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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


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ゴールデンニシン・道南イカづくし物語・2

「ふむふむ」


スケアクロウの自動操縦を入れた機内で、早苗さんと母様の意識や記憶を見せてもらってから、早苗さん曰くの昨日の惨劇と認識する行為について考える、あたしマリアヴェッラ。

https://novel18.syosetu.com/n5728gy/116/


なにせ、本人が不満だっていう訳ですし、こういう事を黙殺するには操縦室にいた面子が悪すぎました。


まず、広報部所属で月間痴女宮編集担当のゆっきーこと、あたしの同級生の宇賀神雪子さん。


そして理恵パイセンこと、室見理恵・国土局長…現在は女官長を一時的に代行しておられます。


この2人がいる時に話を出されてしまうと、請願として話を聞かざるを得ません。


ただ…パイセンが言い切る通りで、果たして請願に値するのか。


(欧州送りにしてスイスで鍛えてしまうか、聖院のまりりが言うようにさ、向こうに研修に行かせる話になりかねないわよ…言うなれば藪蛇ってやつよベラちゃん…)


(まぁ、うじうじ悩んだりしてる背景はわかりますよ先輩。早苗さんはベラちゃんに惚れたって言うよりは、ホストに惚れたような感じなんですよ。で、ベラちゃんにしてみれば痴女皇国の皇帝としての立場があんのにですよ、早苗さんだけににかかりきりになったりベタベタされる訳にもいきませんよね)


(あたしはベタられてないけど、ベラちゃんにはヲナホ扱いされてるわね…)


(それはパイセンが生意気だからです。あと母様。いくらパイセンの具合が意外なまでに良いからと言ってですね)


(ベラちゃん。そう言えばジーナさん、あたしも呼び出す傾向あるよ)


(え…母様…ゆっきーのお父さんにバレたらどうするんですか!)


(待て待て、そもそもあんたらは何をバラすんじゃあっ)


(確かにゆっきーもパイセンと似た傾向、あるよね…うん、似た者めいたところはある)


(おキヌちゃんはああ見えて積極的だけど、うちらの中で奥手の部類はよっしー…ただ、あの子はおとーさんが衆議院議員で閣僚だし党幹部だし、スキャンダルを避けたいから敢えて男っ気を遠ざけてるからねぇ)


(よっしーも基本すけべぇなのは間違いない。ベラちゃんの記憶からもわかるわよゆっきー)


でまぁ、我々で話をしていてもあれです。


幸か不幸か、途中の行程を全てすっ飛ばしてスティックスドライブ・レベル4転送をかけるのではなく、1時間は成層圏飛行をして雲の上の光景を子どもたちに見せてあげる予定です。


その間はオートパイロット。


で、ここで皆さんにスケアクロウの隠れた設備をご紹介しましょう。


実はスケアクロウの操縦室出入り口付近にある、とあるカバー付きスイッチを操作すると、天井の一部が開いて斜めになった階段状のハシゴが、操縦室の中央通路に降りてきます。


これも、旅客機の構造に詳しい人ならピンと来るかも知れませんね。


そう、クルーバンクとかクルーレストと呼ばれる仮眠用の寝室…と言っても、カプセルホテルみたいな感じのものがあるんですよ。


はい。堕天使の皆様による助平化治療だの、あげく初代様が憑依した結果で母様べったりになってしまった早苗さんを、とりあえずここに入れて落ち着かせてあげようという訳です。


そして、この仮眠室は定員2名。つまり主に操縦士が使う事を想定しているそうです。


(純粋な民間機やったらそもそも2名乗務で事足りるしなぁ、他の要員は必要に応じて後ろの居住区画に簡易ベッドを作れるからそこで寝るか、自分の座ってる椅子かゲストシートをリクライニングさせれとなるんや…)


という訳でもじもじしている早苗さんを促して母様と2人、天井裏に押し込んでしまいます。


そして、あまり間を開けずに液体系の音や独特な声が天井裏から響いて来ますが。来ますが。


(ベラ子、理恵ちゃん、ゆっきー…密かにうちと早苗のモニター頼む。正直、堕天使の皆様はまだしも初代様がやりすぎた気がするわ…)


母様と早苗さんが今、してる事を覗けと言ってきました。


普通なら階段を仕舞わずに行為を覗かせるような事を言って来るような母様が、です。


(これこれベラ子…それはともかく、うちが男役をするとまずいと思ったんやけど、これは正解やで…ぴーたーのーすを使うても早苗がハマる可能性が高いと思わんか…)


