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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


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痴女宮ふゆやすみ・りえちゃん米沢へ行く 2

目の前少し先を流れる京都駅一番線ホーム。


日本一長いと公式認定もされているそうですが、列車はその横の線路をしずしずと通過していきます。


それをダリアと並んでソファに座り、大きな窓から眺めているわたくし室見理恵。



何でうちとこに停まれへんねん。


京都市の方はそう言われるかも知れません。


ですが、私からすると「そもそも団体列車で客扱いをしないのに何で停まる必要があるのか」となります。


で、この旅行計画を列車の運行に落とし込む段階で、京都に停めるな、いや停めないと支障を来すという応酬が原因で青文字な会社と一悶着が発生した結果、まりりがブチ切れかけてあたしが仲裁に入った事がありまして。


で、我々にはぶぶ漬け出されたら困るとか無意味な理由で京都駅通過をですね、経営は◯色ですがロゴは青文字な会社に強く強く強く申し渡したわけではありません。


断ったら会社再編して水色か赤色社に経営統合するからなと脅しをかけたわけでもありません。


ましてや西日本リニアの経営、橙文字社に一任するがよろしいかと脅した訳でもありません。


更にはNBに設置された軌道エレベータ用としてエマちゃん達が開発したICD駆動エレベータケージ…要するに縦方向に走る一種の列車です…の作動方向を変えた「実質リニア以上」の浮上航行車両のモックアップを見せて、これの実用化を100年ばかり早めてフランスに作りましょうかとまりりが脅した訳でもありません。


単純に、京都駅に停車すると我々の写真を撮られるだろう。


そして実際に撮影して祟られる人多数が予想される京都駅では、いらぬもめごとを避けたいから停車してくれるな。


これがまりりのお願いで、最初は実際にツアーを組んだ旅行会社を通じて京都駅通過を依頼していたそうです。


ところが…そうです。


文字の青い会社の旅客列車の場合、京都駅が青文字社の運転士や車掌さんの受け持ちを担当する部署の境目でして、よほどの事がなければ停車してタッチ交代するのが私たちの世界の青文字社の社内基準らしいのです。


皆さんの世界ではまた違うかも知れませんが、この世界のJR京都駅を経由している旅客列車を運転する人の場合、大阪の支社所属の人が京都駅を越えて運転する事は基本的にしない。京都の支社の人が京都駅を越えて大阪方面に運転する事はしない。超例外は下りの夜行寝台特急ですが、これは米原から乗った運転士さんが京都通過後に大阪駅あたりでお客さん用のドアを開かずに停車した時に交代するそうです。


つまり、2時間以内にどこかに停まって運転士交代をする決まりを基本に、なるべくよその支社に入り込まない運転士の交代体制を構築しているわけですね。


で、我が社の運転管理体制上、京都駅停車は必須であり、ご理解とご協力を強制…いやもとい、逆に旅行会社を通じてお願いされたそうです。


で、この回答にブチ切れたまりりがどんな手を打ったか。


まずは宙兵隊極東地区司令官と日本国内閣総理大臣、そして何故かフランス共和国大統領の連名署名入りの要請書が作られて、連邦政府事務局長秘書官が直々に青文字社の本社に訪問して先方の社長さんにお渡しになったそうです。


(実際の要請書はだな、停車駅で無用の撮影トラブルを回避するように業務上の停車場所を配慮願いたい。我々も連邦軍機密保持関連法規遵守義務違反者として処罰される個人や企業他団体がないよう貴社が取り計らわれる事を切実に期待したい。こんな感じだけどね)


(青文字社の組合、これの文面見てめっちゃ怒ってたみたいだけどさぁ)


(その時は機密保護違反で会社がなくなるだけだよ。水色社なんて青文字社と統合できたらめっちゃ喜ぶと思うし。組合専従ならその組合が解散したらどこで働くのよって話にならなくね?)


