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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


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臨時校外活動・日本三大祟り神営業ドサ回り!5

皆様、マリアヴェッラです。


…嫌がる人に嫌がる事をしに行くのは気が引けます。


しかし、皇国の興廃この一戦にあり。

嫌ですけどやらなきゃならないこともあるのです。


…ただ、ホモ行為の片棒担ぎや強要は遠慮します!

「いやー、勤労奉仕まがいをやる事になるとは。あ、お菓子は頂いとるからな」


「ごめんごめん、高速意志疎通でなるべく手短に話を終わらせるつもりだったんだけどさ」


「まぁ、こちらの意図は伝わった…と思いますよ。あとは明日次第っしょ」


「人々とあたし達は表裏一体、不可分と理解頂けましたが、全ての日本国民がそう思ってくれるか、ですよね」


「だからあの一族に頂点へ戻ってもらえる立憲君主制回帰を提案したんだ。あの一族は単なる普通の人類じゃない。常時おかみ様や他の上位八百萬神族の支援庇護を受けているんだよ。その代わりに義務も与えられてる。神社本庁なんかがいい例だな」


「今の議会制民主主義制度下だと、田淵総理にあれこれ押し付ける事になってしまいますからね。さりとて現政権与党や官庁に、痴女皇国絡みの話の処理能力があるかというと極めて難しいですからねぇ。日本こそマリアさんに首相をして頂きたいところですが」などなど話しながら。


さて、時間も押し迫りましたので学生の皆様を学校に送り届け、痴女皇国組は痴女宮に戻りました。


「食事行ってきまーす!」あずさんとよっしーが連らって女官食堂に向かうのを見送り、他の皆は21階に。


あ、最近、痴女宮に入り浸るおかみ様のお部屋ですが、ひと悶着ふた悶着の果てに…。


「どうもてることくれーぜの部屋は殺風景でいかん。せめて白木で壁を作れんのか」


「あきまへんっ。痴女宮は基本的に難燃または不燃素材ですっ。床の絨毯もわっざわざ日本から取り寄せたんですよ?」…名目上はあたしの部屋に本来は住んでいる筈の美男公が取り寄せた鯖挟国特産の絨毯が床敷きに使われていて、あたしがゴロゴロしてるのは内緒の方向で。


あ、美男公は修学寮内教務区画にある個室で寝起きしています。本当は玄奘さんと同居の話もありましたが、玄奘さんの中の人が風紀に問題があるから一緒の部屋はやめなさい、()()時は21階のほも部屋でときつく言い渡したそうです。


ちなみに…その後で玄奘さん、女体モードに戻って23階の手空きの人か21階の秘書課の誰かと精気授受を行いますがね…あたしが担当する事が割と多かったりするんですよっ。


(現状の痴女宮の人材層を鑑みますと、マリアヴェッラ陛下が担当なさるのが一番無難です。本当なら田中部長が地位的に適任なのですが、あの方だと玄奘くんに悪影響を与えかねませんので…)


雅美さんごめんなさい。あたしではパンチさんの評価に反論、不可能です…。


そんな訳で宇賀神ちゃんとおキヌちゃんを連れて自分の部屋に。シャワー使ってから長椅子にどかっと身体を預けます。


「あー疲れた、なんか疲れた」


「ところでベラちゃん…宇賀神ちゃんなんだけど…」実は宇賀神ちゃん、実家のお仕事や家族構成がまだ明かされていませんでしたよね。


で、彼女は元々東京都内住まいだったそうですが、関東メディアというテレビ局系報道機関にお勤めのお父様が、もともとの田舎だった栃木県のローカル放送局に出向辞令を出されて向こうに単身赴任中。


お母様のご実家が箱根に家を構えた有名な地質学者で、現在は母娘二人で渋谷のマンション暮らしをしているが、元々かなり「ええとこの家系」らしいですよ、お母様方…。


(でなきゃあそこ通わせませんって。お父さん、ちょっとした縁があって存じてますけど、何か元々は対内処理担当だったそうです。社内のゴタゴタに関わる仕事で、それをさせていた上司が功労手当みたいなモンだって言って、退職の間際に子会社の腰掛け役員に押し込んで下さったようでして…親子の仲は悪くないとは聞いていますよ。お母様も、その局長さんの口利きで関東メディア本社でお仕事しておられますから渋谷住まいを続けてると)と「同僚」役のおキヌちゃん談話。


で、これだけなら悩む必要ないと思うでしょ。


「母の膵臓ガンが問題でして…ステージ3で余命一年から二年を宣告されているのですよ。つまり、

受験や大学進学に影響甚大。かと言って父は本社に今更戻れないですし…」ってな話を栃木の局内で聞きつけた向こうの社長様から若様の家に話が流れて、それならばと痴女皇国関係の留学要員に選抜されたそうです。


