相性交換
みさきは、しばらくすると一枚のタオルケットを持ってきて、猫たちにパサっとかけてあげていた。
「猫ってあったかいの大好きだよなあ」
なんて言いながらさ。
それを必死にくんくんしている二匹の猫たち。
ってかさ…
…あなた、夏実ちゃんのところへ行っていったい何をしていたんですかっ⁉︎
相性交換ってなんっすか⁉︎
「あのー、みさき…」
「んー?」
「相性交換って何?」
「お互いの私物とかのにおいのついたやつを交換こするの。で、様子をみるんだ」
と、教えてくださった。
あ、だからみさき…上着着てないの?
さっきまできてたやつ…を夏実ちゃんに渡したってこと⁇
てか、いまさら相性交換必要⁈
それ…ほんとに必要⁈
⁇
…
「あ、上着…オレ上着どうした⁉︎」
「…夏実ちゃんちだろ」
「あー」
みさき…まだ若いのにボケたか⁉︎
みさきは、夏実ちゃんちに上着を後で取りに行くからその上着貸しといてってオレの上着をきた。
…自由だな。
てか、みさきは夏実ちゃんのなんのにおいがついたものを交換してきたのだろうか…
特に何も…ってさ‼︎
夏実ちゃんのにおいついてるやつ…それってまさか…さっきみさき…猫たちにパサっとかけておりませんでしたっ⁉︎
猫たち一生懸命くんくんしてましたよ⁈
みさき…みさきーー‼︎
どうした…てか、どうして猫にかけた⁈
でさ、そんな呑気にベッドに転がって本読んでるけどさ…いいの?
そんなんでいいのっ⁇
猫みたいにくんくんしないのっ⁈
てかさ…そもそもみさきって…みさきってさ、何をするためにオレの家に来たんだっけ⁇
…なんでだっけ?
…
ただ遊びに来たのか?
ってか…猫同伴で遊びにくるやついるか?
…
オレはプチパニックです。
そもそもなぜ猫…同伴…
呆然としていると部屋のドアが優しくコンコンとされた。
この優しいトントンは、絶対母さんじゃない!
あー、昔を思い出すなぁ。
夏実ちゃんもこんな感じで昔オレの部屋をノックしてたっけなー。
と、たそがれていたらさ…みさきが
「はーい」
と、我が部屋かのようにドアをあけていた。
ドアの向こうにいたのは、なんと夏実ちゃん‼︎
そんな夏実ちゃんから上着を受け取っていた。
‼︎
上着…持ってきたってことは、さっきみさきが猫たちにかけたタオル…夏実ちゃん回収にきたんじゃね⁈
相性交換してる最中なのに、まさかみさきがそれを猫たちにかけていたなんて夏実ちゃんが知ったら…それはもちろん傷つくに決まってんじゃん。
もー、みさきー…
オレは慌てて
「あー、ごめん。猫が寒いって言うから…オレ…このタオル借りちゃってた…。ごめんねー」
と急いで猫からタオルを回収した。
すると夏実ちゃんは、
「嫌がってないみたいだね!順調だね」
とみさきに笑いかけた。
で、みさきも
「ねー」
と返事をしていた。
え?
ん?
何っ⁇
続く。