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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


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アフリカの爆弾女 6

「しかしジーナ、何でまたドゥブルヴェなんざ必要になったんだよ」ゴルディーニ中将が見上げる、バンシーと似ていなくもない機首の戦闘機。


ここは沖縄、連邦宙兵隊・宇宙軍の嘉手納基地です。

既に痴女皇国派遣分隊機材としての引き渡し手続きや乗員登録作業は終わっており、格納庫から引き出されたくだんの戦闘機の発進準備が進んでいる光景を背景に話をしております。


「いやさ、SSBM-20(ドラメ)使うほど広域爆撃の必要があらへんねんけど、バンシー(F-300)よりはミサイルの弾数積みたいねん」宙兵隊パイロットスーツに着替えたジーナ母様ですが、嫌そうな顔ですね…。


「お前がケチなのは今更だが、だとしてもドラメ1発の方が安く上がらんか?」


「あー、ドラメは別の場所で使いたい話があってな、なるべく温存しときたいんよ。んでポワカール閣下にやね、フランス航空宇宙軍機で予備機枠になって墓場送りにされてる機材の融通効きまへんかと相談したら、デイビス=モンサンに保管委託してる奴から融通したるわ言う話になってな」


そうです。この機材、元来の連邦宇宙軍で使われていた迎撃任務機材じゃなくて、フランス航空宇宙軍で対地攻爆撃任務部隊に配属されていた機体だそうでして、宙兵隊仕様にするのも簡単だったようなんです。


そんな訳で嘉手納基地にもともと配属されていて、免許取得のための訓練飛行時にも何度か見たことがある宇宙軍所属の同型機と違って、機体外色はズーミーブルーという青灰色の迷彩モードにされていますね。


それにジーナ母様が心底嫌そうにしているのにも理由がありまして、初めて聖院世界で飛んだ連邦の飛行機、ドゥブルヴェとバンシーなのだそうです。


それだけではなく当時の経緯で、Sign of Tropical Zodiac Class…獣帯級というクラスの航宙駆逐艦に搭載されていた宙兵隊のバンシー6機、母様がこのIF-170ドゥブルヴェという迎撃戦闘機を使ってやむを得ず撃墜せざるを得なかったという話がありまして。


そんな因縁の戦闘機ですが、ジーナ母様いわく「第一から第二宇宙速度到達は下手なロケットより速い」というとんでもない高加速を誇る機体な模様。


で、あたしが何でここにいるか。


あたしが着せられているの、ゲストスーツというモコモコしたごっつい気密服です。母様が着てる正規のパイロットスーツよりはるかに無骨です。


「あたしも痴女種ですから、こんなモコモコじゃなしに正規品くださいよっ」


「これ結構ええ値段するんやぞ…それに正規品のパイスーやったら、来期予算でベラ子のスケアクロウ操縦ライセンス取得記念として買うつもりやったからもう少し我慢しいっ」と自分の服を指して言う母様ですが、なんか納得いきまへん。


そんなに高いんですかその正規の服。


「戦闘機用のヘルメットシステムと合わしたらベラ子の乱暴ルギーニの半額以上」


えええええ。


「言うとくけどそのゲストスーツかて、決して安いもんと()ゃうねんぞ…」


「まぁまぁ。とりあえずベラちゃんの分の採寸サイズは来てるし、ジーナと同じなのはわかってる。あと生体インターフェイス準拠通信用の基礎データはこないだ取らせてもらったし、予備と合わせて2着発注してあるから心配するな。スケアクロウのライセンス試験と並行してバンシーの正規搭乗試験をするから、それまでにはそっちに届くようにするよ」と、同情するような声でゴルディーニさんが教えてくださいます。


そーです。


今、車で言うと仮免なんですよあたし…。


正規試験時には生体インターフェイスを埋め込まれたのと同じ状態になっておく必要があるとかで、かーさま同様に専用服…それも痴女種用の通信トランスミッターとかいう代物がついた専用パイロットスーツを着る必要、あるみたいです。