「で、お母さんどうだったのよ」


「とりあえず今のところは摘出手術後の経過はまぁ悪くないんですが…無理は禁物なので制作系でなく総務に回って時短勤務ですね」


「東京いたんだし、見に行ってあげたら良かったわね…ねーさん、膵臓ガンでステージ3、治療は可能なの?」


「んー。ま、手っ取り早いのは痴女種化。その際に遺伝子レベルで身体再構成すりゃ大丈夫だわ。ただ…これも向こうの方針に関わるんだよな。修学寮児童にしてるのと同じ一人卒化しても、寿命は三桁年に伸びるの確定。周囲にバレたら必ず騒ぎになるから」


「なるほど…職場への周知徹底、必要よね…うかつにあたしが会ってたら、その場で治してしまいかねなかったわ」


「名目上は痴女皇国への移住プログラム参加者に限ってるからなぁ、疾病治療。とりあえず宇賀神さん、あなたのお母さんにはあたしが話をしたげるから。最悪、母娘で痴女皇国移住も引き受けられるよ。大学行きたきゃここから通わせてあげるし」心配すんねぇとばかりに宇賀神ちゃんの肩をパンパン叩いてますね、姉。


「ま、これまた連邦政府やうちの関係国と進めてる話なんだけどさ、ベラ子は知ってるだろ」


「ああ、人類痴女種化プログラム」


「ななななな何ちゅうことを」


「ベラちゃーん…ついに痴女皇国が地球侵略に…」


「そんな訳あるかー!だいいち、何も痴女種化しなくてもやろうと思えば出来るわよ。…そこの姉が絶対に制止するけどねっ」


「たりめーだ。あとで言うけど、単純に人類を痴女種化すると思考や記憶共有がかかるから、自由な発想を阻害する危険があるんだよ。発明や発見を生業とする連中を安全に転換する方法、目下研究中だけどな」


「ねーさん見てたらさ、あまり障害にならん気がするけど」


「うっせー。で、何で痴女種化するかというと、ガン治療にも関わる話なんだけどさ、宇宙空間だと大気圏内より有害電磁波や放射線の影響は甚大だよな」


「未だに民間人の宇宙旅行が高価な理由とは聞いております。シールドだらけの船で行く必要があるからと」


「で、単純な旅行のみならず移民や宇宙開発にも影響甚大。しかも、惑星改造なんて百年じゃ終わらないロングターム事業だよ」


「…あ!痴女種化したら寿命延ばせる!」


「そーゆー事。他の星系開発を行う場合、仮に可住公転軌道帯域(ハピタブルゾーン)進化可能公転軌道域(ゴルディロックゾーン)に有望な星がある恒星系が見つかったとしても、人類が住めるような大気組成や生態系を根付かせるだけでも最低数百年単位以上の大仕事じゃん。だけど痴女種なら、百人卒未満でも必要酸素濃度は人類より少なくて済むし、電磁波の影響もうんと減らせる。千人卒以上なら船外作業服なしに宇宙空間で活動すら可能だかんな。つまり定住環境構築作業員にはうってつけなんだよ」


「問題は精気供給手段よねぇ」


「単純に男も連れて行きゃいい話にならんからな…」


「はいはーい、ものすごく素朴な疑問ですっ。私たち自身が精気というか生体エネルギーを発しているなら、それをある意味共食いすれば良いのではと不肖勅使河原、考えましたがっ」


「ぬふぅ…名案だ。だがな、実はそれ、あんま効き目ないのよ…実は痴女皇国開闢初期に精気不足を補うために循環システムを作った事があってね…あの2分から3分に一回は何かしてるのに遭遇するって奴な」


「はいはい、田野瀬先輩や室見先輩から聞かされました」


「あれだけじゃ足らないの、その時に発覚してんのよ…必ず外部から一定量が必要になんだわ。それと、うちら自体は一種の人工生命体で、純粋な自然発生生物じゃないからな。だから発生する精気の質はともかく量はどうしても一般生物に劣るのよ。摂取する食物やガス交換…二酸化炭素発生量も含めたら、ものすごくエコロジーな生き物なんだけどねぇ」


「そんな生物にされていたのか…」


「宇賀神さんと勅使河原さん、あたしとベラ子で千人卒化したした際に説明したと思うけどさ、基本的に地球上の生物で勝てないものはいなくなるから。…流石に深度一万メートル級の深海はあたしやエマ子じゃないと普通に活動できねーけどな」


