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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


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ゴールデンニシン・道南イカづくし物語・1

皆様チャオ&ボナセーラ、マリアヴェッラです。


タイトルに文句を言いたい人は一応、お聞きします。


しますけど…多分、黙殺されると思うんです。


さながら、今、アルトさんに殴られこそしませんでしたけど無茶で乱暴な扱いをされた飯島早苗さんが文句を言ったように…。

「で、今回はあたしが機長をするわけですか…」


さて、ここは日の出前の聖院空港。


春の校外学習に行く生徒を乗せるために格納庫から引き出されたスケアクロウが、エプロン…格納庫の前の空き場所に置かれて照明に照らされています。


それは良いのですが、毎度毎度とは思いますが…副題、なんとかなりませんか。


「本当はもっと危険なタイトルを考えたみたいなんですが、いかめしの調整元から怒られるだろうとうちが吹き込みました」


ああ、あの有名駅弁…。エマちゃんが差し止めたのは適切な判断だ。あたしも強く合意しましょう。


というか、この時代に、寒い北海道でお米なんて取れるんですか。そもそも育つんですか、稲。


「ねーさん、寒冷種を導入させたって言ってましたから…今年の秋くらいからですね」


そして。


地下鉄駅から整列して歩いてくる生徒さんたちが、スケアクロウの後ろから機内に乗り込むのに立ち会っているジーナ母様はよしとして、子犬のようにその横にしがみついている早苗さん。


一体何をしたんですか母様。


過剰に怯えるようなことがあったんですか。


あげく、初代様をあたしに返すとか何とか。おばあさんの親戚たらい回しじゃないんですから。


(相変わらず失礼なマリアヴェッラですわねっ)


「お前とクリスがイチャイチャしとる間、うちらがどんだけ修羅場やったか…」恨みがましい目であたしを見る母様ですが、そもそもあたしをクリスおじ様の精気番に指名したのはかーさまでしょうがっ。


とりあえず母娘でやいのやいのしていても仕方ありません。今回はエマちゃんがナビと航空機関士の担当だそうなので、機長あたし副操縦士かー様で行くと、プリフライトブリーフィングで改めて聞かされています。


そんな訳でぶつくさ言いつつもスケアクロウの外観を点検。更にエマちゃんが気を利かせてマスターコーションライト消灯までを確認してくれています。


というのもスケアクロウのエンジンは本体の中で反物質反応を起こしていないという、ややこしい代物です。


いわゆる炉心に該当するものは四次元とか五次元とか人類の知覚外にある場所に保持されていて、スケアクロウのエンジンはそこで起こされた電力を受け取ってエンジンと一体化された慣性・重力制御駆動機…ICD/Gと呼ばれる推進機に渡す中継装置らしいのです。


つまり、エンジンをかける動作からして面倒。


ですので駐機中も基本的にはエンジンかけっぱなしか、外部からの電源ケーブル必須。


更には始動手順も、完全に機関停止した状態とそうでない時がまるっきり違います。


ですので、そのめんどくさい始動や機器チェックをさっさと済ませてくれるだけでも大変にありがたい話なんですよ…。


「ほんまは機長と副長とフライトエンジニアが3人でやらなあかんねんぞ…」


まぁ今回だけではないのですが、スケアクロウを飛ばす場合は割と時間に追われる話ではあります。


この一連のシリーズをお読みの方、痴女島から飛行機…特にスケアクロウを飛ばす場合に深夜から早朝にかけて出発している事が多いのに気づかれましたでしょうか。


あれ、ちゃんとした理由があります。


時差を考慮して行き先であれこれするのに都合のいい時間帯に出発しているのはもちろんなのですが、熱帯気候の痴女島周辺、日中は入道雲が育ちやすいのです。


そう、いわゆる積乱雲とかいうあれです。


あれは見た目より遥かに飛行機にはよくない代物でして、雲の中は稲妻一歩手前の静電気が溜まりに溜まっています。


おまけに雲中は暴風吹き荒れる嵐の状態。


普通の飛行機より翼が長くなる姿で飛ぶのが基本のスケアクロウでは、雲に突入するどころか周辺を飛ぶことすら避けねばならないと教わりましたが、実際に飛ばしていても危険なのはよくわかります。


