春の逝麺争奪戦・珍珍清姫ものがたり・7
(聖母様、お部屋の話ですが…)
ひそひそとベラ子の中から囁きが。
むろん、初代様ですよ。
(ここは黙ってマリアヴェッラに怒られて下さいまし…)
なんかよう分かりませんが。
それと、納得が行きません。
こういう事があった場合は皇帝室長兼秘書課長のうちに話があるべきとちゃうんかい。
ベラ子、そうは思わんかっ。
事と次第によっては、うちがあんたに黒グッズ使うでっ。
(もちろん演技です。いくら何でも母様を離宮から放逐すると、家族会からもお叱りが来ます。あそこにおじさまと母様の部屋がある事すなわち、母様の地位を黙って皆に理解させる事になりますから)
ではなぜに、そんな部屋を云々の話をしとるんじゃいっ。
(現状でもなかなか生化研から出てこないおじさま対策です。言っておきますが、母様がお使いのお部屋程度の面積を確保しているのですよ。ほら、ここの居住区画のお部屋だと狭いですし、それに騒音が…)
なるほど。つまりはクリスとのヤり部屋…。
(あたしが実際におじさまとの精気授受を担当して気付いたのですが、あたしの流儀でおじさまにお喜び頂くには色々と仕掛けも必要。というわけで気兼ねなく遠慮なく行為が可能なようにしたいのと、おじさまが自室に戻らずともある程度は快適にお過ごし頂けるように環境を整えようというのがこの、皇族居室同等のお部屋の主旨です)
まぁそれならば、部屋を用意した理由はわからなくもありません。
しかし、初代様の皇帝室秘書課入りとか聞いてへんぞ、うち…。稟議回したんか?
(いえ。計画自体はありますが、実際には検討中です。母様がNBに行かれるのが本決まりになってからの話と思って下さい。やはり離宮の庶務に皇帝室長は必要という意見がありまして…)
そういや貴賓食堂の予算とか使用食材の調達などが代表例ですが、貴賓室や離宮絡みの決済、皇帝室でやってたな…。
「で、母様。そして早苗さん。実のところ、ここの居住区画はクリスおじさまはもとより、一般研究員に至るまでの長期間の滞在を想定していません。有り体に申し上げますと、まぁ…航宙駆逐艦による航路哨戒任務の最長期間である3ヶ月から半年程度が連続滞在の限界と考えています」
「まぁ、ここやったら航宙駆逐艦ほど悲惨にはならんからなぁ。哨戒任務でも、実のところは中間補給を受けて延長する場合もあるんやけど、よほどの事がない限りは延長せずに帰投交代が基本や。水や食料や酸化剤やらは補充出来ても、閉鎖空間での人間心理はなかなかケアできんからなぁ」
「昔のスティックス・ドライブが発明される前はどうしてたんですか」
「それが実際には企画こそされていたんやけど、航宙船の建造にかかった辺りで別口の研究チームがスティックス・ドライブレベル1の試験に成功してな。で、本来なら光速を超えないはずの船がカイゼンされた事で10年以上どころか1年未満でアルファ・ケンタウリや、さらには今のNBに当たる恒星系に到達する事になった」
「ということは1年を超える連続した宇宙飛行って、体験した人がいないって事ですか」
「いや、太陽系内有人探査とかやってる。それと、密閉された閉鎖空間は航宙船だけとちゃうぞベラ子。もちろんNBと地球以外に大気をそのまま呼吸できる星を人類は見つけてへんし、有望な星があっても、そこの大気を変成さしてる最中や。つまり、宇宙空間に出た時点で基本的には人工の環境下で暮らすことになるからな」
