忘れないで欲しい・欧州作戦裏話
「ぜってーあたしの事忘れ去られてましたよねっ」
ぶりぶりいかっている人、一名。
ええ。多分忘れられていた可能性激高。
さて、ここはスイスはお漫湖…ではなくレマン湖のほとりに立つシヨン城です。
このお城の中、およそ城と言えるのでしょうか。
連邦世界では牢獄に使われたそうですが、聖院や痴女皇国では欧州に睨みをきかせる欧州地区本部の拠点にふさわしい設備を詰め込まれています。
そんなお城で、私の滞在宿泊室に後から送り込まれた人が怒っております。作戦期間中、この人と同室というのはできれば勘弁して欲しいんですけど。
「それに強姦作戦とか何なんですか一体っ。あたしらただでも例の美男公謀反未遂とか、更には南欧支部の鉄道敷設工事支援とか色々案件ねじ込まれてんですよっ」
この、怒りを抑えない人物が一体誰か。
クライファーネさんです。
つーかあなた、いつの間に欧州地区本部にっ。
英国支部送りじゃなかったんですかっ。
「それを言われるならクレーニャさん、いえメーテヒルデさん。あなたこそ一体何でまたスイスにっ」
「私も欧州作戦に参加しろって言われたんですよ…ほら、私も実家、この山の向こうですし」とスイスアルプスの北の方を指します。つーかクライファーネさん、私もあなたもあの辺の出じゃないですかぁっ。
「はぁ、貴女も被害者といえば被害者ですか…」
と、そこにえらい人が。
「何ですかあなたがたは。何を言い争っておられるのですか」え。
アルトさん…ですよね。
うん、間違いなくアルトさんです。
「クレーニャ。その顔では何か言いたげですねっ」あ、いかってはります。
「い、いえあのその」
「ほんっとにもー。あたくしがちょっと普通に話しただけで何て顔をされるのですか。それにクライファーネ。貴女も怒るのは分かりますけど、事態が事態です。だいたい今のどいつ…神聖ローマ帝国がややこしい事になっているのはよめからも聞いておられますよね?」
「う…」ええそうです。クライファーネさんはアルトさんが苦手も苦手な人です。
そしてアルトさん、目下の欧州作戦に際してはストラスブール制圧組に入っていたはず。
「とりあえず英国支部については紫薔薇騎士団のサリアン団長と田中雅美さんが応援に来られておりますね。お任せしても大丈夫ではないのですか?」とアルトさんがちくちくとクライファーネさんをつつかれます。
「むー。しかしアルトさん、あたし英国行ってまだ半年も経過してないんですよ。それでまた欧州大陸に戻れ、実家の近所なら詳しいだろうから北ドイツの偵察と侵略計画に加われとか南独支部に一時駐留しろとかあっちいけこっちいけ…本宮の人事担当って誰ですかいったい。文句を言いたい気分に満ち満ちているのですがぁあああ」
あー。こりゃクライファーネさん、本気で怒ってますね。
だが柳に風と受け流すアルトさん。
「もう少し我慢していれば人が来ますよ。3月から4月にかけての昇格者は主に痴女宮の中での人事ですけど、その昇格者によって現在痴女宮本宮の要職についている女官のうち、欧州出身者のいすを空けて地元に回して行く話を進めている最中です。本宮も人事対応に苦慮するだけのできごと、色々と起きているのは記憶共有で貴女にも伝わっておりませんか?」
「ううう、言い返したいけど言い返せないっ」いやその、言い返す話でもないでしょうに…。
まぁ、アルトさんが昔のアルトさんのようにキリキリした顔をしているのも久々です。
普段のクライファーネさんとどっこいどこっこいなほえほえ度の昨今のアルトさんしか知らない人には信じられないでしょうけど、聖院時代のアルトさんって、キリっとしている事の方が多かったんですよ?
