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夏実ちゃんのお部屋

 一応、もう一回おじゃましまーすとご挨拶。

 

 そして、きちんと靴を並べた。

 

 夏実ちゃんの靴の隣に失礼しますよと。

 

 あー、靴が隣同士になっただけなのになんか心がすくぐったいわぁ〜。

 

 そんなくすぐったい心で一段一段と階段を登る。

 

 昔は、駆け上がってたんだけどなぁ。今は、ドキドキしながら一段一段ゆっくり噛み締めてのぼる。

 

 この先には、夏実ちゃんのお部屋が。

 

 どんな感じになっているんだろうか。昔と変わらないのか、それともガラッとかわっているのか。  

 

 ドキドキ…ドキドキ。  

 

 階段をのぼり終えると、夏実ちゃんの部屋のドアが少しあいていた。

 

 こ、これはわたしの心の隙間に入っていらっしゃい♡って意味⁉︎

 

 いいんっすか⁉︎

 オレはガチで入りますよ?

 

 あー、ドアの向こうに夏実ちゃんがいるんだよ?

 

 いるけどさ、どこにいるんだろう…?

 

 ガッツリ机とか?必勝のハチマキとかしてたりしないよね?

 はんてん羽織ってたりしないよね?

 

 …よく運転すると性格変わる人っているけど、夏実ちゃん机に座ると性格変わったりしませんよね?  

 

 はっ‼︎

 まさか…夏実ちゃんまさか…ベットに入ってたりしないよね⁉︎

 

 そ…それは…そんな大胆な…

 

 夏実ちゃん…いったいどこに…と、ドギマギしながらドアの前であたふたしていると、まさかの後ろから夏実ちゃん登場。

 

「あ、部屋入っててよかったのに、どうぞ」

 とジュースを持って部屋に入っていった。

 

 なんだ。そこにいたのか…

 

「あー、おじゃましまーす」

 とオレも夏実ちゃんに続いて部屋に足を踏み入れた。

 

 おー‼︎

 昔と少し変わって大人っぽい部屋になってるじゃん。

 

 なんか、女の子の部屋って感じだわぁ。 

 

 ムフフ!これこそ幼馴染の特権だ‼︎

 

 今こそ夏実ちゃんの部屋を満喫〜満喫〜っと。

 

 あ〜、夏実ちゃんが毎日この部屋にいるんだよねぇ。

 なんかさぁ、甘〜い香りがするのは気のせい?

 ん?

 なんだなんだ?

 

 犬みたいにくんスカくんスカキョロキョロキョロキョロしてしまった。

 

「ん?なに?」

 と不思議そうな夏実ちゃん。

 

 あー…オレ変態だ。

 

「ううん。なんか…いい匂いがするなぁってね…。ごめん、キモイね」

 と、キモイを自ら自白じはくした。

 

 

 ほんとキモいなぁ。出てけよって言われちゃう?

 

 な、夏実ちゃんの顔色を恐る恐る確認…しようと顔を上げたら夏実ちゃんは、まさかのいらっしゃいポーズをしていたじゃありませんかっ‼︎

 

「フゥっへっ⁈」

 

 思わず変な声を出してしまったじゃないかぁーー‼︎

 

「え…いいの?」

 何がいいのか…自分でもよくわからないくらいプチパニックだ。

 

 でも、夏実ちゃんは

「うん。この前のお礼だからどうぞ」

 とずっとウェルカムしてくれていた。

 

 あ、この前オレの部屋でオレのにおいを確認したからわざわざお礼なんて…。

 

 夏実ちゃんは、きちんとさんなのだろう。

 

 ならば、このお礼はありがたくいただくといたします。

 

 ゆっくり夏実ちゃんの方を向いて小さな声で

「おじゃまします。」

 と言いながら夏実ちゃんにゆっくり溶け込んだ。

 

 夏実ちゃんは、シュークリームの皮の部分でオレはクリームなんじゃないかってくらい優しく優しく夏実ちゃんに包み込まれた。そして、オレも夏実ちゃんを優しく包み込んでお互いがお互いをふんわりと抱きしめた。

 

 

 なんでしょうか。

 この素晴らしい空間は…?

 

 夏実ちゃんの部屋で夏実ちゃんを抱きしめているんですよ?

 びっくりじゃん⁉︎

 そりゃ、夏実ちゃんの部屋でまったく知らない小林さんを抱きしめていたらそれはそれでびっくりだけどさ…。

 

 まさか、まさかまた夏実ちゃんを抱きしめていい日が来るなんて夢にも思わなかったわ。

 

 最高っす‼︎

 

 なんだろう…。オレ赤ちゃんに戻ってママたんに抱っこでもされている感覚にすらなっておりますよ?

 

 昔抱っこされていたことすら忘れていたけど、なんかこんな感覚だった気もしないでもないよ。

 

 人の温もりは、一人じゃ体験できないけどさ、やっぱり最高っす〜。

 

 夏実ちゃんの髪の毛あたりにオレのお顔がね、きてて…もうどうにもこうにもさ…

 

 で…

 

「夏実ちゃん…好き」

 

 …

 なんて思わずね…。

 

「えっ?」

 

 夏実ちゃんがいきなりオレからべりりと離れた。

 

「あっ…」

 思わず心の声が…。

 

「えと、夏実ちゃんのシャンプーの匂いかなぁ。そ、それ!その匂い好きって…やっぱりキモくてごめん…」

 

 と謝ると夏実ちゃんは、

「そっか、びっくりした」

 と笑った。

 

 なのでオレもあはははぁ…と笑ったけど、脇の下からポタポタと蛇口閉め忘れくらいのやつが垂れ流れているのを感じていた。

 

 続く。

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