「あーそうか、月とか木星や土星の衛星に行けば何年もそういう場所で暮らしますよね」
「ただ、そういう場所は遊びで行くとことちゃうからな。一部の学校では社会見学も兼ねて大気圏外への修学旅行を実施してるけど、かなりのレアケースや。宇宙開発に力を入れてる企業が優秀な学生を輩出してる学校へのご褒美に招待されてる場合も、実は連邦政府の大気圏外産業従事振興助成を受けてるからできる話やぞ」
「あれ、そういう裏があったんですか…」
「でなかったら、たのちゃんも言うてたけど宇宙旅行はものすごい金かかるんやぞ、元来は…」
そうなんですよー。前もチラッと話が出ていましたが、この時代においてもまだまだ宇宙は遠いっちゃ遠いのです。
…よくそんな水準で軌道エレベーターとか作れたよなって勘づいた方、いらっしゃいますかね。
ええ、君のような勘のいい読者は嫌いだよって天の声が言ってましたけどね。ヒントを出しますとサン=ジェルマンのお兄ちゃん。
あれが何で兆円単位の損失ぶっこいた新兵器開発の失敗をやらかしてもロクな罰を受けていないか、その辺に奴のこれまでの諸々の功績があるみたいなんですよ。
ま、あたしも生まれてない時代の話がありますんで、完璧に事情を知り抜いてる訳でもないんですけどね。
「さて飯島さん。貴女にはこのお部屋に付随する個室に住んで頂きます。このお部屋は離宮の皇族専用居室と同じ面積と設備を備えていますが」と、部屋を案内しながら説明するベラ子。
「通常、前室部にあるこのゲストルームは皇族居室であればごく親しい来客を招いて泊めるために使われます。ですが、このお部屋の用途を考えますとここはまず、使われないでしょうから、早苗さんの寝起きにはここをお使い頂きたいんですよ」
はい。うちらの個室と同じで、私的な来客を泊める部屋があるんです。
この部屋だけでシティホテルのダブルルームくらいの面積があります。皆様の世界だと一泊4〜6万円を要するお部屋級。つまりワンルーム2部屋くらいの広さです。
ですから早苗にはまずまずの広さや設備だと思うのです。しかも皇族居室水準の内装ですから…。
で、ベラ子から部屋付きの女官を紹介されます。
これまた本当は離宮配属女官と同じで、うちが知らない間に決められて良い人事じゃないんですが、まぁ今は黙っておきましょう。
「飯島早苗さんですね。私はこの地下100階と101階の業務に就く女官を管理しておりますリミルシューネと申します。現在は厚労局所属ですが、地下研究室の所轄の関係上文教局研究部に出向させて頂いています」
と、新型女官服ですが離宮仕様の…ええ、青薔薇の旧タイプに限りなく近い制服を着用した子が会釈。
(なんか複雑ですよジーナ様。私は一応離宮配属資格取得に合わせて万卒昇格も果たしてるんですよっ)と怒られました。
えーっと、広報の山内博子さんが痴女皇国に来た際の話、覚えておいででしょうか。
https://ncode.syosetu.com/n6615gx/23/
その際の下足処にいた女官がこのリミルシューネちゃんです。
ろくな外観描写がない事で分かる通り、本来はちょい役だった子のようで…ええ、めっちゃ怒ってます。
(言っておきますけどね、私、一応はオリューレの同期なんですよ? あの後で実家がちょっとトラブってたんで何年か里帰りのために還俗したせいで出世が遅れただけですからね!)
