表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アプカるるDream Fighter  作者: ふるうつ盆地
5/11

Fight-5 ズバイダ・レポート

 読者の皆さんに、今日も神のご加護がありますことを。


 一週間ぶりの更新です。心配のメッセージを寄せて下さった方々、ありがとうございました。

 実は私、ちょっとばかり大冒険をしてきまして。

 今日は、この一週間の旅のレビューと、おしまいに重大なお知らせをしたいと思います。

 長文になりますので(これを書くのも2日がかり!)、お時間のある時に読んでもらえれば幸いです。

 では、これより皆さんを、中東の沙漠の街へとご案内~



<空撮写真 地上100メートルの高さから街の全景>


 これ、ドローンの空撮写真じゃありません。

 私のスマホで撮った写真です。

 どうです? これが私が呼ばれた街です。

 実はここに辿り着くだけで2日、おまけに国境を黙って越えちゃっています。

 え、それがバレたら犯罪だって?

 けれど私、検問を突破もしなければ、鉄条網をよじ登ったりもしてないですよ?

 この写真、どうやって撮影したと思います?

 なんと私、生まれて初めて(そして多分最期?)、空飛ぶ絨毯に載せて貰っちゃいました!

 凄いでしょ? 凄くないです? もう気分はジャスミンになりきっちゃってました!

 どうしてそんなことが可能になったのかは、もう少し後で説明しますね。

 さて皆さん、この街がどこか分かります?

 実は私も、連れて行かれるまで街の名前も知りませんでした。

 ここ、内戦のど真ん中の街なんです。

 ちょっと前まで戦車に包囲されて、毎日空爆されていたって。

 そうそう、あの、化学兵器を民間人相手に使ったんじゃないかって、噂になったあの国。

 普通なら、ここに来るだけで命がけですよね。

 でも、ほら、魔法の絨毯があれば、こんなにスムーズ。

 そして私のお仕事は、この街で使われているって言う「魔法」の紹介なんです!

 「魔法」?

 「魔法」ですって!

 21世紀にもなって、空飛ぶ絨毯に載せられて、まさか「魔法」体験が出来るなんて!

 現代のホグワーツは実は中東にあった!?

 こんなチャンス、逃しちゃ勿体なくないですか?

 だから私、誘われたら一も二もなくOKしちゃいました!

 実は他の記事の仕事が残っていたんですけれど、ここだと電波も届かないから仕事が遅れても(本当にごめんなさい!)仕方が無いですよね!

 


<大通りの写真 解体途中のビル 大通りに並んでいるタンクの列>



 はい、そんなわけで、快適な空の旅も終わって、街に到着しました。

 私、内戦状態の国って来るの初めてなんですけれど(普通は誰も来ないですよね)、あちこちでビルや建物が壊されていて、本当に戦争しているんだなってショックでした。

 けれどそんな街が「魔法」で、復興作業の真っ最中なんです!

 この写真、不思議じゃないですか?

 なんと、壊されたビルの解体現場なのに、重機がないんですよ! アンビリーバボー!

 じゃ、どうやっているのかって?

 実は街の女性達が、自分たちの手で、「魔法」を使って解体しているんです!

 それも、コンクリートと鉄くずと、その他の生活用品を綺麗に分別までして!

 1時間くらい見学させて貰いましたけど、瓦礫の山が見る見る減っていくんですよ。

 戦争で破壊されてしまったのは悲しいですけれど、そのまま放置って言うのは、もっと悲しいですもんね!

 この街だけでも、子供を含む何百人って言う住民が、爆撃の犠牲になっています。

 おまけに、1万人以上の人が、街を逃れて国内外で難民になっている現実。

 謹んで、哀悼の意を。

 でも、この街はその爆撃を、「魔法」で退けちゃいました。

 国も国連も助けてくれないから、「魔女」に助けてもらったんですって!

 え? 「魔女」って誰かって?

 それは皆さんもご存じ、月見里野乃華佐久夜比咩命!

