表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソルティメルヘン短編集〜めでたし、めでたし〜  作者: 地野千塩


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/87

高望みかぐや姫

 むかし、むかしあるところにかぐや姫という娘がいました。


 出身は自称・月の都で、竹から生まれたという妙な噂もありました。美しく、殿方からの求婚も絶えなかったのですが……。


「年収一千万円とかあり得ない。せめて一億は欲しいから」

「身長も二メートルは欲しい」

「顔もアイドルレベルじゃないと許さない」

「もちろん次男がいい」

「実家も地主がいいわね」


 殿方にそんな要求を繰り返すので、いつしか高望みもかぐや姫という二つ名もつくようになりました。おかげで求婚の話もすっかり途絶えました。


「本当、いい男がいないんだから」


 そんなある日、かぐや姫、雷に打たれ、あっという間にお亡くなりになり、令和時代の日本人として転生してしまいました。


 転生先は中小企業の年収五百万円の営業マンでした。名前は野島太郎といいます。


 太郎は専業主婦の奥さん、長男、犬一匹を養い、月の小遣いも毎月千円ほどでした。給料は全額奥さんに渡しています。


「何、この男、あり得ない!」


 そんな太郎にかぐや姫はツッコミを入れましたが、逆に専業主婦のパートナーを選び、子供とペットまで養えるかといえば、答えはノーでした。営業先でも頭を下げ、好きでもない仕事をしているのも、全部家族の為でした。


「そうか、男の人って逆に身分が低い人に優しかったんだね……。婚活で高望みをしているの、女の方が多い……」


 かぐや姫はそのことに気づきました。上昇婚を目指し、高望みし、弱者や犬も見下していました。己の欲深さにもぞっとし、後悔もしました。本当に好きな人と結婚できればいいと思うようになりました。


 気づくと、なぜか転生先から元のかぐや姫に戻っていました。


「ワォン!」


 庭には野良犬が一匹います。汚い犬でしたが、拾って世話をする事にしました。


「太郎も犬を可愛がってたしな……」


 これをきっかけに野良犬の保護活動を続け、婚活はお休み中です。それでも活動中のかぐや姫は幸せそうです。自然と求婚の話が舞い込むようになりました。


 めでたし、めでたし。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