「そんな所で動けるんですか…」


「M-IKLAシリーズに行けない場所などないっ。ブラックホールど真ん中だろうが恒星中心部だろうが存在可能なのだっ。深海なんざまだ楽な方だよ?重力制御してのしかかってる海水の質量ゼロにすりゃ普通に動けるぜ? 可視光線だろうが赤外線だろうが周囲に放射できるし」


「当たり前のようにのたまう先輩がこわひ」


「で、そんな怖がられる生物の端くれにだね、君たちの同級生に参画して頂きたいがためにあたしが今ここにいるわけだが」そこに、あずさんとよっしーが戻って来ましたが。


「おう、一般人女子2名。ちょい頼みがある。この二人と同じ千人卒で痴女種化しといてくれ。明日のアレだきゃ、ちょっと普通の人間のままじゃまずいんだわ」


「えええええっ」


「わたくしたちは普通の女の子でいたいですっ」


「いや、今日会ってたあれですら本当はヤバいんだよ…あたしら和やかに話してたけどさ、あのおっさん、普通の人間が側にいるだけで本人が害を与える気がなくても自然に祟られるから。明日のはもっと危ないんで、予防措置を施したいと思う。実は痴女種化すると、この手の祟りや呪いの因果律から外れたりするのもメリットでなっ!」


「で…非接触痴女種化の実習ですか、あたしの…」


「ベラ子の理解が早くて助かるな。というわけであなたたちに拒否権はないっ。大丈夫だ安心しろ。指一本触れずに出来るから」


「え?()()があると聞きましたけど」


「あずさん、あたし達の時もベラちゃんとエマちゃんだったかな、手を触れずに数秒で終わったわよ」


「ふはははは、最近は博子さんの時よりもっと進んでいてな。芳子さん、もう終わったぞ。ほら、ステータス見てみな」姉、めちゃくちゃ手が早くないですか。


Yoshiko Sikasu 四十洲芳子 Thousand Suction(10 thousand Suction)千人卒(限定万人卒) Pure female Visual 女性外観 Guest.(Ministry of Interior, Imperial of Temptress) 痴女皇国内務室所管滞在客


「はいベラ子。感心してないで梓さんにやったげて」うげげ。


「もっかい手順送ってやるからその通りにな。核酸構造サンプルから痴女種選択。ステータスレベル初期設定は出力千人卒、入力一万人で。あと、痴女種機能制限忘れんなよ」へいへい。


「いよっしゃあああああ」


「だいたい5秒か、まぁOKだな。…うん、ちんちんリミッター効いてるし、成功成功」


Azusa Iokibe 五百旗頭梓 Thousand Suction(10 thousand Suction)千人卒(限定万人卒) Pure female Visual 女性外観 Guest.(Ministry of Interior, Imperial of Temptress) 痴女皇国内務室所管滞在客


「前から聞こうと思ったのですが、私達の外観ステータスがベラちゃんと違うのは…」


「それがちんちんリミッター」


「な、何という名前…」


「あまりに露骨過ぎますっ」


「いいじゃん、あの母親の頭の中覗いて聖院第二公用語を覚えた奴が多いせいでな…ち◯ぽとかお◯ことか露骨に言うのばかりなんだよ、うちの国…知識共有の弊害だよな…」


「そう言えば室見先輩からも、ここの日本語の単語や発音、関西圏風味マシマシだから聞き取り注意ねって…」


「あれはそういう理由だったのか…」なぜそこであたしを見るのよあんたら。見るなら姉でしょ姉!


「うるせぇっ!当時は意味がよくわからんままに聖院第二公用語の言語体系構築と分析、クレーゼ母様からやらされたんだぞ? あたしまだ専用カゴの中生活してる乳児状態だぞ?」


「ねーさんが痴女種の即成栽培に取りかかった理由よね…」


「あれ修学寮児童にもしてますよね?原理は何なんでしょう」


「簡単。仮死状態でその場静止のスティックスドライブ・レベル1に連れて行く。んで12歳が目標年齢なら12年後の時間軸状態のままで固定して元空間に復帰するだけよ。で、その最中に記憶や知識共有かけて基礎的な学習も終わらせとくの。ほら、そこに経験者いるから」


「ほっほっほっもう一人経験者がっ」あの…エマちゃん…姿…。


「だってこの四人にはお見せしてないじゃないですかっ」はい、うちの娘、フルパワーモードで来やがりました。だから人を驚かせる姿に簡単になるんじゃないっ。


「それに陛下の前でしたからね、猫かぶるのが大変で大変で」


「被ってたんかい…」


「そりゃー、あたしの元来の頭の中と喋り、もうこれでいいんじゃないかと思いまして」


「誰だよエマ子にそんな内容仕込んだの…お前、仮にも後の世で救世主扱いされるんだから、もう少しこう、敬われ崇められる聖人感ってものをだな…」


「いいじゃないですか姉さん、姉さんだって痴女皇国開国した当時からは随分キャラ変えしたんですから、あたしがそれしても構わんのじゃないでしょうかっ!」だからエマちゃん、羽根バサバサすると迷惑だからいつもの姿に戻りなさいっ!


