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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


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春の逝麺争奪戦・珍珍清姫ものがたり・5

「で、早苗の居室やねんけどな」


さて、聖院学院寮20階を案内するのは、皆様にあまり登場を切望されていない可能性をひしひしと感じるジーナおばちゃんです。


もっと出番を増やすためにも感想といいねを下さい。


…何を言わせるんや…。


(いや、感想はまだいいみたいだぞ。大体うちらの話に感想というとよろしくない物も寄せられるだろうから、感想欄をログインユーザー以外に解放するにはもう少し公開量を増やしてからにするそうだ)


まぁともかく、早苗の巣を決めたいところですが、ちょっと意外な人物から待ったがかかりました。


というのも、早苗のステータス、今こんなんですが…所属に注目して下さい。


Sanae Iijima. 飯島早苗 Ten Suction (Limited Thousand)十人卒(限定千人卒)Pure female Visual. 女性外観 Researcher, Biochemistry laboratory. 生物化学研究室研究科員 Cultural Education Bureau, Imperial of Temptress.文化教育局


そう、生物化学研究室は文教局…つまり、たのちゃんの管理。


そして、ニワトリ研(原子力研究室)と生化研所属員は業務内容によって地上の聖院学院の専用階に部屋が与えられるか、はたまた地下100階または101階で寝起きするか変わるようになったんです。


そして困ったのは、うちの旦那(くりす)の扱い。


「駄洒落菌変種の拡散危険があるから、エマちゃんかカシウスちゃん、ロンギヌスちゃんの生体スキャン後でないと上に転送できないようにして欲しいって…」


はい、エマ子から申し渡されたそうです。


というのも生物化学研究室設立後、つまり駄洒落菌の利用研究が始まってからは防疫にうるさくなっているんですよ。


ほら、エマ子がカシウスやロンギヌスに貨物検査を無理強いして泣かれてましたでしょう。あれですあれ。


そして、今は聖院港を経由する貨物や旅客、それとなく防疫検査対象にされています…。


で、たいていの船は入港したら最後、ほぼ必ず荷役や旅客の乗船下船を行います。


そして船にも水や食料やら消耗品を補給しますし、聖院仕様または痴女皇国仕様船舶の場合、生体発電機への精気補充だの乗船する海事部女官の交代だの、つぎの航海に向けた準備作業があります。


この作業を終えるまで、普通は数時間から1日〜数日を要しますが…ええ、この時間、船員には上陸と娯楽の時です。


普通は港のそばに船員宿とかがあると思うのですが、聖院港の場合、聖院世界でも痴女皇国世界でも船員用の宿泊施設、港のすぐそばに設けられていません。


はい、門前町の旅館を使ってくれ。


これが聖院または痴女皇国の姿勢です。


むろんその背景には「買春してくれ」という本音がありまして…まぁ大抵の船員、交代で本宮に来るか色街旅館に泊まります。


実は港湾事務所または観光案内所では、貸与聖環装着の際に身体スキャンが密かにかかります。


そして、男性の場合…こっそりですが、聖環が積極的に性欲を煽るんですよ…。


(堕天使アスモデウスさんの支援です。まぁ、ほとんどの船員さんは数日から数週間の航海で溜めてますし、海事部扱い船でも女官が船員さんの体調管理をして、うまく下船時に盛らせているんですわ。船によっては女官船員が上陸後の遊び方の要領を教授してはりますよ)


うむ。


エマ子の話の通りで、海の男の慰安慰労のための設備をことさらに充実させた我が痴女島、ここでのお楽しみを満喫してもらえるように、あの手この手で買春に足が向くように誘導してるんですよ。