そして聖環を操作して人事案を見せるアルトさん。
「ふむふむ。ブリュントレーネをフランス方面に持って来たい。これはわかりますね。あの子も確かマリーの実家の近所の出身でしたわね」
書類を見せられて、さすがに意図を理解し始めて頂いている風のクライファーネさんですが…。
「フランス東部を抑えロレーヌ公国を支部化する。そのためにはドイツ方面の安定化が必須なのです。この人事を決めたのはよめとベラ子陛下、そして雅美さんですよ」
「うげ。雅美さんか…あの人も苦手っちゃ苦手なんすよねー」と、しれっと言うクライファーネさんですけどね。
あの雅美さんが得意な人って痴女宮、いや痴女皇国にいてるんですか。
まずマリア様を「マリアちゃん」と言ってのける程度のお知り合いです。そしてジーナ様を「ジーナちゃん」呼ばわりできる人です。
当然、アルトさんについても多少は知っているようで、アルトくん呼ばわりです。
つまり、痴女皇国の皇室関係者はたいてい顔馴染みで古くからの知り合い。
しかもマリア様の知恵袋役としても知られています。
そして現在は内務局情報部長。
はっきり言いますと、今は身重で本宮待機してますけどダリア、そしてアルトさんに対して、マリア様の許可があれば作戦命令を出せる人です。
おまけに口が立つし、強い。
クライファーネさんが嫌がるのも無理はありません。
強化した私はもちろん、ほぼ同格の乳上とも肩を並べています。しかも黒グッズ取扱者ですよ。
まぁ、雅美さんについては個人的な交流があって、人柄や性格も理解していますからあまり悪く言いたくはありません。
というわけでクライファーネさんをよしよしするのはアルトさんにお任せしておきましょう。
そして不満は不満として、こんな話をしてますよと雅美さんに流しておいてあげましょう。
(という訳ですよ。本人はあっち行きこっち行きが嫌っぽいんです)
(まー、わかんなくもないわよねぇ。それにアルトくんの下につくのも内心嫌がってる部類でしょ)
(ええ。もうビンビンに嫌そうな気配が漂ってます)
(だけどさぁクレーニャ、あんたが見てて、フランスとかドイツをあの子に全面的に任せられる?)
(優秀な人間と組ませないと厳しいのでは。それにフランスはマリーと…この4月までにはブリュントレーネでストラスブール支部を開設して攻略拠点の一つにする予定ではないのですか?)
(そそ。それは内定事項よ。でぇ、南欧支部はイザベル陛下に任せておけるとしても、ドイツがねぇ。南独支部が立ち上がったばかりだし、いくらマイレーネさんがすぐ駆けつけられる場所だって言っても、ケルンから北側を何とかしたいっちゃしたいのよ)
(北ドイツなら私も満更わからなくはないのですけど…あまり痴女宮本宮や中東を空けたくもなし。代わりの人事さえしっかりしてくれるなら、北ドイツの面倒、私が見れるのですけどねぇ)と意見を言ってみます。
(うんうん。クレーニャも中部ドイツから北は詳しいものね。それも今回の異動の検討要素に入れてはいるのよ。でね…)
はぁ。
確かにこの内容であれば作戦完了まで何年もかからないでしょう。
ただ…欧州地域に、女官だけでも何人を要するのか。考えただけで頭が痛くなりそうです。
マリア様の考えた事だけに、これが一番抵抗や軋轢が少ない話にはなりそうなのですが…。
そして翌日。
城の地下にある作戦会議室に集まった私たち、本宮派遣者と欧州地区本部要職者。
マイレーネ様を含めて皆が教室のように座る中、現れたのは…雅美さん、そしてマリアヴェッラ陛下。
雅美さんの操作で正面の画面に欧州一帯の地図が表示されます。
