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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


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臨時校外活動・日本三大祟り神営業ドサ回り!6

「せ、狭い…」乱暴ルギーニの運転席ドア窓から身を乗り出して後方チェックするあたしですが、この癖、実はジーナ母様がトラックを運転する癖で乗用車でもよくやるのです。そして、母の記憶経験知識を受け継いだあたしも、左手一本でハンドルをえっさか回しながら駐車作業中な次第。


「こっち見といてやるから慌てんなよ…よしOK」


「何ですかあのいけず石まがいの鉄柵とか…ほんとにこの街、ローマやフィレンツェの裏道より狭い道ばかりなんですねっ」パワースイッチをOFFにして車から降りるのがまた一苦労です。この車、普通にドアを開けると確実に、隣の車にドアパンチ入れる羽目になりますから。


「はぁ、参った参った。千本通までは普通に走れたけど、そっから先がなぁ」一足先に駐車場に車を入れた母様が、あたしと似た表情をしているのは気のせいではありません。


駐車場に駐まっている2台の四輪駆動車、母様のイギリス製ので全長4610mm×全幅1895mm×全高1725mmです。確かに幅こそありますが、長さが小型車枠です。


ですがあたしの乱暴ルギーニ。


全長5112mm×全幅2016mm×全高1638mmです。


今度、日本法人に改善を申し出ようと決意しました。幅と全長、何とかしてくれと。


車の運転をされない方にはピンと来ない数字かも知れませんが、宅配便用トラックよりさらに広いんですよ、幅。母様のランドローバーでもたいがい幅広ですが、それより更におっきいんです。


そして長さ。乱暴ルギーニの中の人いわく、車庫入れや狭い道でハンドルを切ると後ろのタイヤも連動して動くそうですが、その機能をもってしても日本の道に5m超えの全長と2m超えの幅はまずすぎます。母様の車より更に50センチは長すぎるの、スーパーなどの駐車場に行くとよくわかるんです。母様の車が枠内に納まる場所でも、あたしのは前が少しはみ出すんですよ。


ええ。いけず石か何か知りませんが、迂闊にハンドルを切ったら絶対に擦りそうな場所、幹線道路から左折して少し行って右折して、この駐車場に突っ込むまでのわずか数百メートルの間のあちこちにありましたから。車体全周カメラやセンサーでどうにかなるレベル超えてますよ。


とりあえず、そんな苦労の果てにたどり着いた駐車場、とあるお店の専用です。この駐車場から少し北に行くとお店があります。


で、このお店、あらかじめ若様が予約を入れて下さっていたのですが、お一人様ひびき新大阪品川間一等運賃(ぐりーんしゃ)だそうです。つまり、のぞみで博多に行くより少し高め。お酒頼んだら確実に()()()()()超えると姉に言わされましたが、それくらいは取りそうな格式を感じる和風のお店です。


ただ…創業400年を楽に超えるそうですけど、ルクレツィア母様の昔のおうちとか、南欧支部のアナさんが昔、イスパニアで幽閉されていた自宅とか、果ては南欧支部長イザベルさんのお宅…つまりアルカサル宮殿やアルハンブラ宮殿、あるいは鯖挟国の東方聖母教会があるトプカプ宮殿を知っている身としては、味はあれど古ぼけてる印象です。


何より我が痴女宮、築一千年超えですからね。


(いたっ!ねーさん何すんですか!)


(ばかやろう!文化摩擦防止だ!この国はこういう木造建築が基本なんだよ!ワーズワースお祖父様の和風の離れ見ただろ!あれが日本人の価値基準なんだよ!)


(まぁまぁマリア、そら、ベラ子みたいなイタリア基準やとこういう建物はピンとこんやろ。ほれ、あんたらこないだ皇居行ったやろ?あそこの来客用車寄せとか竹の間の造り。あれがこの国の公式の美的感覚の基準で、外国人を接待する場所の最上級やと思いなさい)


(なんせ日本の実質最上位のお家があそこじゃん。おまけに神様の最上位は20年毎に建て替えてる贅沢っぷりだからなぁ)


(うちの社も建て替えて下さいまし!おかみ様何とぞお口添えを!そちら様のお古の木で構いませぬ!)


(あれ、わしが管理しとらんし…払い下げ先は決まっとるんや…ま、()()()に頼んどけ。わしも口添えはしたるから)


(朕の本宅はまだ手入れされておる方ですが、いかんせん阿波の方は狭うございましてなぁ。ほれ、元は寺でしょう。白峯も元は寺でございましたが、都を東に移した辺りで神社に替えて貰いましてな、金刀比羅から朕も住み替えさせて貰うたし、まぁ悪くはないのですが…)


(でも陛下…あの祇園の辺り、周りがあれでしょ…広げようにも周りを立ち退かせるだけで大変ですよ)


(都にはなまず、いないんですよねぇ…社の北にある連れ込み宿がまた憎たらしくて)


(あるな…ラブホ…)


(らぶほがめざわりだから地震を示唆するだけでも大概な気がしますが)


