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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


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ライン沿岸冬景色・ローレライの岩は雪の中・1

皆様チャオ、マリアヴェッラです。


キエフ行きの輸送列車に詰め込まれたような気分なのですが、とりあえずお話をさせて頂きます。


あと多分、ローレライの岩、まともに本編に絡まないと思いますよ…。

「何よこのハリコフ駅は雪の中めいたタイトルは…」


「ごらんあれがクリミア半島南の外れよってあれか…」


「ベラちゃんそれ何か違う…」


さて、わたしたちは何をしているのか。


テンプレス2世の戦闘情報司令室、ここに詰めた担当者が随時、神聖ローマ帝国領内や近辺諸国の動向を探っております。


バーデン=バーデン辺境伯領をバーデン=バーデン公国として立国する宣言を周辺貴族領と神聖ローマ帝国に対して通告。更にはテンプレス2世から打ち上げた大陸間弾道弾による恫喝爆発デモンストレーションを兼ねた遅効性生物兵器攻撃の反響や影響に関する情報が刻一刻と蓄積収集されております。


そして今回の欧州強姦作戦なんですが、まず最大目標たる貴族や富裕階級子女に加えて、目標が居住する宮城や邸宅に勤務する女性の強姦または駄洒落菌汚染作業の進捗も、作戦指揮官たるジョスリーヌ・メルラン黒薔薇騎士団長の着席するコンソールのモニタに表示されております。


ですが強姦作戦の内容が少しばかり変更されまして…。


貧民救済という事については、なんだかんだ言って聖院思想が浸透している女官経験者、つまり痴女皇国や聖院騎士が道中の困っている人たちを見過ごせるはずもなく…で、強姦どころか可能な限りの善行を施し皆様に感謝された結果ですね…こんな噂を流そうという話になりました。


--


バーデン=バーデン公国の温泉に定期的に浸かると健康長寿美貌が保証される()()()。だがマグデブルグの劫掠(ごうりゃく)をしでかした傭兵の残党が帝国傭兵軍団に多数残っている上に、傭兵団を離れた者たちも再雇用されてバーデン=バーデンを侵略する可能性がある。


そうなると身分の高い者ほど効能が強く現れる貴族用()()()()の存続も怪しい。


更には貴領に対し神聖ローマ帝国皇帝直轄軍団を指揮する立場を良いことに、バーデン=バーデン侵略のための軍費を難癖つけて徴収しようとする悪漢が皇帝を籠絡し、バーデン=バーデンどころか諸貴族を脅かそうとしている。


もしも神聖ローマ帝国傭兵軍団長、アルブレヒト・フォン・ヴァレンシュタインの部下を名乗る者から無理難題を言われた際には最寄りの聖母教会に駆け込むがよい。


--


…えーと、ローマのイタリア大公国・活版印刷所で刷られた怪文書、対象を犯す際に渡し、これを主人に読ませろとやったそうです。


更にはバーデン=バーデン公国の首都バーデン=バーデンの温泉の効能を訴える宣伝チラシも製作され、ヴァレンシュタインが軍税を徴収しようと目星をつけている領主の治める都市を狙って撒き散らす、宣伝ビラ作戦が展開されました。


更にはマグデブルグの劫掠の実態を教えるビラすら怪文書として撒き散らされ、ヴァレンシュタイン傭兵軍が通過滞在するだけで略奪強姦殺害の危険があるという噂が広められているようです。


…で、ビラ撒き用の弾頭を装着されたテリブル(ミサイル)の発射作業に付き合わされていたジーナかーさまとあたし…泣きそうです。


ビラ散布用のドローンとかないんですか!


「ベラ子。何故バンシーで行かせてるかわかっとるやろ…」と、あたしのと同型同様のぴっちぴちなパイスーを脱ぎながら母様が申されます。


ええ、バンシーの胴体中央部にはRCS…偵察ポッドが付いています。


このRCSという偵察ポッド、アルトさんのお話でも少しだけ性能に触れられていましたが、高度2万メートルから撮影したと思えない高解像度の画像または映像を記録できます。


それも可視光線だけでなく広帯域波長の内容で。


そして冬場の今、こうして飛行する事で赤外線を発しているか煙が煙突から上がっている建物をマークしておくことで、各地で進行中の強姦作戦を効率的に進める狙いがあるそうです。


