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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


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ライン沿岸冬景色・ローレライの岩は雪の中・3

ウクライナの皆様、日本の皆様、お寒い中如何でしょうか。

ロシアの皆様についてはジーナ母様にお任せするとして、今回も欧州からマリアヴェッラがお送りさせて頂きます。


この世界に天使はまだしも悪魔ってそもそも、いてもあまり意味がない気もするのですが…。

「とりあえず嫉妬(レヴィアタン)強欲(マモン)色欲(アスモデウス)の三人でいいだろ」


「なるほど…男の性欲を煽るにはそれで良いだろうな。異存ないが…一応、私を含む七柱全員が契約を結ぶ形態を取っておきたい。私はまだしも配下は人を堕落させるのが元来の使命だ。そちらに対して背信行為を働くのはまずいだろう」


と、言っているのは堕天使ルシフェル(自称)。


(…マリアヴェッラ…本物でしてよ…)


何やらお説教おばちゃんが申しておりますが。


(あぁもう、マリアリーゼ…やはりあたくし、身体があります方が色々捗るんですけど、何とかなりませんこと?)


(強姦作戦が終わったら対処するって言ってるじゃないですか…)


(マリアヴェッラをしばく方が優先事項ですわ!)


(そのためにも初代様の食べ代を確保しようとしてるんですよ…わかって下さいよ…)


(何かこう、私の配下を使うよりナンム殿に色々してもらう方が捗りそうなんだが…)


はい。初代様も大概などすけべおばちゃんです。


年齢一万歳以上でコンビを組んで頂く方が良いと思います。


(私は別に好色ではないんだが…)


(マリアヴェッラへの懲罰を実現するためでもあります。貴女の今後のためでもありますから、よろしくお願いしましてよ、ルシフェル)


(それよりルシフェル様。話がお決まりであれば早々に契約を。ささ)


何ですかこの期待感に満ち溢れた声は。


(ああ、申し遅れました。わたくしルシフェル様の配下の一柱、色欲のアスモデウスと申します。性欲を操り好色を司っております)


何かこう、召喚してもらうと後で困りそうな方ですね。


(男の欲を煽るにはこやつが適任なのだ…すまぬマリアヴェッラ殿…)


「えーとな。とは言え、うちの連中はあんたの配下が自由に世界を闊歩するのを嫌がってるしな…どうしたもんかな」


(マリアリーゼ陛下。お二方までならば私とアフロディーネが引き受けさせて頂きますが)


(あーそうか、ペルセポネーゼがいたか。じゃあアスモデウスは君に頼む。アフロディーネ、あんたはマモンの相乗りでいけるか)


(こちらアフロディーネ。ソロモンの指輪があれば大丈夫ですわ)


(んじゃ、あとはレヴィアタンか…)


(マリアリーゼ殿。その相乗りとやらが使えるならば、レヴィアタンには私の身体を使わせよう。私ならば、レヴィアタンを使役するのにソロモンの指輪は不用だしな)


とまぁ、話をポンポンと決めておられますが、大丈夫なんですかね、この方々。


(連邦世界じゃ悪魔になるからな。ま、担保は取ってるさ)自信満々に言う姉ですが…。


(んじゃベラ子は一旦嘉手納に戻ってくれ。こちらの後処理はあたしとフローレシェーネさんでやっとくわ。マリアンヌとスザンヌは…池尻大橋に返すけど、お前ら、あそこ附属中学の入学式前まで必要があったら手伝ってもらうからな。メシ食いついでにフローレシェーネさんとジョスリンに現状を教えてもらっといてくれ)


(えー。収録日以外は遊べるって思ったのに!)


(あたくしの渋谷と原宿と青山を返してはもらえませんか?)


(中学入学前に単独でうろつくなよ…歌舞伎町とか六本木に行くよりはマシだけどよ…)


(マリアリーゼ殿。言いたくはないが、私の配下、貴女方に何かしておらんだろうな…欲に憑かれた雰囲気を感じるんだが)


(あぁ、この子たちの生きてる世界じゃ平均的な物欲だと思うぜ。連邦世界の日本なら宗教的制約が少ない国だってこともあるけどな)


(あとですね、痴女皇国皇帝として…ルシフェルさん、貴女がなぜあそこにいたか。後日で構いませんのでお話頂ければと思います。ねーさん、構いませんよね)