(ま、あの連れ込み、鬱陶しいだけでも御座いませぬのですよ。あれに入る連れ添いを見ました私ども目当てのおなご、嫉妬の炎をめらめら燃やしながら参られますから。今からをめこを致すやつばらの幸せそうな姿を垣間見ました、妬みと憎しみに煮えたぎるモテないおなごの怨念をがっつり頂けますのですよ。ですので、件の連れ込みがあるのも良し悪しなのですけどねぇ。ただ、おのれらが乳繰り合うておる目と鼻の先の社、一体全体何を生業にしとるか位は知っときやれとは思いまするが)


(まさか嫌がらせで客室で変な音をとか)


(いえいえ、変な趣味に走りそうなびでをとやらを流して差し上げますとか、とつげき一番とか申す被せ物。あれを少し引くとか傷つけて子宝に恵まれる事を強く願うのみでございます)


(嫌がらせにもほどがありますよ!)


(やはりあの神社の実質管理人さんだけはある…!)


(女の怨念をここに見た気がする…)


(なんという迷惑神社…)


はい。何故かエマちゃんが擬体を与えて、崇徳院様と阿波内侍様にも来て頂いております。何でもこのお鍋屋さん、創業五百年くらいの歴史を持つ上、何度か歴代天皇陛下の行幸もあったとかで存在はご存知だったらしいのですが。


(せめて応仁の乱の前から店開きして頂きませんと)


(少なくとも鴨川河原を首切り場にしておった時分から店をしておらぬと(のう)


(お前ら…あまり無茶のはーどるを上げてやるな…せめてあのいけずなおばはんが作文敵(せいしょうなごん)を腐しておった時分からとかにしたれや…)


(おかみ様、紫式部は応仁の乱から更に500年近く昔のエロ小説作家です…)


(その紹介もたいがいやぞっ)


この人達が連れて来られてる理由なんですが、おかみ様曰く、祟ってばかりでも何だから一緒に飯でも食って行けやという事で、お互いに醜い争いを繰り広げた手打ちの一環だそうです。


ちなみに、どんな醜い争いかはこちらで確認下さい。

https://novel18.syosetu.com/n5728gy/65/


(まぁ、糞をされてすぐでしたから塗料を侵食されることはなかったんですけど…)


(車輪をやられる方がよろしうございましたでしょうか。あの牛なし車、牛の紋は入っておりましたが…)


(それしてたら真剣にご夫婦ともども犯してから、あの神社の入り口の鳥居に逆さ吊りにしてましたからね…あれのタイヤ…車輪、めちゃくちゃ高い上に、そこらのお店の軒先に積まれてる訳じゃないんですから!)


(何やら褒美を頂ける気がする仕置きに聞こえますが…皇帝様も()()()()をお持ちでございますね?)返事がめんどくさいので、薩意をみなぎらせながら阿波内侍様の左手を掴んで制服の上からラスプーちんちんモードにした股間を触らせます。硬度は日本人仕様で。


(ぎひぃいい!頂きたくもあり恐れを為して逃げたくもあり…皇帝様は道鏡であらせられましたか…)恐れをなしている割に、しつこくもぞもぞと触り続けてる内侍様の目が怖いです。無表情じゃなくて期待感に満ち満ちた顔されてますし。


(車が絡むとベラ子がさつまの目になるな…)


(当たり前です。あれ、ねーさんとあたしの共同出資購入なんですよ…北米と南米に渡してるトラクター一台ずつ込みで合計一億円にして頂きましたけど…)


(あれ、たのちゃんが財務にいた時に購入承認下りたやつやろ?…あの渋いたのきちがよく支出認めたな…あたしがレンジローバーとかベントレーとか言い出したらハネられたからな!)


(それ母様への恨みが入ってる可能性高いです。それにあれ、ルクレツィア母様の口利きでイタリア政府からも購入支援の話を入れて頂いてかなり割安にして頂いたんですよ? トラクター含めて3台とも保証延長五年付きでしたし…その代わり、1年は無料で乱暴ルギーニの広報宣伝に出て下さいと…泣きついて半年にしてもらいましたけどね!)そりゃもう、実際にあちこちで写真撮りましたし動画撮影にもお付き合いしましたよ。


…もっとも、にゅるにゅるしてる山道みたいな場所に連れて行かれて、やたら車高が低くて変なドアの開き方する乱暴ルギーニに乗せられた際に、最初に見本を見せてくれた人とだいたい同じように走ってみたら皆さんびっくりしてましたけど。


後で聞いたら、本職のテストドライバーがその乱暴な乱暴ルギーニに乗ったら6分40秒切るか切らないかで一周回るそうですが、あたしのタイムが6分45秒くらいだったらしいのです。


(お前、そりゃ本職泣くぞ…いきなりコースレコードに近いタイム出したら誰でも驚くわ!)


(だってねーさん、アレあたしのより更に高い奴ですよ?壊すの嫌だから慣性制御や重力コントロール入れて滑らせないように走っただけですやん。あの道、ところどころで洒落にならない滑り方するんですから!)


(あそこはニュルニュル滑る道なの!とにかくそういうチートで記録塗り替えるんじゃねぇ!)