ええ。その秘書官氏、どういう訳か鉄道事情に詳しくて…たとえ京都駅での運転士交代といえど、他の駅と比べても格段にホームに人が多い駅では停車しないようにして欲しいと、青文字社の社長さんには特に京都駅と、駅名名指しで伝えたそうです。


(あたしが秘書官役でしかもそういう具体的な話をするって無理がありませんか? ねーさん!)ええ、実際に青文字社本社を訪ねたのはベラちゃんです。そして署名してくれた人を訪ねてサインをお願いしたのはまりり。


首相官邸ならぬ田淵家を訪ねて署名を頼みーの、奥様に連絡してからエリゼー宮を訪問して大統領閣下にサインお願いしたり、ジーナさん同伴で嘉手納に行ってエルメンカーレ司令官に頼んだり。で、1時間もかからずに書類でっち上げてベラちゃんにスーツ着せて、こういう場合用のIDぶら下げて訪問させていました。その直前に国交大臣どころか内閣府からと、何故か宮内庁からの電話が青文字社の社長さん宛てにかかって来ていたようですが。


更には書類の署名をお願いする際に「青文字社が協力しない場合、我々にはこのようなものがある。諸事情で連邦世界への技術供給を躊躇していたが、かかる状況下で日本国が非協力的な場合、連邦政府を通じてアルストム社に当該製品製造についての技術供給を行う用意があるがいかが」と先述したICD駆動のエアロトレインというべき浮上列車システムを田淵君パパに見せたそうですけどね。


で、ぶっちーが同席してくれていたせいでお父さん(たぶちそうり)の卒倒は避けられたそうです。


「父さん。まりあさんが本当にこれを導入する気があるなら逆に日本の会社にまずこれを作らせてますって。だから落ち着いて話を聞いてあげてくださいよ。僕から聞いても、JRさんが折れてくれたら済む話ですし、まりあさんはリニア技術を中核とした日本の鉄道技術を売り込むことで日本国へ利益をもたらそうと動いてくれているわけでしょう? まりあさんはこんな事ひとつで商談を大人気なくひっくり返す人じゃありませんし、我々もひっくり返されないように誠意を持って対応してあげましょうよ」と、流石にそれなりの発言をしてまりりを唸らせたそうです。


で。まりりの本音。


(ありゃ実はNBですら、まだ走らせる気はないんだよ。新幹線と同じで、ある程度の人口密度がある地域でないと動かしても採算割れするんだよな。だったら旅客機飛ばす方がずっと融通が利くだろ? それと、エマ子が実車設計する段階で既に判明してることなんだけど、動力源にものごっつい問題がある)


あのさぁ、まさか動力源…。


(うん。アホみたいに電力を食うから、車両側に積むか地上側に積むかのどっちかで対消滅動力炉が必要。安全面は担保できるけど、連邦でこれ使うと絶対ヒステリックに危険性を喚く奴が沸いて出るし、もっと困るのは対消滅技術の軍事転用を考える奴が必ず出るんだよな。何でテンプレス級とかザラ級の動力炉をブラックボックス化してリース物件にしてるか考えてくれよと…)


ああ、反物質爆弾を考える人、出るよね…。


(ま、いい脅しにはなったろ。リニアの技術は確かに日本のものだけど、そういう風に囲い込まれたら別の土俵で勝負するってのは元来は日本の得意技のはずなんだけどな。ちなみに対消滅反応炉関係の技術、テンプレス・レイルウェイズ名義で既に英国から国際特許を出願してるから、仮に連邦加盟国がいい事聞いたっつっても基本技術はうちらが抑えてるし、今の連邦じゃルナテックス以外にあれを実用化可能な企業はねぇから安心しな。ま、技術的には可能でも反物質発電炉を地球表面に設置するなんてことはどこの国も二の足踏むだろうし。わっはっはっ)


(あとさぁ、話を聞きつけた赤文字社の持ってる客車あるじゃん。あれはあれですっげえ豪華なやつ。あれ出していいんなら提供するよって話をJR各社集合の緊急リモート会談で話を始めて、それでまた揉めたんだよねぇ。確かにさ、うちのあの変な番号振られたかわいそうな試作1号機ならさ、あの7両編成くらい楽に牽引できるけどさ、今度はあの恥ずかしい番号振られた機関車が被写体になるわけよ? 確かに見かけはDD51と瓜二つの外装にしてるから番号見なきゃあれ?で済むかも知れないけど、なな○星引いてる時点で結局は被写体にされるからね。で…あの番号、量産機では変えさせるからね!)


