表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

【掌編】伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした

作者: まほりろ


ノル伯爵家に一人のメイドがいた。


彼女の名前はゲリ。


18歳から50年にわたり、伯爵家に仕えてきたベテランのメイドだ。


年老いて仕事ができなくなったメイドは暇を出されるのが常。


ゲリに身寄りはなかった。


なのでゲリは長年にわたりコツコツ貯蓄していた。


貯金と退職金があれば、暇を出されてもゲリ一人なら80歳まで慎ましやかな生活を送ることが出来た。


ゲリは退職したら王都のはずれにアパートを借り、静かに余生を過ごそうと思っていた。


そんなある日、伯爵家の長男ヨハンの貯金箱が盗まれるという事件が起きたのだ。


ヨハンの貯金箱はゲリの部屋から発見された。


ゲリは否定したが伯爵は彼女の言葉を信じなかった。


ゲリは伯爵からひどい折檻を受けた。


伯爵は事件を表沙汰にしない慰謝料として、ゲリが今まで貯めてきた金を要求。


ゲリは貯金を奪われ、退職金も貰えず、身一つで屋敷から放り出された。


実はこれは伯爵親子が仕組んだことだった。


伯爵はゲリに退職金を払いたくない、ヨハンはゲリの貯金が欲しい、双方の利害が一致した。


雨の中、身一つ放り出されたゲリ。


この歳では再雇用は難しいだろう……絶望が彼女を襲う。


そのとき豪華な馬車がゲリの前に止まった。


中から美しい女が出てきてゲリにこう告げた。


「伯爵親子に復讐したいなら乗りなさい」と。


ゲリは迷わず女の手を取った。







半年後。


ノル伯爵家の長男ヨハンとシフ侯爵家の次女ロイスの婚約が破棄された。


理由はヨハンの浮気。


伯爵家を勘当されたヨハンは、

「俺好みの女が現れて俺を誘惑したんだ!

 その女は俺の食べ物の好みから、好きな色から、愛読している本まで、全て把握していた!

 俺はその女に嵌められたんだ!」

と叫んでいたという。






ゲリを拾った女がポーカーフェイスを湛え、新聞を読んでいる。


三面にヨハンの婚約破棄騒動について書かれていた。


「使用人というのは主が思っている以上に家の事を把握しているのよ。

 半世紀も仕えた老メイドなら、食器の数から、主の趣味、庭に生えてる雑草の種類まで把握しているわ。

 伯爵は彼女を無一文で追放するべきではなかったわね」


女は伯爵家の敵対勢力にノル家とシフ家の縁談を壊すように頼まれていた。


女は屋敷を不当解雇された使用人を保護し、彼らから屋敷の情報を引き出していた。


「壁に耳あり、鍵穴に使用人の目あり。

 迂闊な事を言わないのが身のためよ」





その一年後、侯爵家からの融資を打ち切られ伯爵家は没落した。






―終わり―


読んで下さりありがとうございます。

少しでも面白いと思っていただけたら、広告の下にある【☆☆☆☆☆】で評価してもらえると嬉しいです。執筆の励みになります。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


【後書き】

ゲリさんは女性に保護されたあと、メイドの指導係の仕事を斡旋してもらいました。

伯爵親子への復讐を終えたゲリさんは元気を取り戻し「80歳まで現役よ!」と言ってバリバリ働いています。

お給金も沢山貰って幸せに暮らしてます。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったです! 因果応報とはこのことですね。 使用人は大事にするべきだと思いました。
[一言] ともかくランキングのあらすじ、「ゲリ」だの「ゲレ」だの名前が二転三転してますよ
[良い点] これも一つの「家政婦は見ていた!」 [気になる点] >伯爵家の長男ヨハンの貯金箱が盗まれるという事件 そもそもこの立場の人間が老女に持ち運びされる程度の貯金箱で金を管理しない気が……。 …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