(そのうちベラ子をF1に乗せようとするかも知れんな…フェラ  ーリ辺り絶対狙ってくるぞ)


(いや、もうオファー来てる。痴女皇国だと未舗装路ばかりだからって断ったら、次乗り換えるときはマセラティの四駆にしてくれと、るっきー泣きつかれてる)


(あー、るっきーに運転さすな。あれに聖環以上の高度なデバイス触らせん方がええ。チャリすら危ない)


(確かに、あの運動神経だと乗馬以上の事はやらせない方が身のためだな…馬も…()()()か、奴が薦める馬以外はやばいらしいし)えー、ここでルクレツィア母様を擁護しておきます。


るっきーの愛称で痴女皇国では知らぬ者とておらぬ、我が母ルクレツィア。実際にあたくしマリアヴェッラはこの方の子宮から出てきております。


そして痴女宮淫乱三羽烏とか、えらい言われようなのは存じておりますが、その風評に隠れてか…目立ちませんが、知っている人は知っている我が母の欠点。


おっちょこちょいなんです。


もっと言いますと、せっかちさんで早とちり。


ほら、注意を最後まで聞かない人、いるでしょ。


…キューバでそれをやらかしまして、造船用木材として大規模に栽培している毒林檎畑で、止める間も無く実をひとかじり。


…はい、胃の中身全てリバースする程度で済みましたが、介抱したアレーゼ様いわく「痴女種化してなかったら死んでいた。今後あれはミカエルかダリア級の従者を付けない限り、絶対に見知らぬ土地に行かせない方が良いぞ…」はい。ご迷惑をおかけします…穴があったら突っ込…入りたいです。


運動神経や反射神経自体は悪くないのですが、ジーナ母様いわく、わざわざ事故を起こしに行くような事をしでかす人種だと、母をよく知る人からは皆一様に判断されています。


ですので、車の運転も…シミュレータというものに似たゲームで街中を模した区間を走らせてみたところ、姉いわく「スリルなドライブゲームじゃねぇんだから!引かない媚びない顧みない構わん行けで行けたらみんな事故してねぇよ!現代日本はおろか、イタリアですらあんなん公道に出せるか!過失割合0:100級の事故連発じゃねぇか!」いまだ街中は手動運転区間も多いですからね…。


(マリ公は死ぬほど運転めんどくさがるタイプやし、あのマセラティのSUVもランボボギーニほどやないけど、大概でかい部類やからなぁ。欧州本部は軽トラで間に合うとるらしいし、イザベルさんくらいしか車()って赴任地に道がある人おらんからな。アナさんは性格的に運転さした(させたく)ないし)母様。メーカー名間違えてますよ。


(ああ。退かぬ媚びぬ顧みぬ運転確実だよな。イザベルさんの方が適性あるという意見にあたしも賛成)


(叔父が乗りたがってんですよ。あと、ハゲたおじさんが分解したそうな目で見るのが怖いんです。ちょうど今、あたしのラスプーちんちん触り続けてる方みたいな目で)


(あのハゲたおじさんは探究心の塊やからな…)


(毒盛りもたいがい、アナさんと似た傾向の運転適性審査結果出しそうだよな)


(絶対出ます。うちの家系、祖父の血を引いてる全員スペイン系ですよ…)


(…それ忘れてたわ…ベラ子がかーさん似なのがこの場合は幸いしたな…)


で、アホな(ステューピド)話やアホな(シェーモ)行為をしている一団が案内された座敷。卓上中央に木枠が置かれていますが、普通のこういうお店なら、その上に乗っているべきものがありません。


代わりに前菜として、この後に登場するお鍋の中身と同じものを煮てから冷やしたという小鉢が登場します。


これをちびちび食べながらお酒なりビールなりを飲んで待つのが日流のお作法であるのは、あたしには容易に認識できます。イタリア料理のコースメニューと同じですから。


で、この店の主菜(プリモ)です。確か以前、何としてでもエマ子を製造するために、これ食べた記憶がありますが…正直、鬼の大嶽さんが作ってくれた鍋と同じでした。


ですが、尊い犠牲になった亀さん、こちらでは養殖しているとかで、食べさせられてる餌が違うのか野趣が薄く、上品な感じです。


そして、このお鍋がなぜ最初からこのお座敷に登場しなかったのか。はい若様。


「えー、今までの流れで、我々がすっぽん鍋を頂いているのが“メニューにまる鍋しかない”上京区の超有名店だとお察しの方もいらっしゃるかと存じます。が、知らないとおっしゃる方向けに解説しておきますと、確実に火を通して食べやすく煮込むために、板場で摂氏二千度で燃えるコークスを使って下煮をする工程を経てから我々の前にお内儀さんが運んで来られます。そして、その高熱に耐えるすっぽん鍋が、今まさに我々の眼前でぐつぐつ煮えたぎっている、特徴的な薄さと色の黒い鍋です。伊賀焼 土鍋で検索すると画像が出て来ますが、二千度の炎から下ろされてもしばらくは煮立っているほど高い保熱性があります。そんな特殊な調理法で成り立つ鍋ものなので、お客の間で鍋奉行を任命すると危険ですらあるのです。ですので、鍋を運んで来たお内儀さんが、そのまま鍋の中身を周囲の客に取り分けて下さいます」


