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ソルティメルヘン短編集〜めでたし、めでたし〜  作者: 地野千塩


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#たぬき私刑〜昨今のかちかち山〜

 とある山里に老夫婦が住んでいた。一見、仲良し夫婦。ご近所からの評判もよく、おじいさんの方は昔、エリートだったらしい。


「死んでくれないか?」


 そんなおじいさんだったが、妻の死を願っていた。今夜も酒を飲みながら、愚痴がこぼれる。


 いわゆる老老介護だった。負担は全部おじいさんにいっていた。息子たちは都会にいて仕事が忙しい。福祉に頼るにもプライドが邪魔してできない。結局、一人で全部背負っていたが、日に日に妻の死を願っていた。


 そんなある日。家にたぬきが侵入し、泥棒しようとした。


 最初はこんなたぬきに腹がたったが、利用できるかも知れない。たぬきに妻の殺害計画を持ちかけた。最初たぬきは、渋っていたが、報酬の金額を伝えるとのってきた。


 こうしてたぬきと共犯し、妻を殺せたが、予想外のことがおきた。


 なぜか関係ないウサギが、老婆を殺した悪いたぬきがいるとSNSで炎上させてしまった。


「おじいさん、妻を殺したたぬきは許せないよ!」


 ウサギは勝手に盛り上がり、たぬきを火炙りにし、たくさんのフォロワーとともに私刑をしていた。#たぬき許すな、#たぬき私刑、#たぬきに制裁を、#NOたぬきといった言葉が連日トレンド入りし、炎上の火は全く消えない。


 さすがのおじいさんも怖くなって逃げた。正義を盾に悪行も正当化する民衆の顔は、鬼よりも怖い。


 おじいさんは妻を殺したかった。たぬきも実はそんな悪役でも無い。でも、そんな真相は誰も知らない。


 

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