「ですからエマ子、その砕けカラッテレ(キャラ)、その姿の時だけにしておきなさい…いいですね? そう、その姿の時なら「あー、エマちゃんだしま、いっかー」で皆さんが見てくれますから!」


「あぅあぅ…、あたしはそーいう枠なのですね…」


「みんなー。エマ子がこれでないと違和感ある人ー」姉含めて全員、挙手。


「更に言うとニッカボッカ姿とか設備作業員の姿の方がもはや見慣れたと言うべきか」


「痴女服着てる方が珍しいですよね」


「ジーナさんと見分けつきやすいので服はその方向でお願いします」


「土建屋さんが一升瓶片手でも違和感ありません」


「そーいや、エマ子って2リットルのとか4リットルのペットボトル持ってうろついてる事も多いよな」


「あの…4リットルって…お酒のペットボトル…」


「18リットルの段ボール入りコンテナ持ってないだけマシじゃないでしょうか」


「皆さんあたしを酒乱の作業員か何かと思ってませんか!」


みなさん。重ねて申しますが、エマニエルはわたくしマリアヴェッラの娘です。


ですが、私は生まれた時から痴女種。従ってアル中った事は全くありません。


グラッパの瓶が手放せないとかワイン樽を室内に置くとか、痴女宮地下にワインセラーを建設する指示を出した記憶は一切ありません。


…いや、酒蔵、あるにはありますよ? しかしそれはあくまで22階とか21階利用客にお出ししたり、はたまたクラブジュネスに回す分など、特別行事のために備蓄してあるものでして、高温多湿環境からお酒を守るために聖院時代から存在した地下施設です。そもそも依存症が発生しない女官種や痴女種ばかりの聖院(痴女皇国)にアル中とかアル重はいません! …軽空母のポーラはたまに来ますけど。


「ちなみにあたしはほぼポーズだがジジイやNBの皆様に倣ってヤニってる時もあるぞ。銘柄はJPSかロスマンズだなっ」だから姉は不良女子○校生キャラなのか…。


「ヨーヨーは持たないぞ。あと鉄仮面も保有していないからな」知りませんっ。


そんな訳で。


「なじぇ天王寺に」


「そりゃお前、学生さんは北野天満宮にバスで行ってもらうからに決まってるだろ」


「えー、あそこに同行して頂くのでは」


「いや、話が変わった。おかみ様他と協議の結果、あそこだけはまずいとなって学生さんに悪影響を及ぼさない方向でスケジュールを変更した。菅公にはおかみ様から話をして貰ってるから、そういう事ならと快く参拝してくれと言われてるし。で、今日の組は近場の分のお詫びで、昼飯は○亭の懐石料理、一人あたまリニア往復団体運賃級コースだっ。正直、あたしもそっち行きてぇんだけどよっ!」


「えー、イタリア料理にしたげましょーよー」


「馬鹿野郎日本人なら和食だろうがっ」


「私はルクレツィア母様似ですから、どうしても最上位にイタリア料理が来るのです!マリーさんがバゲットや鴨を頑なに求めるのと同じです!」と、食文化摩擦ここに極まれりなやり取りをしておりますが。


「で、ねーさん。あたしらはどのように行くのですか、あそこ」


「そこで領事館ナンバーつけた車2台が活躍する訳だよっ」ええ。あたしの乱暴ルギーニのSUVと、ジーナかーさまの英国製四駆がそこに。


「何ならあたし運転していこーか?」


「いえ…ちょっと頑張ります…ねーさんは助手席で」


「ほんまはあたしが助手席の方がええねんけどな、あたし、こっちの運転あるから…」


で、とりあえず学生さん10名の引率は若様にお任せします。


…なんか結構いいバス、来てません?