そして痴女皇国の勢力下にある地域…東ヨーロッパの相当部分と海蛮国、スイス、イタリア、スペインがまずピンク色に変わります。続いて鯖挟国と英国・アイルランド・ポルノ国が薄いピンクに。
更に…後にドイツと呼ばれる部分の南側の割と大きめの面積が点滅の後でピンクに変化。そしてマリーの生国たるロレーヌ一帯が薄いピンクに変わります。
「みなさん、おはようございます」そしてマリアヴェッラ陛下の挨拶。
「みなさんの奮闘の甲斐あって、バーデン=バーデン辺境公国については痴女皇国傘下に置ける運びとなりました。並びにロレーヌ公国についても、我が痴女皇国の勢力下にあります。この状況を実現出来たのはひとえに欧州地区本部の皆様、そして本宮より派遣された方々や現地協力者の努力のたまものです。まずは痴女皇国皇室を代表して御礼申し上げます」
マイレーネ様の拍手を皮切りに、皆が拍手でベラ子陛下の挨拶に返します。
「しかしながら欧州は広く、私たちの勢力下に置かれていない土地もまだまだこの通り、相応の面積で存在します。最終的にはここに映る全ての地をピンクに染めるのが私たちの目標となりますが、時間をかけ過ぎるとフランス王国や神聖ローマ帝国はもちろん、北方帝国が勢力を拡大しかねません。特に北方帝国はその国土の気候や地理特性上、常に南下の機会を窺う特徴を持つ危険性を孕んだ要注意国家です」
つまり…最終的には北方帝国制圧を目標とする。
こう宣言したも同然のベラ子陛下のお言葉に、そこに至る労力と年数の遠大さに思い至った皆が表情を凍らせます。
「むろん、単純な制圧は私一人で十分に可能です。ですが、物理的な食料や燃料に鉱物資源の収集または統治に必要な分の再付与の他、人間男性の精気を定期的に一定量の獲得を期待することも我々痴女種の特性上、必要であると考えています。また痴女皇国が不当な侵略を行い、国家や民族を気まぐれに弾圧し世に悪政を広める印象を与えるのもよろしくありません」
この発言に、大きく頷くのはマイレーネ様。
聖院思想を受け継ぐ痴女皇国の姿勢と、実際の政策の食い違いを監視される立場だけに、この方がベラ子陛下の行動指針に異を唱えないという事は、大まかな方針として北方帝国攻略を承認されたとみて間違いないでしょう。
「ですが、神聖ローマ帝国に加えフランス王国を未制圧の状況です。北方帝国同様、これらの国を迂闊に攻めれば、彼の地を戦乱戦火にさらすだけではなく、領地住民の困窮を招きかねません。我々が欲するのは単に領土や資源だけではなく、その地に暮らす人々そのものであります」
皆が大きく頷くのを受け、ベラ子陛下のお話は続きます。
「この私の意向を受け、我が母にして皇帝室長たるジーナ・高木と…ここにおられる田中雅美さんが協議して立案した欧州制圧戦略の骨子ですが…母様、お願いします」
促されて登場したのはジーナ様。
連邦の軍服という、この場では浮いた印象ですが、ご本人を昔から知る人にはある種のサインになる姿で、ベラ子陛下と立ち位置を入れ替わられます。
「えー、早速ですが手短に行きます。まず、現在攻略準備を進めているこの辺やこの辺、ここらの出身の女官の方も多いとは思いますが、神聖ローマ帝国重臣貴族が実施しているという軍税徴収の話をお聞きの方」
えー、私は知りませんよ。
ですが、数名の女官が手を上げます。
「よし、知ってる人や実際にご実家がこの被害にあった人も多いと思いますが、この軍税徴収に熱心な地域は神聖ローマ帝国の元来の領土のみならず、現在のチェコ・スロバキア・ハンガリーからバルカン半島に至る一帯となっております。そしてこの軍税を徴収する理由と、その政策を推進している張本人ですが、田中雅美情報部長にお調べ頂きました。雅美さん、解説をお願いします」