(まぁベラ子の懸念もわかる。キリスト教概念じゃ、あんたたちは悪魔って存在になってるしな。ルシフェル、悪いがマリアヴェッラに協力してやってくれ)


そして翌日。


…時差というものがありますのを失念しておりました。


ええ、学校が終わって直行したら、ドイツはまだ朝じゃないですか…時間軸いじりはダメって姉が言ってますからね…。


でまぁ、朝から皆さん結構忙しそうな新宮殿の中ですけど。


とりあえず初代様が監督役ということで、堕天使組を連れて東欧支部に出向くことになりました。


ドイツから時差が1時間進みますが、気にせずブカレストにある人民宮殿とやらに出向きます。


実はトランシルバニア公国(痴女皇国東欧支部)、美男公の反乱未遂事件以降ですね。


鯖挟国方面への睨みを効かせるためにそこはかとなく資金投入されておりまして、首都をトゥルゴヴィシュテからもう少し平野寄りにあるブカレストに移しております。


そして王城を近代的な宮殿…共産主義互助会に加盟していた際に独裁者が建設したものよりは小さいそうですが、いざという時の軍事指揮を取るための設備を備えたものが市街中央にそびえています。


「つまり、ここを死守するのではなく、あくまでも他国に干渉するための基幹設備が必要になるとの説明を受けまして…」と説明するのは、言うまでもなく乳上こと痴女皇国東欧支部長たるアルテローゼさん。


おっぱいでスイカを割れそうな雰囲気もあるお方ですが、身長は180cmのあたしとほぼ同じくらいにされています。ドリルヘアというほどではないですが、これまたあたし同様に髪の毛は腰くらいまで伸ばされています…ただ、戦闘即応という事でアップにした上でポニーテールにしておられる事が多いです。今日もそうですし。


そして、この方は元々痴女宮で赤薔薇騎士団を率いていた経歴もお持ちという事で、有事には赤薔薇の指揮官として指名される場合があると姉から言われている立場です。


で…。


「その格好はまずくないのですか」


「仕方がないのです。東欧支部に相応しい支部制服を要求しておりますが、未だにあの性格の悪い。いえ、部下を思う気持ちはわかるのですが…大いに偏りがある上に皮肉を込めた振る舞いが大好きな上皇陛下が実行なさる試しがありません。ベラ子陛下からもお取りなしを」


と、赤薔薇騎士団のど助平な衣装を恥じる素振りも見せず、仏頂面で申される乳上。


そうです。この方、基本、クールビューティとかいう印象なのです。


(寝床での顔はお伝えになりませんように…未成年者にも読める話だそうですから…)


ああ、そうですね。いわゆる「イタリア夜の爛れ会」出席者でもありますから、当然あたしとの精気授受経験はそれなりにお持ちです。


(あとですね。ベラ子陛下も私の服を咎められるようなお召し物ではない気が致しますが)


(あたしも姉の被害者です。お互いに強く生きましょう)


えっとね。一応、皇帝って立場があると思いますから平然を装ってますけどね、基本的にあたしの痴女皇国世界での執務服とか作戦用戦闘服、紐ベースにされました。


しばくぞ。


天の声が用意したイメージから、更に布面積を減らしたものを想像してみてください。

挿絵(By みてみん)


(春服だ)


(ねーさん…東欧はまだマシですけどね!…ドイツ南部の森は雪景色真っ最中でしょうが!)


全くもう。


とりあえず立場もありますので、赤薔薇服の黒薔薇仕様にしておきます。


一応、軍事作戦行動の一環で東欧に来ている訳ですから。


…まぁ、これにしても殿方には刺激度が高い代物ですけどねぇ。


「しかし、マリアヴェッラ陛下…アルブレヒト・フォン・ヴァレンシュタインと言ったか、この傭兵軍団を率いる貴族、かなりの悪漢だな」と、今から下仕込みのための隠密行動に赴くべく、東欧支部に配属されたダンケ号の後部2列目座席に乗り込みながら申される堕天使様。


このダンケ号、少し変わった仕様でして座席は3列です。ですが荷室面積を取るために後ろ2列は簡単なベンチシートのような構造ですよ。で、3列目にはアフロディーネ・ペルセポネーぜ姉妹が座ってます。


「ティリー伯爵ヨハン・セルクラエスという人物に師事し、更にはセルクラエスを助けて兵力と資金を調達していた人物ですわ。欧州地区本部では積極的に介入しませんでしたが、本部管理下の傭兵にはセルクラエスやヴァレンシュタインの徴兵に対して積極的に行動しないよう指示が出ていたかと」と、運転席に座る乳上が教えてくれます。


