表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソルティメルヘン短編集〜めでたし、めでたし〜  作者: 地野千塩


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/87

ミチルの蒼い鳥

 相葉ミチルは通勤電車に揺られながら考える。

 今日は残業だった。今は十時だ。電車の中は酔っ払い、遊園地帰りの若者、それにミチルと似たようなスーツを着た社畜ばかり。


 ふと、見上げると視線の先に中吊り広告。投資、副業、二重整形、歯列矯正、結婚相談所、英会話、転職サイトの広告に溢れている。現状はダメだ。コンプレックスを持つな。何者かになれ。成功せよ。広告からはそんな圧力が漂っていた。


「そっか。社畜のまんまじゃダメ? もっと成功しないとダメ?」


 そう思ったミチルは自己啓発セミナー、パワースポット観光、占い、引き寄せの法則セミナーにでてみるが、どれもイマイチ。気分が高揚するのは最初だけ。遠い未来や新しい世界に幸せに蒼い鳥がいるような気がしたが、違ったのかもしれない。


 かといって側に幸せの蒼い鳥がいるような気は全くしないけれど。


 今日も電車の中吊り広告は圧力が漂っている。新しく脱毛の広告も電車の窓に張り付いているのに気づく。


 たぶん、こんな広告から離れれば幸せになれそう。ミチルが不満に思う事は、たぶん後天的に広告から植え付けられたものだから。


 蒼い鳥は遠くにも側にもいないらしい。まずは、広告の断食から初めてみるか。スマフォを見るのも最低限にしよう。


 そんな生活を続けていると、何も焦らなくなり、幸せな気分になってきた。


 現代の蒼い鳥を見つけるコツは広告とスマホの断食or減食かもしれない。


「はあ、今日もご飯が美味しい。社畜だけど、ブラックじゃないし、仕事があって恵まれてるよな」


 ミチルはそう呟き、満足気に頷いていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