「ドゥブルヴェの場合、バンシーと違うてゲストスーツやと操縦でけへんからな。ただ今回はいつまでも痴女皇国に置いとく機材でもないやろから、これの操縦覚えんでもかめへんやろ。もうこれ飛ばす感触言うたらバンシーとまるっきり違うからな」


まぁ、これの外観見たらわかります。スケアクロウ以上に、何でこれが浮いて飛ぶのかってふいんきです。


しかも結構大型機だというバンシーより更におっきいし。


という訳で母様に続いて機外点検。マスター電源スイッチを入れーの、マスターアームセイフティピンを抜きーのして…。


「ベラ子、マスターアームピンは痴女皇国に持ち込むからゲストスーツの膝のポケットに入れとき。絶対無くすなよ忘れんなよっ」はいはい。


このドゥブルヴェ、以前も話に出ましたが上から見たらWの字に見えなくもない形をしています。


そして引き抜かされたピンは合計3本です。


この機体はテリブル(HHMM-06)という…そうですね、日本で言うと東京から撃った場合だと直線距離で、静岡や浜松辺りまで飛んで行く程度の射程距離がある高速ミサイルを内側主翼内部に左右各10発ずつ、合計20発積んでいます。


そして固定武装としてバンシー同様、機首の左右…ちょうど操縦席の下くらいにある光学センサークラスターと同軸に配置されているらしいレーザー機関砲が一門…ただ、この砲で左右や()()の射撃もまかなうので導光ラインが機体内に配置されているそうです。


このレーザー砲の本体用という安全ピンも抜かされました。


…ピン、足りませんよね…。


「バンシーと同じや。ミサイルの信管を活性化さすための電子回路がランチャーに組み込まれとる。安全ピンはそれの誤動作防止用。なんせランチャーの中にいっぺんスリーブごとミサイル本体を装填したが最後、えらい手間かけて手で引き出さん限り直接安全装置やら何やら触れんからな」


つまりミサイルランチャーに積まれたミサイルの安全ピンを1本にまとめてあるから、左側なら左側内側主翼の下に垂れ下がってる派手なオレンジ色のベルトの根元に挿してある安全ピンを引き抜けば、そのランチャーに入ってるミサイルが全部発射可能になるそうです。


「しかし20発って多くないですか」


「そらこんな変態飛行機、考えた奴に言うてくれ…なんせ地球やったら地球に向けてやな、大気圏突入時の摩擦熱で燃え尽きへん程度の大きさのものを単純に落とすだけでもそれなりに被害が出るんやから、そういう攻撃してきた奴をなるべく早く熱核弾頭付きのミサイルでしばこうと考えた奴がおったと思い」


あ、そうそう。


このマリアヴェッラ、スケアクロウ操縦に必要な資格を取るために戦闘機(ばんしー)に乗って大気圏離脱や再突入の実技をやらされこそしましたが、武器を使うことまではあまり真剣に習っておりません。


更に言うと普通に飛ばす動作しかきちんと習っていないのです。ただし…この手の安全ピンを付けたままだと飛行機は飛ばないようになっているとかで、仕方なく、このグラウンドセイフティピンとかいうものを抜いたり挿す作業を習わされているだけなんですよ…。


「ただ、空力主体で飛んでるバンシーですら、普通に飛ばすだけでも純粋な民間機とは扱いが全く違うからな。これに一番近いんは曲技飛行用のアクロ機やけど、純民間機で音速超えするやつはほとんどないに等しいからなぁ」


あ、これまた母様から言ってもらう方がいいですね。


「えーとね、うちらの時代はホ◯ダジェットみたいなビジネス用や、以前に話が出たエクレールみたいな旅客機でも熱核ターボファン積んで音速超えする機材、あるにはあります。ただ、超音速機の操縦については衝撃波による被害が洒落にならなかったり、万一の墜落時の被害が大変に洒落になりまへんので、大気圏再突入機操縦免許または超音速機操縦免許の取得が義務化されております。こんなとこでええか、説明」


はい。


お分かり頂けましたでしょうか。


つまり、普通に飛ばしているぶんには音速を超えないのに、どういう訳か宇宙空間との往来が可能なのがスケアクロウという変態飛行機なんですけど…そんなスケアクロウを飛ばす免許を取るのに、なぜか超音速飛行に必要な知識と技能を習わされる不思議なことになっているんですよ…。


