呼び方
夏実ちゃんと遊んでからオレは気軽に夏実ちゃんに声をかけられるようになった。
「あ、夏実ちゃん。おはよ!」
「直斗くん、おはよう!」
でも、夏実ちゃんは相変わらずオレをくん呼びだ。
昔は、呼び捨てだったのにな…。
でも、少し前よりはお互い全然表情が和らいだ。
一時期は、ただの同級生だったけど今はまた、幼馴染に戻りつつあるような感じがする。
部活中オレは美崎を呼んだ。
「なぁ、美崎」
「んー?」
「あのかわいいこ、オレの幼馴染」
と夏実ちゃんの方を見ながら自慢した。
すると美崎は、
「知ってる」
と返事したじゃないかっ!
「知ってるって…美崎…彼女いるくせに夏実ちゃんの何をどこまで知って…」
「そうじゃなくて普通に」
「えっ…ふっ…ふ、ふ、ふ、普通ってなんですか…?」
「普通だよ。」
「美崎…彼女に言いつけるぞ。オレの幼馴染を美崎が普通にみてるって。」
「あー、どうぞ」
‼︎
余裕かっ⁉︎
「あのさ、直斗」
「んっ?」
「暇だからって絡むなよ…ちゃんとストレッチして」
「あー…、でもさーストレッチって暇じゃん?」
「いや、ケガしないためだろ」
「おー、さすが部長〜」
「だろ?だから恋バナは、今禁止な」
「じゃあさ、ポップコーンの話ならいい?あれってフライパンじゃなくてレンチンでもいける?」
「しらん!てか、食い物の話も禁止!」
…
「ふぁーい」
仕方なくストレッチに集中して部活に打ち込んだ。
帰り道、美崎は隣で携帯をいじっていた。
「なー、美崎」
「んー」
「今、携帯で彼女とやりとりしてる?」
「ううん。」
「じゃ見せてよー」
「ほら」
‼︎
こ、これは…
ポップコーンをレンチンできるか調べていてくれていたっ‼︎
「美崎〜‼︎オレと結婚しよう〜」
「無理。」
あっさりフラれたのでありました。
美崎は、優しい。
勉強もできてスポーツも万能。
だから彼女がいるに違いない。
あー、オレが女の子だったらきっと美崎を好きになってただろうなぁ。
もう神じゃん⁈
「なー、美崎」
「ん?」
「オレ今日から美崎って呼び捨てやめるわ」
「え?なんで?」
「なんか…呼び捨てなんて美崎神さまに失礼だし。だから、みさきちゃんって呼ぶ」
…
「え?神さまって…しかも、ちゃん呼び?」
「うん。親近感って大事だから。」
「あー…まぁ、好きにしてください。」
「わぁ〜、やっぱり優しいね。みさきちゃんって♡」
「うわっ、汗くさー…くっつくなよー…」
「んもー、みさきちゃんったら照れ屋さん」
「いや…照れてない…」
「あー、でも部活帰りにハグは厳禁だな。」
「な。」
「「あはは」」
こうしてくだらないことで戯れたりするのがまた青春っぽくて楽しい。
彼女ができるのもいいけど、やっぱり男友達ってのもいいもんだ。
入学した頃は陰キャだったオレだけど、いつのまにか陽キャな友達ができて、オレも陽キャに仲間入りできたのかな?
夏実ちゃんは、昔から陽キャだったんだよな。
そもそも陽キャな人のイメージってよく笑う人な気がする。
一緒にいなくても、見ているだけで陽キャの人のオーラって明るい気がするな。
オレは何色なんだろな…。
夏実ちゃんは、オレンジと黄色とピンクが混ざってそうだなぁ。
やんわりしつつも明るいみたいなね!
あー夏実ちゃん、早く一緒に勉強がしたいよー‼︎
って‼︎
わからないところ教えてあげるくらいじゃなきゃ情けないよね!
とりあえず少し勉強しよっと。
「じゃまたなー、直斗」
「おー、そんじゃ、またなー。」
とそれぞれ家に帰るのでありました。
続く。