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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど
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臨時校外活動・日本三大祟り神営業ドサ回り!2

皆様。

痴女皇国内務部女官長、室見理恵です。

ついでにあそこ高校関係者、具体的にはもと学生です。

やはり、地元進学校からどこぞ大学を目指すべきだったのでしょうか。

人生の選択肢をノリと子宮で決めたことを後悔するべきかも知れません。


…でも、ダリアは渡しませんからね!

「まぁしかし、はかたの街もえらい賑おうとるのう。撮ったしゃしんは中洲宮に見せてやろ」


「ところで初代様。泡風呂国に鳥の化け物とかおりませんやろな」


「んー。阿蘇山におるかもわからん。何でや」


「このバスターミナル…馬車乗り場を昔、こんなんが襲いましてな」と、ジーナさんがおかみ様に画像を見せとります。見なくてもわかります。だいたいロクなものではないと。


「何やねん、このらどん温泉言うんか、こんなんは流石におらんぞ」


「おったら見せ物にしたったのに」


「なるかっ」と、おばちゃん達がアホな事を言い合っております場所、メトロふくおか天神駅を降りてすぐの場所にあるバスターミナルです。あ、博多駅前のとは全く違う場所にありますからね。


で、周囲一帯はおかみ様が言う通りに繁華街で狭い場所なのに根性で建て直したらしく、高架になっている電車の駅と、更にその上のバスターミナルに覆い被さるような高層ビルがなかなかに立派な感じです。


(核攻撃で吹き飛ぶ前のあべの橋とか上六とか京橋とか梅田がこんな感じやったらしいわ。ただ、あの馬鹿でかいバスターミナルまではなかったはずや)


で、わたくし室見理恵。鉄ヲタ扱いされておりますが、父親勤務先の関係で詳しいだけやと断言させて頂けると幸いです。そして今、なぜかバスに詰め込まれております。


「何やこのやられそうなバスは…」


「サイコロ振ったら東京とか札幌まで連れて行かれそうな外観だよな…」ジーナさんとまりりがめちゃくちゃ失礼な事を言ってますが、これ…新宿行きの高速バス専用車じゃないですか…。このバス会社のバスでは最高級なはずですよ、個室付いてるし。


で、我々は実のところ博多駅から天神まで地下鉄試乗を兼ねて移動。そして、このバス会社の副業と言われている電車で太宰府に向かう予定でした。


しかし、天神駅の改札前に待ち構えていた私鉄の会社役員の方や警官の皆様に頭を下げられまして。そして、電車の駅ではなく同じターミナルビルの上の階にある巨大なバス発着場に案内され、まりり曰くの「キング」ジーナさん曰くの「やられる」このバスに乗せられております。


でまぁ、本当はシートベルトも締めてお行儀よく乗っている必要があるところを、うちのおのぼりさん達はバス前方の個室席で遊びた…見学しております。福岡都市高速から九州道に向かっているというのに…まぁ、普通の人からすると不死身に近い状態な痴女種だからいいものの、何をしているのですかとしか言いようがありません。


「運転士さんに話しかけたらダメですからね!質問はこちらに戻ってからよ!」ああ、何でわたしが、ある意味父勤務先の商売敵(おおてばすがいしゃ)に塩を贈るが如き真似を。


…ええ、九州新幹線や在来線と違い、父勤務先も放出新車センターも、この会社とお付き合いはなかったりするのです!ここ、伝統的に和田岬のライムグリーンな会社と天の声が言うバイク屋さんと親しいようでして…。ふくおかメトロならオレンジ社や放出新車センターが納入実績ありまくりなんですけどねぇ。


更に申しますと、この会社の本業ともっぱらの話になるバス事業で使うバスの車体、これすら自社系列でお作り。それに加えてエンジンなども…監獄国との接点が全くないんです。どないしたものなのでしょう。


「え!室見様のお父様、どこぞ車両…はぁ、JR系列ですよね、お勤め先…」案内役としてお乗りの、そのバス会社の役員様とお名刺を交換した際に、うちの父の勤務先の話をした瞬間にもう、役員様の心中が読まずとも読めるお顔になりましたから。


(あっこは商売敵やなかか!)


(それは仕方がないと思いますよ。父の勤め先の親会社、自社系列以外の全てのバス会社の敵みたいなものですから…リニアと新幹線やっておりますからねぇ…)と、私たちは心を読めますよアピールを兼ねて心話で話しかけて差し上げます。


「しかしバスにつきましては事業展開はお考えでなかとですか」


「比丘尼国様次第ですね。なにせ、進んだ国でもこちらの地球の16世紀から18世紀水準の国内道路事情と考えて頂きたいのですよ。江戸から下関までの街道自体はそれなりのものが出来ておりますが、透水簡易舗装事業ですら、愛知県相当地域で着手したばかりですので…現状では、ドイツにある観光バスツアー会社のアドベンチャーツアー用全輪駆動車でも幅や全長が障害になりかねませんわね…貨物主体の鉄道敷設から着手したのちに道路整備という、明治期さながらの物流網構築の流れで行かざるを得ないのが判明していますし」


「はぁ、明治…駒吉機関車ば用意せんといかんですな」違法運行で何度も官庁指導を食らった会社が多用していた機関車じゃないですかそれ。うちの生体発電機積む方がまだ馬力出るんじゃないかな…。


「鉄道法ぶっちぎりの違法運行にならないようにして頂けるなら、応札を歓迎いたしますよ」ああ、なんで女官人事担当の私が対外営業交渉の矢面に立たねばならんのか。


たのきちに振り倒そうと思いましたが、やつは初代様に臨時任務を与えられ修学宮に派遣されたと…。更に、たのの代行で赴任した方に引き合わされたのですが。


(朕…いや、私が財務本部長代理のデルフィリーゼです。室見さんとは業務報賞金などの決定や支給で担当の部署がご迷惑をお掛けするやも知れませぬが、何卒よろしくお願いしたい)…なんか、アレーゼさんに雰囲気が似てるとは思いましたが、まさか実のお母様とは…。