はい、解説ありがとうございます。


「まずは鍋の出汁…スープを味見がてら頂きます。で、よしとなると、いよいよ鍋の具材…すっぽんと、少しばかりの香味付け用の野菜を食べることになります」


「お出汁の味が悪かったらどうすればいいのでしょう」


「こう言う店でそう言うことは言わないのがお約束です。もっと言いますと、いきなり板場に押しかけて大声で怒鳴り倒す魯山人(ろさんじん)まがいのおじさんですら、元来は許されるものではありません。白飯が最高のご馳走だと言い切った獅子文六(ししぶんろく)でさえしてはならない悪行です」


「悪い…と言うよりは口に合うか合わないか、ですな。私は元来は関東の人間ですから、関ヶ原から西の味付けには馴染みがないのですが、ここほどの老舗ならば、とりあえず口を付けてからですよ。智秋さん、どうせ陛下のご一行が東京に来られてたんなら、いっそ駒形へご案内して差し上げたらよかったのに」と、小鉢の中身をかきこむ合間に加藤さんが。


「ははは、あれこそ、馴染みのない人には驚かれるでしょう。まる以外に柳川を出すお店もありますけどね」


(どじょう鍋の事です。駒形のは卵とじにした柳川鍋よりも、原型を保ったまま割下(わりした)で煮込んだ方が有名でしてね…見た目のビジュアルは、今目の前にある鍋より格段に女性には評判が良くないんですよ…)なるほど。龍皇国の田うなぎとか言う魚と似たようなものですね…李自成の一味が大牟田の炭鉱で働いてる際にこれを食べたいとか言い出したので、代わりにどじょうで代用したような話を聞いたことも。


「だいたい、見た目がよろしくない食べ物ほど美味しいんだよ。あんこう然り、オコゼ然り」


「あとなぁ、ここは雰囲気がええんよな。…くっそー、エマ子ボディなんやし、これで冷酒でええからポン酒があれば!あれば!」


「かーさん。警察関係者二名が同席してんのに流石に飲酒運転の疑義がかかる行為はやめときなよ…まぁ、ものの1秒でシラフに戻れるけどさぁ、かーさんがMIDIシステム使いこなしてたらあたしも八十川さんと加藤さんに事情を説明して飲ませたげるけどなぁ…覚えの悪いおばはんだからなぁ…」と、隣の席でチクチクと母をいじる姉。


「痴女種なら毒物とか薬物には耐性があるとお聞きしましたけど。あ、アルコール検査キット、車両に積んでますから、それで測定して無問題なら大丈夫ですよ。お内儀さん、冷酒でおすすめあるかな?」八十川さんが気を利かせてくれていますね。


「加藤さん、良ければ帰り、私が運転しますよ」


「おお、こりゃすみませんね。この鍋じゃサッ○ロよりア○ヒだな…お内儀さん、○サヒの中瓶とグラス三つ!」で、届けられたもののうち二つのグラスを崇徳上皇と阿波内儀様に渡してますけど!


「ほうほう、これが町人のみならず民草に広く飲まれておると。酒も御酒に似た味わいであるが…きつめではあるのう」


「ああ、陛下のご存命中はそこの泡立つ麦酒くらいの酔い具合のものが多かったそうですね」


「あーそうそう、平安時代までに一応、現代の日本酒レベルのアルコール度数のお酒を作る技術はあるにはあったんですけど、一般的じゃなかったみたいなんですよね」


「お、おキヌちゃんくわしー」


「ほれ、うち、若様とこから数えて三番目くらいかな、一応老舗は老舗なんで文献残ってたりするんですよ。県教育委員会に寄贈したものもありますけどね」


「それより陛下、調味料とか大丈夫なんですか? 確か平安時代のメジャーな調味料、塩・酢・酒・醤の四つだったかな。ベラちゃーん、…痴女皇国でもやっと精製白糖の量産化の目処ついたんだっけ?」


「しーしー。サトウキビ自体はキューバで生産始まってるけど、なんせ奴隷がいないから機械搾りする必要がありましてねぇ、あっちの工場と、痴女宮の方の罪人工場で製造ライン回してます。あと塩はねぇ…」


「赤穂で塩田しとるのがあるじゃろ。あと、がんえんというのか、それと()()()()と龍皇国奥地の塩の湖から切り出しとる塩。あれでとりあえずは庶民の食卓にも塩が回るようになったからの」


「この醤油とかいうものが普及するのが…朕の時代からかなり後なのであろ?」


「大豆という豆を加工するのですよ、確か、陛下の御代に豆腐、伝わってたんじゃなかったかな…」姉が思い出そうとしています。


「ああ、豆を腐らせるものな。神社や寺で作ってはいたが、朕の膳にもそうそう上るものではなかったぞよ」


「あれを作るのに近い要領で辛い汁にしてしまうんですよ。これが出来ることで料理の味の幅が広がる他に、加熱調理で作っても不味くないように味付けされたものが増えるんです」