(ベラちゃんちょっと待ってね。ジーナさん。早苗さんって受け身ばかりだったんじゃ…あまり愛撫に凝らないっていうか、技術的に未熟なところありませんか)


むむっ、そこに目が行くとはさすがパイセン。


(その褒め方嬉しくない…でさベラちゃん。それはいいとしてもよ…早苗さんと()()()時の記憶、ちょっと見せてくれないかな)


お安い御用です。ほいっ。


(ゆっきー…なんか思い当たることはないかな…ベラちゃんも…)


はい。女官長として参詣者への接客を指導してきた立場のパイセン、さすがに気付かれましたよ…鋭いなぁ。


(理恵先輩、もしかして早苗さんって徹底受け身のお姫様タイプ…)


(うん、まかり間違えばマグロ扱いよね…)


(堕天使の皆様が知識を授けたり誘惑してこれって事ですよね、パイセン…母様、これどう思います?)


(いや、今はうちが純然たる女役やけどさ…これは客を取らされへんぞ…旦那との不仲の原因かて、恐らくこれや…)


あががががが。


(確かにうちもさ、あんたらも知っての通り、いわゆる吹奏楽器を吹く行為は苦手や。ただな…クリスのために敢えて技術を覚えるのを控えてきた経緯があるんよ…これはベラ子がわかるわな)


はい。母様は遊んでないアピールや、クリスおじさまのために必死なのよという印象を与えるために、敢えてベッドの上の技術をわざと熱心に実践しなかった人です。


しかし、やればできるのはクリスおじさまから聞いて知っています。おじさまの記憶も拝見しましたし。


ですが、真剣にやる必要がないと思っていた節があるのが早苗さん。


この人、どれだけ甘やかされていたんですか…。


(確かに早苗は大学でもサークルのお姫様状態やったからな…更には元来、男女の営みを不潔に思っていた記憶すらあるわ。タイプで言うと芸能人の追っかけというか…ホストにハマるお嬢さんやな…)


(ああ、チヤホヤされていたのですね…確かにこの人、大学も職場もどちらかと言うと女日照り女性不足…)

 

(確かに、言われてみれば早苗さんは女不足の環境にあぐらをかいていた節がありますね…)


(そりゃベラちゃんにジーナさん、アルトさんが怒りもすると思いますよ…加えてジーナさん、怒ってるのは聖院のアルトさんでしょ? あそこまだ色街が残ってるから聖院女官は対抗するために性技はもちろん、色気に関するあれこれを厳しく鍛えられますからね…例のバス導入の時に行ったついでに見学してきましたけど、場合によったら痴女宮(うち)より元来の意味で痴女になってますよ…個室の中だけですが)


(確かに見た目だけっぽいというか、見た目に全振りしてる印象ですね。学業や就職活動に、果ては入社後のお仕事が忙しくてその辺おろそかにしていた可能性はありますけど)


(そーゆーたらな…早苗、西村ゼミの野外実習でも長袖手袋完全武装やったな…あれモロに大学の研究林の中で山歩きばかりやから、行くたびに嫌そうにしてたん覚えてるわ…)


(ああ、母様がおじさまの護衛名目でTAPPS乗ってお付き合いしてたあれか…)


(滋賀県出身の割にそういう場所が苦手なのか…)


(長浜の先だっけ、あの辺…駅から琵琶湖の岸まで住宅街以外は田んぼ田んぼ田んぼよっ)


(さすが鉄ヲタパイセン…電車の中から見えた景色を逐一記憶しておられる…)


(おだまりゆっきー!当たり前じゃない!鮮烈な記憶ってどういう事か身体に教えようかしら? ジーナさんが出てきたらあの部屋に連れ込むわよっ)


(べらちゃんこわいたすけてー。せいがんしょをしきってるぱいせんがせいがんされるようなはらすめんとするのー)


(パイセンは仕方ないわよゆっきー…男役も大好きなんだから…あたしと母様なんか悲惨よ、まずお尻を向けさせられて制服のThong…Tバックになってる紐をぐいぐい引っ張って食い込ませながらね…変態よ変態!)


