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第二章 過去と今。(1)

二章 過去と今。


 翌日。

「おはよう。神無月」

俺は学校に着くと、即座に神無月に挨拶をした。

彼女はかなり驚いていた。

そりゃそうだ。俺が逆の立場で神無月にいきなり話しかけられたら、めちゃくちゃ驚く。

それに、クラスの人が俺の方を見ていた。

今まで無口だった奴がいきなり女子に話しかけた…………傍から見ればそう見えるだろう。

いやまぁ、その通りなんだけど……。

「お………お…………おはよう、ゴミ以下の人間」

最初は言葉に詰まっていた神無月だが、しっかりと返事をくれ―ん?

俺の聞き間違いかな。

「あの俺の空耳だったら、悪いんだけど…今なんて言いましたかね?」

聞き間違いだったと、願いながら恐る恐る聞く。

「おはよう、産業廃棄物以下の人間」

「なんかさっきと変わってないか⁉」

え? 何でこんな毒舌なの? 

俺、何かしましたっけ?

昨日は、あんなに可愛く友達にならないかと誘ってきたくせに、いざ翌日になるとこんなにも変化するのか。

女心って分からん。

気を取り直して、とりあえずもう一度、何気ない話をしてみる。

「今日は、良い天気だね」

「ええ、そうね。あなたが太陽の熱で蒸発してくれると嬉しいのだけれど……」

「お、おう…そうだな…」

何で? どうしてなの? 

俺、普段は自分から話しかけることなんてないのに、かなり勇気を振り絞ってきたのに。

……何でだ?

「そうだなって、冗談だったのだけれど」

「そんなこと分かってるよ!」

「ってきり、今すぐ窓から飛び降りてグラウンドで日の光を浴びて、蒸発するのかと…」

「そもそも飛び降りた時点で多分死んでるわ! ここ三階だぞ!」

「大丈夫よ、三階ならきっと」

「いやそういう問題じゃねぇから!」

すると直後、いきなり神無月は笑い出した。

その光景に俺だけではなく、クラス中が驚いていた。

「ふふっ、あなたって相変わらず面白いのね」

相変わらずというフレーズに若干の違和感も覚えつつも、俺は少しだけ照れくさい気分になっていた。

「べ、別に俺は面白いと思ってやってねぇよ。ただ神無月が変なことを言ってくるからだろ」

クラスが妙にざわめき出す。

「おい、無表情が崩れたぞ」とか、「神無月さんって笑うとあんなに可愛いだ」とか。

「何々、二人で何の話してんの?」

と、そのざわめきに乗じて、夢風が割り込んで会話に入ってくる。

「いや、その神無月が俺のこと殺そうとしてくるからさ」

「だから冗談と言ってるでしょ」

「冗談が冗談じゃなく聞こえたんだが……」

そんな俺達のやりとりに夢風は微かに微笑みながら言った。

「水無月くんと紫苑ってそんなに仲良かったっけ?」

言葉の直後、いきなり俺の足を激痛が走る。

「痛ぁっ!」

「あっ、ごっめ~ん。間違って踏んじゃった……ごめんね?」

あぁ、絶対にわざとだわ。

何でちょっと機嫌悪そうなんですかね、夢風さん?

「だ、大丈夫だ。次から気をつけて」

結構勢いよく踏まれたから、まだジンジンと痛みが走ってるんだが。

「夢乃の足が可哀想……」

「踏まれた俺の足の方が可哀想だわ⁉」

「えへへ……紫苑ってば、やっぱり優しい。さすが私の親友だよっ……」

と言って、神無月に抱きつく、夢風。

私の親友? 何言ってんだ。

こいつ昨日、私のこと親友と勘違いして本当に面倒くさい、みたいなことを言ってたんだぜ?

まじで女って怖い。

「私、夢乃が親友で嬉しい」

俺は見逃さなかった。

この時、ほんの少し神無月の口元がにやついていたことに。

そして、それを見た俺は、こう思ってしまった。

夢風。お前は人の心を踏みにじって、罪悪感はないのか?

そう思ったのだ。

ただそれだけだ……


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