あ、下足処を任されてる時点でベテランというのはわかりますよ。
下足処って、以前は現金を扱っていましたし、そもそも女の子を来客に順次割り振る売春業務の管制塔的な業務が主体なんですよ。
つまりは風俗店の受付業務まんまの事をしています。
ですから、近頃のマリ公のリピーター容認策を推進するためには、旧来以上に参詣者の心中を読んで適切な女官を担当につける対応が鍵となります。
そう、この子が還俗→復帰の流れを認められたのも、下足処勤務を通じて能力の高さに一定評価が出ていたからだそうで…マリーに理恵ちゃん、それで間違いあらへんよな。
(おかげで還俗後は大変だったんですよ。あたしが下足処入ることすらありまして…)
(あたくしも研修がてら応援に来た記憶が。とにかく参詣者を乗せて行く流暢で調子のよい会話術を要求されますわねぇ)
とまぁ、単にオリューレさんの同期なだけではなく、それなりに評価実績を積み上げたら実力もある子なんですよ。
Rimilshiene (Renesmee Kochanowski) リミルシューネ Ten thousand Suction.(Limited Hundred thousand)一万卒(限定十万卒) Slut Visual. 痴女外観 Blue Rosy knights, Imperial of Temptress. 青薔薇騎士団
あ、天の声にリミルシューネちゃんの外観を聞いてみましたけど、サンドラ・クヴィッカかナタリア・シヴィッツで検索してくれって言われました…この子の母国がどこなのかも、それで分かるそうですよ…。
で、うちの感想。
ふむふむ。ちょっとギャルっぽい感じもしますねぇ。
身長からすると結構、乳でかいし。
(それは余計な評価ですっ…っていうかジーナ様のぴーたーのーす、パイズリと言うのですか。これで挟んで差し上げたではないですか!あれでアヘアヘ言ってたのは誰ですか!)
(かーさま…何をさせてるんですか…リミルシューネさん…一応、皇帝室長に変な性癖がつかないかを確かめたいので後日で構いません、あたしにもそれやって貰えますか)
(お安い御用でございます。つーか今でも構いませんが)
ノリの良い子ですが、実際にこの子は頭の回転が早い部類です。
指名が禁止だった頃の下足処ですら、あの手この手を尽くして実質的に指名に等しい女の子の割り振りが出来たっぽいんですよね。
(ですからよほどの出禁やハマり過ぎ制限がかかった参詣の方以外は、指名可能な今の痴女宮だと対応が楽で楽で。後輩にも引き継ぎに困る事はなかったですねぇ)
で。
あんたら何をしておる。
「飯島さんに痴女皇国の流儀を教えております。皇帝陛下はこう扱うのだ、と。何でしたらジーナ様のもついでに致しておきましょうか?」
ええ。
ベラ子、リミルシューネちゃんの口と乳でアヘアヘ言わされてます。
更に唖然茫然としている早苗。
「飯島さん。痴女皇国女官たるもの、皇帝陛下にこれくらいの奉仕が出来なくて何としますか。更にはジーナ様は実質、上皇陛下と言ってよいお方。これが出来なくては地下研究室区画の皇族…ジーナ様やクリス様の慰安をお任せとは行きませんよっ」
ああなるほど、それでベラ子を…。
つまり、この流れでは、早苗はうちを咥える必要がある訳です。
早苗、すごく嫌そうにしています。
そりゃそうよね…。うちも正直、早苗にされてもなぁ。
ですが、ベラ子は鬼でした。
「早苗さん。今からこのお部屋で母様と精気授受をなさるか、それとも記憶消去処置を受け一般女官に降格されておしまいになるか、二つに一つです」
「え、あたしの知識とか…あ!」
「お分かりですね。早苗さん、あなたが痴女種化した時点で私たちに隠し事は不可能。更に、あなたがお仕事を拒否した場合、痴女皇国はイギリスはもちろん、イタリア・フランス・イスラエルの軍需産業と提携せざるを得ないのです」
冷徹に言い切るベラ子ですが、実はこれもお芝居。
そもそも植民地時代からNBに生産拠点があるのを接収して開業した向こうの軍需産業がありますから、簡単な無煙火薬や雷管の開発、出来ないわけじゃないんですよ。
古いライフルやピストルに大砲なんかは大英軍事博物館収蔵品を含めて、現物見本はもちろん、銃弾砲弾の製法ですとか火薬の調製法の文献資料もいくらでも取れます。