ええ、あの半生体発電機搭載の特殊電気機関車、BE69の919号機です。


やはりというべきか、あの番号を強く希望したのは金主たるまりりだそうです。


あんたなぁ。


(痴女皇国らしくていいじゃんかよ…)


(あんたさぁ、6969とか6919とか1919みたいなエロゾロ目番号を希望ナンバーで申請して車に装着して喜ぶDQNと同じことしてんじゃないわよっ。あの酷道425号(バンシー)とか33-4号(はんしんわるくない)とか変な番号振られてるうち扱いの戦闘機も大概だけど、やっぱまりりってジーナさんの実娘よねっ)


(だからあたしとエロおばはんを同じ目で見るなよっ)


(そう思うならさっさと改番申請しろっ)


で、各社協議の上で実施された京都駅・運転停車回避策。


ただいま、1号車のデッキ直上の運転台でハンドルを握って列車を走らせているの、紺色というか青灰色(コンテナブルー)の会社の昔の呼称が機関士…今は運転士さんですね。


現在の運転士さんですと、大阪から北に向かう貨物列車の先頭に立つ機関車のハンドルを握り、1,200tクラスの結構長い貨物列車を安治川口(あじかわぐち)とか百済(くだら)とか吹田(すいた)から敦賀(つるが)まで走らせるのが普段の業務だそうです。


そして、昼間に京都駅を経由する貨物列車、1番線と2番線の間にある線路をがたごとと通過していきます。


我々が乗る○風と、数分後に続行してくる四季○はこの貨物列車の通過ルートを通って山科駅から湖西線の線路に移って東海道線から離れ、逢坂山のトンネルを抜けると琵琶湖の西岸に姿を現す事になります。


実は比丘尼国でもスペイン王国でも、鉄道を敷く大きな理由は貨物輸送です。ですので青灰文字社はこの鉄道開発の話が出た当初から全力で参画してもらっていました。


というか、ここで噛ませておかないと確実に欧州大陸では日本より遥かに大型の大陸仕様の貨物列車規格を採用せざるを得ない事になります。


そうなると納入にも運用にも実績のあるフランスの貨物用車両の独壇場となり、日本企業グループはおいしい利益の出る仕事をひとつ失う事になってしまいます。


そして日本海縦貫線というのですか、大阪から京都を経由して琵琶湖の西側の大人のお風呂のある辺りを通り敦賀へ抜けるルート。


よっしーこと四十洲芳子(しかすよしこ)さんの実家のある基地の街や、大人のお風呂もある温泉地の玄関街や慶次郎さんやおまつさん、捨丸さんには因縁の土地たる金沢を経由して新潟はもとより秋田や青森、果ては性感(青函)トンネルを潜って北海道を目指す、昔の北国街道や北前船を彷彿(ほうふつ)とさせる道のりです。


そしてこのルート、東北や北海道発の貨物と、西日本から北の地を目指す貨物列車の大動脈なのです。


特にシーズンには北見駅始発の臨時高速貨物列車が東京を目指す以外にも日本海側へ回り、大阪や広島、博多に玉ねぎやじゃがいもを届ける事になります。


ですので旅客列車ほど細かい縛りがない上に、運転士さんには通い慣れた道ですし、走らせるものも京都駅通過を当たり前に行う列車ばかりです。


そんな訳で貨物の運転士さんに急遽白羽の矢が立ちまして、突貫訓練で瑞○と四季○の運転を向日町と田端を基地として夜中に練習、両方の列車の運転室に指導助役または主任が添乗して運転作業を支援することで決着を見ました。


ちなみに運転席を後ろから眺める展望室の前向き座席ですが、橙字社の方とか青灰字社はもちろん、近畿運輸局…つまり国交省の方までが詰めておりますけど。


「理恵。お前たちを撮影されると困るということでJR各社間でかなりの折衝があった結果だ。○日本さんには悪いが、糸魚川までの区間は各社持ち回りで指導主任さんの指導に行き過ぎや間違いがないか監視せざるを得ない話になった。幸いにもお前以外に前を見たいだの、運転席にかぶりつきたいような人はいないようなので実害はないと思う」


「お父さん。あたしは様子を見に来ただけですから。それよりウェルカムドリンクの配達に来てくれた分、運転担当の方以外にちゃんと配ってよ?」


ちなみにですね、このラウンジに試験測定や運行監視以外の人…つまり痴女種が今はいない理由。


みんな個室設備の使い方覚えるのに()()なのと、まりりとあたしの連名で通達したからです。


どんな通達か。


「ウェルカムドリンクのオーダーと配達が済んだら、必要を感じた人は夕食の案内が来るまでに精気授受を済ませておくこと。新津停車時点で各車両の端っこにセンサーやマイクを設置する人などが乗ってきて車内で作業を始めるから、ギシギシアンアンの声や音を聞かれたくないならそれまでにやること終わらせておけ」