ま、「ゆうべは おたのしみ でしたね」的光景が毎朝の門前町の日常的な風景である。これは断言します。


で…遊びに来た客は受付の際に下足処で密かに調べられます。


旅館の場合は帳場で。


そして、ここからが本題。


今度は女官を経由して各種改良細胞やら抗体やら、果ては駄洒落菌改良種が植え付けられるんです、お客に。


そして生殖欲と子孫繁栄への刷り込みが行われます。


むろん、はなから痴女島で遊ぶのが目的のお客さんはもとより、乗り継ぎ客も同様。


金太澳門(きんたまかおにつく)国とか九龍酔拳国辺りから来る場合は港湾事務所で乗船予約をするのですが、まぁたいていの便は聖院港に寄るか、聖院港が終着となっています。


そしてさらに中東欧州アフリカに向かう場合の乗り継ぎには必ず、数時間から1日の間が空くように運航ダイヤを組んでいるそうです。


(航行ダイヤはナディアさんや凛ちゃんと計画して決めてますよ。あと、アジアから欧州なら欧州の直行船は絶対に走らせません。必ず聖院港に寄らせますっ)


うん、海事部を管理する国土局長のすけべ娘の陰毛いや陰謀が炸裂した船便の航行管理、行き届いているようです。要はアジアからインド洋へ向かう船、必ず聖院港に寄るようにしたと。


そして寄ったが最後、うちの島は何がなんでも男の精気を頂く体制になっております。


いわば痴女皇国一丸となって搾り取る体制です。


女官長時代から吸い取る必要性を知り抜いている理恵ちゃんの強力な指導で、国土局や海事部も全面的に客を逃すなとばかりにあの手この手を打ってくれてるんですよ。


(あたし剛毛じゃありませんよ。それに何度かの体型調整で脱毛やエチケットラインの管理が入ってるのよく知ってるでしょ、ジーナさんが…)


うん、この話はR15版が続いているからそれ以上言わへんようにな。


言うたら最後、理恵ちゃん、あんたの貢献度に忖度したるとして、堤防はなしにしたるから代わりに淋の森やで。


(はいはい。今度の精気授受は淋の森ですね。それに淋の森が淋の森って言われた経緯があるから、防疫は昔から課題だったそうじゃないですか…)


そーなんよねー。


加えてこの痴女島は連邦世界のボルネオ島より、更に性質が悪いのですよ。


ボルネオでは雨によって腐葉土成分などが洗い流されてしまい、樹下の土が意外に痩せているそうなんです。


ですが痴女島では、ある時にマリ公と初代様がその辺を微妙に対策してしまいました。


具体的にはなるべく栄養分となる落ち葉やら何やらが簡単に流れ落ちないような植生にしてしまったので、大抵の植物は種を蒔くか苗を植えればとりあえず発芽するそうです。


つまり、栄養豊かな土壌の場所が結構多いんですよ。


ただ…土中で繁殖する炭疽菌やら破傷風菌といった危険な細菌の繁殖を助ける事に繋がりかねないんですよねぇ。


確かに富栄養化すれば、何も焼畑農業をしなくとも森を切り拓けば畑が出来そうです。この辺の降雨量なら棚田を作っても期待できるとは聞きましたし。


ただ…むやみやたらに山を切り開くと、壮絶な年間降雨量ゆえに地面が緩みやすい土地なのでうかつに切り開くと地崩れ地滑りの危険があるから、調子に乗って斜面にバンバン田畑を作れないとも。


(実際にそれをやって村ごと流されかけた事が過去にございますの…おかげで聖院に問い合わせてから田んぼを作りなさいとお触れを出す事になりまして)と、当時を知る初代様が頭痛そうな声で教えてくださいます。


で、そんな危険性があるのに、なんで土壌改良したか。


淫棒茸(インポタケ)を痴女島でも育つようにしたかったからだよ…)


お前、あんな微妙に危ないキノコをなんでまた…。


(茸島で採れる分だけじゃ足らねぇんだよ…)