今回、道については乳上の土地勘に任せる必要があるので、あたしは助手席に座らせてもらいますよ。


で、今から行動するのに具合のよい場所に参ります。


「マグデブルグの劫掠とやら、悲惨を極めたようだが…」


(そこでわたくし、嫉妬を司るレヴィアタンの出番ですわよ。いくさの師匠たるティリー伯が大勝利を収めたマグデブルグに匹敵する戦功を挙げ、美女と財宝と温泉地などを皇帝に献上する事で帝国内の地位を不動とする絵図を描かせるのですわ。そして…彼は師匠の戦功に密かな嫉妬を抱いておりましてよ。いつかは同じように敵対する国を犯し奪い滅ぼす野望に満ちておりますわね)


(更にはこの強欲のマモンめが、ヴァレンシュタインと臣下の物欲情欲出世欲、およそ欲という欲を燃え盛らせて差し上げましょう。東洋の黄金の国は遠くとも、バーデン=バーデンならば陸続きでございます)


(そして色欲のアスモデウス、男という男には付いて回る欲望を膨らませて見せましょう。アルテローゼ様もマリアヴェッラ帝も、男ならば()()が疼いていきり立つ感触の厄介さ、お解りかと)


と、敢えて義体を与えずに相乗り状態にさせている堕天使たち…が売り込みを始めます。


「ただ、やり過ぎも困りますので、私たちが監視しますよ」


「暴走されたらされたで正直なところ困りますのでね」


と、ペルセポネーゼ・アフロディーネの姉妹が釘を刺してくれます。


更には。


(ペルセポネーゼ。アフロディーネ。天使族の活動時には貴女方の千万卒化の承認が出ております。そしてルシフェル…すみませんがマリアヴェッラにソロモンの指輪と同等能力、与えますわよ)と初代様も申されます。


つまり、この堕天使の方々…それくらいしないと抑えられないって事ですよね…。


「マリアヴェッラ殿。彼女達は私に付き従う天使だったのだが…どうも地上に降りてから悪という概念に目覚めたようでなぁ…」と、困った顔で申される堕天使様。


(ふふふふふ。人を堕落させ罪を重ねさせるのは良いものでしてよルシフェル様)


(他人の成功を妬むのなんてもう最高!ああっもっと嫉妬の心に狂って!)


(もっと欲しがって欲しがって海の水を飲むが如く欲に身を任せて!)


何ですかこの方々は。


「申し訳ない…ああ、私が封じられたのもだな…責任を取らされたんだよ…こやつらの」


で、そこからは愚痴大会。


(あの…ルシフェル様、怒っておられます…?)


(そりゃあ私達もソドムとゴモラでは調子に乗ってあれこれ)


(マグデブルグの時も密かに煽ったのは認めますが)


「お前たち。監督役の私の指示を無視して何をしてくれたのだ…おかげでどれほどの期間、天に還るどころかあんな辺鄙な場所で妖精の真似事とか、どれほど心を痛めたか…」


はぁ…何となく状況が分かりました。


「マリアヴェッラ殿、確かに私の配下はこういう者ばかりなのだが、逆に私の腑に落ちない事もあってな」


「どういう事に納得されないのです?」


「聞いての通り、我が配下は軒並み…そうだな、悪魔という概念に当てはめた方が良い者ばかり、迂闊に解き放てば人の世を乱し、あまつさえ滅しかねぬ。それ故に我らは封じられた」


(マリアヴェッラ…実はルシフェルは純粋にこの痴女皇国世界の神や天使という立場でもないのですよ…連邦世界のいえめん宗教の聖書に書かれた存在でしょ? 神や天使や悪魔というもの…)


ですね。初代様が言われる通りです。


そもそもロン毛さんは確かに痴女皇国世界にもいらっしゃいますけど、他の神種族や女官種が存在したが故に「奇跡を起こしたパフォーマーの一人」として見られただけで、一大宗教として祭り上げられるほどには悪目立ちしませんでした。


そして、磔にもされずに普通に生涯を終えておられるんですよ…。


むろん、奇跡を起こし弟子を取っていましたが…似たような事が出来る存在が複数現れて救民活動をしたが故に、ロン毛さんの死後はお弟子さんたちもそっちをお手伝いするようになったというのが、あたしが習った聖院世界でのロン毛さん宗教不成立の理由です。