「そうそう、飯が全く違うのよな、のう阿波」


「左様にございます。味は現世の…雑炊にされておりますが、こちらの方が良うはございます。ただ、滋養の面で見ると、私共の食しておりました飯、あれの方が理に適ってはおるようで」


「ま、こうして箸をつけるもの一つ見渡すだけでも、朕の考えが現世に通じるか難しいのは分かり申す。さりとて、祟るのを全くなしにするのもよろしくはないと、おかみ様」


「うむ。他はまだしも、日の本はなぁ…この国は見えざる力が働く方がよろず上手く行く。そちの祟りが成すかはともかく、わしが今しばらくは藤寺の営みを続けてたもれと言うた理由(わけ)、そなたなら理解(わか)るであろう」


「大物主様は何と」


「あれも頭を抱えておる類よ。じゃからまりやを()()()()()のじゃ。三輪と元伊勢と金刀比羅(ことひら)、なるべくなら使いたくはないからの」


「おかみ様を神宮に祀っておられる理由でございますな」


「ま、厄の種で言うと、痴女皇国の方がもっと厄介じゃ。そちも見ておって分かるであろ」


「でなければ朕も邪念結晶(あ れ)をみすみす渡したりは致しませぬ。…あれ、お役に立ちますので?」


「転換はふじんがやりおる。大丈夫じゃ」


「ああ…えまにえる殿…しかし、何故にこの方に全てお任せにならぬので?」


「崇徳。それをしてもよいか。そちの永らえる理由も()()()()ぞ」


「うはははは、おかみ様無茶言わんでください。あたしらはあたしらで機能使用制限しとる理由、ちゃんとあるんすからっ」えーまーこー。あんた…。ええ、エマちゃんの前に徳利が何本も。


「いやね陛下。そりゃ、あたしがフルパワーモードで動けば色々捗りますよ。でもね、痴女種や神種と違った意味で、あたしらは人間を必要としとるんですわ。…食事時にあまりよろしくないかも知れない話題ですけど、陛下が讃岐で書かれたお経あるじゃないですか。で、この時代だと活字って言って文字一個一個の判子みてーなのが作られとるっしょ。もしくは、字一つ一つに記号番号が振られてて、こんな感じで長文だろうと一瞬で複製が可能なんですわ。でもね、写経もせずに一瞬で複製したお経にありがたみっての、ありますかね」


「えまにえる殿の申す通り、確かにそのような写しそれ自体に価値があるとは思えぬ。徳のある者が手にして唱えれば話は変わってくるであろうが…」


「あたしが神社で言ってた、作り直す問題がこれなんすよ。単なる複製や修正補正で同じようなものばかりの世の中にしてしまったり、同じ修正者ばかりが仕事してしまうと、文化文明を任せられる生命体としての価値を大きく損ねるんですわ。それを防ごうと思ったら、聖院時代の女官種や、今うちらが痴女種としてやってる知恵や考えをみんなで共有することが必要になるんすよ。単純に考え方を統一するだけじゃなくて、最低でも、うちとマリアねーさんやベラ子かーさんくらいの差がないと世の中回すのは難しいっちゅうことですね」


「もいっこ言っとくとさ、痴女皇国作った時、あたし独裁者やる気満々だったんですよ。まぁ、アルトとかダリアとか親しい連中は側に置いといて親政政体…そうですね、陛下の御代の朝廷から、藤原氏を一切追い出してしまったような感じですかね。それで行こうとしたんですけど…。実際には乳上を入れーの雅美さん入れーので、将門公が()()()で集めた方々がもっと協力的だったような感じのごたまぜの国になってしまった訳ですよ。でも、その方が回ってんですよね」


「ふむ。まず、お国の事情として、皆でやる生業が存在する。そして、臣下一人一人が我が儘を言うてはおれぬ慌ただしさであったと見受けるが」


「そーなんですよー。人間で言うご飯、神様で言う信仰ですね、それに該当するもん確保しないと危なかったんで。とてもじゃありませんが、藤原氏同士で喧嘩するとか応仁の乱をやるような余裕…一人、いたな…」


「あのころのちちうえはとんがっていましたからねぇ」


「ああ。阿波内侍様と巴御前と孝謙天皇と光明皇后を混ぜて闇鍋にしたような感じで」


「どんな女傑でござりますか…」


「こんなんです」ああ、また呼び出される乳上、哀れ。


「ですから陛下。前触れなくいきなり召喚はよして下さいませとあーれーほーどー。なんでそう、あたくしを呼びつけるタイミングが神がかっておられますので?」ええ、着衣の乱れが全てを物語っていますね。…修学寮に行ってたな!