「ではジーナ皇帝室長に代わりまして、軍税を強いる勢力と目的について説明させて頂きます。まず推進しているのは神聖ローマ帝国傭兵軍団長、アルブレヒト・フォン・ヴァレンシュタイン…ヨハン・セルクラエスの部下です」
その名前を聞いた瞬間に嫌そうな顔をした女官、少なくありませんでした。
「そうです。欧州地区の勤務女官にはマグデブルグの惨劇の結果、聖院に身を寄せた者も少なくないでしょう。ティリー伯ヨハン・セルクラエスが戦死したのはある意味では残念と言えるかも知れません。生かして捕獲したかったとの思いを抱く方々も多いでしょう」
(マグデブルグの劫掠って言ってね。ヴァレンシュタインの前任の傭兵軍団長で皇帝陸軍司令官のセルクラエス率いる軍勢がマグデブルグを陥落させた際に略奪と凌辱の限りを尽くしてさ、人口3万人の町が三日三晩燃え続けて残人口5千人にまで減ってんのよ…あたしが聖院世界に来るちょっと前の話かな。マグデブルグを攻めた理由は連邦世界で起きたのと同じ理由じゃないんだけど、犠牲に遭ったのは間違いないわね)
と、雅美さんが入れ知恵して下さいます。この時、私は聖院にいたんですよねぇ…。実家は辛うじて巻き込まれませんでしたが、ヴァルトシュタイン伯爵軍を名乗る軍勢が、税を徴収に来たのは後で教えられました。
この軍税とは何か。
私は親から顛末を聞かされましたが、雅美さんの解説を聞いてみましょう。
「言うまでもなく傭兵を募集し、維持する費用のために集めたのですが、この軍税を徴収されたのは地方領主たちです。セルクラエスの口上によれば、軍税を納めねば町や村を略奪し女は犯す。つまり収奪されたくなければ軍に金を払え、という脅しです。そしてこの徴税方法を踏襲して兵士を集め軍を組織し、神聖ローマ皇帝に取り入ったのがバレンシュタインです」
ふむふむ。はっきり言って連邦世界の日本のヤクザや、フランスやイタリアにいるマフィアのやり口ですね。
「クレーニャ正解。そしてバレンシュタインは神聖ローマ皇帝に対し、今回のバーデン=バーデン辺境公国建国について討伐の必要性を訴え、チェコ・スロバキア・ハンガリーや中北部ドイツでの軍税徴収の許可を願い出ているそうです」
えええええ。
何と命知らずなっ。
そして、そもそも、そんな軍事行動をマイレーネ様がお許しになるのか。
皆の思いはそこに行き着いています。
「もちろん、許せるものではありません」
マイレーネ様の言葉が部屋に響き渡ります。
「しかし、この身の程知らずな上奏を神聖ローマ皇帝がどう裁定するか。ジーナ様と田中部長のお考えでは、むしろ領国の収入減少に悩む皇帝がバーデン=バーデン討伐の承認を出した方が後々の我々の作戦は上手く行くのではないかとのご説明を頂きました。田中部長、皆の前でお話頂けますか」
むう。雅美さんには何か策があるのでしょうか。
「では失礼しまして。今回の徴兵がどれほどの規模になるかはバレンシュタインと部下の働き次第ですが、最大で1万から5万の軍勢を集められるだろうと予測しています。そして農家の都合を考えますと、雪解けの後で麦畑などを用意する4月までにバーデン=バーデン攻略を終わらせる必要があるでしょう。彼らは早急に兵を集め軍を進める必要があるのです」
つまり、徴税される諸侯はもちろん、徴兵される農民にも相当に無理を強いる作戦になる…と。
「更には越冬中の農民を駆り出すための費用を諸侯がどれだけ捻出できるか。神聖ローマ帝国のみならず、冬という季節が存在する諸国はおしなべて冬季の前に大きな商取引を済ませているでしょう。軍費を出せと言われてもはいそうですかと簡単には頷けないと思います」
