の集合住宅が並ぶ一番端の部屋に一人で住んでいるのだが、元神官長ということもあり助言を求められたり、単に話相手になってもらったりと毎日のように神官や神殿敷地内の住民が尋ねてくるものだから引退といっても賑やかな毎日になってしまっている。


「マリス様。失礼致します」

「アリアかい?ああ…もう様をつけなきゃいけないかな?」

「やめて下さい。アリアで良いですよ!」

中庭の椅子に座っていたマリスにアリアは声をかけると隣に置いてあった椅子に腰かけた。

「マリス様…私婚約破棄されてしまいました。…とはいっても全く悲しくないんですよね…変ですか?私?」

アリアはマリスの方は見ないで少し下を向きながら話し出した。

「いや...アリアの人生だし、アリアの思う通りに行動して良いんだよ。それに殿下の悪評はこちらまで聞こえてくるほどだったからねぇ」

としみじみとマリスは言った。

アリアを放置して神殿敷地内のカフェに入り浸って女の子にちょっかいかけているとか、宝石店でかなりのアクセサリーを買い込んだだけじゃなくて、この宝石はダメ扱いをしてすぐに新しい大きな宝石を採掘してこいなどと酷い注文をしたりと、もっと調べたら出てきそうなくらいアイン殿下の行動は悪目立ちばかりだった。

しかももちろんその宝石はアリアに贈るものではないのだから、余計悪い噂がたっていたのだ。

アリアの耳にもその噂は入ってきていたのだから、殿下への不信感や嫌悪感はどんどん膨らんでいたので、婚約破棄されても悲しいなどとは思わなくなっていた。そこまでされたのだ、アリアの悲しくないの気持ちは仕方のないことだとマリスは考えていた。


◇◇◇◇◇


マリスに報告や世間話が終わった後、

アリアは神殿敷地内の商店街をのんびり歩いていた。

城下町も賑やかではあるが、神殿敷地内の商店街の方が店の数も多いし活気がある。

何よりも城下町の人達はアリアを見かけると皆頭を下げて。距離を置かれてしまう。

神殿の神官長であり殿下の婚約者なのだから当然ではあるのだけど、少し悲しかった。

しかしこちらの商店街では

「アリア様!リンゴ食べません?パイにしたら絶品ですよ」

「アリア様!また今度うちに寄ってって下さいね!妻がアリア様に絶対試食してもらうってはりきってる新作料理があるんです!」

「アリア様ー絵本呼んでほしいのー」

果物屋さんにレストランのご主人、小さな女の子までみんなアリアに気さくに話かける。

アリアは一人一人丁寧に返事をかえして喜びをかみしめる

(これよこれ!私が好きなのはこういう気さくな町の皆なのよ)

軽やかな足取りのアリアは鼻歌交じりで商店街を練り歩く。


~国の破滅まで、まだ3日~

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