彼氏
夏実ちゃん⁇
浮気ってのは、夏実ちゃんの彼氏のこと…かな⁇
春野さんは…どこいった?
あれ?
夏実ちゃん…もしかしたら自分と混ざっちゃったのかな?
…
「あのさ…夏実ちゃん?」
「んっ?」
「えと…浮気っていうのは、その…彼氏のことかな?」
「そうだよ‼︎彼氏‼︎だってこの前まであんなに仲良く…さっきだって…」
とまた泣き出した。
さっき…
夏実ちゃんは、さっきまで彼氏と会っていたのかな?
それとも…浮気現場見ちゃったとか?
「あの…オレはその…詳しくわからないんだけど、一回本人にちゃんと聞いてみたりした?」
「えっ?わたしが⁉︎いいの⁉︎」
とってもびっくりする夏実ちゃん。
あー、ん?
ん?
夏実ちゃんは、やっぱりこんなに泣いているんだから…彼氏のこと大好きなんじゃないの⁉︎
ほんとの彼氏じゃないっていってたけど、やっぱり夏実ちゃんは、本気なんじゃ?
彼氏は…どうなんだろうな。
そもそもなんでそんなややこしい関係を二人は…
「夏実ちゃんはさ、好きなんだよね?ほんとは、好きなんだよね?」
オレの言葉に夏実ちゃんは、泣きながら
「す、すきだよぅ…ずっ…ずっとずっと忘れられなくて…嫌われてもなんでもやっぱり…忘れられなくて…だから…だから…そんな直斗くん…見てるの辛くて…さっ…直斗くん昔から優しいからさっ…だからそうやってさ平気な顔してさ………直斗くん…泣いても…そのよかったら…ここで思いっきり泣いてもいいと思うよ?」
と言われた。
えっ?
あ、オレ?
ん?一緒に泣いてください的な?
…
「ごめん。オレ状況がよくわからなくて…一緒に泣いてあげられないけど、でも夏実ちゃんが気が済むまでオレずっと隣にいるから。だからいっぱい泣きなよ」
とオレは夏実ちゃんを抱き寄せた。
きっとオレなんかじゃダメかもだけど…
夏実ちゃんは、泣きながらポツリととある言葉をつぶやいた。
「直斗…」
と。
えっ⁉︎
夏実ちゃん⁉︎
今…昔みたいに夏実ちゃんがオレのこと直斗って呼んだよね?
直斗くんって最近は、ずっと呼ばれてたけど…小学生ぶりくらいに直斗って呼ばれた気がするよ。
あれ?
…
もしかして、彼氏の名前も直斗っていうのかな⁈
「わたしはさ…別れたあとすぐに新しい彼氏なんてつくらないよ?」
「うん。」
「それに、ずっと…ずっと隣にいたからわかるよ?わたし…ずっと直斗くんはさ…直斗だって思ってたのに…なのにさっ…どんどん背が伸びて運動もできるようになってさ…いつのまにかわたしからどんどん離れて…遠くにいっちゃってさ…もう、直斗くん…わたしなんか眼中になくって…他の人と付き合いだしちゃってさっ…」
「…うん。」
やっぱり彼氏のこといってるよね? 運動できるっていってたし、他の人と付き合い出しちゃったっていってるもんね。
…
オレずっと夏実ちゃん眼中に入りまくりだったし。
てか、オレは…ど眼中みたいなねぇ…
…
続く。