「うん、例のやられ号の会社の大阪福岡線予備車。貸切登録されてて団体利用できるらしいから」


「うう、あたしも北野に行く方がいい気がしてきた…」


「待てベラ子。椅子の出来は乱暴ルギーニの方がいいんだぞ。シートエアコン付きフル電動18箇所調整機能なアルカンタラ張りスポーツシートだぞっ」


「椅子の問題じゃないですよ…」


で、座席の割り振り。●は運転者ですよ。


1号車

マリア ベラ子●

エマ子 アルト


2号車

てるこ ジーナ●

なおし おかみ

ひとみ


「ううう狭いっ狭すぎるっ…直ちゃん、もうちょっと椅子、前に出せね?」


「バカヤロー、これでも一番前から一つか二つ目くらいだよ!これ以上出すと俺の足が収まらねぇよ!」


「だからドメちゃんを三列目にしたのや…ほんまは直ちゃんを三列目に押し込みたかったんやけど、こやつが文句言いくさりよるから!代わってもらうなら今のうちやで…」


「わしはここでええけどのう」


「ちなみにあたくしは身長170cmにしていますわよ。ですから菅野様には窮屈に思われていない筈なのですが…」と、ランドローバー組が中東作戦での悲劇再びな座席配置に苦慮している一方で。


「いやー、ねーさん、4人乗り仕様にして正解っすねー。はっはっはっ、ジーナ母様やベラ子母様と全く同じ体格のあたしでも快適そのものっすよ」


「ええ、あたくしも中東作戦でジーナ様のうしろでしたから…しかもダリアと父と三人で!あたくしにくっつかざるを得なかった父が興奮してしまったのが不憫で…道案内があるからドレインさせて頂くわけにもまいりませんでしたから…後でひそかにドレインしておきましたが」ああ、アルトさん、母様のランドローバーで延々と数時間走ってたんですよね…しかもダリアさんとアルトさんだけでも、かなり窮屈だったのでは…。


「だからあのおばはん、中東作戦の時に懲りたのなら、お祖父様にゴネてレンジローバーかディスカバリーに取り替えて貰っときゃよかったんだよ…せめてイヴォークにしとけや…五人乗りだけどよ…」


「幅と長さが嫌、長田や布施のスーパーに行った際の駐車場で困るとかわがまま言ってましたからねぇ。確かにあそこ、この車だとものすごく困りますけど…」


「まぁ、おばはんは自業自得だ。とりあえず出すぞ」で、領事館正面の車寄せから出発して、元々の場所よりはかなり東側にされたという谷町筋という幹線道路に出ます。ユニオンキャリーの物流センターに出入りするトラックも多いから注意が必要ですね。


「ここがこんな東大阪まがいの物流基地になるって、絶対に当時の人は想像もつかなかっただろーなー」とは姉の弁。なんでも領事館ビルやユニオンキャリー…旧・フットワーク上町物流センターの敷地はほとんどがパンチさん由来の宗教のお寺やお墓や女子学校などだったそうです。あと場所柄高級マンションや邸宅も多かったとか。


「難波宮入口から東大阪線入ってくれ。あとは京都南までオートパイロット入れていいよ」で、姉の指示に従って自動車専用道路に乗り入れます。


「この難波宮だけは将来、発掘調査が可能になった時に備えて阪神高速も中央大通も高架でなく地上に作ったんだよ。高架にしたら地下に基礎作るんで必然的に掘り返しちまうからな。おかげで13号東大阪線がこの西、神戸線や環状線もろとも吹き飛んだけど、ここから東だけは迅速に復旧できたんだよ」


「かー様が買い出しに行く道もこれですね」


「ああ、だからババァに遠慮せずに踏んで…交通量がまだ多いな。ちっ、欺瞞映像をN4システムに送り込んででも踏ませてやろうと思ったのに…」


「何でこんなうるさいものを運転席前に装着したのかよくわかりました。…安全運転で行きますからね!」はい、一キロ先に何々があるとかいちいち警告してくれるアレ、付けられています。


…これ買ったとき、わざわざイタリア行かされて何日か特訓させられたんですよ。免許取り立ての人間が予備知識なく走らせたら絶対事故ると言われまして…。


で、わざわざカラビニエリ仕様のパトカー色の乱暴ルギーニが前後についてスピード違反OKにして頂いた上で、高速道路(アウトストラーダ)を全力で疾走する前のパトカーについて行けとか、その前に()()()()という所で、広報用という同型の車に乗せられて乱暴ルギーニやフェラ   ーリのテストドライバーの方の助手席を経験してから同じように運転しろとか、果ては()()()という、かなり広い場所にあるまん丸い道に連れて行かれて見本付きで最高速度を出したまま走り続けるとか色々やらされました。


もちろん、あたしから見て左手…広報車は右手で操作する場所にあるオフロード走行スイッチや、もでなとかもんつぁのようなレーシングカーが走る場所で使うモードスイッチの操作が必要な場所、走らされましたよ。