そして、その変態飛行機が先に離陸するべく聖院姉とうちの姉の二人の手で目の前を滑走路に向かっています。


ゴルディーニさんに向かって手を振る姉たちの姿が操縦室の窓から見えますが、誘導路から滑走路に出るまでに室内灯を消してますね。


そうそう、スケアクロウの機首って特徴的な形なんですよ。


実際の全体の姿はかなり違いますけど、機首の形や窓の配置、ハンドレページ・ヴィクターというイギリス製の爆撃機に近いそうです。


これの胴体がもう少しボテっと膨らんだような感じで主翼が上下二枚になってる姿で真っ黒なのが今、嘉手納基地の滑走路に向かってると思ってください。

挿絵(By みてみん)


『マリアちゃんたちには沖大東島上空の訓練空域で周回して貰うように伝えているが、聞いているな?』


「それで合うとる。ほな、うちらもぼちぼち飛ばすで」


ごっつい防音用の耳当てをつけたゴルディーニ中将の指示で、地上要員の方がエンジンスタート指示を前席の母様に送ります。


ドゥブルヴェの後席はバンシーとあまり変わりません。基本的な操作系はバンシーと同じだと聞かされていましたから。ただし後席の操縦装置は滅多に使う事はない…と言うより、これまたバンシー同様に実戦だと迎撃兵装管制士官または攻爆撃兵装担当士官が乗り込むことがほとんどらしいです。


特にドゥブルヴェの場合、実戦としての迎撃任務で飛ぶことはほとんどなかったそうですけど…ものすごい荷重の中で速やかに基地または指揮管制機から指示された高度や場所に飛んで行くの、パイロットも必死なので、迎撃ミサイルの発射処理をする操作をする人が別に乗っていないと困るんだとか。


…ってあたし、今からそれ…体験するんですよね…。


(はっはっはっはっはっうちだけでは死なん。死なんのやぁっ)


えーと、この母親、どうしてくれましょうか。


確か全力加速上昇時、Gで押し付けられるのでヒラメのような顔になってしまうとか恐ろしい話、聞いたんですけど。


とりあえず姉たちの操縦で離陸するスケアクロウを見送ります。尾翼に描かれたIT0011という機体番号を照らす灯火をはじめ、普通に民間機として飛行するための灯火を灯しているからまだ機体の輪郭がある程度はわかりますが、無灯火で飛んでいたら人間の視力じゃちゃんと認識できないでしょうね…あれ。


(キャノピ・クローズ。ランウェイ23L、ウォータリング、チェック。インディア・タンゴ・ゼロ・エイト・ワン・ゼロ…オーディナリー、テイクオフ)


『カデナタワー、IT0810。スクランブルテイクオフじゃないのか?』


(IT0810、カデナタワー。うちの顔が潰れるのがそんなに見たいんかい…カデナ・グラウンド…タキシーウェイD(デルタ)K(キロ)E(エコー)、インストラクション・イルミネーションチェック、OK)機首の前方にIT0810という数字と矢印が投影されており、その方向に向かって進むと滑走路に出れるのはあたしもバンシーで経験済みです。


『カデナタワー、IT0810。ローリングテイクオフ、OK。グラウンドから滑走路放水処理開始連絡を受け取った。そのまま離陸してください。出発方式はOVERWATER THREE DEPARTURE』


(IT0810、カデナタワー。ローリングテイクオフ、コピー。オートテイクオフレバー、オーディナリー、チェックド。オーバーウォータースリー、デパーチャ、コピー…ベラ子、23Lに出たら即離陸するからな…嘉手納の夜間出発は手際良く済まさんと騒音で苦情が入るんや。海上に出たら10DMEまで最大高度1,000フィートを維持、ムーンビーチから伊計島に向けて上昇飛行に移るで)


