1.脱走
初投稿です。拙いところもあると思いますが、ご了承ください。
「はぁ……、はぁ……っ!」
狐の耳としっぽをはやした少女は森にいた。雨の中、泥にまみれて――
はたしてどれほど走っただろうか? 久々の外はどうも歩きにくい。少しでも警戒を怠れば魔物に襲われそうになる。しかもお腹も空いた。どうしてこうなったのか。何に怒れればいいのか。村を襲った人? 私の身体をいじって固有魔法を変えた人? それとも深く考えもせず脱走した私? 分からないけど一つだけ言えるのは、新しく得た魔法で何とかなると高を括った私が甘かったのだ。この魔法なら多少迷ってもすぐに近隣の村へ逃げられると思ったのに…
……参った、もうすぐ夜になる。完全に遭難してるし、飲み物も食べ物もない。魔法のおかげで魔物は何とかなっているがそろそろ魔力切れだ。
うぅ、少しでもネガティブなことを考えるとどんどん暗くなっていく。でも死ぬわけにはいかない。あの時、妹と必ず会おうと約束したから。だから会って抱きしめるんだ、長く待たせてごめん、って。それまで死ねるもんか。
周りを見ると一人の反応があった。なんでこんな森の奥に人がいるの、私を探しに来た? でもそんなそぶりはない。
怪しいけど久々に動かした身体はもう限界だ。場合によっては保護してもらうために、様子を見にいくことにしよう。