電撃的にバーデン=バーデンを実質占領してしまったマリア様ですが、そこまで見越していたのなら改めて恐ろしいお方であるとしか思えません。
何せこちらも除雪にかなりの人手を出して領内の炊き出しを進めたのですから。
ですが、街道に沿って軍を進めるのはもちろん、募兵に素直に応じるかどうか。
更にこの寒気の中で進軍して来るのか。
(ちょっと天候操作してねぇ。募兵かけそうな地域には積雪や気温低下が3月になっても継続するようにさせてもらおうかなぁと)
げ。比丘尼国にいるはずのマリア様が心話で加わりました。
…えげつなぁ…。
(えーと、雅美さんの戦略は、募兵徴兵はもちろん、バレンシュタインが軍を組織しようとすればするほど最終的に我々に有利になるという考えに基づいているんだ。神聖ローマ帝国の直轄領はもちろん、傘下諸侯に無理を強いる話だろ? しかも師匠にして上司のセルクラエスがマグデブルグでやらかした戦禍の詳細がまだ近隣に悪名高く轟いていて皆の記憶に残ってるんだ。バレンシュタインはセルクラエスの汚名をそそぐことを目的として皇帝に訴えているようだけど、自分がおんなじ悪行をして名誉挽回もへったくれもあるかよ)
それもそうだと皆が合意の意志を示します。
要はバレンシュタインが軍を組織してバーデン=バーデンを攻めようとすればするほど逆に神聖ローマ帝国の首を締める上に、我が痴女皇国が不埒な傭兵将軍の軍団を倒して略奪行為を補填すれば、自然に人心は聖母教会、そして痴女皇国に転ぶだろう。
更には押し寄せる軍勢を片端から労働力化すれば開墾開拓の労働力に使えるじゃないか。
マリア様の主張は聞けばく聞くほど、最初の被害さえ無視すれば魅力的です。
最初に彼らが募兵をする際の悪行に目をつぶる必要があるのが難点でしょうけど…。
(どうかなマイレーネさん…普段なら、セルクラエスの悪行はマイレーネさんが欧州に着任した以前の話としても、バレンシュタインの行為は現在進行形であり、予防は可能だ…)
つまり、聖院の思想に立ち返るなら、バレンシュタインの行為はそもそも今の段階で阻止すべきなのです。
そして、聖院と違って痴女皇国は他国に泣きつかれる前から行動を起こす方針です。
「決断を要する話ですね、姫様。よろしい。欧州地区本部は神聖ローマ帝国領内での行動については静観。ただし…バーデン=バーデンへの傭兵部隊派兵準備を早急に進める事。実際の派兵は南独支部からの派遣要請が発信されてからとします。それと…神聖ローマ帝国内での募兵状況監視。これについては紫薔薇騎士団との連携で進めるように。これでよろしいですか、聖母様、姫様」
「マリ公。どや」
(あたしは雅美さんがOKなら構わねぇよ。マイレーネさん…無理を言って申し訳ない…)
「いえ。最終的に欧州大陸の人民が我々に感謝する結果がもたらされるのであれば大義は果たしたとなるでしょう。田中部長、バレンシュタイン司令官並びに皇帝周辺の挙動監視の指揮をお願いします」
「はい、マイレーネ本部長の期待にも添える結果を出せるよう努力します」
その後の作戦計画会議を経まして。
急遽、欧州地域本部に呼ばれた乳上とクライファーネさん、そしてマリーと私の4人は黒薔薇騎士団長から情報部長への昇格が予定されているという、連邦世界のフランス軍人の階級をお持ちのジョスリーヌさんと引き合わされます。
と言っても、クライファーネさん以外はジョスリンと呼んでる間柄です。