はい。


米坂線内では車内外の走行音や振動を測定したり、車体に加わるGを測定するセンサーを設置して各車両の挙動情報を収集分析する予定になっています。


…だから痴女種の体力で毎度の18歳未満の方には詳細をはばかる行為を始められるとですね、測定結果に誤差が出るのがわかってます。


ですから新津発車から米沢到着まで、車内でTV見たり会話したりお風呂やシャワーを使うのはまだしも、あれを始められると困るのですよアレを。ジーナさんが大好きでベラちゃんもかなり大好きなアレを!


(冤罪です!あと風評被害を助長する言い方は控えて下さい!)


(…ベラちゃん。上の階のはずのペントハウスのるっきーの部屋までたのきちの絶叫が聞こえて来るんだけどさ、毎晩毎晩一体何やってんの…いや、説明しなくてもいいから)


(理恵ちゃん。前々から言うてる通り、うちに厳しいことないか)


(ジーナさん。クリスさんのぜぇぜぇ疲れてる喘ぎ声があたしの部屋まで聞こえるんですけど。それとクリスさん以外の人のアヘ声まで聞こえて来るって…一体全体何やってんですか毎晩。いや、解説いりませんから)


(ベラ子。お前とたのちゃんの私生活について詳細を聞くのは敢えて控えてたけどな。うちの部屋まで聞こえて来るんやぞ。この際やから、ちょっとは自粛すべきだと苦言を呈しておく)


(かーさま。かーさまも人の事言えませんよ。宇賀神さんとか引っ張り込んで3Pとかしてませんか。最近ではジョスリーヌさんも加わってるみたいですけど)


(ジョスリーヌさんはうちの部屋を経由して理恵ちゃんの部屋に行くのが常態やないか!)


(おい。かーさん。それとベラ子。アルトが怒ってたぞ。それと出産までは活動抑制してる初代様からも文句が出てるし、クレーゼ母様とデルフィリーゼお祖母様からもな、元気がいいのは良い事だが、アレーゼおばさまがこの部屋を使っていた当時程度の配慮が欲しいと要望があってな…あたしも正直、これ以上の騒音を出すならテンプレスの格納庫でやってくれと言いたいんだけど)


(まりり。あたしもダリアもあの白金衣っての着たらパワーアップできるんだよね。今度うるさかったら黒ぷっ○ょかブラギ○スとセットで貸してくんない? あとさ、堤防の照明って固定式の他に、テンプレス二世のキャットウォークについてるサーチライトも使えるんだよね)


(…白金衣の貸し出しはあたしに言え。あと、サーチライトの件はダリアが知ってる。ダリアの聖環でテンプレス二世のサーチライトや舷側清掃用の放水銃の制御は可能だからな)


(よしわかった。次うるさかったら夜間堤防訓練。これで皇族階の平和を維持するわよ)


(まぁ、騒音問題が出てるなら仕方ないですよね。暫定女官長代行から堤防訓練の必要性を言われたらあたしとしては合意するしかありません、この理由なら…つか、アルトさんも参戦して来ると思いますよ。あの人に白金衣着せた方が話早くないっすかマリアさん)


(だよねぇ…)


で。


実際の状況。


「なんでジーナさんがあたしたちの部屋に来るんですか!」


「いやスイートの見学」


「この列車の普通の部屋もたいがい列車のレベル逸脱してるんだから自分の部屋使ってくださいよ!ああっ液晶ブラインド明るくしないで!青姦露出趣味発揮したらクリスさんがカメラに晒されますって!いくら祟られるわ撮影データ即時破損するって言っても撮られる行為自体が嫌でしょ!マジックミ○ーなトラックの中でしてる事見られるのと一緒の絵図になるじゃないですか!」