つまり、クレーゼ出納部長のお母様でもあらせられるわけですよね。あの肖像画で真っ白に燃え尽きておられた方。


…当面、出納部や財務本部に足が遠のきそうだなぁ…。


とにもかくにも、せっかく自社路線バスで一番高い運賃料金を徴収している高級車両…いわゆる「やられる」路線で走っている正規担当車が故障しただの、盆暮れやアイドルライブ他で予約が殺到した場合の続行便に使う予備車だそうですが、正規車両とローテーションして使うので、事実上やられる号そのものを出して下さっている訳ですから、この会社の更なる発展をお祈りするにしても言い方というものがあります。


「しかしすみません、最初は博多駅のバスターミナルから出ている直行便に乗る予定だったのですが…」


「ああ、あちらを…」


「ところが連邦社会での生活未経験者を中心に、うちの国のものよりもっと本格的な地下鉄に乗りたいとか言い出したのが数名おりまして!ならばと天神からそちら様の電車で行こうと予定を変更するハメになったのですよ」


「え?そちらに地下鉄がございますと?」


「これも無茶苦茶な経緯で建設致しましてですね。我が国は通貨が紙幣ではなく貨幣なのです。何せ周りは西暦1600年代水準、紙自体が手作りで高級品の時代ですし、ようやく活版印刷が世に出た辺りなので我が国だけが紙幣に移行しても意味がありません。更に、工業的な製紙量産技術を与える事については、他の機械工業製品の普及と同じく、資源浪費や環境破壊が懸念されますので、導入には極めて慎重になっております…」はい。何で紙幣じゃないのという点がこれです。製紙工場を作ったが最後、大量の水やパルプ材を消費する上、排水浄化が結構面倒という意見が出まして。


「で、当然、港湾部の租税事務所との間で大量かつ重量もかさむ貨幣の運搬手段が問題になりまして、転送ゲートより消費電力が格段に低い事に着目して地下鉄を建設する事になったんです。つまり、元来は痴女宮地下の財務実務部署と租税事務所との通勤用兼現金輸送用なんですよ。将来はともかく、現在は営業路線距離三キロ未満に本格的なのはいらないだろうと、だいたい広島や神戸や大阪の新交通システムと同一規格の車両で4両編成三本で回しております」


「では電車はお父様の会社から」


「あ、父が当時出向しておりました徳庵の会社で。最初は鶴見緑地線か今里線の中古輸入を企てたのですが、何とかして新車を入れてくれと泣きつかれまして仕方なく…技術指導他全部まとめて検修設備他込み込み一括百億円追加払いなし、それも純金の現物払いか英国ポンド払いかどちらか選べやと親子喧嘩に近い商談をまとめさせられました」


「高いのやら安いのやら、判断に苦しみます」


「ただし、うちにはトンネルを一瞬で掘る技術持ちがおりましたがゆえに踏み切れた一面があります。丹那トンネルを異常出水なしに数秒で完成させたくらいですから、例え大深度トンネルといえども雑作もありませんわ」むろん、エマちゃんのことですよ。ちなみにこの会話、地下も含めてこの会社の鉄道部門に一切トンネルが存在しないのを承知でしております。


将来、穴が掘りたくなったらうちの国に声をかけてくれたら安う掘ったるで。博多駅前の陥没事故みたいな事はおまへんではっはっはっとアピールです。


「あと、このバスに乗車している学生の皆様…何を隠そう、私も卒業生でして◯◯大学に通学している事にしておりますが、実際にそこや東京のあそこ大学に現役合格する事を目指す人物ばかりです。貴社人事としてご興味がおありでしたら顔繋ぎはさせて頂きますよ。むろん、国土交通省に入省する可能性のある人物が皆無ではない事を踏まえてお話させて頂いております」


(しかし…理恵ちゃんもなかなかお上手と申しますか、交渉で色々ゴリゴリねじ込まれますわねぇ)


(というか正直、こちらの企業って九州最大級企業なんですけど、九州島内で事業がほぼ完結してるのが問題なんですよ!先日やっと九州道から旧来の県制度に戻せたらしいですけど、経済や人的交流が島内で循環してる傾向が強くて…本州の企業と強い結びつきがあれば商談に応じられるのですが、何でまた体勢整えないうちに商売の話をしに来られたんだろうかとですね、一発お説教ぶちかましたいです!)


(うん。はっきり言うけど、痴女皇国や比丘尼国と仕事したかったら大阪か東京に進出してもらう方が話がしやすいねん。九州でも修羅国相手は特に、何かにつけてウチはこうだからウチに合わせてくれ的営業展開になるからな。例えばあたしの父の会社で、博多の事業所作りたかったら、向こうのめぼしい会社に持ちかけて大阪拠点を作りまへんか、代わりに…とやるか、摩擦覚悟で単独進出するか二つに一つやねんわ。向こうに単純に入り込んで提携を求めると、まず確実にウチはこうだから大阪とは違うっちゅう話になるっ)


(こちらは比丘尼国全域を見たお仕事をして頂ける企業を求めておりますのに、九州だけの話で商売を求められましても、正直困りますわね)


(ぶっちゃけJRの九州の方がよほど話がしやすいのですよ。この地方にありがちな台風や水害の予防や復旧復興、私たちならものの数日、下手したら数時間で終わるじゃないですか)


(確かに、うちの国に金を払って頂ける件の方が遥かに多いんだよな、九州)そうなのです。九州経済圏から我が痴女皇国に差し出して頂けるもの、大抵は他で調達可能なのですよ!


(まぁ、あんまし揉めるようやったら)


「いやいや、これは商機だよりええ君。例えば、このやられ号は新宿まで12時間とか14時間走る訳じゃんか。途中区間は自動運転が入るけど法定監視員の乗務が必要だ。つまり昔々の高速バスと同じで、この床下で仮眠してる運転士と交代で2人ずつで走らせる必要がある訳だが、しかし痴女種が運転要員なら1人は減らせると思わないかね?」と、わざわざ声に出して言うまりり。


「あのさー、更にお客さんから吸う事考えてない?考えてるよね?」


「当たり前だろ。ちなみにそういう需要を見越して既に天王寺に看板だけの人材派遣会社を起業しているぞっ」


「つーかマリ公、あんたそれ、マリアンスタッフの日本法人やろが。痴女種候補をNB経由でうちにダンケするための会社やないか!」


「はっはっはっハイ◯ース用トンネル会社とか失礼な事を言わないでくれよっ。で、この会社は逆に痴女種を派遣可能だ。更にNBとのパイプがあるので、開拓地も多く公共交通整備が立ち遅れているNBに地球の企業を誘致する事も可能なのだよりええ君」わざとあたしの方向いて言うな。