「ベラ子陛下。それはプライバシーというものです。クソむかつくのでメーテヒルデも呼んで頂きますとわたくしの溜飲が下がるのですが」普段から仏頂面な事が多い乳上ですが、今回は格段ですね。


「あほ。この上、クレーニャまで呼んでどうするよ。あ、内侍様に陛下。うちの高級接待要員兼、謀反要員です」


「誰が謀反要員ですか。その役目は美男公か毒盛り教皇に譲ります。…ふむ。天孫の方で、御相続や政権闘争がございましたか。…あのー、うちの欧州、こう申し上げては何ですが、痴女皇国が介入しないとですね、陛下のご経験されたような殺伐とした状況がそこかしこで起きておりました事でしてよ? いちいち恨んでおりましたら身が持ちませんわ。それより汚辱は暴力で(そそ)ぐものです。うちの内縁の亭主の串刺しの糞親父なんざ、ちょっと前まで何かあったらすぐ敵を討ち取って串に刺して晒し者にしてましたから…」と、頭の中を崇徳上皇陛下にお見せしてる乳上。


「…あの…そちらのお国、うちの荘園のさぶらいみたいな蛮人ばかりなのですか?」うげげ、という顔で阿波内侍様が聞いておられますが。


「まぁ何となくそういうものです。そこのマリアヴェッラ陛下の叔父上に当たる方の愛人ですが、子供を人質に取られた際にですねごにょごにょ。で、後の戦いで陛下の叔父上に負けて寝所でのいくさにも負けました結果、あえなく愛人に」


「何やら野蛮を極めておられるようですが…女性(にょしょう)も刀を取るのが作法であれば理解できなくもございませぬ。ちちうえ様もかなりのいくさを潜られたご様子、おなごも戦う国ならば、そちら様のなりや童女様の身内の方々の振る舞いも理に適うところかと」


「…阿波…勅命を出しても良いか…そなた…少しばかり、童女様の()()で厄介になってくるのはどうじゃ。お主、童女様の妹様の()()に懸想しとろう。朕には聖子(せいこ)兵衛佐(ひょうえのすけ)もおるが、そなたには兼ねてより諸々を任せ重責を課しておった負い目もある。ここらで一つ、羽根を伸ばして参るのも良いのではないか」


「おお主上、妾を不要と申しまするか…」


「心配致すな。藤寺を兵衛に任せても良いところ一月ばかりであろう。そなたでなくば、藤寺の守りは務まるまい」


「ふむふむ。それなら提案があります」と、雑炊のお椀から顔を上げる姉。口元のご飯粒取ってから話しなさいっ。


「童女殿、それは如何様な…」


「要は、安井神社の運営があるから内侍様に長期間抜けられると困るんですよね。で、今ちょうど、うちの妹が向こうの鍋の女の子四人と一緒に通ってる学び舎があるんですよ。ここから、そこに一緒に通うのって出来ますかね。そうですねぇ、ちょっと経路がややっこしくなりますけど、んー、バス一本JRの電車一本の経路が一番わかりやすいかな。うちの痴女宮に下宿してもらえるなら直接送れますけどね」


「ねねねねーさん、何を言い出すのですかいきなり!一応内侍様も神様の部類でしょうが!」


「これこれベラ子さんや。陛下も内侍様も、エマ子謹製の義体にお入り頂いているから人間とほとんど変わりはないのだよ。呪うにしろ祟るにしろ縁を切るの結ぶのするにしろ、今の世の中を知って効率的に采配しようという進歩的なお考えがあるならば、支援して差し上げるのが我々の取るべき行動ではないかね。それで十月懇親会で自慢の一つも出来れば、上皇陛下の株も上がろうというものだよはっはっはっ」


「あの、陛下に内侍様。うちの姉が悪代官…悪い地頭や荘園領主のような顔をしている時は注意して下さいね。絶対絶対ぜったいぜったい、ロクな事考えてませんから」


「はっはっはっはっはっ、いや、妹様。それこそが童女様がさっき申された事でしょうや。朕や阿波では出て来ない思いつきでございます故、試しても良いかと。人に近いなりで振る舞えるならば無用に祟る事もありますまい。阿波。一つ見聞を広めて参れ」


「あとは若様に頼んでちょっと一人分の戸籍と学籍をだなっ」


「ああ…また面倒ごとをマリアさんが決めてくるから…そうそう、加藤さんに来てもらってる理由なんですけどね。こちらは正規の転入で良いのですかね。高木マリアンヌさんと、高木スザンヌさん。…このお二人、普通の人類でいいんですか? 出来れば昨今の事情を考えると、痴女化して通学して頂く方が警備の事など色々とはかどると思うのですけど」

べらこ「はぁ、参りましたよあの道」

マリア「言いたくないんだけどよ…あそこの駐車場さぁ、下長者町通りから入ったら割と普通に行けるらしいんだわ…」

べらこ「え…あそこの前の道って一方通行じゃないんですか…」

マリア「うん。あのいけず柵のとこに、一時停止の表示があった…」

べらこ「私たちの苦労は一体!」

ジーナ「しかし、帰りに下長者町通りから千本通に出たじゃん。あそこも信号ぎりっぎりの所が酷道並みに狭くなってただろ…似た苦労をしたと思うぞ…」

ジーナ「更に問題がある。某神社の駐車場の方だが、我々は特別来訪者という事で正面の鳥居のところの金属ポールを収納して頂いたがな、あたし前に来た時、よこちょのゲートから車入れるのに難儀した記憶あるんや」