はい。


18歳未満の方も読めるR15カテゴリで、エロおばはんとそのショタ外観旦那様が我々と何をやらかしているかの前に、注釈。


実は私たちが乗ってる瑞○、皆さんの世界にいるあれの二代目になります。


で、動力源が単なるディーゼルではなく複合燃料モデル…重油以外にもCNGを使う事もできるそうです。そして実際に車輪を回すのがモーターということで、ハイブリッド車両になっています。父の会社で作ってた高山本線用のあれは電車扱いになっていましたが、これは青文字社の分類では気動車扱いになっています。


で、こういう話をする理由。


北陸本線はかつて、日本有数の高速運転をする路線でした。


天の声に言わせると「北陸のお金持ちが大阪に女遊びに来るための特急が1時間に1〜2本走る特急街道」だったそうですが、そんな訳はないでしょうが。普通にビジネスと観光、特に北陸から大阪や名古屋を目指す需要や北陸に点在する温泉を訪れる需要が大きかったはずですよ。


で、国鉄の時代から120km/hでかっ飛ばすわ、JR化後は当時の最新鋭で本当の英語ではターミガンという鳥なのに国際救助隊(さんだーばーど)な愛称の特急電車が投入され、お客さんを乗せた時の最高速度が130km/hなのに平均速度106km/hを超す狂った運転を日常的に行っていた路線です。


つまり、ほとんどアクセル全開も同然です。


車で言うと軽自動車のリミッターに当たるぎりぎりを維持して大阪と金沢の間を走り抜いていたようなものだったそうです。


そして電車も国鉄時代は12両、JR化後はその新車が6両から9両、最大12両をつないで爆走していました。


天の声の同僚も富山に出張した際に延々3時間立ちっぱなしだったと嘆いていたくらい混んでいたそうです。


あ、天の声が青文字社に冷たい理由の一つに、先述した車掌さんや運転士さんが京都で交代する件があるそうです。


急用でそのサンダーな鳥の特急に乗らざるを得なかった際、立ちっぱなしも嫌なので新大阪駅から乗って指定またはグリーン車への変更を依頼しようとしたところ「京都で乗ってくる車掌に依頼してください」と言われまして、言われた通り待っていたら今度は本日満席ですと言われ、一体何のために待たされたのか不明な扱いを受けたと憤慨していました。


結局はお客さんががっさり降りた福井で座席にありつけたそうですが、京都を出ると次の福井まで1時間以上無停車、しかも今あたしたちが走っている湖西線を爆走する際の揺れがきつくて困りに困ったようです。


で、帰りの特急が国鉄時代の車両で、こちらは120km/hが最高速度ですが重量もあり重厚な乗り心地な上に、リクライニング量も深く椅子もウレタン詰め物を奢った座席に取り替えられていて、ペラペラ座席の新車よりむしろ快適なんじゃないかと思った次第。


ちなみに国鉄時代の車両も湖西線内と北陸トンネルでは特別認可を得て、老骨にムチ打って130km/hまで出していいことになっていたようですが、帰りも最終的に福井発射時点で指定席もグリーン車も満席のアナウンスが流れていたくらい混んでいたのが当時の状況だったとか。


しかし時は流れて北陸新幹線が開通したことでお客さんの流れ、全く変わってしまいました。


以前、四十洲芳子(よっしー)さんがしていた話にもありましたが、金沢からだと昔は東京より大阪がはるかに近く、人の流れは完全に対大阪、続いて直通特急が走っていた名古屋を向いていたそうです。


ですから風俗産業が温泉地のピンクな旅館か泡のお風呂くらいしかない加賀越前の地の風俗大王の皆様、大阪や名古屋に遊びに行くのが常態化していたようです。


そして風俗店の受付の際、来店1時間前の予約再確認の電話をお願いしたいと言う話に難色を示すお客さんはまず、来店1時間前の時刻では北陸トンネル通過中につき携帯の電波が途切れるそちら方面の方だったので、京都到着時に電話をお願いするのが日常だったと言えと強要されました。


だからそういう話をなぜあたしにさせるっ。


で、当時の大阪と金沢は2時間半を切る所要時間で、このかなり狂った運転が日常茶飯事だった特急によって結ばれていました。


ところが北陸新幹線開通後は、だいたい同じ時間で東京に着いてしまいます。


そして当時、鋭意大阪を目指して建設していた北陸新幹線ですが、敦賀まで来たところで第三次世界大戦の大惨事に地球が見舞われたのが私たちの連邦世界です。


その後の大阪延伸が遅れたために、在来線の経営が第三セクターに移行して大阪行きの特急が来なくなった富山はもとより金沢の人にとっても「大阪より東京」という東京志向が根付いてしまったのです。