で、よくよく話を聞いてみますと、マリアが痴女島で繁殖を試みたインポタケは変種であり、駄洒落菌の苗床になる代物だそうです。


むろん、冷暗所で干せば不能成分が変質して食べたが最後、股間元気になる本来の特性はそのままだと。


そしてウィルス状態の駄洒落菌のDNA/RNAを抱え込んでいるので、開傘して撒き散らす胞子も当たり前のように駄洒落菌を含んでいる事になると申しよります。


そう、食べようと放置しようと駄洒落菌を撒き散らす代物にしてしまいやがりました。


しかも改良型駄洒落菌。


(言っとくけどパンチさんの許可は取ってるからな…4月を待たずに痴女皇国倫理顧問にご就任頂いた。堕天使の皆さんには悪いが、うちの行動を含めてあまりに色々やり過ぎると人類を完全支配して発想や思考まで過剰に抑制しかねん。うちの行政に自浄作用を持たせるのに異存はないと快諾頂いた)


まぁ、パンチさんがOK出したなら良しとしましょう。


どうもパンチさん、運命選定種や堕天使の皆様にも一言言える立場になられたようですし。


(聖母殿…私からも依頼させて頂いた。何せバエルはまだしも、配下はこぞって()()なのでな…)


ああ、堕天使の頭領のルシフェルさんですね。


この方のお話では、堕天使の皆様は全員が起きて活動している訳ではないそうです。


その時々で必要な方をバエルさんが選び、指示を下す方向で我々や人類との共存を模索してみたいとの事でして、痴女種や神種族の活動を阻害しない分にはこちらからも支援を惜しまないとの協定に至っております。


ただ…ええ、行き過ぎる傾向があるからとは伺っております。


で、堕天使族の行き過ぎの監視はまだしも注意役として、常日頃から人望と徳の高さで定評のあるパンチさんに話が行きまして、なんかあったらやらかした堕天使は実体化した上で「神宮痴女島別社・駄洒落宗痴女島別院」に()()して修行を申し渡すそうです。


そそ、脱線ついでにこの駄洒落宗のお寺について説明しておきましょう。


元々は比丘尼国の痴女皇国大使館兼・おかみ様のこっちでの居宅として建設された神社の敷地を拡充する形で建設されました。


そしてこちらの大使として当初はおかみ様自ら…公式的な連絡業務や事務は外道ちゃんや悦吏子ちゃんがやってくれていたのですが、本来の痴女宮設備管理室のお仕事もありますので公式の大使を誰か配置して欲しいと言う話をしていたのですよ。


で、白羽の矢が立ったのが景轍玄蘇(けいてつげんそ)というお坊さん。


覚えておいででしょうか。


豊臣秀吉の時代から中間龍皇国他との外交任務に就かれていた方で、比丘尼国の実質的な外務大臣というポジションのお坊様です。


実は痴女皇国・聖院世界では比丘尼国天女族の系譜に連なるお方でして、長寿の身体をお持ちです。


で、今回はご自身の所属する臨済宗とは宗派違いの駄洒落宗での生活となりますが、その辺はさほど気にしなくても良いと駄洒落宗の阿闍梨(あじゃり)からは言われているようです。


なにせ読経の代わりに駄洒落を唱えてウザがられる宗派です。


この時代の比丘尼国、地域行政機関として仏教寺院と神社を稼働させるため、宗教的な仲違いは許すまじと神仏和合令というのを朝廷と幕府からそれぞれ出しておられます。


で、駄洒落宗への迫害も結果的に緩和こそされていますが、やはりあの禅問答ならぬ駄洒落問答がキツい人にはキツいようでして…ええ、相変わらず駄洒落山の近辺ではウザがられているようです。


ただ、おかみ様も駄洒落菌の効能や耐性獲得の必要性を知っていますので、痴女皇国では駄洒落宗の寺院の方が向いているだろうと宗派を指定して来てるんですよね…。


(異なる宗派の拙僧の方が駄洒落宗の門徒の方々の異常を察し易いであろうと朝廷からも申されましてな。まぁ、拙僧も用人(ようにん)はもとより玄方(げんぼう)を連れて来ておりますし、それぞれの宗派で勤行を致す場さえあれば問題はございませぬ)


