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第一章 勘違いとぼっち。(4)

第一章 勘違いとぼっち。


翌日。いつも通り、時間ギリギリに登校した俺が教室に入ると一つの光景が目に入った。

「紫苑、今日も綺麗だね!」

愛想良く言う夢風。

が、そんな夢風とは対照的に、表情を崩さず、いつも通りの無表情で返答する神無月。

「自分の外見なんて、興味ないわ」

夢風の明るい声色をかき消すかのように、放たれたその言葉はあまりにも冷たかった。

しかし、そんな神無月の態度に臆せず、夢風は会話を投げかける。

「もう、本当にもったいないなぁ紫苑は。こんなに美人なのに、興味ないなんて」

「ええ、興味ないわ。それに夢乃の方が可愛いと思うのだけれど…」

と、神無月が口にすると、夢風は頬を緩ませて、照れくさそうに笑った。

「えへへ~。そんなことないよ~。で、でも、親友の紫苑にそんなことを言われると照れちゃうなぁ~」

横目でちらちらとそのやりとりを見ながら自席に座る俺。

「あっ、水無月くん。おはよっ」

俺の存在に気がついた夢風は、愛想良く挨拶をしてくる。くそ、可愛いな。

「お、おはよう…」

すぐに俺の隣に座っている神無月の方に向き直り、会話を再開する二人。

「そうね。私も親友の夢乃が嬉しそうで、よかったわ」

とてもよさそうとは思えない口調で言う神無月。

しかし、夢風と話している時の神無月は他のクラスメイトと会話している時よりも、かすかに声色が優しい気がする。

そう、この神無月は他に友達がいないのに、何故か夢風とはお互いに親友だと思っているほどの仲らしい。

仲睦まじそうに会話をしていた二人だが、チャイムが鳴ると夢風は席に戻っていった。

「あっ、またね、紫苑」

「ええ、またあとで…」

そんな普段とは少しギャップがある神無月を見ていると、向こうから言葉が投げかけられた。

「何か、私に用かしら」

「いや、別に。ただ相変わらず夢風と仲が良いんだなって思っただけだ」

あれ? 初めて話すはずなのに、なんかやけに普通に話せたな。

いつもの俺だったら、もっと噛み噛みなはずなんだが…。

まぁ、多分、自分と同類のような謎の親近感を感じているからなのかもしれないな。

普通に話せたことが嬉しく、少しだけ気分を良くしていた俺だったが、なかなか神無月の返答が返ってこなかったので、おかしいなと思い、横を見ると、神無月は黙々と本を読み進めていた。

おっと? 俺ひょっとして、無視された?

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