 ほら、いきなり正午に「地球に神様はいません」なんていうトンチキなメッセージを送ってきた女の子、覚えているでしょ?

 あの子が今、この街に来ているんです。

 実は私を招待したの、彼女なんですよ。

 この街で凄い実験をしているから、見に来てくれって。

 凄くないです? 今世紀最大の問題児から、直にお声が掛かるなんて!

 けれど残念、彼女の写真だけは載せられません。

 興味があったら是非、この街に遊びに来てね!



<卵形の木製の板の写真 中央に10粒の宝石が埋め込まれている>


 

 ジャジャーン! 正真正銘初公開! 「魔法の杖」の実物写真!

 これが、この街の復興の大動脈!

 この「魔法の杖」を使えば、女性なら誰でも、魔法使いになれちゃうんですって。

 え、それ、私も欲しい!

 けれど残念、非売品。

 この「魔法の杖」、何が出来るのかって言ったら、「何でも出来ちゃう」んです!

 ほら、さっきもビルの解体をしていたでしょ?

 それ以外にも、空中から水を出したり(美味しかった!)、発電機を廻したり、魔法の絨毯を浮かしたり、本当に「魔法」が使えるようになっちゃうの(ただし女性に限る)。

 もう、これを書いている今だって、信じられない! だけど現実! ファンタスティック!

 この宝石の並び方でピンと来た人は鋭い!

 そう、これ、生命の樹がモチーフなの!

 10個の宝石と、その間の22本のパスを通って、私たちの「願い」を現実に変換するんだって!

 意味分かんない!

 分かんないから、聞いたままを、そのまま書くわね!


 1。インプットモジュール   『願い』の受信。

 2。ノイズゲート       雑念の除去。

 3。アッテネータ・ブースター 『願い』の増幅。

 4。エフェクタ        魔法変換。

 5。イコライザー       対象の選別。

 6。ミキサー         出力調整。

 7。ディバイダ        出力分割。

 8。レンズ          魔力収集

 9。アンプ          出力決定。

10。アウトプットモジュール  『魔法』の発動。


 うん、これだけで理解できる人がいたら、絶対に友達になれないわね。

 と言うか、この街で魔法を使っている女性、誰も理解していなかったし!

 とにかく、10粒の宝石が、それぞれの仕事をこなすことで、この『杖』に願うと、魔法が現実化するってことだけは確実なの!

 私たちが、電気工事の資格を持っていなくても、スイッチ一つで電化製品を使えちゃうのと同じ!

 本当はこの『杖』も「カドゥケウス」って名前があるらしいんだけれど、みんな、好きなように呼んでね!

 でね、でね。

 この『杖』、本当に凄いの。

 凄すぎてビックリしちゃって、今でも心臓がドキドキしているの。

 だって、私がこんなの、紹介しちゃって良いの?

 この『杖』、歴史を変えちゃうよ?

 私、歴史の証人になっちゃうよ?

 うわ、キーボードを打つ指が震えてきた。

 でも、書くね。言うね。それが仕事なんだから。


 この『杖』、なんと! 地球温暖化を、止めちゃうんだって!



<タンクの列のアップ写真 合成燃料というスプレーの文字>



 地球温暖化が分からない人は、さすがにいないよね?

 あ、陰謀説はもう間に合ってるから要りません。

 いろんな所で過去最大の山火事が起きていたり、グリーンランドや南極でも雨が降ったり、影響が懸念されていて、ニュースで見ない日がないもんね。

 じゃ、地球温暖化の原因って何?

 それが、二酸化炭素を始めとする、温暖化ガスだっていう話だよね。

 乱暴に言っちゃうと、大気中の二酸化炭素が増えすぎて、熱を貯め込んで暑くなっちゃう困った現象。

 じゃ、温暖化を止めるにはどうすればいい?

 入ってくる熱を減らすために、日光を遮る?