「な、何ですと?」


「専務、NBの現地事情についてご説明しますと…大陸間や長距離…だいたい1,000km以上の遠距離移動をまかなう転送ゲートはある程度存在します。ただ、規模はともかく電力をそれなりに消費するので、必ず発電モジュールですね、それも対消滅機関を同一箇所に設置する必要があるんですよ」(これ嘘。スティックスドライブ・レベル3機能で飛ばすから、NB以外にはブラックボックス渡しになるのよ。それにこれ、はっきり言うとあたしらに敵対したらこちらの都合で停止したり、うちから一方的に戦力送り込んだり、最悪マイクロブラックホール撃ち込む縮退砲として使うから。電力自体は40フィート宇宙コンテナサイズの融発モジュール一基で賄えるんだけど…っても、痴女皇国じゃ過剰消費だから地下鉄作ったけどな!)


「つまり…鉄道や道路需要はあると言われますので?」


「はい。このバスに乗っておりますが、わたしの母親が役員をしていた運送会社にも、貨物輸送事業について現地進出のオファーが来ていた時期がありまして。最終的には国際貨物のユニオンキャリー社に経営統合していますが、NBへの進出事業自体はUC社に引き継がれていますよ」


「なにせ、僻地だと軍の飛行機で民間の客貨輸送をしている場所が未だにありましてねぇ。都市間バス事業に豊富な経験をお持ちの貴社であれば、向こうの交通大臣が話を聞きたがると思いますよ」と、ジーナさん参戦。


「ただ…向こうの実質的な植民地総督がですね、わたしの祖父であり母親からすると舅なのですが、毒舌と皮肉を紅茶で煮詰めたような、本国でも最近はあまり見ないような典型的な英国人でして…」


「あの連中と商売するなら、鹿児島県が昔、イギリスと戦争したノリで立ち回る必要がございます。彼らの二枚舌を黙らせるにはまず殴り合いですよ。私もマリアの祖父…ワーズワース大公とは幾度も娘や夫の事で言い合いをせざるを得ませんでしたわ」


「母と祖父の会話、一見すると普通にお酒を飲んでるようなのですが、祖父はわざと一言ひとことに地雷仕込んで来ますから」あー、ワーズワース大公なら話はわかります。まりりやジーナさんの説明に誇張はありません。あたしもベラ子陛下の結婚式の時に紹介されましたが、読心してさえ韜晦の塊です。本音を読むにも一苦労な類ですね。


「まぁ、専務…御社が進出をお考えの際は必ず天王寺の英国領事館経由で私どもに一言お願い致します。マリアンスタッフの高木社長へと言うと、娘…マリアリーゼに話が繋がりますから。御社への利益確保のためにも、あのおっさんどもと直接の対話だけは避けて下さい。薩摩精神があれば話は別ですが…」


「はっはっはっ、確かに私どもは見境なくチェストはいたしませんからなっ」


(やっぱりな…りええ、九州は注意しろよ。肥前や肥後はもちろん、薩摩と他を同じに考えて話をするんじゃないぞ…)


(確か、鹿児島だけは地元バス会社でものすごく強いのがいるのよ。九州全域を制覇したようなここでも手こずる会社がね…)


(新幹線できてすらバス強いってどんだけよ…いや、前にこことか博多駅前のバスターミナルの映像見たけど、なんかアリの巣からわらわらとアリが出てくるような感じで、ものすごく印象に残ってんだよな…)


(移動経費を削りたがるのは間違いない。鉄道側も割引商品がすごいから、九州人が他に行くと苦労するみたいよ。普通に切符を買うと高いけど、オンライン購入で割引受けたらとんでもない安さのがあるから)


(東京志向が強いのも注意な。実は対九州路線貨物輸送便の契約の話があった際、関東方面の輸送をうちもやっていたにも関わらず、見事に東京本社の企業に取られた事があってな…ほら、マリ公に相手の本音を読ませた事あったやん)


(そーいや、大阪から博多行きのバスは少ないけど、東京行きは正にこのやられ号を延々と運行してるよな…うん。正直、英国領事館が大阪にあるってだけで微妙に嫌がってるわ)


(よっしゃいじったろ。わかさまー。ちょっとだけ協力お願いー)


(こりゃかーさん、手加減はしてやれよ?)


「そう言えば、実質的な私どもの窓口ですが、実は東京の英国大使館に併設したい意向を日本政府に打診した事があったんですよ」こういう時、ジーナさんは普段よりはポーカーフェイスを使えますね。


「あー。それ、日本政府と連邦、特に宇宙軍が全力で拒否したんですよ」ニヤニヤと若様が。「ほらジーナさん、アークロイヤル級一番艦が上空に滞空する話をされたじゃないですか。あれが最大の原因ですよ。連邦の横田基地至近にいきなりあんな宇宙船が来て、しかも実質的な密輸船で地球文明壊滅させかねない装備で武装した航空母艦と分析されたら、絶対に政府は断りますって」


「しゃーないやん。あれ名目はコンテナ船やで?全長700m最大幅100m喫水40m1G下重量三十万トン、最大積載コンテナ数二万個やけどな!」


「どこの世界にVLSミサイルセル128基とか必要に応じて恒星間航宙フリゲート艦や無人宇宙戦闘艦母艦になるわ、艦載機200機以上搭載余裕の大型空母に早変わりするわと無茶な武装コンテナ船があるんだよ。おまけに瞬間移動でNBまで1分かかんねぇとか無茶苦茶じゃねぇか。中東作戦の時に視察した海上自衛軍の人ら、頭抱えてたぞ」


「専務さん…つまり、NBと英国本国の貿易中継点を確保するためにも、アークロイヤル級空母を空中係留できるだけの土地を必要としたんですよ。で、核攻撃後の放射能除染や再開発が遅々として進まない私の故郷に着目したNBと英国が大阪市に話を持ちかけました結果、コンテナターミナルをあんな場所に作る事になった訳です。もし、福岡市が乗り気でしたら対NB向け貿易港誘致をご案内させて頂きますわよ」あのー、ジーナさん、それ、アークロイヤル級かテンプレス級が来るって話ですよね。