で…日の出の後で雲が育つ前に痴女島周辺の空域を離脱することが推奨となりまして…。


普通は聖院学院の生徒さんたちは起床時間、朝5時です。


そして朝ごはん。


これも細かい決まりがありまして、まず上の階の女子は第一班が5時25分までに食堂で朝食を済ませて再度自分の部屋に戻って洗面や部屋清掃を終わらせ、6時までには教室に向かいます。


で、第二班は逆に5時25分までに朝の支度を済ませて食堂に向かい、朝食後はそのまま登校します。


そして男子も同様に食堂で喫飯する組と、先に朝の支度を済ませる組に分かれて行動します。


要は、朝の支度を二班に分けて食堂の利用時間が偏るのを防ごうという目的で班分けしているのです。


さらには罪人食堂や女官食堂の利用も関わってくる話です。


言うまでもなく女官食堂や罪人食堂の調理や運営に関わる人たちがいます。


そして、例えば…女官や罪人が児童や学生さんと同じ6時始業とした場合、どうなるでしょうか。


調理人は当然、その時間帯にかけて集中配置する事になりますよね。


じゃ、その後はどうするのか。


人はいるのに仕事がない空白時間帯が発生しますよね。


ですので、食事時間や勤務・授業時間をずらす措置が取られています。


罪人工場の稼働を暑い昼間の間は停止して、勤務もその前後の2交代にしているのも、女官食堂や聖院学院食堂と利用時間帯が競合しないためでもあるんですよ。


そして食堂を担当する女官や罪人も食堂利用者が多くなる時間に合わせて勤務しています。


(痴女宮を増築してから厨房は近代化しちまったんだよな…エマ子が。あん時は何さらすんじゃって思ったけど、今の状況じゃ正解としか言えねぇわ…問題は、よその台所がうちほど近代化されてないから技術を覚えさせても勝手が違うんだよな…)


(だから料理人を希望する罪人は比丘尼国か欧州に送ってんですか…)


(改めて今の水準の調理方法を教える必要あるからな。と言っても火と水、それから冷蔵や冷凍設備の有無くらいだけど…)


(電子レンジは敢えて入れてなくてオーブンだけでしたよね)


(それとピザ窯だな。あれはおめーのリクエストだからな!)


(食べたい時に食べられる、これが大事だと思うんです!)


(タンドリー窯兼用なのを忘れんなよ…うちは今、インド系もそれなりにいてるんだからよ…)


へいへい。


あとビリヤニ調理釜も設置させられてますね…。


赤道至近でとにかく年中暑い痴女島ですから、勢い食堂で出るメニューがこの界隈の料理主体なのはある程度仕方がないのが悩みどころではあります。


(離宮食堂に炊飯器を置いた理由がわかるな…)


(日本食が基準な人間が皇族に多いの、何とかなりませんか…)


(余った飯をおにぎりにして、あまつさえ部屋のキッチンで焼いて食ってなきゃ話は聞いたんだが)


(ねーさんもお味噌と醤油とみりんとか、きっちり冷蔵庫に隠してるじゃないですか!)


(るせぇっ!来客に振る舞うためだ!比丘尼国や日本の関係者も来るだろ!)


(慶次郎さんや智秋さん以外に使ってんの、見たことないんですけど)


(宇賀神さんは洋食か中華の方が好きだからな)


まぁ、そんな脱線話はともかく、6時の始業に合わせた普段とほぼ同時の起床になるようスケジュールが組まれています。


そして朝食を終えた組から順番に地下鉄で空港まで来てくれる流れに。


で、今回は座席パレットを組み付けてはいますが、横5席×3列が設けられたパレット6枚では座席が足りませんので、福祉女官の方には壁際の折り畳み席に座って頂く方向で。


ワイワイ言う男児と静かな女児…という印象ですが、ここで女の子達が一人卒から十人卒痴女種化しているのを思い出してください。


心話のチャンネルを開くと…かしましいのですよ…。


年齢的にはあたしの肉体年齢より上の子もいてるんですけどね。


(そらベラ子、あんたとこの子ら比べたらあかんわ。それよりお弁当やら積んだら出発やからな)