ただ…公務でジョスリンが来るということは、イギリスのサリアンに代わって、目下のところバーデン=バーデンや神聖ローマ帝国領内に潜伏している紫薔薇の指揮を取る立場で来たということです。
ええ、ジョスリンは強姦作戦の部隊指揮も取っています。
「それがですねぇ…現地の作戦班によると、訪問した地の貧農の生活の支援も行う必要があるとかで、少々計画進行が遅れてはおりますが、結果的に聖母教会と痴女皇国への好印象を与える羽目になっているのですよ…」
「確かに今は越冬中の状態。貧農や小作人にとっては辛い季節ですからねぇ」
「炊き出しはもちろん病人の治療、井戸やら道の普請も進めてくれるとあっては善人扱いされますか」
「まぁ、それはそれでいいことよ。それに…この調子で領外でもそうした善行を進めた後で、バレンシュタイン配下の募兵団が来て乱暴狼藉に及んだり、連れ去ろうとしたらどうなるかしら…? 何かの際には私たちに救いを求める手段を渡しておく方がいいかも知れないわね」
マリア「実はこの話を書いている最中にえらい事が現在進行形で起きている」
ベラ子「あたしたちの痴女皇国世界にも関係する場所でのことですけどね」
マリア「キエフ大正教本山のキエフを巡ってロシアとウクライナ、攻防戦を繰り広げているだろ」
ベラ子「2022.2.27段階では守勢のウクライナが予想外の善戦をしているようですね」
マリア「一方、ジーナ母様の身体の祖国の体たらくが…」
ジーナ「うん、最初の進軍速度はすごかったんやけど、色々とボロが出て来てるな…トビ職のうちから見ても色々とまずい。特に補給や兵站線の維持のノウハウが喪失したか、さもなくばgdgd」
マリア「制空権を完全に取れてないのに輸送機を飛ばすとか色々ずさんな面も目立ってたな」
ジーナ「でなぁ…誰やあんな蛮族部隊を投入しろとか言うたアホはぁっ」
マリア「そーなんだよ…チェチェンの酋長の治安維持私兵部隊を投入して戦局打開を図ってなぁ」
https://twitter.com/725578cc/status/1497613177822924800?s=20&t=YDylU2o2iSMxvdNHXferyA
ベラ子「まかり間違えばキエフがマグデブルグの劫掠のようになるって母様が怒ってましたね」
ジーナ「あの治安維持部隊、一言で言うとアッラーアクバルなクメール・ルージュと思い。投入戦域の自部隊以外の全ては”獲物”として認識しよるから」
ベラ子「えげつないの投入して来ましたね…あたしが行って鎮圧したくなります、その連中」
マリア「まぁまぁ、あたしらはあたしらでバーデン=バーデン防衛作戦を始める立場だからな」
ジーナ「こっちはまだ悲壮な覚悟でやらんだけマシやな」
ベラ子「というか、敢えて敵を大量に鹵獲したいから傭兵軍団を膨らませるかとねーさんが悪だくみしている模様」
ジーナ「まぁ、マリ公はそういうえげつない作戦を平気でやる女や」
マリア「かーさんが得意だろそう言うのは!あたしが誰の娘か忘れんなよ!」
ベラ子(あたしもかーさまの娘なんですよね…)
ジーナ「実はベラ子も逆殲滅作戦を考えていたりするのである」
マリア「という訳で今後の展開を楽しみにしていて欲しい」
ジーナ「ウクライナの人も過去のロシアとの経緯があるから、うちとしては複雑やけど、とりあえず頑張ってチェチェン治安部隊を撃退して欲しいとしか言いようがないなぁ」
ベラ子「あと天の声にはブクマ・いいねがあると大喜びする模様です。よろしくお願いしますぅ」
マリア「ストラスブール拠点化作戦もあるから意外と長くなりそうなんだよな、この話…」
ジーナ「では、ウクライナの皆様のご無事をお祈りして次回に続きます…」




