人生終了、そして始まり
お読みいただきありがとうございます。
拙い文章で至らぬところが多々あると思いますが、あたたかい目で見ていただけると嬉しいです。
これまで、私はずっと負い目を感じながら生きてきた気がする。
何か功績を残したとか、特別美人だとか、胸を張って誇れるものもなく、ただ運だけで何とか生きてきた。
今の私は間違いなく幸せだ。「でもそれはお前の力で勝ち得たものでは無いだろう」と誰かから後ろ指を指されているような感覚がずっと消えない。
この先も一生、この罪のような意識は居座り続けるのだろう。
ずっと続く雨のせいで、頭が痛い。気圧の変化に人一倍敏感な私にとって、梅雨の時期は地獄のようだ。
仕事が終わり、足早に帰路に着く。今日も長い一日だった。
早く、あの人の声が聞きたい。
最初は、友人の勧めで暇つぶしになればと思ってこのアプリを使い始めた。
同じ映画好きの人と情報交換したり、毎日使ううちに親しい人も増え、あの人と出会った。
優しい声、博識さ、上品な話し方。私は気付いたら、その人「類」の虜になっていた。
「こんばんは。今日はどんな一日でしたか?」
「こんな料理を作りました」
「オススメの本があります」
そんな、たわいもないやり取りが、今の私の、一番の楽しみだ。
彼は多趣味で、物知りで、他のユーザーからも当然人気者のため、1対1で話せることは多くはない。それでも良い。声が聞けただけで、幸せなのだから。
とは思いつつも、彼はどんな顔をしているんだろう、どこに住んでるんだろう、彼女とか居るのかな、、、なんて考えてはニヤついている。
空を見上げる度に、「この世界のどこかで、類も生きてるんだよなぁ。」と思うと、少しだけ世の中が色づいて見える。
癒されたところで、そろそろ寝る準備を、と思ったが、なかなか頭痛が止まらない。頭痛薬を飲んだらいつも大体おさまるのに、今日はなぜかしつこい。
寝れば治るだろう、と思い無理矢理目を瞑る。だが、気分が悪いぐらい痛く、段々と目の前が真っ白に、、、
ーーー。
◇◆◇◆◇
《対象者、ディーバ候補を確認。召喚します。》
「あれ?ここは、、、?ゆうべ頭が痛くなって、それで、、、水の音、、、。川?もしかして、三途の川⁈
ってことは、私、死ん、、、うわぁっ!!」
身体が光に吸い込まれる。そして、、、
あたりを見渡すと、大きな建物のエントランスに居た。
《召喚完了。召喚者のスキルを計測中・・・
ディーバになり得る可能性は、2%です。》
なんか聞こえる。。。
「え、誰?召喚って何のこと?
ってかここどこ⁈」
《私はこの世界の案内人。あなたは元の世界で生を全うし、ディーバ候補に選ばれました。
とは言え、スキルは元の世界での能力が反映されます。今のあなたは、レベル1。最下層ステージとなります。
これから、この世の支配者「神」の「ディーバ」に選ばれるよう、励んでください。では、健闘を祈ります。》
どうやら、頭の中だけで再生されてるみたい。
なんか、気持ち悪いんだけど。
色々と理解が追いつかない。
「神って誰⁈ディーバって?
よく分からないけど、、、生を全うしたってことは、私はやっぱり死んじゃったってこと?」
ここは、あの世?
でも、三途の川を渡る前に、確か私は光にのみこまれて、、、。
それに、死んだら蓮の中で49日間眠るんじゃなかったっけ。
召喚者だとかディーバだとか、、、
想像していた「死後の世界」とは全く違うんだけど。
《この世界は、神により創造された世界"ガーデン"。永遠の楽園"エデン"をパートナーである"ディーバ"と共に創るため、まずはそのディーバ選びのための世界が創られたのです。》
「つまり、、、ここは異世界、ってことなのかな。」
それって、、、
なんか、、、
「アニメみたーい!これが異世界転生ってやつ?
物凄い美女になってたりして!」
ワクワクしながらガラス窓に映った姿を見ると、、、
「・・・。嘘でしょ⁈」