そうなんですよ…今回、行き先が行き先なのでお弁当ならぬ熱帯向けレーションパックを積んでいます。更には飲料水のボトルも。


(さすがにこの時代にご飯の現地調達、それもまだ国認定されてない津軽藩や松前藩の人らに頼むんはいささか気ぃ引けるからなぁ…)


あ、母様…読者の方にはギリギリまで行き先をバラすなって…。


(今更しゃあないっ。それより機外点検終わったらそろそろ飛ばすでっ。津軽藩と松前藩への土産は積んだなっ)


(はい、あれとあれですね)地上操作担当の国土局女官の方がリアハッチの閉鎖作業に入っていますが、座席パレットの後ろに左右一列二枚が積み込まれた貨物パレット…463Lマスターパレットというそうですが、荷崩れしないようにがっちりと網や枠で固定されている木箱だの段ボール箱…紙に似た可燃性防水素材ですよ…だのがぎっちり積み上げられていますね。


荷札にはFrom HirosakiとかFrom Matsumae(Esashi)とか行先が書かれています。


更には荷役を担当する小型フォークリフトまでが積み込まれていますが。


とりあえず母様に促されて操縦室に乗り込みます。ますが。


「すみませーん便乗お願いしますー」


「月間痴女宮の取材でーす」


聞いてないですよ…。


そんな訳で室見理恵(パイセン)・国土局長がナビ席に、同級生の宇賀神雪子(ゆっきー)が右側偵察員席に座っているのはそのままで。


で、あたしは操縦席左側、母様は右側の副操縦士席に着席。


なんとか母様から引き剥がす事に成功した早苗さんは、ゆっきーが左側偵察員席に座らせてシートベルトを締めてあげています。


そしてコクピットへの階段(エアステア)とドアを閉めてきたエマちゃんの分体がFE…航空機関士席に座って操縦室の乗員は全て名簿通りに乗り込んだと報告してきます。


「ベラちゃん、INSスタビライズド。ウェイポイント入力済みよ。聖院湖上空で旋回後にオートパイロットONでいいのよね」


「それでOKです。いつもの遊覧コースの後で比丘尼国への北上コースに乗せて行きますから」


「よっしゃ行くで。ベラ子、キャビンに声かけたって」


「はいはい。えー、搭乗の児童の皆様。おはようございます。今日の機長を務めるマリアヴェッラです。朝早くから支度が大変だったと思いますが、これからこの飛行機は痴女宮と門前町の上を旋回してから太平洋を北に向かって進みます。次の着陸は午前8時に八百比丘尼国の三河監獄国たはら工場ですが、おトイレを我慢できない人は離陸して…この飛行機が浮き上がったあとで正面の座席ベルトサインが消えてから、手を上げて保母さんに知らせてください。あと、サインが消えるまでは水筒のお茶を飲んだりしないでくださいね。じゃ、離陸する時はもう一度お知らせします。今から滑走路に出るからちょっと待っててねー」


ええ、保母さんや学校の先生っぽくありますが、何せ今回の乗客の大半は少年少女。スケアクロウに乗るのが経験者でもせいぜい1回か2回くらいの子たちです。


キャビンとは気密区画が分かれていますから直接には音や声は伝わってきませんけど、はーいと勢い良い返事が返って来てるのがわかります。


で、正面の窓の向こうを見れば、地上係員が手歯止めを外してくれたサインを正面から送って来ている姿が。


「パーキングブレーキ、リリース。タキシー・スタート。ランウェイ19(ワン・ナイン)、スタンディング・テイクオフ、デパーチャ」スロットルレバーを押すと、スケアクロウはゆっくりと動き出します。


で、地上を走らせる時は左手でステアリングチラーという小さなハンドルを回して前輪の向きを変えるんですけど、少し大きめな旅客機の操縦の知識がある人にはそれが付いてる場所、大体お察し頂けるかと。


あと、スケアクロウはなぜか古めかしくて大きな両手握りの操縦桿を操作する事になりますけど…。


(サイドスティックで片手操縦ホイホイ決めるような軽快な運動性があるか、ベラ子がよう知っとるやろっ)


