神降臨
「一緒やないかーい!!」
転生しても、地味女、、、
そういや、スキルも元の世界の能力を反映って言ってたし、手からファイアー!とかないのか。がっかり。
「あなたが新人?」
凛とした美女が背筋をピンと伸ばし、こちらにやってくる。この世界で初めて会う人だ。
「ガーデンにようこそ。随分と、、、地味ねぇ。私は蘭。新人の世話係。これからこの世界のルール、説明するわね。」
「あのっ、初めまして!色々訳わからなくて混乱してるんですけど、よろしくお願いします!」
テキパキしてて、仕事出来る人!って感じだなぁ。
「ここでは、ディーバに選ばれるため、それぞれがコアスキルを中心に自分を磨いて、レベルアップに励みます。いわば、パートナーに選ばれるためのオーディションというか、訓練所みたいなところね。
例えば、料理、音楽、武術、、、あと、容姿もね。スキルアップが認められれば、どんどんステージも上がっていく。
ステージが上がれば上がるほど、神との交流も増え、目をかけてもらえる機会が増えます。ステージは全部で1〜10。レベル10刻みでステージが分けられています。」
訓練所というよりは大奥を想像してしまった。てか、一方的に選んどいて競えって、神とかいうやつ、どんだけ自分勝手なんだ。
「それと。今から、神からの名付けがあるから、こっちに来て。数少ないアピールの場でもあるから、せいぜい頑張ってね。」
「えっ、名付けって、、、?」
と言い終わらないうちに背中を押され、ドアの中へ。
鏡の間のような部屋だ。
「よぉ、新人。」
光の中に誰か居る、、、
顔がよく見えないけど、聞き覚えのある声。
段々と顔がハッキリうつる。
くっきりとした目鼻立ち。がっしりとした身体。特に、意思の強そうな目に、釘付けになった。
「ボケっとした顔してんなよ。わざわざこの俺が来てやってんのに。」
「あなた、、、」
私がここに来る前、人生の最後に聞いた声。
憧れの人、類。
「随分と地味なやつだな。これといった芸も無いのか。こんな奴、選んだっけ?」
《確かに貴方様が、お選びになりました》
「ふーん。。。まぁ、出来るだけ毛色が違う奴が揃ってた方が面白いしな。」
性格は、ちっとも類じゃない。
なんか無性に腹が立ってきた。
「面白いって、、、。ちょっと、勝手じゃありません?私、もうすぐ天国に行くはずだったのによく分かんないとこに呼ばれて、ディーバを目指せだの何だの。」
「は?」
「私は天国でのんびり暮らせれば良くて、競い合いとか向いてないんです!ご覧の通り、これといって他人より秀でたところもないですし。その、エデンってところがどれだけ素晴らしいところか知らないですけど、なんでディーバとか目指さないといけないんですか?」
「思い上がりも甚だしいな。何でお前は、自分が天国に行けると思うんだ?これといって人の役に立ってないお前が。」
「それは、、、そうだけど。」
「お前さぁ、本当に、自分の人生に満足してたのか?生ききったのか?どんな人生だったんだよ。言ってみ。」
「私は、確かに幸せで、人にも恵まれて・・・。でも、、、」
「もっと手ぇ伸ばせよ!お前は確かに底辺女だ。今はな。けど、そんなことは関係ねぇんだよ。ここでは皆にチャンスはある。俺の心を掴め!」
「そんなこと、言ったって、、、。」
「今日からお前は、、、『なずな』。お前の名前は『なずな』に決めた。」
《なずな 登録しました》
『なずな』が、私の、名前・・・。
「なずな。早く俺の近くまで上がって来い。そしたらたっぷり可愛がってやるよ。」
!!何なの、、、一方的で、めっちゃ上からなのに、、、さっきまで腹が立ってたのに、、、。
こちらに近づいてくる。
え⁈近い近い近い!!
目の前まできた!と思ったら、耳元に顔を方向転換し、
「全部、お前次第。待っててやるから、俺を楽しませろよ、底辺女。」
「〜〜っ!!!!」
また背中を押されたように、鏡の間からさっきのところに戻っていた。
「お帰りなさい。顔赤いけど、大丈夫?えっと、、、なずな、って名前を貰ったのね。」
ドキドキして、なんか、、、身体が熱い。
「そ、、、その、、、」
言葉にならず、表情で訴える。
「あ〜あ。まぁ、あのお方は最高だからね。無理もないわ。とりあえず、ここから先に他の候補者達もいるから、今日から頑張ってね。私含め、皆ライバルだから。よろしく。」
ーまぁ、この子には無理だろうけど。