 これ、大気中に微小粒子を撒いたり、雲を白くする薬品を撒いたりする、ジオエンジニアリングっていう選択肢。費用対効果は高いけれど、副作用が出るかどうかはやってみないと分からない。

 じゃ、温暖化ガスを出さないようにする?

 それが再生可能エネルギー。太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電に、原子力発電も二酸化炭素を出さない発電だよね。あと、実現化していないけれど核融合発電も。

 けれどそれも、発電に適した場所と送電網の問題と、夜中に電気を安定的に供給するための方法が確立できていないのがもどかしい。昼間にバッテリーに貯めて夜に使う、という方法が確立できたら良いんだけれどね、燃料電池みたいな。

 けど、温暖化ガスって二酸化炭素だけじゃない。牛のゲップからはメタンガスが出るし、農業用の肥料からも亜酸化窒素っていう温暖化ガスが出ていて、これがバカに出来ない量になってる。

 だから、毎年、50億トンの二酸化炭素を大気中から取り除かないと、地球温暖化は止まらないっていうのが、最近の説。

 50、億、トン。

 想像できる?

 50で、億で、トンだよ?

 それを、大気中から、直接減らさなきゃ駄目だって言われても、なかなか現実は難しいって言うのが実情。

 で、「魔法」の出番。

 この『杖』を使えば、原理を理解していなくても、大気中から、直接、二酸化炭素を取り出せる。

 もう一度言うよ。

 この『杖』を使えば、バカでも、二酸化炭素を減らせる!

 画期的じゃない?

 というかチートじゃない?

 私でも、あなたでも、女であれば誰でも、明日から、二酸化炭素を減らせるんだよ?

 というわけで、この上の写真。

 これ、実は、「大気中から回収した」二酸化炭素と水素を合成して作った、燃料なんだって。おまけにガソリンと同じように使えちゃう。

 今、この街は、二酸化炭素の回収と、「合成燃料」の製造にてんてこ舞い。

 それだけじゃない。二酸化炭素を回収して、プロパンガスだって作っちゃう。

 凄くない?

 誰がそんなバカなことを考えたんだろう?

 って、月見里野乃華佐久夜比咩命だったわ!

 そんなわけで、この街は今、まさしく、地球温暖化対策の最前線!

 まさか沙漠の街で、温暖化対策なんてね!

 大気から直接、二酸化炭素を減らしちゃおうって言う無謀な挑戦!

 そんな街が今、まさに! あなたを! 求めている!

 そう、あなた!

 私の読者!

 ほらほら、この街の回収二酸化炭素、欲しくない?

 地球に優しい燃料、魅力的じゃない?

 この街の燃料さえあれば、二酸化炭素排出量を減らすって言う目的が、劇的に達成できちゃうんだよ?

 というわけで、ちょっとでも興味を持ったあなた!

 自分の国のお偉いさんに教えてあげたいと思ったあなた!

 21世紀の最前線の目撃者になったあなた!

 そして何より、仕事に困っている難民のあなた!

 この街では今、働き手を大募集!

 特に若い女性は大歓迎。

 ちなみに今日も何家族か、近くの難民キャンプから移住しているんですって。

 そして何より、クラウドファンディング、始めちゃいます!

 この街を救うため、難民の方々を救うため、何より地球温暖化を食い止めるため!

 あなたの清き浄財を、是非に!

 ポンと!

 気軽に!

 クリックしてくれると、嬉しいな(もちろん、私の取り分はゼロだよ!)。


 

 そんなわけで、今回のズバイダ・レポートは特別編。

 あの街の二酸化炭素事業に興味を持った大企業の、国家行政のそこの人、詳細が知りたかったら、このズバイダ・レポートが窓口になりますので、まずは下記のアドレスまで、お気軽に。

 ちなみに、国連の難民キャンプも正式に支部を置くらしいので、国連経由でも連絡が取れるようになりまーす。


 以上、今日も貴重なお時間、ありがとね。

 次回はも少し、気軽なネタで!

 その前に、溜まっちゃったお仕事、消化しなくっちゃ!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