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婚約破棄

「アリア、私は本当に愛する人を見つけたんだ。君は神殿の神官長だし大丈夫だよね?」

静まりかえった部屋の中で真剣な顔で彼は私に言った。


え?は?何をおっしゃったんでしょうかこの方は?いや…このおバカさんは?

この言葉の意図はつまり、

「婚約を破棄するということですか?」

私、アリア・ワークライトは涼しい顔で答えた。

「そうだ」

対して目の前の婚約者は少しだけ申し訳なさそうだ。少しだけだけど。


目の前にいるおバカさんは、この国の第一王子のアレン・ビルマ・セイクリッド殿下。今はアレン殿下の部屋でお茶をしている最中。

大事な話があるので、側近やメイドも全て部屋から出るようにとアレン様がおっしゃったので、今は私とアレン殿下の2人だけだ。

涼しい顔のままアリアは一応尋ねてみることにした

「私と婚約破棄にするということが、どういうことか分かっていらっしゃいますか?おバ…いえアレン殿下?」

あら間違えておバカさんと言うところでしたわ。間違ってはいませんけれどね

「何故だ?愛するものと結ばれたいと思うのは当然のことだろう」

アレンは首をかしげた。

「(あ、この人本物のおバカさんだ。何にも分かってない。)」

アリアは呆れ過ぎてもう表情など無になっていた。


この国の第一王子でありながら全く分かっていない。

私が城から離れたらどうなるのか、神殿に戻る時にあんなに強力な結界を3重にもかさねがけしていくこと。何にも知らないということはないはずなんだけれども...

おバカだから忘れてしまったのかしら…

アリアは表情は変えずに頭の中で悶々と考えていたが、アレンはアリアが考え混んでいることなど気にとめた様子もなく、

「とにかく、私は一刻も早くレイナを城にきて欲しいんだ!そして君が使っていた部屋はレイナのものにする。」

アレンはまくしたてるようにアリアに言った。

「はあ…」

なんとも言えない返事しかアリアは返せなかった。

このまま放置して良いのかどうなのか考えこんでいたのだが、王子は早くしてほしいのか腕をくんでつま先をならしている。


その様子を見てアリアは

「かしこまりました。それでは婚約破棄ということで、私は神殿に帰らせていただきます。」

ここまで言うとアレンの顔は花が開いたように笑顔になった。アリアは続けた

「婚約破棄の書類を神殿に帰り次第陛下宛に送らせていただきます。よろしいですね?」

アレンはアリアの方は見ずに天をあおいでガッツポーズをしながら言った。

「かまわない!部屋はいつ片付ける?」

どれだけ早くレイナとやらを招きいれたいのか、婚約破棄したばかり(正式にはまだなのだが)なのに部屋を空けろと言ってくるとは…本当に呆れてしまう。


「私物はあまり持ってきてはいませんでしたので、馬車を2台ほど用意していただければ私が神殿に帰るのと一緒に片付けることができますわ」

アリアはそう答え、立ち上がり出入り口に向かって歩き出す。

「すまないアリア」

アレン様のか細い謝罪が聞こえてきたが、アリアは

「私は大丈夫ですわ。この国の、いいえ城のことは少し心配ですが大丈夫なんですものね」

と言い残してすぐに部屋から出た。


アレンはアリアのこの言葉に首をかしげていたが、すぐにどうでもよくなり再びガッツポーズをしたのだった。


~国の破滅まで、あと5日~

初めて投稿しました。誤字がありました教えていただけると幸いです。

引き続き彼女の物語を見守ってください!

ここまで読んでいただきありがとうございます。




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