「日本政府にイタリア並みの度胸があればいいんだけどなぁ」まりり、ニヤニヤすんな。


「ナポリ港見た時びっくりしましたよ。連邦宙兵隊基地の目の前でハーミーズがコンテナ積み込んでるんですから。あれだけ堂々と密輸するんですかと…」


「いやベラ子、ロンドンはもっとひどい。さすがに市街地すぎると廃港の話が出たロンドンシティ空港で荷役してるで。あんだけ堂々とやるか普通」


「あの…その船は武装は…」


「わかりません。ただ、私は一度死んだのになぜかNB名誉大将職兼、アークロイヤル級とテンプレス級の艦長権限と作戦指揮権限が維持されておりまして…地球に来るからと言う事で特段の非武装状態では来ていませんね。国際識別信号も軍艦として治外法権を主張しながら入港しています」


「専務さん、つまりいつ連邦とトラブルになっても先制攻撃すら可能なように、軍艦としての機能を全力で使える状態で来てるって事ですよ。実際にコンテナ船倉兼格納庫内はユニオンキャリー社員か乗組員以外、どんな状態かはわかりませんけどね。全ての船倉をコンテナ積載に回しても自衛用火器は固定装備していますから」


「あ、そうだマリアさん。成田にアークロイヤルが来てもらえる話、本決まりになりそうですよ。ほら、成田空港の貨物輸送設備が使えますし、うちの牧場周辺敷地の買収も完了してますから。最悪、父に会社作らせます」若様までが悪人に!


「宇宙空間での戦闘も想定されていますから、NBが核弾頭を積みたがるのは仕方ないと思ってください。機密がありますから詳細は言えませんが、あの船は核や対消滅兵器・超光速ビーム兵器運用前提なんですよ。固定兵装もありますから降ろせないんです」


「まぁ、私たちが若様の牧場に被害を与える事は絶対にありませんから、そういう信頼関係あればこそ無理矢理に来てよしと内諾をもらえる訳でして…天王寺の領事館上空にアークロイヤルが来れるのも、英国領事館上空だから治外法権だろという理屈なんですよ。英国やイタリアではすみませんNBですが領空侵犯しますよ仕方ないなで堂々と違法入港していますけど」このまりりの話は本当です。


「マリア…これ、やっぱりNB噛んでるだけに、港を使うんやったら最低でも福岡県入れた方がええぞ…専務、貴社の全責任で私有地をご用意頂いた上で、NBからの貨物輸送中継点運用契約をご希望でしたらユニオンキャリー社にもご紹介させて頂きますよ。ただ、今申し上げた通り、NBからは最低でも自艦防衛兵装を備えた大型艦が来ます。航空自衛軍築城基地や海上自衛軍芦屋基地からの苦情も鑑みますと、民間企業だけで私どもとの商談に及ばれるのは難しいと思いますよ。痴女皇国や聖院からも、アークロイヤル級のスケールダウン型のテンプレス級という艦船が伺う事になりますので」で、ジーナさんがテンプレスの画像見せてますが…何でよりによってスケアクロウが甲板にいる画像見せてるんですか。あれ対地攻撃武装積んでるのは私がよーく知ってますからね。


「民間船でお越し頂く訳には参りませんのでしょうか…」


「残念ですがNB空軍並びに宇宙軍籍者としてお断りせざるを得ません。痴女皇国は異なる時空間軸に存在しますので、NBでもトップクラスの軍事機密技術を駆使して初めて往来可能なのです。更に、連邦とNBが正式に国交を樹立していないどころか、未だ公式では敵対勢力扱いという現状では、相互確証破壊以上の強力な武装を有したNB軍籍艦の来航は必須とお考えください」ジーナさんがもっともらしい事を言って拒否していますが、実はこれ、誰でも彼でもNBや痴女皇国あるいは聖院に来てもらったり、連邦そっちのけで独自軍備に走りそうな国に暴走させないために“あえて敵対関係を維持しておく”方針であると聞いております。


そし相も変わらず「聖院世界へはNBを通さないと行けまへんねん。関係者にお話があるなら天王寺の領事館経由しておくれやす」とやっておりますが…実際に聖院や痴女皇国とお取引をという話が来ると、聖院相手だろうと痴女皇国だろうと、とりあえず外事部か、るっきーが留守の時は統括広報部長の雅美さんか、旧広報部のジーナさん…要するに連邦世界の情勢に詳しい人に連絡があるようになっています。そしてお返事は痴女皇国外事部経由で送られると。


(聖院側で独自外交部門を設けるより、広報も一括なんだから外交もってことよー。まぁ、まとめた方が無難ではあるわね。どっちみち、聖院で話をしても痴女皇国も倣うし、逆もしかりよ)との広報部長の元祖どすけべいお姉さんのおはなしです。


「かーさんかーさん…テンプレス級やアークロイヤル級が武装してる以上にヤバい問題があるぜ。痴女皇国上皇のあたしイコール聖院の白マリや皇帝のマリアヴェッラ、それに聖院初代金衣のテルナリーゼ様に比丘尼国トップのおかみ様…全て、一人で地球上の人類を絶滅可能な戦略兵器級の存在だろうがよ…専務さん、実はあなたがお話の室見理恵さんもですね、痴女皇国女官長業務に必要とは言え、一撃で一千万人の人間を行動不能に出来る能力を保持して頂いてるんですよ。我々は人命を尊重するように出来ておりますが、その能力だけで恐怖視敵視する向きもいるのが、わたしはもとより智秋先生にも頭が痛いところじゃないんですかね?」


…えええええという顔で私を見ないでくださいよ!


精気管理に必要だから持たされてる能力ですし、私はまだどつき合いしばき合いのために痴女種の能力を使った事はありません!精神的には日本国民のままで暴力よくない人ですから安心してくださいって!