あ、規伯玄方(きはくげんぼう)という方ですが、玄蘇さんのお弟子さんでして、現在は玄蘇さんについて外交僧侶としての修行をなすっておられる最中だそうです。


以前は比丘尼国の外交官施設として作られたこの伊勢神宮の分社ですが、比丘尼国の頂点たるおかみ様がしょっちゅう入り浸っているのに、ことさら外交官を配置する必要あんのかよって話になりまして…。


で、比丘尼国派遣研修を済ませているうちの女官が向こうの巫女さんスタイルで神社の維持をしているのと、酔っ払いおばちゃんが寝床に使っている以外はあまり稼働してなかったのですよ。


ただ、昨年度から始動した比丘尼国の近代化事業ですね。


まず、三河監獄国に対する旧型仕様の聖環普及に始まり、比丘尼国全域への配布拡大と通信インフラ建設作業。


そして街道を車両が通行することが可能なように整備するのと、徳川家による幕府行政に対応した江戸の都市構築開発と…。


この間からマリ公、果ては理恵ちゃんが頻繁に行ってるか行きずっぱりになっていた鉄道建設。


これらの事業を推進するとあっては、流石におかみ様も大江山や二条城…朝廷で決済を出す必要から「せめて昼間だけでも比丘尼国に戻って下さい」と言われています。


…ええ、夜はこっちに来たがるんですよっ。


(あそぶばしょがあらへんのじゃ!まさみのへやでげーむとかしとるけどな!)


そーいや、こないだ…馬か何か知りませんけど、結構な金額を課金してしまって雅美さんが切れてたな…。


若様のところの牧場のお馬さんも名前使っていいかとか聞かれてましたね。


まぁ、馬っぽい女の子の話はいいでしょう。


どこの中洲泡風呂国(きゅうしゅうのきた)の近辺にお住まいのどなたとは申しませんが、なろう小説作家の方がドはまりしているらしく、レアなの引いたりした際の画面付きで頻繁に呟いておられるお方もいるそうですから人気は人気なようですけどね。


それはそうと、駄洒落菌にかこつけて痴女皇国の周辺の事情をお話しさせて頂きましたが、すみません、脱線を重ねてしまいまして。


しかし、天の声に言わせると「駄洒落菌の散布って、そもそも比丘尼国と中欧南欧の近代化と連動してるよね」という話になります。


ええ、この近代化事業、連邦世界であれば18世紀から19世紀にかけて、大量の化石燃料を消費して行われる話です。


しかし我が聖院世界と痴女皇国世界、地中の天然ガスはまだしも、石油石炭についてはどんなに楽観視しても、連邦地球の半分程度の埋蔵量しか期待できない事が明白です。


蒸気機関や内燃機関を普及させるだけで、百年くらいで使い切る危険があります。


ですので、うちが開発して管理使用している生体発電機。


ブラックボックス化されたオーパーツ扱いではありますが、人類が核融合動力を手にするまでは多用せざるを得ません。


そして生体発電機を駆動するからには、必要な燃料が精気(あれ)しかなくなりますよね。


即ち、堕天使族要因を加味した改良型駄洒落菌によって、精気供給源たる人類が過度の欲望に陥る事がないように性欲を制御しつつ繁殖してもらうように図る必要があるのです。


そして…その改良型駄洒落菌は完成品ではありません。


クリス曰く、効果程度を確認しつつアップデートしていく必要があるとのこと。


(アミノ酸カプセル技術だけでなく、高高度からの散布に耐える有機保護体の開発が急がれてるんですよ。この間ドゥブルヴェから発射してもらった駄洒落菌と麦角菌変種を詰めたテリブル用の生物化学兵器散布弾頭でも、胞子生存率が50〜60%でしたからね。できれば薫さんと泉さんにも開発に参加して欲しいところではありますね)

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