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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


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アフリカの爆弾女 5

「まぁしかし、吉村さんはああなっても仕方ないわよ…ムッシュ・サン=ジェルマン、これ見てくださいよ」我々が月に戻りますと、理恵パイセンが何かの画面をサン=ジェルマン氏に見せています。


「…ふむふむ。キチ親に泥嫁にメンヘラにサレ夫にシタ嫁…つまり何かな、マダム室見、これは日本人社会への適合性が低い人物の行動事例を紹介したコンテンツばかりということかな?」ものすごく嫌そうな顔していますが、どうもその手の胸糞系泥沼系な痛い人の話を見せていたようですね…。


「ええそうです。全てが事実ではないでしょうが、それにしても、こういう事例と吉村さんの行状を比較した場合、吉村さんへの措置は(ざんねんながら)(とうぜん)というのが私の見解ですっ」


「りええが鬼女(おにのようなおなご)喪女(しっとこうせんおなご)のような趣味持ちだとは…」


(ねーさんねーさん。理恵さんがサン=ジェルマン氏に見せてるあれは…もしかして鬼女や貴腐人系…)


(ああ、あれは社会の闇だ…宗主板と並ぶ女の巣から生まれた猛毒だ…ベラ子は気にしなくていい…)


「いや絶対吉村さんみたいな子ならヲチスレ立てられたりすると思うよ…あの子の記憶にあった何とかブックとか何とかグラムとか何とかっター調べて見てみたけど、見事に大量のヲチャーを培養してたわ…動画投稿が多いと余計に痛さが際立つのね…」


「あー、吉村のあれさ、悪い意味で人気を博していたようなのよ…そりゃ、あの動画投稿見てるだけでも充分に痛さが伝わるわよ…」


うぎゃああああ。よ、吉村さんは既に手遅れだったのか…。


「雅美さん、ベラちゃん…あたし賭けてもいい。あの子、確実に1年以内にそっちの方で炎上してたと思うわよ…米欄あったり返信ブロックしてないやつ、かなりえげつない事書かれてたわ…」


「理恵ちゃんに同感ね…エロ系投稿はまだいいけど、同性に敵認定される系の自慢話ばっかりだったからねぇ」


「まぁマダム室見の言いたい事は理解したよ。要はあの子はヤカナナオランカッタ、という類だって事だね」


…語学に堪能らしいのですが、曲がりなりにも母様語を習得しているのがすごいですね、サンジェルマンさん。


(ふっ、僕ぁこれでも昔から世界の主要言語に精通してたんだよっ)ベラ子しんじらんなーい。


いえ、頭がいいのはわかるんですけど、何とかと何とかは紙一重系のような気もっ。


(ひどいなぁマリアヴェッラ…これでもそれなりに尊敬を集めてはいたんだぞ? それに、うちの社員にも評価高いんだからね僕の会社…一応、地球大気圏での従事者比率5割以上の企業じゃ中途離職率の低さトップ3を30年以上維持してきたんだからな…)


「ですです。そして痴女皇国ではそういう天然記念物を保護飼育する余裕なんぞないという事ですね。だよね、みんな」この理恵パイセンの発言にはあたしも合意せざるを得ません。ヒとやらを見た瞬間、吉村さんがあたしの想像以上に手遅れだったと気付かされましたので…。


「まー、あたしもそうだけどさ、たのちゃんとか理恵ちゃんは今の進路を歩くために色々犠牲にして努力してるから、なおさら吉村みたいなのを見る目が厳しくなってしまうわよねぇ」


