パニックな夏実ちゃん
夏実ちゃんは、
「もうわたしは平気だから彼女のところに戻ってあげて。」
と泣きながら言ったのだ。
⁇
彼女…
彼女⁉︎
⁇
えっとー…、彼女なんていないんだけどな?
もしかして、追いかけてきたのみさきだと思っているんじゃ。
涙でよくオレのことみえてない?
…
「あの、夏実ちゃん?」
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
とまた泣き出す夏実ちゃん。
えっ⁉︎
「夏実ちゃん……オレみさきじゃない。直斗…」
「そんなこと知ってるよ…」
なんて言われました…
えっ…知ってた…のか…
ところでごめんなさいってなんだろう…
「あのー…夏実ちゃん。ごめんなさいって…なに?」
「彼女いるのに…やっぱり好きで…しつこくてごめんなさいのごめんなさい。」
と涙を拭きながら謝ってきたじゃないか。
あー…、夏実ちゃん相当辛いんだ。
もう限界なんだろうな。
オレに謝っちゃって…相当のパニックじゃないか。
そもそも、みさきも謝られても困るだろうし、柚乃さんと夏実ちゃんの仲もよろしくなくなるんだろうな…。
てか、みさきは夏実ちゃんが好きだってこと知らないから…オレにごめんなさいって言われても…
…
うーん…
夏実ちゃんは、どうしたいのだろう。
おもいを伝えたいのかな…。
でも、きっと柚乃さんに気持ち隠してたのバレるのも辛いんだろうな。
そして…もしかしたら友達を失う可能性もあるもんな。
とりあえず夏実ちゃんが落ち着いてきたから…出店を少し一緒に…って⁉︎
あーれーはー…
みさきと柚乃さんっ‼︎
あぁあぁああ
「な、なっ夏実ちゃん‼︎」
「え?どうしたの?」
「こ、これこれ!見てよ‼︎かわいいんだ‼︎」
女の子は、かわいいが大好きだからすぐに夏実ちゃんもくいついてくれるはずだと、オレはかわいい写真を夏実ちゃんにお見せした。
「わぁ〜、ハムスターじゃない。かわいいねぇ。お友達のペット?」
よかったー。
やっぱりくらいついてくださったー。
「ううん。うちのペットだよ」
「えっ⁉︎いつのまに?」
「あー、いとこのおうちでたくさん産まれたからってね。先週あたりからうちの子になったんだ。」
「そうなんだね。てか、しっぽ長い系⁉︎」
「いや、ハムスターは短いよね?ほら」
「あー、そうだよね。短くてかわいいー」
と言いながら写真をマジマジと見ていたからみさきたちが通り過ぎるのを目撃せずに済んだ。
ホッ
「あ、そういえばハムスターってしっぽでリズムとってるらしいよ」
と言い出す夏実ちゃん。
音感…とかハムスターにもあるのか?
「え?リズム?ズンちゃッズンちゃって?」
と聞くと、
「あっ、間違えた!バランスだった」
と笑った。
「「あはは」」
と二人して笑った。
あー、夏実ちゃんがやっと笑ってくれたぁ。
夏実ちゃんは、少し元気になったみたいだ。
「ハムスター…みたいな…」
と少しかなしそうな顔で俯く夏実ちゃん。
オレたち…距離置いてるからな…。でも、オレと距離置いても夏実ちゃんは、柚乃さんと一緒にいたら、結局みさきと接触しちゃうんだよね。
なら、もう距離置かなくてもいいんじゃ…
…
「ねぇ、直斗くん」
「ん?」
「わたし…もう大丈夫だから戻ってくれて平気だよ」
と立ち上がった。
「夏実ちゃん…今度うちにハムスター見においでよ。あと、オレ前半組だったから今休憩なんだ。だから…一緒にまわらない?」
と、提案してみた。
すると夏実ちゃんは、
「だめだよ。わたし…そんな彼女でもないし…春野さんに…」
「?春野さん?」
「うん…。春野さんにわたし達の関係がばれたら…その…」
「もう、春野さんは知ってるから。ってか、なんで春野さん?」
「えっ⁉︎春野さん…知ってたんだ…」
そりゃ、中学一緒だし指揮者やるとき、夏実ちゃんが幼馴染だって話したことあったんだよな。
でも、なんで幼馴染がバレたらいけないんだろう?
夏実ちゃんは、まだ少しパニックなのかもしれないな。
「わたし…人ものものとか奪うとか…そういう気ないの」
⁉︎
いきなり、みさきと柚乃さんの話に飛んだぞ。
「あぁ、うん。」
夏実ちゃんは、やっぱり好きでいるだけでみさきには、告白しないみたいだな。
「だから、だから…」
「うん。」
オレは、やっぱり夏実ちゃんをそばで見守ってあげたい。
心からそう思った。
続く。