「って衛星偵察でも同じくらいの精度で記録できるじゃないですか…」


「ドイツの冬の気象状況を考えてみい…何回雪雲の中に突っ込むとかあった…その度にマリ公に連絡して吹き飛ばしてもろてたやろ…衛星からやと雲に邪魔されるから合成開口レーダーで大出力照射撮影してもなかなか正確な偵察結果出されへんねんぞ…この時代、そもそも電子機器なんかうちら以外持ってへんから、人がいるかは赤外反応見るのが一番早いからな」


そしてこの偵察、実は軍事力や経済状況の調査も兼ねているそうです。


(ここだけの話、衛星データもろともNBの陸軍司令部と極東統合参謀本部の戦略作戦司令室にリアルタイムで送っててな、向こうと連携してる地上部隊の誘導データ作成に使っとるんや…マリ公が誘導キュー内容調べてから黒薔薇や紫薔薇、それと臨時編入騎士部隊に回してるけどな)


で、CICの中での会話にはまだ続きがありまして。


「それとな、デステさんの伝手で、パッツィ家に銀貨を貸し付けてる。これは聖母記念銀行の銀貨とはわからないようにしてくれということでな」


「えええええ!母様!それ…パッツィってメディチと揉めてる連中じゃないですか!」


「慌てるな慌てるな。これはパッツィからヴァレンシュタインの方に使いをやらせて融資をするように仕向けさしとんねん。そして目的はバーデン=バーデン攻略のための戦費提供や」


「へ」それって、敵をわざわざ支援してるわけじゃないですか…。


「何を鳩が豆鉄砲食らったような顔しとんねん…それと、別枠で軍税に困った貴族に低利貸付、これは聖母記念銀行からやらせる。ま、担保は取るけどな」


「むー、それってヴァレンシュタイン軍を支援する話になってしま…あ、そうか、ある程度は敵の勢力を膨らませたいんでしたよね。でしたら…そんな傭兵になろうっていう男たちにはこういう煽りもありじゃないですか? バーデン=バーデンには美女が多数いる。攻め落とせばお前たちの好きにできるぞとか。こういう好色な噂を流す方法さえあれば、ならず者たちは逆にヴァレンシュタインの元に馳せ参じるかも知れませんよ?」と案を出してみます。


「ふむ。それおもろいな。マリ公に流してみよう。確かにここはヨーロッパや。おまけに中世。農耕民族系の気質になる日本民族とは性欲の傾向は全く違うやろう。農夫や旅人でも隙あらば女を犯す可能性があるで…」


(じつはですね、ダリアがむかし、いたりあのこじいんからすいすまでにげてきたでしょう。あのときのたびのとちゅうで、すけべいなおとこがなんにんもひっかかっているのはジーナさまもごぞんじですよね)とアルトさんが教えてくれます。


ああ、そうですね。純粋に素朴で善良な気持ちだけでダリアさんを助けようとした男性の方が少数派でしたね…。


しかし、こうして話を聞いていたりすると本当に男性の性欲を煽る一方で、民衆の被害を最小限に留めてそれなりに出産育児に余裕が持てる生活を考えてあげる矛盾をひしひしと感じます。


言うまでもありませんが、あたしたちは男性の精気を必要とするので、浮気というか女遊びに目を向けてもらう必要があるんですよねぇ…。


この矛盾した目標達成、どうしたものか。


「浮気という概念の導入を検討すべきでは?」とあっさり言ってのけるカエル女(ジョスリン)


「はぁ?」


「要は女性にも男と遊ぶ権利を与えればよいのです。確かいけにえ村とやらが子供を村の共有財産と考えていたそうですが、この時代のジャポンの農民、正にそうした考えを導入していたと聞き及んでおります。更にはヨバイなる風習があり、村内で男の性欲を処理していたとか」


「だけど、その風習がこの地で根付くかは難しいかも知れませんよ…」


(ベラ子ベラ子、だけどよ、それって面白くねぇか)ねーさんがまたいらんことを思いついた予感がします。


(だってよ、昔の東北の出稼ぎ風習と同じでよ、積雪農閑期でも街道の除雪さえきちんとしてやれば通行は確保出来るわけだろ。ふふふふふ)


(え、つまりその、出稼ぎ売春をやらせろと…?)