「ま、僕はまりあさんと高校時代に席を並べた事もありますし、仲良くお付き合いさせて頂いておりますから。それより専務。彼女たち、全く物理的破壊を伴わずに他人を自滅させる手段をお持ちですよ。彼女たちに対して隠し事が不可能なのは、先ほど改めて実演されたかと存じますが…あの能力、人間同士でも適用できるのですよ。マリアさん、実演希望」若様がウィンクされますと。


(と、まぁこのように、本来なら読心能力がないはずの人間同士でも、互いの本音が丸見えになってしまう訳です。今回の件は某政党県連ですとか知事に後押しされる形で貴社役員会が急遽我々をバス送迎する名目で営業を決議、県庁から県警にも協力要請という事で…福岡県側の勇み足のとばっちりを貴社が受けたと報告しておきます。貴社内での意見調整はお任せして大丈夫ですか?)しかし、若様はこの能力が使える時は見事に使いこなされますねぇ。


(は、はぁ…何とか致します)


(もし、専務…あなたの立場が悪くなるようならば、僕や彼女たちが必ずお助けしますよ。ただ、帰りは普通に電車で博多まで戻らせて頂きたいのです。痴女皇国と比丘尼国代表が、一般的な日本社会を視察する事に加えて、我が校生の社会見学実習も目的ですから、むやみな隔離は正直したくはないのですよ)


(いざとなったら亡命も承ります。専務の知見でしたらNBだろうと聖院だろうと遇させて頂きますよ。あたしもマリア姉もジーナ母様も、これまでに色々な事案を扱って来ましたので…ねー!美男公に玄奘さん!)


これっベラちゃん!せっかく前でなんかイチャイチャしてそうな雰囲気なのに!


「かかかかしこまりました!皆様方に不利益がないよう、弊社内で何としても諮らせて頂きます!」専務様、ビジネスクラスのシート空調で足りなければ冷房マシマシで運転士さんにお願いしようかと思うくらいに滝汗状態ですよ…。


「あ、かーさん。太宰府駅で待ち合わせの予定だけどさ、えーと専務さん…このバスはどこに着けて頂けるんですかね。確か駅前にバス停兼待機用のロータリーがあったと思うんですけど、そこに行って頂きますとありがたいんですが…」


「ええ、そこに着けさせる予定でした。天満宮近辺は道が狭いので、団体用のバス駐車場が結構離れた場所にしかないのですよ」


「ありがとうございます。あー、菅野さん、今どこよ…ああ、二日市で降りて太宰府行き待ちか。こっちは太宰府インターで高速降りて今下道走ってるから、多分同じくらいかこっちが遅れるかな。先に着いたら電車の先頭の向こうに改札あるから出て、バス乗り場のあたりで待っといてよ。あたしら○鉄バスの高速やられ号って東京行きのバス用の車で行くから、駅前のバス乗り場に入ってきたらすぐわかると思うから。んじゃ待っててねー」まぁ、知らん人には独り言喋ってるか、ワイヤレスヘッドセットを使ってるようにしか見えませんよね。


「マリア、今の心話は菅野君か?」


「ええ、今は大牟田線の急行降りて、こっちに来る電車の乗り継ぎ待ちです。太宰府駅に着くのはあと10分くらいですかねぇ」アレーゼさんの質問にまりりが答えてます。


「しかし直くんとも久しぶりだなぁ、あ…しほ子は?」


「あたしらが合流したタイミングで白マリが飛ばしてくれますよ。ま、あまり時間ないけど、菅野家水入らずを優先してください」


「築城の司令が菅野ちゃん非番にしてくれて良かったわ。太刀洗に基地があったらもっと楽…あかん、あそこは陸軍やった…」


(うぉーい。おばはーん。梅ヶ枝餅、何人分買っときゃいいんだ?)えらいでかい心話が届きましたが。


(やかましいわ!あんたもええ年やろが!ちょい待て、学生さん十人に専務さん運転士さん、若様に初代様おかみ様アレーゼさんクレーゼさん…26個!あとで払うから立て替えといてって瞳ちゃんに言うてくれるか?うちの聖環やったら瞳ちゃんに入金する方が楽やから)


(ジーナさーん。それくらい奢るわよー)


(ええからええから。それよりひとみちゃん、えらい心話きれいに繋がったけど、しほちゃん来たん?)


(かーさん、あたしあたし白マリ。黒マリが呼びつけるから…アレーゼおばさまの代わりよ。しほちゃんも連れて来たから。駅前でいいのかな? あ、梅ヶ枝餅はあたしが払っとくから、あとでそっちのクレーゼ母様に伝票回しますっほほほっ)


(へいへい、好きにせい…)ああそうか、築城基地勤務なのか、菅野さん。


で、太宰府駅前バスロータリー。降りた人が何事かと見守る中でどつき合い寸前の口喧嘩をするお姉ちゃんとお兄ちゃん。菅野さんはともかく、ジーナさんはまたも高校卒業から宙兵隊士官学校入りする辺りの容姿に戻してますからね…。


「てめぇ何若作りしてやがんだ!年相応に老けろよ!」


「やかましいっ悔しかったら土下座して延命頼んでみいっ!」


「なあ、瞳さん。売女はともかく、そちらは上手く行ってるのか?」虫を見る目で醜い口プロレスを繰り広げる二人を見ながら、アラブ服を脱いだアレーゼさん。…あの、いつもの筋肉はどこに…。


(理恵さん。私も一応性別としては女性基準なんだよ…あまり戦闘的な姿になりたくない時だってあるんだ、理解してくれ…)ものすごい気恥ずかしそうですね。


で、尋ねられているお方。


「あー大丈夫っす。とりあえず直ちゃんと喧嘩した時はエ◯コンで決着つけてますから。はっはっはっ」あたしより確実に小柄ですが、0.8乳上くらいありそうなお姉さんがその胸を張っています。


「あ、ドメちゃん。お初の人も多いから紹介しとくわ。えーとみなさん、あたしがほっぺた引っ張ってる、この血の気の多そうなお兄ちゃんが航空自衛軍築城基地所属の菅野直一尉、旧・大日本帝国海軍第三四三飛行隊大尉って言う方がわかりやすいかな。で、同じく築城基地所属の百目鬼瞳(どめきひとみ)三佐。アレーゼさんが菅野姓にこだわっているので旧姓のままです!」