更に、皆さんの世界では絶賛進行中の大阪本社大企業の東京移転。これは私たちの世界でも顕著だったのですが、私たちの場合は不発に近いとは言え小規模核爆発で大阪市中心部が壊滅したことが致命的になりました。


…本来は100年は早く行われるべきだった博多までのリニア延伸、いまだ実現していないことで何がどうなって、連邦世界での現在の大阪がどういう位置づけかを悟って頂きたいとは天の声の発言ですけど、もっと簡単に言いましょう。


…最低賃金設定額と人口、名古屋に抜かれています。


ですので、リニア博多延伸を促進する痴女皇国の日本支援策は本当なら国益に利するのはもちろん、青文字社、ひいてはその本社所在地たる大阪に対しても福利をもたらすはずなのです。


その我々が企画した旅行に対して「我々に関係する何がしかへの一般人による写真撮影、今はまだ困る」と言う申し出を社内の労務管理優先で融通を利かさずにご理解ご協力を強制してきた青文字社。


皆さんの世界での青い文字の会社がこういう融通のない企業ではなく、顧客の要望に迅速に応え需要と利益をきちんと手にする立派な営業方針であることを祈らずにはいられません。


ええ、どこぞ高校に入るまでは橙文字社や緑文字社にゆかりのある生活をしてきたこの室見、まりり同様に「ちょっとこれは融通利かなさすぎ、NBへの開発参画での発言権も赤文字社以下のランクで考えておくべきではないだろうか」と言う意見です。


むろん、その背景には融通を利かせすぎる欧州のフレンチな某共和国とそこを根城にしており、元来ならばうちの父社や親会社の仇とでも言うべき憎い憎い憎い巨大国際鉄道関係企業(アルストム)の参画があります。


ですが、この会社の融通の利かせ具合、私の想像以上でした…。


皆さんの世界ではどうかはともかく、連邦世界でのこの会社、台湾新幹線の逸注をことのほか重視していた上に、日本の緑文字社同様に強く入れ込んでいたどこぞ人民共和国への投資の結果、基幹技術をパクられる憂き目に遭っています。


ですのでその反省を活かして日本企業との積極提携を標榜し、強力な営業訴求製品の製造を切実に考えています。


そして、この会社の代表的製品の一つのTGVのユルさに着目して「NBや痴女皇国世界のフランスなら、最初は新幹線ほど技術の塊にして乗客もプロの乗客たることを要求する日本流では弊害あまた、餅は餅屋の方がいいんじゃないか」と考えている私、室見やそれに賛同するまりりにエマちゃんの方向性とアルストムの方向性は合致しています。


そしてこちらの地球の資源の埋蔵量だのなんだかんだを考えると、比丘尼国の人口を300年で1億人以上…昭和期後半以降の日本の水準にまで増加させる必要性があるのかという国家発展レベル管理問題が出てきますので、新幹線やリニアをまんまで与えても連邦世界の日本の需要ほど大きなものを期待できない可能性もある。


そうなってくると、高速運転する車両を在来線から完全隔離する日本方式ではなく、在来線設備を活用できるTGV方式が有利になってしまいますよね。…加速が鈍いというTGVの欠点も、日本の技術を導入するならば話は全く変わってきますから彼我の差は縮まります。


都市部の駅や線路さえ専用のものを与えておけば、ローカル線については在来線に乗り入れさせたらええねん。


日本のように最短3分間隔で新幹線やリニアがやってくる驚異の混雑対応体制は準備するだけで需要が増えたら対応すればよいのです。


ですので、人類滅亡の危機がより早く訪れる可能性が高い痴女皇国世界の地球の存亡に関わる重要政策を優先したい。


そして最悪の場合は痴女皇国や連邦地球の住民を受け入れることにすらなりかねないNBの開発も重点優先事項にしたい。


ついては痴女皇国の政府高官たる国土局局長としての業務を日本国籍より優先する。これがわたくし室見理恵のスタンスです。


でぇ。


その思いを新たにしているあたしの相方たるダリアですが。


クリスさんにお貸ししています。


これは女官種の身体構造になっていた名残りで、定期的な寿命延長と体調調整が必須だったクリスさんの公認愛人役に指名されていたダリアの生活習慣でして、あたしもそれを認めています。