確かにこの車、皆様の時代にも似たようなものがあるはずですが、更に凶悪です。完全静止から100キロ出すまで3秒台とか、リニアには負けますが新幹線やエウロスターといい勝負になる最高速度とか、一体何を考えてこれ作ったのでしょうか、我が祖国(イタリア)


「エンジンが3リッターV6ツインターボ700馬力、モーターが100馬力だっけか。ほら、80キロくらいじゃほとんどモーターだけで走れるから、しょっちゅうエンジン停まるだろ。ほんとは監獄国の会社の製品の方がこういうの得意らしいけどな」


「母様は意外と気に入ってたみたいですけどね。踏みさえしなければ普通に走れなくはないと。ただ、パワーモードスイッチには触ろうとはしませんでした」


「あと、あのおばはん、これよりもっとでかいトラック動かせるくせにデカい車嫌がるよな…」


「確かに言えてますよこれ。ものすごく小回り効かないんですよ。タイヤ太いし四駆だからハンドル切れないのは仕方ない、我慢してくれと乱暴な会社の人も」


「あー、そういやあの神社の駐車場、確か結構狭いんだよな。もし入りにくいようならゲートで聖環かざしたらあたしが転送入れるわ」ならばわざわざ車を出す必要があるのかという気もしますが、姉曰く、あたしの運転練習も兼ねてるし、何より旅行気分を満喫したいからだと。


「ただでもこれから修羅場になりそうなのに、気構えもなく行きたくねぇんだよ…」などと助手席でぶつくさ言う姉をなだめながらハンドルに手を添えて前方監視。


ぴ、ぴと音がして近畿道への車線変更サインが出ます。ここであたしが何もしなければ了承とみなされ、自動運転操作が継続され、勝手にウィンカーが出てインターチェンジに入ります。


で、先行車に続いて左折、近畿道に合流。


(え ?今回は警察の護衛つかないんじゃないの? 仕方ないなぁ、とりあえずあたしら今13号東大阪線だけど、法定+10くらいで行っとくから第二京阪で合流するようにお願いしてよ。あ、ベラ子、次は門真(かどま)で第二京阪回るから。相変わらず京都南から1号線は混んでるな…かーさん、京都南から先の下道が毎度のあれだからさ、第二京阪から京都十条回るわ。門真南の手前で左車線張り付きな。若様も第二京阪回るって運転手さんに連絡頼むわ)渋滞情報(VICS)を取得したらしい姉がナビを操作して進路を決めています。この辺は日本の道に詳しい姉にお任せで。


「よしよし、かーさん付いて来てるな…たく、自動運転レベルの上の奴にしときゃいいのに…」


「あれ、結構古い奴らしいですね」


「車体関係は全て再構築してるけどな。なんせ基本設計が昔のだから。尿いるし尿」


「尿素って言ってあげましょうよ…」


「運転支援機能はついてるんですよね」


「ただなぁ、名阪国道をあれで走ると指示速度から4〜8キロは余裕で過速状態になんだよ。さすが英国製」


「あー、言ってましたね。坂道がきつい場所の下りはわざとクルーズ速度下げて過速込みで走るって」


「しかも外交官車両扱いだから燃料税免税なのにわざわざディーゼル指定するか、あのおばはんわっ。ま、トルクあるから乗りにくいわけじゃないんだけどさぁ…マニュアル運転でガンガン行く代物じゃないのは断言するっ」


「しかしイタリア政府、随分とあたしにこれ渡すのに熱心でしたね」


「そりゃ名誉国民扱いにしてるんだし、元々地縁血縁的な繋がりがめちゃくちゃ強い国だからな。ほれ、お前がイタリア料理にこだわるのと同じで、何だかんだ言って自分らが文明文化発展のリードをしてるって意識めっちゃくちゃ強いから。こんな車、日本じゃ作っても300km/hオーバーとか過剰性能にしないだろ?」


「確かに、日本でこれ動かすとガン見されるんですよ。特にあたしが乗ってるってわかった時。なんでこんなねーちゃんが乗ってるの?とか。たいていは前後の領事館ナンバーで納得されてますけどね」


「んだなー、エマ子ー、アルトの側の青姦シェード上げたげて。リアドアはスモークガラスだけど、念のために見えなくしとこう」


「その呼称は何とかなりませんかねーさん。あくまでVIP用の装備と聞きましたがっ」ええ、この車、センターアームレストのコントローラを使うと、後ろの席のドアの窓のところに日除けが電動で上がってくるんですよ。ちなみにエアコンは4ゾーン・クライメートとかで、前後左右各席ごとに温度調整可能です。母様がめちゃくちゃ羨ましがってましたが、ならレンジローバーの一番でかいのガメて来い、カクテルテーブルついてるのがお祖父様のガレージにあるだろと姉がすかさず突っ込み入れてました。