(あの癖あたしに教えたの、一体誰だと思ってんのよベラちゃん…あんたのお母さんよっ、今、天井裏にいる…)


そう言えば母様、あれはクリスおじさまによくやる技だって言ってたな…。


(前立腺刺激になるからちょうどええんやと。ついでに言うとくと、クリスもうちと同じでケツ隠すパンツはほとんど持ってへんぞ。軒並みTバックばっかしなん、理恵ちゃんや宇賀神さんはともかく、ベラ子、あんたは知っとるやろが…)


うげげげげげとパイセンとゆっきーが唸ってますけどね、あんたらも痴女皇国に馴染んでるからもはや私物下着でお尻隠すフルバック、ほとんど持たなくなってるでしょうが…。


ただ、2人が驚くのは無理もないでしょう。


あの夫婦、完全な全裸で合体したことがないってくらいに「エロ下着か水着は絶対着てるか履いてる」癖があるんですよ…。


そして…娘のあたしもバーデン=バーデンか例の伊香保の保養所くらいしかないな…全裸で精気授受したのは…。


(まぁ、ベラちゃんとジーナさんの持ち下着があれなのは仕方ないわね)


(ですよパイセン。正直、痴女皇国の皇帝とそのお母さんなら仕方ないとは思います。けど…)


(クリスさんがいくら見た目男の娘と言ってもぉっ)


(見せて欲しい気はします。出来れば月間痴女宮のグラビア撮影にも協力を)


(宇賀神さんのあれを撮影するんやったら撮ったるで)


(ダメです!うちの父がさすがに激怒しますよ…そうなったら、まりあ先輩に相談が行くってわかり切った話じゃないですか…)


(むぐぐぐぐ)


(ゆっきー…そんなに美男子の着エロやヌードグラビアが見たいなら4月の爛れ会についてくる? あらかじめデステおばさまに連絡しておきさえすればだけど、小姓役の騎士団員とか、叔父に命令して少年修道士を何人か用意してくれるわよ…雅美さんとか乳上とかメーテヒルデさんが行く時の定番だから)


(えええええそれマジなのベラちゃん!)


(あとさぁ、これも4月になるけど、ノヴゴロドの美男公の毛皮屋さんちに玄奘さん連れて行って毛皮供養するのにもついてくる? それなら月間痴女宮の取材にもなるでしょ。…ほら、美男公(あいつ)の趣味で美少年を界隈でスカウトしてマヌカンにしてんのよ…)


(ショタ趣味はねーけど美少年ってのはみてみたく)


(まぁ見たいか見たくないかってったら見たいわよね。パリの時でも美男公とチェーザレさん、囲まれてたし)


(そう言えばパイセンって、うちの叔父が教皇になる前からの知り合いでしたね)


(厳密に言うなら聖院の方のチェーザレさんだけどね。その辺はサン=ジェルマンさんがいじってるから、どっちのチェーザレさんにもやぁやぁで話が出来るのはありがたいわよね)


(あーそうか、パイセンはイタリアの鉄道敷設計画のお仕事もありましたよね)


でねぇ、これもこっそりお教えしておきましょうか。うちの叔父…つまりチェーザレ・ボルジアですが、重ねて申し上げておきますが女性に不自由はしておりません。そして女性に優しいようで結構冷たいです。


しかし、パイセンとは旧知の仲だけあって、会えば割と親しげに喋ってます。


更には人も恐れる暗殺頭のミケロットさん…ミケーレ・ダ・コレーラ枢機卿とも仲がいいんですよ。


(シニョーラ・室見は私やチェーザレ猊下にすら物怖じなさいませんからな。意外と豪胆なのを猊下は気に入っておられます。そして…猊下がお気に入りなのに、どうして私が邪険に扱えますか。いや、この私を避けて通らぬ度胸は、いかにシニョーラが痴女種であっても感服すべきでしょう。男女の仲ではありませんが、何かして差し上げたくなるのですよ)とは、冷酷無比で知られるミケーレさんの評価です。


あたしもミケーレさんをよく知ってますけど…この人にここまで言わせるとは恐るべし、パイセン。


そんな密かな評価を知らぬげに話すパイセンですけど。


(あれを進めるついでに共和制はどうよって話をデステさんが始めちゃってさ…確かにイタリアって領地によって税収額がかなり変わるから、税制統一と行政サービスの均一化にはいいと思うんだけど…世界初の民主主義国家を作りたいとか、要は世界初にこだわりたいみたいなのよ…)