はい。フライ・バイ・ファイバというのですか、操縦桿自体は機械的に舵と繋がってはいないそうですが、操舵時に舵や機体にかかる負荷を疑似的に操縦桿にフィードバックする仕掛けがついています。強風の時は本当に大変なんですよ…。


でまぁ、聖院空港自体は滑走路1本の単純な構造です。エプロンから出てヘッドアップディスプレイのガイドサインの通りに誘導路を進むと、滑走路のほぼ北端に出て来ます。


そして、簡易舗装がされた滑走路中央の白い線に機体中央の中心線…伸縮式のピトー管という突き出した管を合わせてブレーキを踏みます。


(ベラ子かーさま。出発方位190。V2到達後、洋上で単葉モードシフト。主翼モード切り(シングル)替え(トランスファ)後は右旋回180、高度300でステディ。聖院空港上空通過後にVNAVセット、方位90でバンジャルバル上空を航過後、マカッサル海峡を北上、バラバランガン諸島上空でFL200、セレベス海通過中にFL400到達で入力しています)


(ベラ子りょうかいー。かーさま、それで良いですね?)


(VNAV、LNAV座標確認。エマ子、ベラ子がテイクオフクリアランス要請したらデリバリー)


(エマ子了解。風向360、風速4m、視程よし)


(エマちゃん、IT011、離陸します)


(IT011、離陸してよし)


で、あたしがスロットルレバーの先側根元にあるテイクオフスイッチを押すと、例によって自動的にスロットルレバーがずるっと前に動いていきます。


そしてブレーキを踏んでいた足を離すと、滑走開始。


「V1、ローテーション、V2、ギアアップ、ウィングモードトランスファ、オート、進路ステディ」


「ウィングモード・シングルトランスファ」


読者のみなさんの世界の飛行機のような音ではなく、ICD/Gの駆動音が篭り気味に伝わる中、重量はともかく満載に近い貨物室の状況も何のその、水平滑走でも数百メートル進んだだけで浮き上がるスケアクロウ。


母様の操作で自動主翼切り替え状態になり、海面上数十メートルを時速250km/h未満で飛んでいる数秒で複葉主翼の下側を外側に突き出したかと思うと、上側の主翼の端に引き揚げて左右で2枚の長い翼の…いつもの飛んでるスケアクロウの姿に変わります。


“Main wing single mode transfar complete.”


そして、延長された外側の主翼の中で補強桁材が連結され強度が確保されたサインがヘッドアップディスプレイに表示されます。


で、じわーっと高度を上げながらょぅι゛ょ、いえ洋上で右旋回。


この時間帯でもかなりの建物に明かりが灯っていて、眠らない街とも言われる門前町や、ライトアップされた痴女宮と聖院開闢記念大堤や…その手前の工場地帯を左側に眺めながらスケアクロウを進めて行きます。


で、貨物室から上がる歓声。


窓のないスケアクロウの貨物室ですが、エマちゃんが操作している左側偵察カメラの映像を中心にした仮想表示が出ているはずです。


つまり、子どもたちの目には、普段自分たちが暮らしている建物や街が斜め下に見えている状態です。


そしてダムの向こうの山は朝霧に包まれていますが、聖院湖の横の山腹はるか向こうには智秋記念牧場らしき、切り開かれた草原までもが。


(これを見せたげるんと見せたげないんでは喜び具合が全く違うからな)


そう、日本を目指すなら洋上に出た時点でそのまま左に180度旋回すればいいのですが、なぜにわざわざ沖のかなり先まで出て大回りしているかというと、遊覧飛行の意味があるからなんですよ。


このコースの発案者はジーナ母様で、どうせ子供たちを乗せるならと、喜ばせるようなルートを考えて実際にスケアクロウを何度も飛ばして決めたそうです。


更には殺風景な貨物室の壁に、外景を投影して窓のない退屈な飛行を、楽しい遊覧飛行にする事もさりながら、上空から見える色々な光景を観察させる事で学習の助けにしようという狙いがあります。


