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ソルティメルヘン短編集〜めでたし、めでたし〜  作者: 地野千塩


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食い尽くし系王子様

 シンデレラは王子様と結婚し、幸せに暮らした。


 そんな物語の結末には、続きがあった。


 王子様は食い尽くし系だったのだ。おかげでシンデレラは別居を考えるほど、食事の時間が苦痛だった。


「あなた、いい加減にして! なんで全部食べちゃうの?」

「腹が減ってるからだよ。ロイヤルな仕事もストレスが溜まるからね!」


 王子様はそう言うと、肉、パン、サラダ、フルーツと順調に食い尽くしていき、テーブルの上は何もない。シンデレラが食べるものもない。


「困ったわ、どうしよう……」


 頭を抱えるシンデレラ。結婚したら自動的に幸せになれると思っていたが、今では離婚をしたい程だ。


 ただ、王子様は外面がいい。不倫もしていない。家事にも協力的。食い尽くし系といっても、食費や専属コックの給料は全部王子様が支払っていた。この状況だと離婚しにくい。


 そう考えてシンデレラは友人の白雪姫の義母に連絡した。毒林檎で白雪姫を殺そうとしたため、現在牢屋の中にいたが、手紙を送ると、すぐに面会の許可もおりた。


「そうか、シンデレラ。だったら思う存分に食い尽くし系をやらせておけばいい」

「え、いいんですか?」


 しかしそのアドバイスは拍子抜け。


「そんな食い尽くして長生きはせんわ。毎日ステーキと唐揚げ、ケーキ三昧で試してみるといいわ」

「そんなんでいいんですかね?」


 シンデレラは腑に落ちないが、殺人未遂犯の言うことも一理あると思い、王子様には好きなだけ食い尽くし系をさせた。本人がお腹が痛い、もう食えないといっても、バタークリームたっぷりのケーキを与え続けた。


 三年後、王子様は病気になり、早死にした。医者によると不健康な食生活がよくなかったらしい。シンデレラも毒を盛ったなどと疑いを持たれ、一時期牢屋に入れられたが、何の証拠もでず、晴れて自由の身になった。


 独身時代は結婚に憧れていたが、今は王子様が早く死んでくれて、とても自由な気分だ。


 お城の周辺にあるジェラート屋は菓子屋で、思う存分甘いものを食べる。食い尽くすほど、甘いものを楽しみ、自由を満喫していた。


「あー、友達の白雪姫ちゃんもラプンツェル ちゃんも夫に不満があり離婚したいって手紙がきたわ。だろうね……」


 その後、シンデレラは友達からの手紙を読みつつ、本当に離婚して良かったと感じていた。


 独身時代のガラスの靴は埃を被り、質屋に売ってしまったが、何の未練もない。


 めでたし、めでたし。

 

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