で、今のやりとりが何の事かわかんない人へ。


とりあえず今、母様が離陸宣言して前席でスロットルレバーを自動制御位置に押し込みましたので、それ以降のドゥブルヴェの状態を中心にどう飛んだか見てみましょう。


まず、滑走路脇のスプリンクラーでばしゃばしゃと水を撒かれている中を一気に加速して、海に向けて離陸していきます。


この散水、内側主翼と外側主翼の境目にどん、と付いてるというか機体の主要構造らしいのですが、左右二つのエンジンポッド内に収まった熱核融合ターボファンジェットエンジン…バンシーのそれの同系統エンジンですが出力は1台あたりバンシー用の1.5倍は出る代物から出る高温排気で滑走路が傷んだり、滑走路の脇にある空き地の芝生が燃えたりしないようにするために撒きます。


あ、バンシーで離陸するときも同じように散水がありますよ。


そして濡れ濡れビシャビシャな滑走路で変な方向に行かないように、オートテイクオフスイッチを押して左右のエンジン出力やICD/Gの制御を加減してまっすぐ進むように自動離陸するのがドゥブルヴェの通常離陸または緊急迎撃発進時の手順だそうです。


(左右のエンジン軸線がおもっきし離れてるせいや。例の可変翼機が出てきてあんなエロい女教官がおるかっちゅう戦闘機映画(とっぷがん)あるやろ。あれに出てくる雄猫な飛行機も左右のエンジンが割と離れて積まれてるのが原因のフラットスピン…まっすぐ飛んどんのに何故かコマみたいに水平方向に回る悪癖持ちやねんけどな、あれより更にエグい操縦特性があるんやぞ、ドゥブルヴェ…あと濡れ濡れとか卑猥な表現やめいっ。V1、ローテーション、V2、オートギアアップ。スラスト、ミリタリー)


なるほど…確かにバンシーも浮くのが早い飛行機だと思うんですけど、ドゥブルヴェはもっと速い感じです。そして母様が手加減してるせいとは思うのですが、加速も今の段階ですら結構きついです。


あとですねぇ、その映画の教官女性、ダンスポールが生えてるステージがあるパブでアルバイトなんてしてなかったと思いますよ、絶対に。


そして機体は海に出るなりおうりゃああっ、といった感じで右に大きく旋回。


残波岬上空、そして特徴的なムーンビーチの上を飛び抜けて沖縄本島の東側に出ますと…。


(上昇性能試験やるぞー。FL810まで上昇するでー)


えええええ。


ですが声が出ません。急速に引き起こして上昇加速に入り、エンジンもICDもフル作動してるのはあたしの前の複合情報モニタ画面でわかるのですが…。ICDの高周波音と熱核ターボファンエンジンの轟音が消えるか消えないかのうちに、機体はくるっと宙返りしてから水平飛行に移ります。


(ぷはぁああああ、FL810まで40秒台前半か…まぁまぁやな。ちなみに皆様に申し上げておきますと、高度100kmまで上がる高高度迎撃ミッション時だと2分台前半で到達します。アポロ宇宙船を持ち上げたサターンV型は高度70kmまで3分切るくらいでしたので、読者の皆様におかれましてはドゥブルヴェの速さを理解して頂けると幸いです)


(バンシーだとどれくらいかかるんですか)


(一旦高度3万メートル…FL(フライトレベル)1000(ワンタウザン)前後でラムジェットモードで加速してから引き起こさんと第一宇宙速度出ぇへんから、地表から100キロ上がるだけでも倍以上の時間かかる。あとロケットモードで使うための推進剤入れたコンフォーマルタンク付けとかんと、バンシーは絶対に大気圏離脱はできんからなぁ…)


(ごらぁおばはん…何を不必要な高度にまで上がってやがる…とりあえず選択転移かけてやるから進路と速度ステディ)


(はいはい。とりあえず速度維持、高度維持)