(あー、あたしに説得してくれってパイセンが頼んできた件ですよね。鉄道はNBや英国の意向があるからどうしても名目世界初は英国に譲らせる代わりに、日本人が魔改造した事にするって)


(パイセンに愚痴裏たくないんですけど、アレの説得、ほんと大変だったんですよ…大英帝国はねーさんに頼みましたけど)


(イギリスはまりりにやらせる方が無難ね。…って痴女宮のアルトさん、今リバプール行かせてるじゃん。あれ何よ)


(あれは直接には鉄道絡みじゃないんですよ。薔薇戦争とか清教徒革命対策です。陸軍派のクロムウェルさんを静かにさせたくて海軍のドレイクさんがねーさんに頼んで来たんです、英国支部の力を借りたいって)


(ベラちゃん…それ大丈夫なの? アルトさんにやらせたら英国を壊滅させて帰って来ない?)


(ドレイクさんとはウマが合うみたいなんですよ。目標さえ示せば的確に泣かせて帰って来てくれるって喜んでます)


(ドレイクさんも割と力で従えるの好きみたいだからね…)


(ネルソン提督の爛れた関係も気にはなってるんですけどね…とりあえず提督もイタリア夜の爛れ会には大使ご夫妻の護衛名目で参加してもらってますし)


その時、シュイっと油圧ダンパーが作動する音がして、階段が降りてきました。


「やれやれ、早苗からは吸い取るだけ吸い取っといたで。たぶん松前まで寝たきりやろ」ええ、精神的に疲れた顔の母様が降りてきましたよ。で、階段を天井に仕舞い込んでおしまいに。


「まぁしかし、言いたないけどさ、早苗も理恵ちゃんも、そして今後はゆっきーも並ぶ訳やけどな、3人の学力や能力に大差はないはずやねん。ただ…今後のうちらの事業を支えてくれる期待は早苗一人に任せるには不安大。これが現時点でのうちの結論とせざるを得んわ」


操縦室最後尾のサービスコーナーから飲み物のチューブを取り出した母様、宙兵隊作業服の乱れを直しながら副操縦席に戻られます。


「あたしたちそんなに出来が良かったんでしたっけ、理恵先輩」


「そりゃあたしも父やいろんな繋がりの伝手がなかったら、国土交通省の役目なんて出来っこないわよ。まりりにも随分、あちこちに話をしに行く助けをお願いしたし」自分もサービスコーナーに行きながらパイセンが申されます。


「理恵ちゃん。あんたの場合、ダリアとくっついた事がまずでかいとうちは思う」と、言い切る母様。


「はぁ、なんでまた」


「当時のダリアは黒薔薇の団長で実質的に痴女皇国の副騎士団長や。そしてマリ公が養子扱いしてまで可愛がってたのを知らん奴はおらんかったやろ」


「ですね」


「で、理恵ちゃんは当たり前やけどダリアを助ける意味もあって、女官の教育と福利厚生のカイゼンに乗り出した。ゆっきーは直接知らんと思うけど、豚制度を廃止して女官による売春事業を再開して立て直したんは実質、理恵ちゃんの功績と言うてええんや」


「ええー!先輩がそんな偉業を成し遂げていたとわっ」


「むろん。あたし一人でやれた訳じゃないわよ? 騎士や女官のみんなの協力あっての話よ、ゆっきー」


「で、なんでそれが可能やったか。理恵ちゃんはダリアが聖院に厄介になるまでの事情や痴女皇国の現状を聞いて、これは何とかせなあかんとばかりに、まずは貧困層や不幸な生まれの女の子の受け皿になる痴女宮の福利充実を訴えたんや」


「かーさま。パイセンが真っ赤になって照れていますよ」


「理恵ちゃんの功績には間違いないやろ。いくらアルトにダリアに雅美さんに乳上他、当時の痴女皇国の面子が片端から賛同して協力したとは言え、動いたのは理恵ちゃんや。そこは誇ってええやろ」


「で、パイセンは全女官との精気授受という偉業をなしとげたと。これまたいくら、ねーさんやダリアさんの後押しがあっても、まずパイセン本人にやる気がないとできない話ですよ」


「いや理恵ちゃん、それとこれは大事な話や。今でも痴女宮には色々な人種の女官がおるわけやけど、当時もだいたい変わらんよな。そこで物怖じや尻込みをしていては女官の信頼もなかったやろ」