(あとよ、ジョスリン…普通は町に教会の1つくらいはあるのが欧州のデフォルトだよな)


(はぁ。もしかして聖母教会を増やして、そこでパティエラ(アルバイト)をさせるおつもりですか)


(そーゆーこった。聖母に仕える一環として奉仕するなら大義名分は立つだろ。ついでに風俗店よろしく託児所機能を作っちゃどうだい)


(女官の人数、更に必要になりません?)


(だから人口増やすんだろ…)


まぁしかし、姉の思いつきではありますが、これまた精気吸引の手法としては効果的かも知れません。


ただ…いくらこの時代と言っても、あちこちの町や村に教会を作って回るというのも…。


(イタリアとスペインじゃ既にそれやってるだろ。あと東欧や鯖挟国に北欧に英国でも順次施行中だぞ)


(えー、それあたしイタリアとスペインしか聞いてませんよー)


(ばっきゃろー月間痴女宮に載せてっぞー。あと、さっさとキエフに北方聖母教会開きてぇんだよ)


(そこ二代目様か誰かに指定されたんですか)


(キエフ大公国…北方帝国の源流になった国の首都だよ)


(それとだ、ベラ子の懸念は確かにわかる。欧州全域に教会ボコスカ作るって費用も労力も、勤務する尼僧女官の確保も含めて考えたらとんでもねぇ大事業だよな)


そりゃそうでしょ。町の数だけでもいくつあるんですか。


(なもんでテストケースって感じで、バーデン=バーデン公国とロレーヌ公国については、イタリア連合大公国やスペイン王国レベルで教会ネットワークを整備としたい。そして聖母教会設置のメリットを見せつけて他国に羨ましがらせるってのはどうよ。言ってみれば医療施設兼・福祉施設兼・教育施設と売春館を兼ね備えた代物ができるわけだからな)


(マリアヴェッラ陛下。マリアリーゼ陛下は、他の王侯貴族が各々の領地に教会を誘致するよう仕向ける政策をお取りになりたいのでしょう)


で、建設費とか運営費を出させると。


(そーゆーこった。全部こっち持ちじゃ割に合わねぇし、寄進を受けねぇとな)


なるほど。それなら話はわかります。


しかし…どちらにしても、かなりの資金や労力の投入を必要とする話ではありますね。


欧州地区本部もそれなりに拡充していますが、拠点として大規模な拡大を図るか、さもなくばバーデン=バーデンから北にも支部を設けて機能分散を考える必要性があるでしょう。


(今、一番狙ってんのはケルンだな。連邦世界だと駅の横に大聖堂が建ってる場所だ。あそこならハンブルクやハノーバーもそんなに遠くないし、ラインの水運も利用できる。それとベルリン。ポーランドからバルト三国方面へ進出を考えると、これまた拠点化しておきたい)


(マリ公…戦略展望と現状の作戦レベルは分けておけよ…まず現時点での作戦遂行状況がどんなもんか、読者の皆様にもわかるように説明しておきなさい…)


(めんどいっ)


(仕方ありませんね。まず、当初の攻略目標であったバーデン=バーデン辺境伯領はバーデン=バーデン公国を名乗り神聖ローマ帝国に一応は渋々ながらの承認を得ております。しかし、内心ではこれを是としない皇帝と、勢力拡大を目論む帝国陸軍軍団長(ヴァレンシュタイン)が討伐を企画、軍団長は軍税を徴収し傭兵団の組織を開始しております)とジョスリンがテキパキとまとめてくれます。


(ロレーヌ公国に関しましては、ストラスブールの聖母教会設置とロレーヌ公国の痴女皇国属国化を父が渋々嫌々承認しましたが、得られる利点と聖母記念銀行銀貨の前にあえなく陥落いたしました。ほほほ)


(あとは聖母教会の売り込みだな。正直、地方領主はそんな勢力を歓迎しないと思うが、そこで効いてくるのがうちからの融資だ。今年は麦、不作とまでは言わねぇけど収穫高はさほど上がってない。おまけに鉱山の採掘資源もうちのせいであまり上がってないからな。このまま来年の農作物やら何やらに影響が出るのもまずい。聖母教会の融資条件に乗ってくれる脈はあるぜ)


(マリ公、接触した名家子女にはその辺の説明とかもしてるんやろ?)