「確かに進捗のない進路相談にこれ以上ウダウダ付き合ってられないし、他の女官に何であの子だけって話されても困ってたのは間違いねぇ」


「まぁ、うちに焼く権利があったら、もっと早い時期に焼く事になってたやろな…」


とまぁ、美咲さんに自己発火燃焼して頂いた後の反省会、月にて絶賛継続中。


「そーいやダリアの子供って名前考えてるの?」


「ぬぁなななな何ですかとーとつにっ理恵さんっそんな余裕や教養あたしにある訳がっ」


「んじゃねーっとねー、ジニアってのはどうかしら」


「ああ、百日草だね。花のダリアとは類似種の筈だよ…で、母体の寿命だが…マリアリーゼ、診断頼めるかな」


「へいへい。…んー、残寿命結構ある…っていうよりさ、最低一万年はありそうなんだけど。サン=ジェルマンの旦那、ちょっと見てよ」


ええっという顔をしながらこちらに来てダリアさんの前に来たサン=ジェルマン氏、膝をついてしげしげと眺められますが。


「おかしい…痴女種は普通、後継者となる人物を懐妊出産した場合は寿命が縮まるはずなんだけど…マリアリーゼ、これさ、原因なんだと思う?」


「あたしにわかるかよ…と条件反射したいけど、理由は推測できる。サン=ジェルマン、あんたと同じだ。今ダリアの中にいる子の生存中、よほど特異な事態が起きない限りアンドロメーダとしての特徴を発露しない可能性が高い。または母体の寿命を気遣ってるか、だね」


「なるほど…ならば納得も行くな。実際にマリアリーゼが呼びかけて応答がないなら通常痴女種としての胎内成長がこれから始まるはずだ。促成成長もかけてもらっていいだろ」


「わかった。痴女皇国世界に戻ってからかかる事にするよ」


「まりり…サン=ジェルマンさんとダリアの子供が同じってのは?」


「りええ…そこ突っ込むかよ…。まぁいい。この旦那は単に長寿な訳じゃないんだよ。例えば、この中で言うと、そこのおばはんと初代様の今の状態とか、いけにえ村作戦でニオオフラーネにフレイヤが隠れてたような感じで、相乗りが出来るんだよ」


「そうそう。一種の潜伏だよ。ただ、専用義体を開発してからはそれしなくて良くなったけどね」


「あーなるほど、つまり今は単なる痴女種の子供であって、そういう神様系の素質は隠れてるだけと」


「しかし、ムッシュ・サン=ジェルマン…()()()()なのですか?」ジョスリーヌさんの何気ない一言。


しかし、一種の爆弾発言だったようです。

それ聞いた瞬間に、首を振りながら自席に戻られましたから。そして涙目でジョスリン見てはります。


「ジョスリン…聞かない方がいい話題と思うの…」


「ええ。なんか聞いて欲しくない話だったみたいですね…」


「年齢気にしてたのかよ!」


「…あのなぁ…君たちも人のことを言えた事じゃなくなるんだぞ…長生きするのもこれはこれで色々と大変なんだからな…」やっとのことで声を絞り出すサン=ジェルマンさん。


「そーいやおっさん、こっちの時代じゃジャコモ=カザノヴァとそろそろ接触する頃合いじゃね?」


「待て。あいつ、いるのかな…いや、そっちじゃまだ生まれてないはずだ。フリーメイソンの代わりにフリー素麺(そうめん)って組織作って関わらないようにしようか…」


「不老不死のそうめんとか売り出すのやめてくれよ。あとカリオストロってこっちの世界じゃ普通に詐欺師で終わるよな。そう言ってくれ頼む」


「よっぽどややこしい人物に干渉して欲しくないんだな…ただ、君たちの世界のフランス、少しだけ僕が歩くけど、それは了承しといてくれよ?」


「ああ…ブルボン王家の件ね…まぁ、それだけは仕方ないか…」



とまぁ、うだうだと話をしておりましたが、あまり長居してもあれなので我々はここで月を去ることに。


「とりあえず、あたしらにカイゼンを要求するからにはだな…今後はあんたも出来る範囲でこっちに関わってもらうぞ。どうせ色々修正したくなったんだろうけど、それするんなら良かれ悪かれあたしとかエマ子とかベラ子に関わって貰う方が話が早いだろ?」