現在でも痴女種との定期的な接触は推奨されていますし、この二人の過去の経緯もよく知ってますから特段、目くじらを立てることではありません。


ですが、問題はクリスさんの奥様。


そうです、ジーナさんです。


雅美さんの降格処分や初代様の活動低態化に伴ってジーナさんの仕事が増えており、臨時女官長代行のあたしとやむを得ない精気授受行為の頻度が上がっているのはいたしかたありません。


ですが、ジーナさんの趣味にお付き合いすると大変です。


北陸トンネル通過時にちゃっちゃと済ませておくべきでした。


さっきまでくだくだと長々しく言ってた話ですが、確かに北陸本線は特急が走らなくなりました。


ですが、入れ替わりに地域の皆様の足たる普通電車、そして貨物列車が走っています。それも結構、頻繁に。


で、我々の乗るこの二代目○風。初代瑞○より最高速度が引き上げられて110km/hから130km/hになりました。


ですが、団体臨時列車という事でそれなりの無理をしてダイヤ…列車を運転する管理用時刻表にその行路がねじ込まれています。


つまり、列車としてはかなり速いスピードが出せても、他にこの線路を走る列車との兼ね合いで全力が出せないのです。貨物駅や留置線と言った場所を活用したり、普通しか止まらないけど特急運転時代の名残りで待避用の線路がある駅で止まって後続の快速ですとか名古屋始発米原始発の特急をやり過ごしたりしています。


そうです。撮影される危険があるんです。だから窓の電子ブラインドを曇らせて欲しいのです。


更に、京都駅を通過させた理由でもあるんですけど、あの最中の女性が出す声、結構響くのです。


そして我々は痴女種。つまり、女役の場合は女性そのものです。


で、18歳未満の方は大人の階段を上がった時の予備知識として知っておいて欲しいのですが、最中の発声、男の人より我慢が効きません。自然に声が出るのです。


そしてホームでそんな声を聞いた一般の方がどういう反応を示すか。


ですから、何がなんでもそういう事をしてる最中には駅に停めたくなかったのです!



「ジーナさん。そろそろ金沢です。はよ終わらせてください」


「今がええとこやねんがな!この見られる感が!」


「なんでまりりとあたしが青文字企業にあんだけ圧力かけてまで撮影を阻止したか分かってるんですか!痴女宮戻ったらマジックミラーなトラックの刑ですからね!」


ああ、天の声がR15版にしたのは正解でした。


7号車スイート室内で繰り広げられる痴態についてですけど、未成年者規制をいいことに詳細をお話ししなくても済みますから。


「すみません室見さん…罰については賛成です。それか正月の嘉手納でのアンコウ・ダンスには絶対参加してもらいますので…」


「ええクリスさん、貴方は巻き込まれただけです。このエロおばちゃんに!」


「ええやないか理恵ちゃん!あんたも痴女皇国の幹部やろ!」


「時と場合を考えてください!」


…福井で無理やり降ろして東尋坊に連れて行く方が世のためだったかも知れません。


身体をエマちゃんボディにしているジーナさん、いくら冬の日本海の荒波押し寄せ打ちつける東尋坊でも、生死の境をさまよわないとは思いますが、これくらいやらないとあたしの気がおさまりません。