「いいじゃないか売女!私も一応婚姻歴は持ちたいんだよ!」


「はいはい。で、菅野ちゃんにドメちゃん、こちらが痴女皇国上皇は既に知ってるやろけど、皇帝があたしの娘のマリアヴェッラ・ワーズワース・ボルジアになりました」


「菅野だ、よろしく…なんかおばはんに似てるようで似てないというか…」


「ああ、あたしのもう片方の親…ルクレツィア・ボルジア譲りですよ。チェーザレ・ボルジアの妹の」


「はぁ…それでか。マリアちゃんといい、なんかあんたの娘にしては出来がいいよな!」


「やかましっ、で…」(聖院金衣初代テルナリーゼ様と、比丘尼国朝廷大神官のおかみ様やけどな、この二人全然似てないけど姉妹や。んで、おかみ様の正体がごにょごにょ)瞬間、最敬礼する菅野さん。


「あー、気にせんでええぞ。今のわしは人界で遊んどるだけやから、拝むんは神宮でしたってくれ」


「はっ!光栄であります!」


「んでクレーゼさんやアルトやダリアも顔見知りとして、痴女皇国と聖院の統括広報部長の田中雅美さんと、女官長の室見理恵さん。この二人と智秋敬くんは後ろの学生さん達の在学高校の先輩。敬くんはマリアヴェッラの学級の副担任な」(で、正体は宮内庁車馬課職員名目で、実際には…ごにょごにょで皇室の対・痴女皇国外交担当官。実質的に痴女皇国やNBに対する全権大使職やと思ってな)


(なるほど…帝室御賞典時代どころか藤原氏の血縁で、平安の時分からの皇家ゆかりのお方たぁ…やけに若いし不思議に思ったけど、謎が解けた。あそこのご出身ならわかるわ)


「菅野であります。故ありまして今上陛下の御代ではございますが、陛下の赤子たる精神を忘れぬよう励んで参ります」と、敬礼する直くん。


「いえいえ、僕など若輩者ですので。菅野一尉が元気にされておられる件はお伝えしておきますよ。昭和帝陛下の御世ではありませんが、ひとつよろしくお願いいたします」


と、そこへ。


「あー、かんのとか言うたな。お前、今度科挙があるやろ。()()()()が力貸してくれるらしいわ。この子らのごうかく祈願と一緒にお前も参っとけ。ほれ来い。なんならよめさんとアレーゼ、お前らも来たらええ言うてくれとるぞ」


「科挙…あー、直ちゃん、来年一月から目黒で幹部普通課程受けるな…」


「ドメちゃんそれやそれ。それ受かるようにしてくれるらしいから。…ほら、菅野ちゃん理解不能になってますやん。はいおいでおいで」え?という顔をしてる菅野さんを引っ張って、おかみ様と連行に及ぶジーナさん。


そして、拝殿に並べられた私たちの前で、元の姿に戻られるおかみ様。抵抗力が弱いという学生さん達は寝かしつけられた上で、初代様が我々に影響がないようにして頂いているそうですが。


「基本的には今いる場所から動かないでくださいませ」髪の毛真っ黒な姿の初代様、この時はイシュタルモードだそうですが。


で、衣冠姿の小柄なおじさんを紹介されます。


「いや、そう恐縮なさらずとも結構。お話は既に伺っております。刻は取らせませぬ」と、挨拶もそこそこに、そのおじさん、白い角砂糖状の小さな物体をおかみ様に渡されます。


「おやおや。最近はあまり恨みも集まらぬか」渡されるや否や、薬をかじる伊達眼鏡の巨乳メイドのごとくバリバリと食べておしまいになりましたが。食べられるんですかそれ。


「はい、おかげさまで、最近はまた世情も安定して参りましたようで、こちらの若人のような方々も数多くお越し下さいますので…ああ、お渡ししたものは祈念結晶ですよ。皆様の祈りの気を蓄積したものです。実は毎年十月に出雲に持ち寄って献上するのが慣しなのですが、祈られる方の受験の時節、人によりけりでございますので…例えばそちらの菅野様ですか、来年に東の方の学舎に赴任されるなど、当方への参詣が十月に間に合わない場合もままございましょう。かような場合は私めが北野に持ち込みまして後に元伊勢へお納めしております」あ、そっか、私の分体も北野天満宮に行ってたな。


「でまぁ、正直なところ、お越し下さった方の行状について、その方の担当の産土神様に話が参りまして、どの程度のお助けを致しますかを決めて沙汰が下ります。ですので私のみで合格を決めておりません点はご容赦願います」


「それでええじゃろ。よろず祈れば叶うなら、人が人である必要など欠片もなかろうて」


「仰せの通りでございます。いや実際、ここに来る暇があるならもう少し真面目に学問をしてから来いと叱りたくなるような輩、まま詣りますのでねぇ…せめて己の名前くらいきちんと書けっと言いたいのが」


「あー、痛い名前の子…」


(そーいや、TAPPS操作研修で信太山3ヶ月缶詰させられた際に新地の飲み屋で聞いたのだが、時はまさにお受験世紀末。で、受験の波はアホ高にも及ぶ時代やから、偏差値30台の子らでもお受験をやらんとあかんらしいわ。カテキョつけるか塾行かさないと、そういう子ばかり推薦される公立に受からんらしい)


「はぁ…貴族でもおりましたな。どこそこの家の生まれというだけで遇される輩」


「ところがですな菅公。ななななんと、そういう輩ばかり集まるので一点二点の差で人生が決まったりする訳ですわ。例えば定員200人のところに300人集まる。しかも水準が低いから、悪い意味でどんぐりの背比べになるそうでして。で、金持ちは金さえ積めば以下略に行かせる事も出来るが、公立の学費しか出せぬ親元だと、まさに地底人や最低人同士で争うとか地底人対最低人の受験戦争があるとバーのママ…酒場のおかみが申しますのですよ。つまり…アホでも神頼みという事情ががが」と、信太山新地で仕入れた話をなさるジーナさん。


「な、なるほど…しかし婢女様、聖母様となられたそうですが、何でしたらその辺の連中が来る時にお叱り頂けませんでしょうか。それがしが祟るとやり過ぎますし、かと言って…せめて二礼二拍手一礼くらい覚えなされよというのが来るのですよ…あまり悲惨な人生ばかり待ち構えさせて、神も仏もあるかと拗ねられましてもよろしくありませんからな」と、なんか菅公にお願いされてますよ!