で、文教局と校外学習の計画を立てる際には、たのきち他と話し合って、途中でどこに寄るとか何が見えるかをあらかじめある程度調べておいてから、福祉女官が…そうですね、富士山なら富士山の形や由来を教えるそうですよ。


なんか、ちゃんと校外学習してますね。


(そらそやろ…せっかく空を飛ぶんやから色々見したりたいのは人情やで…しかもこの子らの大半は孤児か経済事情から育児放棄されざるを得なかった子らや…せめてこのくらいは、この時代の子が早々できん体験をさしたりたいやないか…)


そう言えば、宙兵隊でも沖縄や山口、広島他の児童福祉施設へのクリスマス慰問とか、基地祭へ招待していたそうですね。


(米軍時代と違うて、文句言う奴が減ったせいもあるけどな。あと、横田はともかく岩国と嘉手納はフレンドシップデーを航空自衛軍と合同開催しとるぞ。沖縄の場合は那覇基地と嘉手納で場所持ち回りやけどな)


そんなこんなを言いつつも、オートパイロットに従って成層圏を目指すスケアクロウ。


毎分2,500メートルという上昇率は輸送機としてはかなり良い部類らしいのですが…約4分で高度1万メートルに到達する事になります。例えば、カエル女が持ち込んだアトランティックII輸送機が1,300m/分だそうですから、かなり速いのが理解頂けるかと。


(今回は比丘尼国と弘前と松前での荷役作業もありますからね、往路は高度2万メートル以上に上がる前にフィリピン海を転送でショートカットしまっせ。串本沖にまで出てから降下中に、尾鷲と鳥羽にナディアさんから預かった私信の手紙を転送しますよって)


ああそうか、ナディアさんの元のご主人の義隆さんがお住まいの尾鷲の沖や、アルトさんもそうですけど実家が移転した先でしかも隠し子(笑)がいる鳥羽の上空をかすめて行くコースを取るのでしたよね。


(今回は着陸する時間がないという事で、九鬼義隆さんと守隆さん…それからナディアさんのお父様に直接うちが分体出してさっと手紙渡して戻ります。フライトスケジュールに変更はおまへん)


(まぁ、それに義隆さんや守隆さんはともかく、アルト一家は漁に出てるか真珠のイカダの様子を見に海に出てる可能性があるからな。船に乗ってるようやったらおうちのお母さんに渡したりや)


(あーそうか、通常の漁なら朝早くとかまだ暗いうちに船を出す場合がありましたね)


(連邦社会に生きてると、日の出やその前から起きて仕事を始める生活いうんがあんまピンと()ぇへんけど、この時代はどっちか言うたらそういう生活の方が一般的とちゃうかな)


(特にうちの島はスコールの影響とか、日中の暑さがありますからねぇ。あと中東地域…アルトさんのご実家が元々あったバーレーンとかでも、砂漠地帯の直射日光を避ける暮らしをしてるとは聞きましたけど)


(海沿いは漁をするからまだ日中でもあれこれするらしいけどな。アルトが日焼けしてるんはその名残りやな)


…ああ、ふんどししてたって言ってましたね…。


(ジーナさん…あのアルトさんって人は一体何なんですか…直接殴られたりはしませんでしたけど…あたしに暴力を振るうのも全くためらいがなさそうで…)後ろの方から早苗さんの恨みがましい心話が届きますが。


(ああ、早苗…アルトはああいう女や…昔、領主の息子の慰み者にされかけた時でも、もし何かきっかけがあったら絶対に相手をぶん殴ってたって公言してるくらいでな…あれと、実の妹のナディアちゃん言うのが海事部におるけど、あの二人に直接付けて教育さすんは痴女皇国の罰でもワースト5に入るからな…)


(だから飯島さん…アルトさんがあの程度で済ませるのってまだマシな方なんですよ…下手したら黒薔薇騎士団で痴女宮にいてる人全員集めて懲罰始めてた可能性がありましたからね? あたしの旦那役で元黒薔薇団長で、今は統括騎士団長のダリアでもアルトさんに勝てないんですよ? もしアルトさんからされた事に不満があるんだったら、今ここでこの室見理恵が女官長代行として請願処理してあげますけど…今回の飯島さんの不満についてはあまり期待はしないでくださいよ…?)

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