マリア「そうそう。あそこめちゃくちゃ狭いんだよ。軽自動車でもギリッギリに見えるんだよな」

ジーナ「ちなみに天の声は今回、現時点でどうなってるか改めて調べた際に幅1,795mmの車で行ったが、以前に来訪した際に1,750mmでも難儀したし、あたしの車と同じやつのMY19…つまり2019年式で通過した際に心底心臓に悪い思いをしたそうである」

べらこ「ええ、あそこは今回行った際に交差点曲がり角横の灯篭を撤去していたり等々工事中だったらしいのですが、正規の駐車場利用車が使うゲートでは確実に引っかかってました。それも入口手前で」

マリア「いや、正直いくら非関税障壁云々とか、軽自動車を目の敵にするとか色々あっても、軽自動車でないと行けない道っての、本当に日本には多いからな」

べらこ「ちなみに大阪府と奈良県の県境の酷道308号線、ガードレールやポールが林立する工事を行ったあとは、あたしの車でも母様の車でもダメ、幅1.8mの車でも路肩の植え込みで車体をバサバサこすることになるそうです」

ジーナ「そら、暗峠(くらがりとうげ)は無理やろ…幅1.9mあるルノーのミニバンで突破した勇者が過去にいたらしいが、転落防止工事の後は恐らくあかんやろなぁ」

マリア「信じられない話がある。R425を33型スカイラインセダンで昼間に走破した剛の者が以下略」

ジーナ「えええええ…」

べらこ「とりあえずエマちゃん。痴女島内に道路整備する際、あたしの車基準で道を作ってください。あたしのが走れたら母様の車もいけるし、トラックも2トンから4トン積みまでは大丈夫だと思うの…」

マリア「一見公私混同に思えるが、ベラ子号が通れるならまず、普通の車はOKなんだよな」

ジーナ「そこまでして痴女島で走りたいんか…」

べらこ「連邦世界であれを走らせてストレスを感じないのはアメリカ大陸か中東などの砂漠の中の舗装路くらいでしょう…せっかく買ったのですから足に使いたいのです!」

マリア「確かにあれはガレージに寝かせておく車じゃないしな…」

ジーナ「そんなに使いにくいなら、うちのと取り替えるか?」

べらこ「母様のは前後幅が狭いからなぁ…それと注意点があります。あたしのやつ、後席が左右独立してる四人乗り仕様なので、車内で行為は難しいですよ?」

ジーナ「なぜ五人乗りにせぇへんかってん!」

べらこ「簡単です。中東作戦当時のアルトさんとダリアさんの記憶を見せてもらいました。更に姉からも、送迎車として使う可能性を考えた方がいいと言われましたよ?」

マリア「ほらかーさん、ベラ子の立場考えてやれよ。他国の要人を後席に乗せて走る事考えたら、緑の中を走り抜ける会社のパナ◯ーラってセダンとか、便通な会社のマイ◯ッハとかあるじゃん、あんな感じの後席セパレート型の方が絶対いいだろうからさ。どうしてもカーセッ◯クスしたいなら、お祖父様からディフェンダーかディスカバリーをガメて来なよ…」

ベラ子「余談ですが母様の車、前の座席が寝るほどリクライニングしないんですよ。車内おめこの需要はともかく、安心して車中泊や仮眠が可能な治安のいい場所で使う事をはなっから考えてないみたいで…」

マリア「実はベラ子の奴もリクライニング量は似たりよったりだ。車内姦淫を重視するなら、お前ら素人は監獄国のレで始まる某ブランドの車を買いやがれってところかな」

べらこ「エアコンも日本の気候向きですよ、あそこのは。凶器のような冷風を吐き出すんじゃなくて絶妙な風量と温度でじわっと効いて来ますから」

マリア「…って待てベラ子」

べらこ「何ですかねーさん」

マリア「お前の車を、そのレで始まる店に下取りで持ち込んでみろ。追い金なしに監獄国のSUVで二番目にいいやつで三列目があって車内姦淫にも使えそうなでかいのが買える可能性があるんだよ…下手したらお釣りが何百万円か戻ってくるぞ…」

べらこ「母様。車検証と保険証は当面あたしの部屋に隠しておきますからね!」

マリア「なお、本当は積んでないと走らせちゃダメなんだけどな…」

ジーナ「失礼な!うちが娘の車を勝手に売り飛ばして買い替える鬼母に見えるんか!」

マリア「かーさん。こないだ領事館庶務課にレ◯◯ス東大阪からさ、あそこの四駆で一番高価で盗難目標にされやすいアレの見積と、乱暴ルギーニの下取り査定表がメールで来ていて、何ですかこれと聞かれたんだがよ」

べらこ「母様。少しばかり母娘の対話の必要性を感じます。あと、現状のかーさまの車で果たしてどこにどういう不満をお持ちなのか、かーさまの身体にお聞きしたいんですけど」

