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ため息

 衣装選びの最中、オレはテンションが上がり執事のマネを隣にいた春野さんにしてみた。

 

「お嬢様、さぁお手をどうぞ」

 と。

 

 すると春野さんが、

「ありがとうニャン」

 と返してきた。

 

 はたからみたら変な奴らだろう。

 

 

 でも、オレたちは予行練習みたいな感じだったから、そこにいた仲間も

「おぉ、いいねー」

 と言ってくれた。

 

 …ただのやばい集団。

 

 まぁ、だれもみてないし…と思ったら見られていた…

 

 しかも、だれにって…

 知らない人ならまだしも、みていたのは…まさかの夏実ちゃんだった。

 

 えっ⁉︎

 夏実ちゃん⁉︎

 

 …

 

 夏実ちゃんは、見てはいけないものを見てしまったかのような表情をしていた。

 

 

 で…ですよねー。

 

 これは気まずい…

 トイレをしてる猫が人間にジーっと見られている時くらい気まずい‼︎

 

 あー…

 

 オレは最近やたらと、あー…という言葉がこぼれ落ちる。

 

 もう、ため息まじりの悲鳴だ。

 

 あーあー…

 オレには、なぜに幼馴染がいたのだろう。

 

 ただのクラスメイトとかだったら、まだ失恋も辛くなかったのかな?

 

 

 まぁでも…夏実ちゃんはみさきと幼馴染じゃないけど辛い恋をしているんだから、幼馴染がどうこうという感じでもないのかもしれないな。

 

 オレたちが買い物をしている間に夏実ちゃんの姿はもう見当たらなかった。

 

 きっと、もう帰ったんだよね。

 

 あぁ、帰る時間一緒ならまた前みたいに一緒に…って……言ってる場合じゃないよな…

 

 オレたちは、距離をおくことが決定しているのだから。

 

 夏実ちゃんにとってオレは役立たずの厄病神な挙句に変なやつだってなってるよな…きっと…

 

 

 そんな変なやつなオレは学園祭の準備に日々時間を使い無理矢理毎日を充実させようとしていた。

 

 …準備をすればするほど、やっぱり夏実ちゃんにも来てほしかったなぁと思うのだった。

 

 

 …でも、いまさらなんて誘うんだよ。

 

 …

 

 うん。

 無理に決まっている。

 

 もうオレたちは、幼馴染でもない状態なのだから。

 

 

 手に持っていた招待状をクシャっと握りゴミ箱に捨てた。

 

 さよなら…幼馴染…

 

 ごめんなさい…幼馴染…

 

 

 

 そんな数週間後、結局夏実ちゃんは誘えないまま学園祭当日となってしまった。

 

 目を覚ましてカーテンをあけると

 無駄に青い空。

 

 そして小鳥たちが楽しそうにチュンチュンと鳴いている。

 

 なんであんなに楽しそうなんだよ…

 

 でも、オレの心はグレー色。

 

 もうオレの世界は、華やかになることもないのであろう。

 

 いいんだ…

 それでいいんだ…

 

 

 さてと、行きますか。

 

 …チラリと夏実ちゃんの部屋の方をみると、部屋のカーテンがまだしまっていた。

 

 …うん。そうだよね。

 今日土曜日だもんね。

 

 夏実ちゃんは、まだおやすみ中なのであろう。

 

 

 …

 

 はぁ。

 ため息と同時に学校に到着した。

 

 

 続く。

 

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