「それは否定はしないよ。だけどマリアリーゼ、僕を黒幕呼ばわりするのはまだしもだね…何でもかんでも僕がいじれると思わないでよ? これは逆に頼んどくよ?」


「はいはい、努力はする。ただ…泣きつかせては貰うからなっ」


「あまりしつこかったら逃げるからねっ」


ある意味子供の喧嘩にも聞こえる二人の会話を半ば無理やりに中断させ、社長室らしきお部屋を辞させて頂きます。


「ほんっとうになんか子供の争いというか…」ええ、姉には苦言を呈しておきます。おくのですっ。


「言ってる内容をよくよく考えてみると神様レベルの事してると思うんだけど、幼稚な一面があるからとてもそうは聞こえなかったわよねぇ…ベラちゃん」


「パイセン。あたし思うんですけど、あの人にしてこの聖院世界と姉ありというか何というか」


「ベラ子てめぇ…いくら何でも言い過ぎだろ…」


「ベラちゃん。黒マリはまだしもあたしまで枠に含めないでよ…?」



「まぁこれはあのサン=ジェルマンという人物にも問題があるやろ。うちと直接話するのはこれが最初やけど、ある意味で子供のような人物やというベラ子の評価、あながち間違ってへんと思うで。せやからこそ、あんなめちゃくちゃな思いつきを形にしようと思い立ったんやろけどなぁ」


「救世主というか神様を機械で作るとか普通、考えねぇよなぁ…確かに」


「まぁ色々突っ込みたいけど突っ込む気もなくなったわ…それに今後はうちのマリアちゃん通じて色々聞けるんでしょ?」


「ああ、無理やりにでも答えさせる。少なくとも奴にはそのくらいしてもらわねぇとあたしも困るんだ。…あいつも困るっちゃ困るんだけどね」



で、またしても面倒な行程を経てスケアクロウに戻りますと。


「ラッツィオーニ閣下から伝言がございます。高木まりあ氏から早急に連絡を頂きたいと…」


「ええー、また面倒な…はい、承知しました」


「何でしょうね」


「サン=ジェルマンのおっさんの一件以外は考えられねぇな…」


「それしかないわね…」


「まぁちょっと連絡してみるわ。あーもしもしおじさん? マリアだけどー。今おっさんと別れて飛行機戻って来たとこ。うん。獣帯級の改装計画の資料渡したついでにあれこれ聞きたかったし、向こうも来い来い言って来たからね。えー? ニューヨーク寄れるかって? また無茶な…それにスケアクロウどうすんのさ…え? カールビンソン博物館の甲板の上でも置いとけ? 無茶言わないでよ…アンドルーズ辺りに置かせてくれたら転送でそっち行くから。うん。ママの店支店に行けばいいんだね。はいはい。ちゃんとアンドルーズ基地の司令にあたしら行くって話しといてよ? んじゃまた後でー」


「とりあえずアンドルース空軍基地やな。転送で行ってええんかいな」


「宇宙軍北米防空識別圏あっから、アプローチは大西洋上から行こうぜ」


「ほいほい。白マリ、悪いけどナビ席理恵ちゃんと交代したって」


「はいはい。んじゃ室見さんは後ろ席お願いねー」



そんなこんなで月を離れたスケアクロウ、一気に地球の大西洋上高度2万メートルに出現後、アンドルース空軍基地にお邪魔させて頂きます。


こちらではさほど衛生的に厳しく検疫されることもなく、連邦宇宙軍の警備担当の方にスケアクロウを機密封鎖状態で預けて機体を離れることになりました。


で、ママの店ニューヨーク支店ですが、国連ビル跡地に建設された連邦政府施設群から西に数百メートル、タイムズスクエアの近所にあります。


「読者の皆様の時代だとだな、結構有名な風俗店扱いのエロポールダンスクラブのミッドタウン店がある辺りだと言うとわかりやすいらしい。8番街から44thストリートを入った辺りだっ」