ジーナ「待てベラ子!話せばわかる!ああっ後ろのドアが中から開かへんがな!」

ベラ子「ほっほっほっ、確かこの車、後部ドアのチャイルドロックの設定が少し特殊でしたわよね?さぁ、暗峠の手前までなら充分いけるでしょう!何でしたら阪奈道路からシギイコ(しぎいこまどうろ)でも構いませんわよ!宝山寺のすけべ宿でも!」

マリア「みなさんも、性欲だけで車を選ぶダメな大人にはならないようにしような!わはははは!」


2021.9.13

べらこ「っとですねぇ、このお話の続きですが、闇堕ちマリアの方になるそうです」

https://novel18.syosetu.com/n0112gz/51/

マリア「ぐぐぐ…正直このままR15で行きたかったらしいが、あたしたちをキャンと言わせるような屈辱的なことが起きてね…」

べらこ「いわゆる伏線ってやつですか。そうしたものも出てくるそうなんですよ」

マリア「未成年に好ましくない内容なのはこの話自体が根本的にそうできてるようだけど、ちょっとな、今回はなっ」

べらこ「ただ…おかずと言うのですか。修学寮男子には禁止行為にしているあれになりそうな話じゃあないんですよ…」

マリア「すまぬ…すまぬ…」

べらこ「とりあえず、あたしの車が本来想定していた使い方の一つで走ります。これは確定です」

マリア「あと、とんでもない人がとんでもない活躍をするぜっ」

ないじ「まぁ、おや兄弟姉妹でのお話合いは本当、普段から欠かさないで下さいましや」

べらこ「でないと冷蔵庫に隠したお菓子などが犠牲になります。しくしく」

マリア「ベラ子の皇帝歳費なら、高知県の会社に頼んで世界一のジャンボパフェ作れるくらい余裕で買えるだろうがよ…」

べらこ「ねーさんの部屋の冷蔵庫のコンセント、抜いときましょうか」

マリア「やめろ!あたしのガ○ガリ君をお釈迦にする気か!」

べらこ「皇族歳費の金額を鑑みますと、もう少し良いものを召し上がっても。あと、MIDI仕様の身体ですから虫歯や肥満には無縁でしょうけど、あれ…人間の体のままだと、あたしの三一なのとかより毒ですよ…」

マリア「…ぜってーこの性分はあの母親似だ。ベラ子、むかつくからあのおばはんをもう一回暗峠に連行してくれ」

べらこ「ねーさんが自分でしなさいよ…使わないと錆びつきますよ?」

マリア「錆びつくで思い出したんだけどさ、アルトの日本刀あるじゃん、リトルクロウ」

べらこ「なんですかいきなり。ありますけどね」

マリア「あれ、雅美さんが詳しいはずなんだけど、確か日本刀でも古刀って言って、かなり古い世代のはずなんだよな」

べらこ「日本刀のくせに両方の側に刃がある変態的な作りなのは見て知ってますけど」

マリア「どうも奈良時代から平安時代にかけての釘とか一部の日本刀同様、ものすごく変態的な鍛造方法と素材で作られてるらしいんだよ」

べらこ「ふむふむ。もしかして、あずさんの実家に絡みそうですね」

マリア「というわけで、近々鉄鋼に関する話をするかも知れないそうだ」

べらこ「痴女皇国にも刀剣LOVEな風潮が押し寄せるのでしょうか」

マリア「…正直、うちの国ってはりせんとムチで核攻撃レベルのダメージを相手に与えられるから、通常の武装は必要ない気もするんだけどなぁ…」

べらこ「格式は必要でしょう。ただ、言いたいことが一つあります」

マリア「大体想像つくけど、言ってくれ」

べらこ「あのちんぽ柄、絶対にあたしの代で廃止しようと思うのですが」

マリア「不許可。アルトとダリアと、あいつらの配下が絶対文句言うぞ。それと乳上やクレーニャやマリーはもちろん、サリアン配下の紫組とかも」

べらこ「えええー? なんで?」

マリア「考えてくれ。あたしら痴女種だろ?相手への攻撃って何を使うよ」

べらこ「あー…あー…」

マリア「あれは戦車で言う副武装の同軸機関砲とか、戦艦の副砲とかみたいなもんなんだ。あと、昔の武士が刀に指していた小柄とか、陸戦兵士のサイドアーム、つまり拳銃類」

べらこ「でしたらせめて、あの純金の重いのをやめて欲しいのですよ…あれ、妙に重いと鞭を振るう際のバランスも崩れるんですから…」

マリア「ああ、作り直しを工房に持って行って依頼したらやってくれるよ…その代わり、ベラ子の場合、何があっても形の指定がかかってるんだ」

べらこ「わかってます。ラスプーチンちんサイズ。これは覚悟しています」

マリア「文句はあれを身体装備として採用した母様に。身体で語り合ってくれていいから」

べらこ「はい。親孝行は必要ですよね、お・や・こ・う・こ・う・は」

マリア「みなさんも親子の対話は普段からきちんとしような。あと、兄弟姉妹の話し合いも!」

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