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ソルティメルヘン短編集〜めでたし、めでたし〜  作者: 地野千塩


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シンデレラですが、SDGsによりエコ清掃やっております

 ある日、シンデレラは考えた。なぜ私は、毎日こんな灰掃除をしているのだろう、と。


 確かに意地悪な義母や義姉に虐められているわけだが、掃除する義務ってあったっけ?


 どうにか掃除をサボりたい。良い言い訳を考えないと。


「私、エコに目覚めましたの。SDGsにより、洗剤やゴミ袋など毎日掃除をするのは、地球に優しくないと思うのです。という事で、灰掃除も簡易なエコ清掃にさせていただきますわ」


 義母や義姉になんと言われようとも、SDGsにより簡易なエコ清掃やっていると言い張った。表向きは意識高い事言っているように見えるし、サボる口実としてはとても良い。


 という事でエコで環境に優しいシンデレラを演じながら、掃除をサボる事に成功した。


 もっともこのシンデレラの言い訳が流行になってしまい、飲食店では廃棄分をSDGsの為に格安で販売し始めていた。小売もSDGsとし、エコ接客を導入し、セルフレジばかりになった。他にもエコ配送、エコ建築、エコ医療、エコ介護、エコ警備、エコ事務などが導入された。小説もエコ執筆の為、推敲も校閲もされずに出版されているという。エコ迷惑系配信者も生まれ、街の人々の労働意識は限りなく低くなったらしい。


 そんな折、王宮で婚活パーティーが行われた。シンデレラは魔法使いにエコ魔法をかけてもらい、ファッションもヘアメイクも限りなく手抜きの様相で出かけた。


 何も恥ずかしくない。周りの令嬢たちもみんなエコヘアメイク、エコファッションだったから。


 当然靴もエコ仕様だ。藁でできた環境に優しいサンダルだったが、シンデレラは王子様の前で難なく落とす事に成功した。


「はあ、王子様。あの落とした藁サンダルで私を見つけてくれないかな」


 今日も手抜き掃除をしているシンデレラだった。寝言をこぼしながら王子様が迎えに来るのを待っている。


 そんなシンデレラに残念なお知らせ。王子様もSDGsに目覚め、エコ婚活を始めたらしい。


 もちろん、婚活パーティーでの藁サンダルを手がかりに相手を探すような事はしない。面倒だからだ。


 代わりに紙ストローで美少女人形を作り「俺の嫁」だと愛ていた。


「コスパ良い婚活だね。これこそエコ婚活だ。うん、生身の女なんてコスパが悪いし。紙ストローの人形で十分」


 王子様を真似たエコ婚活は国でブームになり、少子化まっしぐらだという。この国が持続可能かは不明だが、今日もシンデレラは掃除をする。


「手抜き掃除だけど、エコだよね。環境に優しいよね。SDGsだよね!」


 シンデレラの未来は持続可能か。不可能か。今は誰もわからない。

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