「だからねーさんは誰に話をしているのですか…」


「凛子さーん、ラッツィオーニさんに呼ばれて来たんだけどー」と姉が与那嶺凛子(よなみねりんこ)さんにメディアウォッチで電話を入れとります。


『入口のデビットに話しとんね。入ってき』


「へいへい」で、お店の扉前にいる黒人のお兄ちゃんにID表示を見せて扉を開けてもらうと、ボーイさんがこっちゃこうと案内して下さいまして。


そして入れ入れと言われたVIPルームめいた部屋には…。


「ポワカール閣下…」


「ボンソワール、マダム、マドモアゼル」

「ああ、彼は定例総会ご出席のついでだよ。ま、かけてくれ」と、大統領閣下とは対象的な頭髪のラッツィオーニ事務局長閣下が着席を促されます。


「しかしなんだな。この場所で君達がその服装では何やら不似合いな気もするんだが」


「店の子に間違われるじゃんか…まーいーや、はい全員いつものアレな!」


「だからねーさん、1人だけ逃げるような真似は…」


「うるせぇっ目の毒は隠すんだよっ」


例によって尼僧服で逃げようとしております。


だからせめて聖院の姉くらいのは着なさいよ…。



「で…だ。ポワカール君に同席してもらったのは他でもない、サン=ジェルマン氏の事なんだよ。彼にルナテックスの代表取締役から降りて貰えない理由については私から話しておいた。それに…在仏の航空宇宙産業各社のルナテックス持株を合計すると、全発行株式の15%を取得してもらっている立場だしな」グラッパを煽りながらおっしゃる事務局長閣下。


「閣下の同席についちゃ、あたしも文句を言うつもりはないよ。ただ…話の内容は連邦世界より、痴女皇国側の問題について色々出てきたのに対処する話が主体だね」


「マリア…彼をルナテックスから外す方向での検討、やはり困難かね」


「今の段階じゃ難しいね。それとさラッツィオーニおじさん…これはポワカール閣下もいずれは連邦政府に関わるだろう立場に立たれるでしょうから申し上げておきますが、あのおっさん…あたしらに仕事振る気譲る気満々だと思いますよ…いらんのに…」


「マリア。ルナテックスの企業体制維持に必要な幹部人材…テンプレス・セキュリティで持つ事は可能かね?」


「あたしが行って何とかかなぁ。うちのエマ子いるでしょ、インマヌエル。あれ行かせたら確実なんだけど、あの子はポワカール閣下絡みの事案で当面は厳しいね。…サン=ジェルマンが死ぬまでには何とかしたいけど」


「マリアリーゼ陛下…サン=ジェルマンは不死の人物という事だそうですが、死ぬ事などあるのですか?」


「いや…それがね、あのおっさん…自分でビロード張りのポーカーテーブル用意してチップ積み上げて賭場開いてんのに、いざ客としてあたしらが座ってゲーム始めたらさ、自分がバーストしそうだからって胴元降りたがってんですよ。許せますか」


「有り金巻き上げてスマキにしてセーヌ河か、さもなくばエッフェル塔からサカサヅリ。陛下の性格ならそれくらいは順当では?」


「マリア…それはあまりに乱暴じゃないかね。せめてラスベガスでイカサマをさせて稼がせるべきだな」


「ベガスのポーカーならもっと優秀な人材(田所社長)がいるからだめ。ま、おじさんにはわかってるだろうけどさ、そのチップが人類だってのが困りどころなんだよ…」


「そいつは…ナポリ湾での海水浴に値するな」


「コルシカの断崖絶壁で海に向かって飛んで頂ける場所を提供しましょうか?」


「まぁ、あと三百年はフォース橋からバンジージャンプなんざさせたくないね」




「それと…タカギ閣下、この場で恐縮なのですが、例の対仏対神聖ローマ帝国向けの機材提供の件、都合がつきましたよ。ラッツィオーニ閣下」


「ジーナ、君に頼まれていた件だがね、デイビス=モンサン保管分のフランス航空宇宙軍退役機材を融通する都合がついた。現在は嘉手納に回航の上で整備完了しておっつけ君に引き渡す予定だと聞いているが…この後で嘉手納に寄るならゴルディーニ君に連絡して引き取れないか確認してみよう。ドミニク君。済まないがゴルディーニに聞いてやってくれないか」


「は」大統領閣下の側に控えていたドミニク少佐が嘉手納に照会してくれています。


「…は。イニシャライズ処理が必要なのは少将閣下がご存知だろうと。ですねぇ。はぁ…レジストリナンバは閣下の希望通りIT0810(やじゅうせんぱい)で通したと。了解しました。…ジーナ閣下。ゴルディーニ中将閣下よりの伝言をお伝え申し上げます。IF-170(ドゥブルヴェ)、宙兵隊向け戦闘爆撃機仕様で引き渡してやるからさっさと来い。ただ、俺の執務時間外に来たら殴る。以上です」

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