三匹の子ブタの就活
あるところに三匹の子ブタがいました。といってももう成人式も終え、就活の季節です。
長男の太郎は公務員を目指しました。親も応援してくれるし、何より安定に目が眩みました。教員免許を持っていた為、小学校の先生になりました。親は喜びました。
次男の二郎は大企業に就職したいと考えました。その方が見栄えが良いし、かっこいいと思ったからです。実際、大企業に内定が出た後は、女性からもモテました。
一方、三男のサブローは就活はしませんでした。それでも親に無理矢理勧められて、中小企業に内定が出ましたが、入社式で逃げました。
「AIも発達するし、無人店舗や工場も増えるだろう。だったら、人間らしいスキルを持った方がいいはず。月十万円でも豊かに暮らせる頭の良さも必要だろうね」
すぐに方向転換したサブローは整体師の資格を取り、副業スキルもつけ、労働時間を減らしながら生活する事を目指しました。
数年後。
太郎は学校の先生がこんな重労働だとは知りませんでした。モンスターペアレンツの対応や休日出勤、聖職者の重圧でうつ病になり、実家で休職中です。
次郎も多忙な毎日に心が折れ、肩書きだけでよってくる女にウンザリとしていました。うっかりタワーマンションも買ってしまったので、ローンを返すために仕事も辞められません。
サブローは労働時間は少ないながらも、動画や有料記事で収入を得る仕組みを作り、今は自由に暮らしています。
最近は3Dプリンタで事務所も購入しました。値段も安く、万が一災害が来て壊れても「まあ、いいか」と言っています。便利な世の中ですね。