「い、いや私はまだ八百萬族じゃありませんし…」


「まぁまぁ道真、婢女に殴らせるのも良いが、もっとよい方法もあろ。釈尊、よろしいか」


「やぁ菅公様、昨年ぶりで」と、口調やふいんきがガラッと変わった玄奘さんがそこに。


「おおこれはこれは、わざわざこのような地にまで。なんとも恐縮の限り」


「で、早速ですがひとつお知恵をお貸し致しましょう。極論します。ほっとけ」



え。



聞いた全員が固まっています。


…まさか開祖が駄洒落宗を勧めるなんて!


「いやいや、別に僕が仏様扱いされてるからじゃありませんよ。今のは偶然です。で、仏がほっとけなどと殺生なことを申した理由ですが、例えばすがわら様がいくら勉強はしてし過ぎるものじゃない、今の世は僕たちの生きた時よりもさらに、人夫にも農夫にも学を求めると教え諭したとしましょうか」


「ふむふむ。確かに武士も刀を振り回して暴れるだけでは務まらぬ昨今と聞き及びますしな」


「しかし、いくら話して聞かせても聞いて聞かぬ子に、僕はともかく神族に叙せられた()()()()様がいちいち構っておれますか。無理でしょ」


「ええ、まこと御説、ごもっとも。お続け下さいませ」


「なれば悟りを開くまで延々と輪廻させないと、そこのクレーゼ様が申される「焼かな治らん」者はいつまでたっても教えの価値に気づかぬと思うのです。自らの招いた苦境を、王が悪い政官が悪い世間が悪いとばかりに誰かのせいにして終わるだけでなく、自分を改め成長せねば誰しも道は開けないだろうと考えますが、いかが」あー、いるな…総理が悪い政府が悪い◯◯党が悪い、ネットでいうミンミンガーとかいう人たち…。


「聖母様にお話を振って申し訳ないのですが、教官をされた際にお前の目はどっちを向いている、はたまた足を出せばどう進むと諭すのと同じですよ。それに、今の世はこれまた痴女皇国や聖院世界より遥かにましでしょう。奴婢や卑民賎民でも学べば地位が得られるんですから。もちろん、みちざね様の生きた時とか、僕の時分の亜大陸からすれば極楽ではないでしょうかね。彼らでも文字を読み書きできる者が決して少なくはないのですよね」


「確かに、これまた仰せの通りでございます。いやはや全く、お賽銭よりこういう話を私に聞かせてくれよと参拝客に申したくなりましたな。はっはっはっ」


「いや…天下の菅公に頭を垂れさせるような法話が出来るような奴なら、受験の時に神頼みする必要ねぇんじゃねぇかな…」


「しかしながらまりや様。あの陛下がまりや様を蛇蝎の如く避け嫌がる理由、何となくですがわかりますよ」え、菅公とまりり…お知り合い?


(だからこの方々とはさ、あたしが0歳んときからの、あたしやかーさまとか当時の聖院トップかと顔見知りだっちゅーの。このお付き合いがあるから、あたしですら痴女皇国で好き勝手できねーんだよっ)


(そうよ理恵ちゃん。歴代聖院金衣は八百萬神族とは比丘尼国経由だけど交流資格を与えられるのよっ)


(あたくしと…実はアレーゼも()()()()様とは顔馴染みだったりしますのよ。ただ、数がいらっしゃいますからお付き合いが大変で)


(クレーゼが言うとお突き合いに聞こえますわね)


(初代様何という事を!マリア!痴女皇国にぱわはら相談窓口はないのですか!)


「母様。うちに既に請願処ありますやん。それはともかく道真公。あたし、あの陛下に嫌われる事した記憶全くないんですよ。釈尊はもとより、菅公ならおわかりでしょ?」


「ああ…痴女種が原因ですよ。あの種が世の主流になりますと、世は正され陛下の糧になる邪念怨念が枯れ果てかねませぬ。しかし神有月会合では初代様はもちろんの事、まりや様の為されていることごとくが、あの方には脅威でも他の皆には歓待される話である。不愉快極まりないが、さりとて排除は不可能だし顔も見たくない…と、拗ねておられる次第なのですよ。いい加減諦めて私みたいに普通に願掛け参拝を受け入れなされとは言うておりますがねぇ。おかみ様、あの方もたいがい、焼かな治らない部類ではないでしょうか…」


えええええ。


奴と付き合い早や数年。


能力自体が凄いのはわかりますが、基本的にまりりはまりりです。なんか抜けてます。本人は全力で否定すると思いますが母親似で関西芸人の芸風です。


日本最強と恐れられ三大祟り神とまで言われたあの神社…昔はお寺で、しかも元々は愛人さんの鎮魂目的かつ、本人は別にお寺建てられてるそうですが…のお方に嫌われてるって、まりり、あんた何やってんのよ。


(あたしゃ単に痴女皇国開いて皇帝やってただけじゃ!…あとりええひどすぎ!確かにあたしはあのおばはんの娘だという自覚はあるけどな!何もここで古傷えぐらなくてもいいじゃん!泣くぞ!)


「しかし、これはとうきょうとの二柱目はともかく、祇園の三柱目は難航しそうですわねぇ…」


「あああああ、もう本当に完全消滅させてやりたくなりましたわっ。姉様。あたくしだけでも今から祇園に行かせて頂いてよろしいかしら?」


「待ちやてるこ、お前が噴き上がってどうするのじゃ。いよいよ仕方なしとなれば朕自ら軍勢を率いてでも致す。…しかし、その前に()()だけは可能な限り回収せねばならぬ。聖院や痴女皇国の時にすれば回収は楽であるが、肝心のものの溜まりが悪いからな。故に、奴めの力が蓄えられておっても、必ず今のこの世で奴から差し出させねばならぬのじゃ。ゆめゆめそれを忘れるなよ」


(へろぅねーさん、エマニエルですがぁっ。最悪、おっさん(M-IKLA20)呼びつけます?あのおっさんなら例え相手がアレでも従わす亊できますけど。あ…あたしでもいけるかわからんな)


(まー待て待てエマ子。その前に東京都が控えてっだろ。あっちも大概だぞ?それとお前、なんで連邦世界にいるのよ)


(スケアクロウ11号機のG型改修終了分引き取りですがな。テンプレス2世もろとも今、そっちの真上で高度36,000kmですけど)


(両方の公試終わってんの?)