(もちろんだ。融資条件の詳細も印刷して渡してる)


(あとはくだんの傭兵軍団の動き次第ですよねぇ…)


(神聖ローマ帝国の貴族連中は正直、金とゴマスリと強引な戦争姿勢でのさばってきた傭兵軍団を快く思っていないが、さりとて皇帝の名前で不忠を誅する名目で略奪とかやられるのが困るってのが大半だな)


(聖母教会を襲撃されたらどうします?)


(教会にゃ大金は置いてねぇ。それにイタリア連合大公国で流通させているのは聖母銀貨だ…祟り付きのな)


(あー、あれですか…)


これ、ちょっとだけ注釈いりますね。


聖母記念銀行公式銀貨を兼ねているセイント銀貨、これの流通を目下進めているところです、イタリア。


で、この銀貨は純度が高いので贋造を防ぐ仕掛けをしてあります…本物は触ると、あの例の卑猥なマークが浮かぶようにされているんですよね。


ですが、再鋳造については…。


(自分とこの銀貨の材料に使おうとしても例のマークが浮かぶ。そしてもっと問題なのが、今撒いてる奴は再鋳造がそもそも効かないんだわ。溶かそうとした段階でマンドラゴラを引き抜くような絶叫が耳に聞こえっぱなしになる)


それ、めっちゃ嫌がらせでは…。


(はぁ…付喪神能力って便利だなーっと)


(しかしそれで贋造貨幣を防げるものならええねんけどな。再鋳造はともかく型を取られたらどうすんねん)


(それも対策済みだよ。型を取ると実際の直径より広くなるようにさせて頂いた)


とまぁ、なかなかにえげつない手口で防いでいるようです。


しかしこれ、魔法に該当しませんか?


(陰陽系のはOKにしてくれてるよ。でなきゃ八百萬神種族、力を発揮できないだろ?)


それならいいんですけどね。


(で、ベラ子にはお仕事だ。期末試験とバンシーの操縦資格試験後で構わねぇから、なるべくフローレシェーネさんの公式行事には随行してやって欲しいんだわ)


箔付けですね。それならわかります。


(フローレシェーネさんも挨拶回りが多いから、なるべくあたしが付くようにはするけどな、比丘尼国がな…すまないが、マリーかベラ子が随伴するように頼む)


これもわかります。同盟宣言をしたロレーヌ公国の公女の立場のマリー先生なら、箔付けにもなりますし、バーデン=バーデン領に何かあればロレーヌも動くと言うアピールになりますしね。


(マリー先生のところはどうなんですか? かなりロレーヌの政治に横槍を入れてますけど)一応、マリー先生の都合も聞いてみましょう。


(その先生と呼ばれますのはなんとも…まぁ陛下に呼ばれるだけでも光栄と思うべきなんでしょうけど…それは横に置いておきますとして、私が拉致られた当時の経緯やらその後がありますから、公国に益するのであれば積極的に同意いたしますわ。うちの国の地面の下にある資源とやらを開発するのであれば、わたくしがロレーヌの出であってもなくても、痴女皇国の高官としてあの地を押さえる事に合意していましたでしょう)


とまぁ、そんなこんなの話を済ませて痴女宮に戻ることにします。


戻る事にします。


します。


します。


…だからあんたらはまだバーデン=バーデン派遣でしょうがっ!


「陛下…謀りましたね?」


「R15版なら()()描写を入れなくて済むと、天の声に入れ知恵しませんでしたか?」


えーと。ジョスリンと…ドサ廻りから戻って来たフローレシェーネさんが、あたしの脚にすがり付いています。


正直ね、あたし、まだこの時点で期末試験、終わってないんですよ。


そりゃ無理すれば学校に登校できますよ。


睡眠時間を限りなくゼロに出来ますし。


で、これされてるの。


指揮官用個室の前です。


どうすべきでしょうか。


1.蹴り倒して逃げる


2.要望に応じてやる


3.要望に応じるふりをしてしばく


とりあえず、この後のこと。


後日のお話と合わせて報告するか、さもなくば↓の続きで未成年の方にもお読み頂けるようにして結果をお話ししようと思います。


https://novel18.syosetu.com/n0112gz/100/


…個人的には1で行きたい気、満々なんですけど!

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