はるか下に見える沖大東島、その上空を旋回滞空している筈のスケアクロウの中の姉から苦情が来ました。


次の瞬間。


一瞬だけ正面モニタのナビ表示が消えて、次の一瞬でGPS電波再取得表示が出て地図も切り替わります。


痴女島上空、高度21,000メートル。


前席操作でフライトコンピュータや兵装管制システムが痴女皇国地球下での作動モードに切り替わり、システム時刻も再取得されたというダイアログ表示が出ます。


(基本的には地球やねんけど細かい地形データが結構変わる。あと文明が発達してないぶん大気組成が多少変わるけど…一番でかいのはコンピュータの内蔵クロック。時計が西暦やなくて痴女皇国暦の時刻に変換表示される。飛行時間や耐空時間管理があるから通算経過時間は別に計測するようにしたみたいやけどな)


あーそうか、暦が変わるし天測航法時に参照する星の位置も変わりますよね…。


(サン=ジェルマンのおっさんがあれこれバラす前から分かってた話やけど、太陽系内の各惑星の位置がまるっきり違うみたいでな。あたしら最初に来た時に天測して西暦何年か割り出そうとしたんやけど、うちら側の天文暦と微妙に違うねん。せやから西暦やなしに聖院暦で計時するモードつけざるを得なかってな…最初はGPS衛星置かれへんかったからエオンから擬似的に計時電波とか出して無理矢理ごまかしてもろたりしてたなぁ)


おばちゃんが昔を懐かしんでいます。


(この親不孝娘めがぁっ)


(おばはんは事実だろ…それよりかーさん、冷却しながら降りてくるだろうから、こちらはテンプレス2世にスケアクロウ納めてそのままブリーフィングに入るぞ。ベラ子とかーさんは心話で参加してくれ)


へいへい。


(まぁ、サン=ジェルマンのおっさんの話をどう今後に反映させて行くかだな。差し当たりは太陽系内への有人航行手段をあと300年以内に人類に渡す。最低でも火星くらいは行けるレベルに何とか持って行きてぇくらいか)


(痴女皇国世界じゃハードル高すぎではないでしょうか…プルトニウムはまだしもウランがあるかどうか…核分裂制御技術がないと大変だと思いますよ)


(その辺りは何とかしよう。基本的にあいつは聖院世界の原案になるアイデアを出しただけだから、細かいことまで干渉する気はないみたいだしな…だからあたしらのやり方について報告連絡相談する相手、お祖父様とMIDIシリーズ群、これは変わってねぇな)


(初代様がサン=ジェルマンさんの正体を知ってるかも知れないって言ってましたよね)


(えーとな。あいつ自身は後期シュメール文明世代の人間ってことになってるな。ただ…)


(そもそもシュメールって謎の多い国だそうですね。シュメール人の由来も明らかになってませんし)


(結晶生命体を使いこなしてたのは間違いねぇ。エチオピアの遺跡もシュメール末裔が関与していたからな…巨大な岩を削って教会作り上げるなんざ、人間技じゃねぇのは理解できるだろ)


(シュメール人自体が神種族の類似品という気もしますけど)


(当たらずと言えど遠からずってとこだ。今あたしらは最悪、NBまたは別星系への将来的な移住も視野に置いて動いてるだろ。それと似たような事情を抱えて移住先を探していた連中がいたらどうする?)


(つまりシュメール人って、他の星系から来た宇宙人とか異星人の可能性…)


(その可能性はありますわよ。わたくしはこのちきゅうの生まれですが、シュメール以前にも文明を築き上げた種族…いくつかありましてよ)


あー、当時の事情をご存知の方がいらっしゃいましたね。確かに初代様なら色々ご存知かも。


(マリアヴェッラ…わたくしが最初から神種族だったかと申しますと…女官種の意識保存技術を持つほどの文明を築いた種族、自身の身体にこだわるか考えてみても良いと思いますわよ)


(あ…まさか)


(ただ、わたくしや彼らの出自に不必要に目を取られてはなりませんよ。わたくしどもの課題は人類と痴女種の種族的生存であって、過去の文明を築いた知性体の正体を暴くのは二の次です。みでぃ化した貴女とマリアリーゼ以外残らないようでは「失敗」なのです…)


(ベラ子。あまり異星の知的生命体を気にすんな。そもそも有害ならあたしらはここにいねぇんだ。いいか? たとえサン=ジェルマンの思いつきが出自としても、あたしらは生命体として確かに存在してるんだからな。それを絶対に忘れんなよ?)

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