フェミかぐや姫の社会進出
竹から生まれたかぐや姫は、爺さん&婆さんに甘やかされて育ち、ワガママし放題だった。
「爺さん! 綺麗な着物を持ってきなさい! 婆さん! 美味しいご飯はまだか!」
かぐや姫という生き物はとてもワガママだ。要求は際限がない。何しろ出身は遠い月の国。そこでは女の数が少なく、女神の如く崇められていたから。
そんな折、かぐや姫は美しく成長し、数々の男から求愛を受けるようになった。
ワガママし放題だったかぐや姫は、男達の貢物がどれも不満だ。
国の帝も求愛に来るようになったが、イライラする。自分は御簾の中で引きこもり生活なのに、帝が偉そうに国を動かしている。
「私と結婚したいのなら、私こそを女帝になさい。政治も全部女達が動かすわ」
帝はかぐや姫に惚れていた。この要求にも逆らえなかった。こうしてかぐや姫の社会進出の成功である。
最初は国で初の女帝として上手くいっていた。
しかしかぐや姫は、好き嫌い、気分、直感、占いで人事を決め、周りにはイエスマンしかいない。
さらに国の貧困問題などは全く興味がない。女達の目から見て美しくないからだ。特にかぐや姫は綺麗なものしか興味がなく、仕事部屋も宝石や調度品で溢れ、むしろ貧乏人から税金をむしり取る政策を推し進めた。
元帝との世継ぎも生まれない。かぐや姫は自分より立場が下になった元帝をどうしても男に見えなかったから。
女は基本的に自分より下にいる男を愛さない。むしろ馬鹿にする。
という事でかぐや姫が独占した富は、下に流れない。酷い格差国家が形成されていた。
そんなある日、大国の王子様がかぐや姫の元へ挨拶しにきた。
元帝と違い、金髪碧眼のイケメン王子様。その上、大国を支配し、かなり有能な男。
「僕と結婚してください」
「ええ!」
かぐや姫はそんな王子様に求婚されたら、自分の国などさっさと捨てた。大国の妃としさらに偉そうに振る舞うように。
残された元帝達は大変。大国に奴隷国家とされ、虐げられるようになり、救いようがない状態だ。
「女に国を任されると、国が傾く! あいつら、組織や国のことなんて全く考えていないぞ! 自分の富、立場しか考えてない! 自分の要求実現の為には手段も選ばないじゃないか!」
元帝は叫ぶが手遅れ。国を売られてしまった今では、どうしようもない。もう二度と女に社会進出などさせないと思うが、子供も減り続ける一方だし、国はもうすぐ滅びるだろう。




