いよいよ
学校に到着すると、なんか…
なんかさ…みんなお目キラキラって感じでいきいきとしているじゃないかっ‼︎
普通の登校のときは、そこまでおめめもお顔もキラキラとしていないよね?
いつもならもう、昇降口ですれ違う人々は魂を抜かれたかのようにふらふらとしているものまでいらっしゃるというのに…今日は…この光景は…眩しいっ!
わかる。オレにはわかる。
きっと、この晴天のおかげだろう。
って、ちげーよ‼︎
学園祭の力だ。
あーあー、みんないいなぁ。
彼氏彼女が来るんだろうなぁ。
オレは幼馴染すら呼べないっていうのにさぁ。
キラキラにオレは混じってみようとも試みたが、やっぱりどんよりなオレは空気を重くしてしまうみたいだ。
「おぉー…どうした直斗くん」
とみさきがオレに声をかけてきた。
「あぁ、みさき…」
みさきは、きっと柚乃さんを招待しているに違いない。
あなたは、いいですよ…
えぇ…
「どうした?腹でも痛いのか?」
「いえ、こちらこそ…」
と意味のわからない返しをしてふらふらと自分のクラスにヌルッと入っていった。
クラスに入ると皆さまニコニコといい笑顔でいらっしゃるじゃありませんか。
おやおや、もう衣装にお着替えされているお方まで。
一人着替えるとまた一人、二人と着替えを済ませて…そして皆さま写真撮影まではじめましたよ。
ばえるとか言って。
…
「ちょっとぉー、雪村くん実行委員なんだからニャンニャン女子ずーっと見惚れてないで着替えた着替えたー」
と衣装を渡された。
あぁ、べつに見惚れていたわけじゃないんっすけども…
と言おうとも思ったけど、今は心が重いから口も重い。
無駄に話したくないと、オレの全身がいっておられるので、黙ってお着替えをした。
えーっとボタンしてっと…
そして無事執事へと変身したけど…
したんだけど、やっぱり頭から夏実ちゃんが離れない…。
夏実ちゃんが来てくれたら朝からテンション上がって、無駄に学校の階段往復して走り回るのに…
なのに…今は着替えるだけて精一杯…
執事らしからぬ寝癖まで装備して立っていた。
するとひとりのクラスのニャンこ女子が、
「寝癖執事かわいー」
とオレをいじりだした。
…
もはや無抵抗なオレは、ニャンこ女子に好き放題にされ、なぜか髪型がオールバックに早変わりしていた。
「カッコきゃわいい」
と今度は、別の意味で可愛がられた。
そして写真もパシャパシャと撮られた。
「あー、この無表情がまたバエルわぁ」
と言われながら…
そして、なぜかいつのまにか入り口にオレの等身大のコピーが…
え…
イケメン執事がお出迎え♡♡♡
とかかれていた。
…まぁ、イケメンと言われては、悪い気もしないであろう。
反論する気力もないまま、いざ学園祭が開幕されるのでございました。
そしてそして…まさかのことになろうとは…
続く。