「…金沢までに終わらせないと黒四ダムから黒部湖に叩き込みますよ。それか只見線に行ってもらって奥只見湖に投げ込みますからね…」


「ふん、村上あたりで川を遡ってくる鮭の餌に…って理恵ちゃん。鮭って入れへんかな」


「あんなもん入るわけないでしょうが!」


「試してみなければわかれへんやないか!拡張してあげよう!」


「いりません!」


ええ。本当にジーナさんのパンツのリモコンの操作権限、あたしに回してもらおうと思います。


あたしたちの夕食の順番、確か早めに富山からのはずなので。


夕方のラッシュに入る富山駅に敢えて長時間停車して窓際に縛って放置して、いんちゅうくんパンツフルパワーで置いとくのもいいかも知れません。


個人的には珍珍電車に乗って岩瀬浜に連行して、富山湾の海溝の底で白エビに身体をかじらせたいのですけど。痴女種なのでこれくらいでは死なないでしょう。


「理恵さん。というか今の時期なら越前ガニのシーズンじゃないですか」


「ああ!そうよね!カニさんもいるよね!」


「…ダリア…あんたも言うようになったな…」


「そりゃジーナさん。理恵さんと大人げない喧嘩を繰り広げるのはともかく、窓の電子ブラインドはせめて。えいっ」


「ああっダリアまでもが反抗的に!堤防(しばくばしょ)で恐れられたダリアはどこに行ったんや!」


「あたしにも一応良識というものはあるんですよ…それに堤防はあかんと言ってアレーゼ様やマイレーネ様引き連れて懲罰服祭りを開催して痴女皇国を粛清したのはジーナさんじゃないですか」


「うぐぐぐぐぐ」


「はい、そろそろ終わらせて自室に戻ってください…一応夕食は本格的なフランス料理なんですから、クリスさん共々ちゃんと着替えて来てくださいよ」


「ジーナさん。帰りはあたしたちが交代で四○島に移るので車内を汚さないようにしているのですよ…汚してたらおまつさんから苦情が来ますからね?」


そうです、帰路は今、四季○にお乗りの慶次郎さんやおまつさん他の方々と乗る車両を交代することになっています。そして大阪に帰るまで、車内清掃は難しいのはスケジュールを見ているとわかります。


緑文字の会社の所属の四季○なら新津の基地で清掃を受けることが出来ると思いますが、青文字社の保有する瑞○は室内の意匠から構造から使用建材まで全く異なります。緑文字社の系列清掃会社でも、全くの出たとこ勝負で今までしたことがないホテルのスイートの清掃やベッドメイクをいきなりやれ、これはあまりに大変でしょう。


(一応、米沢に着いてから新津に回送するまでとさ、もう一回米沢に戻すまでの間に列車乗務員の人がやってはくれるみたいだけど、あまり無茶な使い方はさせないでくれよ…特にうちのおかんには厳しくしてくれていいから…)と、慶次郎さんたちに付き合って四季○に乗っているまりりからも承諾許諾を得ています。


「富山までに着替えてこなければ後の番のディナーを食べる組と交代してもらいますからね。で、ジーナさんの分の懲罰服もまりりから預かってます。嫌がればエマちゃんが着せるそうですから。それかベラちゃんのあのえげつないカクテルドレスを着てもらいますよ」


「うう…流石にあれはあたしの理性が拒否る…スカートは苦手なんや…」


「体型的にはベラちゃんと同じなんですから着れるでしょ…むしろこの列車の食堂車、あれ着てても違和感ありませんよ?」


「まぁ確かに豪華なのはわかるねんけど…」ぶつくさ言ってますが、外観は完全にエロおばちゃ…お姉さんなのにスカートを苦手にする変わった人を旦那さんに頼んで自室に引きずっていってもらいます。


全くもう。


「正直、ジーナさんならスカートでもいいと思うんだけどねぇ」


「あたしもそう思います。ほんっとあの人、軍服以外でスカート履いてるのなかなか見れないんですよ、昔から」古くからの付き合いのダリアすらそう言うのですから、珍しい光景には間違いないでしょう。



さて、あたしたちもダリアとお揃いのイブニングドレスを着ることにしましょう。貸切なのでドレスコードこそありませんが、やはり雰囲気という事で。


…まりり。あんたな。


…よりによって痴女皇国仕様の公式ドレスを用意するなよ!


あれ、下着や尻が微妙に透けてたり丸見えでしょうが。


まだベラちゃん用のスリット入りまくり胸元露出極限のカンヌ映画祭なドレスの方がマシだぞ、これ。


ええ。エマちゃんに頼んでまりりのパンツ制御権限、絶対に貰おうと思います。


○季島食堂車か、はたまた慶次郎さんたちに付き合ってお部屋で懐石弁当かは知りませんが食事の最中に絶叫させようと思います。


「理恵さん割と執念深いからなぁ…」ため息をつくダリアを伴い、食事の用意が出来たという連絡を受けて私たちは食堂車…7号車のすぐ隣の6号車へと向かいます。本当なら5号車のラウンジで食前酒など頂きながらウェイティングタイムを過ごしてお呼ばれを待ちたかったのですが。


うん、帰ったらまず、ジーナさんは絶対確実に堤防に連れ出します。


強化装備の白金衣、何としてでも貸し出させますから!

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