「まぁ、立憲君主制を提案したのもその辺があるんだよな。はっきり言って初動の敏捷さに欠ける政治体制が結構な年数、続いてるからな。その辺は企業だけで突っ走れる米国とか、良かれ悪かれ官民一体が得意な欧州に一歩劣る部分だし。今回はお前のリクエストもあったし、イタリア「でも」このくらいはやるよってデモンストレーションになったんだから良しとしようや」


「英国に話を持ちかけて領事館公用車扱いにしてもらえましたしね」


「んだ、税金とか免除されるメリットが受けられるからな。その代わりガソリンスタンドは事実上指定場所だけど…お、白バイ来たな。…はいはい、こちら先頭のランボルギーニですけど、この後京都十条で一般道に降りて東山のあそこ向かう予定です。えーっと、先導車はそちら2台とパトカー1台と。了解しました。前入ってください」姉…警察無線に割り込んでいいんですか。


「いーじゃん、あたしらの能力教えてんだし。…後方最後尾の○鉄バスは○高学生他関係者乗車車両です。ああ、後方警備車もつけて頂けるんですね。ありがとうございます。バスの引率責任者への連絡どうしましょう。私がやっときましょうか?了解、お手間をおかけします。よろしくお願い致します」


「なんかVIP気分ですね。イタリア行った時はポリツィアにもっとわらわらと前後固められましたけど」


「あんま目立ちたくねぇって言ったんだけどさ、どうしても名目警備つけさせてくれって。白バイと黒塗りは府警の車両だけど、前方車には皇宮警察、後方には警視庁外事の派遣者が同乗してるよ。昨日のうちにリニアで大阪入りしてたらしい」


そして車線変更して、第二京阪という近畿道同様に広い道に入ります。あたし達は中央車線を走っていますが、右、追い抜いて行く車がいませんね。


「そりゃそうだろ、後ろにも白バイとパトランプ上げた黒塗り覆面が張り付いてんだから。あ、府警のパンダの増援もつくのかよ…大袈裟な…」右車線を追い抜いて行ったパトカー、白バイを先に行かせて黒い警察車の前に入りましたね。


(マリ公ーなんか頼んだんかー?えらいパトカーようけ来たけど)


(明日の予定が皇宮警察から警視庁に流れてて、護衛自体は一応つける予定だったらしいんだわ。ただ、ほら、学生さんとあたしらが行動を共にする話が変わったじゃん。だからバスはバスで護衛入れるんだってよ。それとおまけにおかみ様がした話さ、結構やばい事をしに行くとかで京都府警にも連絡が行って、神社を一時封鎖する方向で行くんだと。部外者全員立ち入り禁止にしても不安は不安なんだけど、それくらいやってくれるならむしろいいんじゃねぇ?)


(…ちょっと待てマリ公…おい、警察無線流れてきたけど、府警本部から機動隊に動員かかっとるやないか。青バス4台出動して機動隊と警らであの神社の封鎖かける言うてるぞ…)


(ふん、エマ子ボディの機能を使うのをやっと覚えたか。若様ー、神社には連絡行ってんの?)


(予定が決まった時点で社務所には神社本庁から連絡入れてもらってますよ。ただ、封鎖はちょっと予想外だったみたいで参詣客と揉めてるとか)


(まぁ、対応は府警さんに任せるか。願掛けに行けなかった女の子たちの怨念で讃岐のおっさんが喜ばなきゃいいんだけどなー)


(なんか前方、曇ってきてますよ…今日、京都市内って晴れじゃなかったんですか)


(ちっ、白バイさんが困るか…しゃーねーな。エマ子ー、鉄扇公主エミュレーションできるかー)


(へいへい。とりあえず雲吹き飛ばせばいいんですね)


(伊丹への進入経路にかかる部分があるから北西方向な)


エマちゃんが何かしたようには見えませんが、瞬間、確かに雲の動きが変わりました。結構な速さで北西方向にガンガン流されて行きます。


(名神がゲリラ豪雨に見舞われるかも知れねぇけど、あれくらいの雨雲じゃ事故にならんだろ…しかし、よっぽど来て欲しくないんだろうなぁ…)


(まりや、べらこ、ふじん。あれで済んどるから()()じゃ。本気できてほしくないなら、かみなりもつけてきよるし、もっと降らせよるわ。ただ、それをやると奴も蓄えを吐き出すことになるからの。精一杯の()()()()()よ)