うちらが本当に欲しいのはそれだけじゃなくて化学製品各種の製造技術資料なんですけど、こちらについても擬音で表現出来そうなライターの会社やらドイツの会社やらから技術を頂けなくもないと。
(つーかルナテックスの火星とトロヤ群工場施設、あそこの協力も取ろうと思えば取れるのよな)
では、何故に日本企業を噛ませるか。
(連邦世界じゃ千代田区で兼業農家を始めた神聖にして犯すべからずな家長様いるじゃん。そのはるかなご先祖様で酔っ払いのおばちゃんからの依頼。鉄道の時もそうだけど、この縛りがあるから日本企業には参画に協力して欲しいわけよ)
うん、理恵ちゃんも、文字の青い会社に切れてたな…。
でまぁ、その辺のやり取りの実績あらばこそ、早苗と…今後に赴任してくる二人を否応なく生化研の仕事にはめ込む筋書きをベラ子が書けた訳です。
(可哀想ですけど、今回のお三方はあたしやたのきちのようには行きませんよね…たのの結婚問題の解決にも使える方法の実験台になってもらいましょう)と、国土局長なれど何故か女官人事に口を挟める助平ギャルが申します。
(だからジーナさん。あたし最近地味子ですよ? 連邦世界に行って話する時もパンツスーツばかりなの知ってるでしょ…)
あ、理恵ちゃんのOL姿、かなり笑えますからね。事情を知る我々には爆笑ものですよ。
(ジーナさんの似合わない似合わないスーツ姿の話もしましょうか。どこの風俗店のコスプレオプションなんだって感じですからねぇ)
…ほんまに口の減らんメスガキやなっ。
(聖母様。理恵さんを口で負かす事を考えるから敗北するのです。ここはひとつ、ちんぽでしばく事を提案させて頂きますわよ)
(初代様。性欲解消のためにうちの母を煽るのはやめてください。理恵さん、あとであたしが代わりに行きますので…)
(ベラちゃんそれ反則!)
(とりあえず話が進みませんから母様と早苗さんを二人きりにしますよ。あ、中でやる事しないと出しませんからねっ)
え。
何やねんそれ。
(ぐふふふ。いわゆるアレをしないと出られない部屋という奴です。本当に出しませんからねっ)
(つー訳でジーナ様、閉じ込めますからよろしく。あと2時間以内に動きがないと、陛下と一緒にジーナ様のお部屋の酒棚を漁りますから)
待て待て待てい!あそこの酒は金を出せば買えるもんばかりとちゃうねんぞ!しかもリミルシューネちゃんが行くいう事は…。
「よくお分かりで。離宮業務履修済の女官、何人か見繕って伺うつもりですよ。あ…へいかー。ルクレツィア様、確かお戻りでしたよね!」
「そうよね、ルクレツィア母様、ジーナかーさまの部屋にあるお酒でポワカール閣下に頂いたコニャック付け狙っていたわよねっ」
お…おのれらは鬼かぁっ。人の心はあらへんのかぁっ。
(そう思うなら頑張ってくださいっ。母様に人の心があれば早苗さんを慈愛と博愛の精神で包めますよね?)
おーいベラ子…。
口先で説き伏せるならまだしも、これはちょっと無理筋に過ぎへんけ…。
(いや本当に母様、早苗さんの本音ペラペラ喋らせるのはあたしよりかーさまのほーが適役と思うんですよ? はい、ラッツィオーニさんからスケアクロウとバンシーの操縦ライセンス合格記念にもらったキャンティ、1本あげますから酔い潰してでも懐かせて下さいねっ)
あー、キャンティ・クラシコ・グラン・セレツィオーネの20年モンだったか…。
(あれはさすがにラッツィオーニさんに味を聞かれると思いますから、早苗さんを籠絡したお祝いに母様にご馳走します。その時にグラス一杯頂けたらあたしも感想を言えますから、あとは母様が飲んでくださいっ)
で、普通のより少し上…それでも皆様の時代で1万円はするランクのキャンティですよ…をテーブルの上に置くなり、さっさと二人して逃げやがりました。
「さなえ…あんた妙に静かやと思ったら…」ええ、ベラ子がドレインしてヘロヘロにしてやがりましたよ。
(助けてくださいよー…あ、そうだ。マリアヴェッラ陛下が言っておられたんですけど、ジーナさんのおっぱい吸ったら回復するって…すみません、あたしも嫌なんですけど…人助けと思ってそのちちを吸わせて下さいっ!)