ええ、聖院の支援者になっちゃったんですよ、お弟子さんたち…。


ですから聖書というものはこの痴女皇国世界、そして白い方の姉の治める聖院世界の方には存在することはしますけど、連邦世界…読者の方々の世界にも存在する聖書ほど有名な書物ではありません。


そして、北欧のいけにえ村や比丘尼国での神様のあり方でお気づきの方もいらっしゃるかも知れませんが、聖院世界の神様は信者の祈念を受けることで、女官種や痴女種の精気と類似のエネルギー授受を行ってるんですよ、人類との間で。


「だから私たちは普通なら死に絶えるはずだったのだ。それがこのような世に移され、あまつさえ妖精とやらにされてな…人々が恐怖におののくのはわかるのだが、私を認識する事で勝手に生き永らえるようにされたと気づくのに時間は掛からなかった」


あー、もしかして、もののけ族…比丘尼国の妖怪と似たようなものにされたんでしょうね。


「確かに妖怪やら怪物が人に恐れられることで精気めいたものを得ているならば納得もいくな」


(そして我ら72柱は、少し前にそちら様と戦って負けたモロクも含めて仮死状態に近かったのですよ。そりゃあ主上たるルシフェル様がそうなっては、我々も活動など無理な話でしたから)


(人が我らを呼び出して使役する方法が広まっておれば話は変わりましたがね。例えばマリアヴェッラ陛下、フリウーリの魔女。あれも我らの配下めいた存在だったのですよ。人の畑に害を与えることで魔女と認識させようとしたとお思いください)


気持ちはわかりますが、迷惑ですからやめてくださいね。ういきょうでしばきますよ。


(我々にしてみればそれも不思議なのですよ。なんで枯れ草の束で叩かれただけで致命傷ではないにしても、ああも苦しむのかと)


「あとは悪魔とやらにまつろわる風習だな。我々はそもそも悪魔に見える姿ではないし、もっと言うと人をたぶらかすのは…この者たちにとっては生き抜く意志と力の強いものを生き残らせているだけなのだ。そして欲や衝動や罪を重ねる都度、この者たちに生気をみなぎらせるのが昨日までだったと思って頂きたい」


「で、姉が痴女種化したことで…単純に言っちゃうとごはんになるものが変わっちゃったはずなんですよね」


「その通りだ。であるから、今回の傭兵軍団の欲望を煽るとどうなるのか、私にも甚だしく興味深いのは事実なのだよ。ただなぁ…」


「ベラ子陛下、横から失礼致します。ルシフェル殿。貴女は痴女種化した後でマリアヴェッラ陛下と()()()()()()わよね。あの時の感触では如何でしたか?」


運転しながら乳上が聞かれます。


実は高収入求人号(けいとら)を姉から与えられて以来、馬の代わりに使っていた乳上は意外と運転慣れしているのです。


そのため、東欧支部の担当区域の地理を鑑みて普通のダンケ号より少しばかり最低地上高を上げた四輪駆動仕様のものを姉から回されており、今では馬に乗る以上にダンケ号に乗る時間の方が多いのだとか。いいんでしょうか。


(沖縄に行って踊れという話も幾度となくありましたし、もはや連邦世界に慣れて普通に地下鉄やら飛行機やらに乗れるというのもお伝え頂ければ)


あー、そうですね。雅美さんと組んだりしている乳上、ルクレツィア母様よりおっちょこちょいじゃありませんし、意外にも順応性が高い方なので、完全単独で旅行くらいは普通に出来ますもんね…。


(ベラ子陛下のお母様はねぇ…本編でお伝えしておりませんが、何でここで転ぶのとかこれをこうするという類のお話がというのは置いておきましてですね。ルシフェル様。貴女と配下はもはや精気授受の輪の中におられます。それはお分かりですわよね)


(うむ…マリアヴェッラ陛下から受け取る精気はかつてない濃厚なものであった。これならば72柱全てを復活させられなくもない。ないが…)


(そーなんですのよねー。私どもは元来、人に道を踏み外させた結果の諸々を糧とするようになりました。で、ルシフェル様が申されます通りですね、仮にこれからヴァレンシュタインや臣下を堕落させた場合、今まで通りに食事となるのかが気に掛かる話ですわねぇ)

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