(その本気で来て欲しくない場合ですが、どうなるんでしょ)


(あー、野分(のわけ)言うてわかるか。鬼を痴女島に入れようとした際に、鉄扇がかくれみのに使うた雨嵐)


(台風のことな)


(んっとなー、むろと台風とかいせわん台風とかじぇーん台風とかあるやろ。大体あんなん呼びよる)


(おかみ様…それ、どれか一つでも洒落になりませんよ…絶対に数十万人から数百万人は巻き添えにする気満々だな…)


(最近では地揺れのわざもおぼえたとかで、なまず使いよるかもしれんな)


(ダメ阪神大震災ダメ絶対!)


(かしま神宮に倣って石置いたろか。なんか、()()()像とかいう石を置くと効き目あるらしいんやけどの)


(それ別の意味で煩悩に満ち満ちたの、あの神社に集める事になるからやめときましょうよ…)


(まぁ最悪、姉とあたくしが本来の姿に)


(てるこ…ここはれんぽうの世界や…痴女皇国と同じに考えるな…民草巻き添えにする気かい…)


(えー。みんなのアイドルエマちゃんからでーす。あれについて今、解析中ですが、何とかなりますできますよ。周囲への被害なしで、差し出すもの差し出させちゃえます。問題おまへん。…いや、いっこ問題ありますわ。あのおっさん、あたしがしばいたら祟り神のままにできないんですよね。むしろこっちの方の影響がなー。ほれほれおかみ様が言うてはったやないですか。人類視点からしたらとんでもない悪神邪神でも、八百萬神族視点だと必要存在とか)アイドルだったのか、我が娘。不意に2-4-11とか言う数字が浮かんだり、ハンマーの槌音が聞こえた気がしましたが気のせいでしょう。


(確かにのう、持て余すには持て余すのよ、あれ。しかし、ひと目線では善神にしてもおけぬ面があってのう。浄化や消滅は避けて欲しいのや。なるべく()()()を削がぬ方向でたのむ)


(ふっふっふっ、その辺、あたしが何も考えてないと思ってるのかね皆の衆!…と言っても、あたしがやると初代様以上にやりすぎるかも知れんので…そこでアルト連れて来たわけですよ!)


(ええええええええ。あたくしに何をさせたいのですかこのよめは!)


(…いや、痴女皇国だと確かにアルトさんトップスリークラスですよ今や。改良型マテリアルボディ装備してるから、実質的にねーさん同格っすけどね。でも何すか、あれおっさんですからケツを以下略でメスイキさせるつもりですか!)


(えまちゃん。あたくしもそれはいやです。ほもなら()()()()()さんか美男公呼んでいいですか。だんこ拒否しますっ!)


(いや待てプラウファーネさん呼ぶ手もあるぞ)


(あんたらはほもにしか興味がないのかーっ!)なんかね、自動運転のはずなのに、車が進路を乱した気がするんですけど、気のせいですよね。


ええ、決して祟りとか呪いとかじゃなくて、それだけはやめてくれというお願いが聞こえたような気がします。


はい、そういう希望には応えたいと思います。


あたしも雅美さんのせ…おかげでそっちの世界にかなり詳しくなりましたが、リアルな描写でおっさん同士を描く需要がその世界に存在するのも知りました。知りたくはなかったですが、実写の動画でおっさん同士が以下略とか、更には母親のいらん知識とか他の理由で、おっさん同士の発展行為というものがあるのも知りました。


尻ネタだけにしりとうはなかった知識です。


ですからご安心下さい。


…あたしは痴女皇国の皇帝を務めるのが存在理由であって、ホモ趣味を極めるのが存在理由じゃありませんから!

マリア「ところで、この話の続きなんだが、アルトが絡むだけじゃなくて未成年によろしくない内容があるとかで、アルトリーネ枠で投稿されたんだ…」

https://novel18.syosetu.com/n5728gy/66/

ベラ子「ええ、またなんです。謝って済むとも思ってないそうです。許してくれと言ってもダメらしいです。よくわかりませんけど」

マリア「一言だけ言わせてくれ。あたしらは別に構わんけど、天の声は安◯金◯比◯宮に謝りに行った方がいいと思うんだ」

ベラ子「謝って済ませてくれるかは疑問ですが」

マリア「…まぁ、とりあえず未成年者は読むな(棒読み)」

ベラ子「押すなよ、絶対押すなよというものですね、よくわかります」

マリア「良い子は18歳になってからな!(神社の境内に落ちていたエロ本を隠しながら)」

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