「なーんとなくジーナさんが言いたい事が掴めて来ましたよ。だいたい宙兵隊だってそうじゃないですか。直接志願兵だけじゃなしに、各国からの派遣兵も受け入れてますよね。つまり、分け隔てや選り好みをしていたら皆の支持は得られなかったと」


「ただ…ゆっきー、それは痴女皇国以外じゃ難しい話ではあるのよ…痴女皇国に来た時点で病気を治したり障害を取り除くでしょう。売春してもらうためとは言え、外見で差別につながる話はほぼ、なくなるでしょう。だから容姿差別については痴女皇国はまだマシなのよ…」


「ベラちゃん。それ、余計に早苗さんの旗色が悪くなりかねない話よ…」ゆっきーが真顔になった気配がします。


「早苗さんは自分好みとしかお突き合いしたくはないって心理でしょう。で、これから地下勤務が続くなら売春は免除されるからOKとしようよ。でもさ…」


そこで言葉を区切るゆっきー。



「ぶっちゃけ言うけど、幹部扱いされたきゃ選り好みしちゃダメだと思う。特に早苗さんは、あたしや理恵先輩と違ってベラちゃんを指名しようとした訳でしょう。じゃあベラちゃんのお気に入りになりたいのなら、ベラちゃんが皇帝でお手つきするにも相手を選んでる訳だし。しかも一定以上の能力の幹部の人に限らざるを得ないんだから、勢いそんなえらい人たちと同列に並ぶ努力を見せてからって話になるよね」


「確かに、あたしやたのですら最初は一般女官を経験するにはしました。それすら飛ばすと他の人からは当然、ちょっと待てって話になるし、そこで嫌がるとか煮え切らないから早苗さんは揉めてんのよねぇ」


「ジーナさんとしてはどうなんでしょ」


「まぁ、売春やっとるもんからしたら何で早苗だけ特別扱いするんよ、となるやんか」


「実際に話が出かかってますよ…美咲さんの時みたいに罪人として過剰な試練を課していたら言い訳にはなりますけど、こちらも声をかけている手前、そういうわけにも行きませんしね」


「確かに、博子さんやたのちゃんですら数日とは言え女官業務経験者。たのちゃんに至っては一時期とは言え淋番制度があった際には参加しとるしな」


どうでも良いかも知れませんが、こういう話の時に痴女皇国側に立ってキリキリとしているパイセンの姿勢も、実はみんなが知ってる事です。


女官としての立場でものが言える。


しかも数年にわたり女官長として痴女皇国の経営に貢献した功労者である。


そして皆の業務報償金制度はもとより、聖環によるキャッシュレス化を進めて女官個人の預金管理のストレスを減らした、あたしの可愛い家畜いえもとい頼れる同居人(たのきち)、そして姉と親友。


突き合いも付き合いも上手いというのがパイセンに対する評価です。それに、鉄ヲタでも痴女皇国に利益をもたらす巨大事業を手がけているなら話は別。


パイセンはたのきち同様に実力で、本当に実力で今の地位を勝ち取っているんですよ。


ただ…パイセンが言う通り、仲間の力も必要でした。


そして早苗さんは今、痴女皇国にたった一人。


「ベラ子。やはり早苗は薫やいずみーと組ませてから最終評価を出すべきやないか。あんたの考えはそこに至るわけやな」


「ええ。それに痴女皇国としては、早苗さん()()に成果を上げてもらいさえすれば良いという話になりますかと。ただ…皇帝として考えますと、今は無理でもいずれは皆とある程度は交流して欲しいのが本音です。かつての財務や設備のような機密状態に置かれてしまっていても、該当部署の方々は決して他人とのお付き合いを自ら線引きするわけじゃなしに、仕事の中身を人に漏らせないからこそ、やむを得ずお付き合いを制限されているのに甘んじていたわけですよね」


「プラウファーネさんにしても、人間性は普通やったしな」


「で…母様、これから比丘尼国の後で行く弘前で、人の道を説ける方々をお迎えしますよね。少しばかりあの御一行と一緒に過ごしてもらうのも良いのではないでしょうか。慶次郎さん捨丸さん悟洞さん骨さん、どなたも人生とはなんぞや、男とはなんぞやという信念や理念をお持ちでしょう。筋の通った生き方を実践しておられる男性に触れて成長してもらうのを試みる価値はあると思うのですよ」

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