(NBで済ませてますよ。スケアクロウの地球大気圏内での試運転はまだですけど、基本的にNBと条件変わりませんからね。海面高度気圧や細かい地上重力値が微妙に違うくらいで)


(ふーん。わかった。とりあえず太宰府上空で待機しといてくれ)


と、言う訳で。


あまり長々と拝殿を占領してるのも迷惑だろうと、皆で菅公に丁重にご協力のお礼を申し上げまして二礼二拍手一礼。


そしてですねぇ。


「あー無重力化で食う梅ヶ枝餅うめー」


「なんで重力切るのよ!普通に1G 設定してよ!」


「だってせっかくだから学生さんたちに無重力体験。あ、読者の皆さんに言っとこう。連邦社会では宇宙旅行というのはまだまだそれなりにお金がかかるのです。皆さんが日本にお住まいとして、まずはサハラタワーまたはスリカンダタワーまで行く航空運賃がかかります。それから軌道エレベーターで高度1,000kmまで上がるリニアケージの運賃。この合計で、そーだな、西暦2020年代のレートの日本円換算で、片道30万円から50万円はかかると思ってください。更に恒星間航行航宙貨物船や大型船発着港がある静止軌道まで上がると片道100万円。低軌道港からシャトル船に乗り換える方が実は安いという何ともはやな状態です。それだけに、地球大気圏に直接入って来れるアークロイヤル級やテンプレス級とか、類似設計で日本やイタリアにリースしてる船に熱い注目が集まっていたりするのですよ」


「誰に喋っておるのやら…後書きやなくてまだ本編やぞ。それよりそろそろG入れろ。あたしやお前とか0G慣れしとるのはまだしも、他の皆様が困るであろう」


ええ、テンプレス二世の会議室です。


学生さんたちは若様と白マリが引率して船内見学中。ついでにこの船をよく知らんという初代様やおかみ様他の方々も一緒にあちこちうろついてます。


(絶対に絶対に絶対に艦首VLSエリアとか艦載機兵装格納庫とか、おニューでクリアなもん仕舞ってる場所には入れんなよ?学生さんや若様はまだしも、押すな言うたら押しそうなのが何人もおるからな)


(あー、あたしも菅野さんも素人じゃないっすよー。それはいいんですけどジーナさん、この船って艦載機は積んでないんですか?)


(あー、ドメちゃんには言ってなかったか。ほら、痴女皇国または聖院で運用するための専用設計やからさ、そもそもアークロイヤル級のスケールダウンバージョンやさかい、格納庫面積はアークロイヤルの半分以下やねん。更に聖院世界やったら、何も制空権取らんでもこれ一隻で天下取れるやん。せやから普段はカリバーンとアーミングコンテナのセットと…今回の改装でスケアクロウ搭載母艦機能がついたから、普段はその2機。あ、あたしの私物のスーパーディモナがあるか。まぁ、とりあえず空母として使うた運用実績は今んとこない。なんかしたいん?)


(そっすねー。今、うちのDDCVの方あるじゃないですか、リース物件のこんごう(DDCV-198)と海さんのかが(DDCV-197)、あれ空いてる時あんましないから基地司令が離着艦訓練のプラットホーム欲しがってんですよ。DDVはDDVで各地の航空隊、ローテーションで受け入れてるんですけど、まだまだ隻数足りないし、増やそうと思っても昔ほど護衛艦ばんばん必要な時代じゃないっすからねー)


(必要あるんやったらアークロイヤル級、周防灘に浮かべてもらおか?)


(いいっすねー、だけどあれ飛行甲板長めっちゃ長いじゃないすかー。あれだと訓練になりそうでならんのっすわー)


(つまりまさか、テンプレス貸せと?)


(いえーすいえーす。ライセンス生産艦のあかぎときりしま、艤装工事でNBに行ってんだったかな。戻るのは年明けとか言われましたしねぇ。ほれほれ築城の機材ってIF-200ベースのニンフェットJB、軽空母運用仕様じゃないすか。とりあえず離着艦訓練時間稼ぎに協力してくださいよ!)


(○鉄の専務さんに説明した話と全く矛盾してる展開ではないか!バレたらどう説明するんじゃああああ)


(そんなもん軍事機密の四文字熟語でいけますがな。自衛隊の時代のように何でもかんでも説明責任求めんなっちゅーねんということでひとつ。アークロイヤル級が米国仕様のミートボール対応着艦イルミネータ装備なのは既にチェックしてまっせ。これも同一仕様でしょ?)


(ドメちゃんそういうの鋭いなぁ…とりあえず今日は学生さんを学校経由またはおうちに送り届けねばならぬのや…今すぐはいどうぞと言うわけにもいかぬのや…)なんか学生時代に体育館シューズだのノートだのを貸し借りするように軍艦を貸す話になっていますが、果たしていいのでしょうか。専務さんにお話をした通りなら、この船ってもんのすごい物騒な戦闘宇宙艦としての一面があるそうなのですが。


「ああ、りええに回覧回さなかったっけ?テンプレスは聖院、テンプレス二世は痴女皇国船籍船として登録してるんだよ。だから汎銀河人類族連邦に対しては準友好国、あるいは中立国家の艦船扱いなのさ。民間船と同じ振る舞いをしていたら日本・イギリス・イタリア領海内とニューヨーク市沿岸に限り航行の自由が保障されているんだ。なぜニューヨーク市沖がOKなのかなんだけど…」


「むろんラッツィオーニ閣下の決裁に決まっておろう。あのおっさん、せっかくママの店のニューヨーク支店を作ったにも関わらずやな、たまには来いとばかりに言いよるんや!更には万一の休業に備えて、兵員レクリエーションルームを改装してポールダンスも出来るステージとかミラーボールとか付けてくれとな!どこの世界にショーパブが船内で開業可能な軍艦があるんじゃ!」…あのその、私に言われても困ります。そういう文句、連邦に言ってくださいよ。


「かーさん。まず、提督室のラブホ仕様から改装要望を始めよう。多分そこから着手しないとニューポーツマスのNB宇宙軍艦船管理部は話を聞いてくれないと思うぞ。で、ドメちゃんのお願いだけどさ、白マリがOK出せば、明日一日くらいなら伊予灘に浮かべて貸せるんじゃね? あたしらはスケアクロウで戻りゃいいんだしさ。それに艦載機訓練に使うなら、格納庫をどかっと占領してるスケアクロウどけとかないと邪魔だろ」


「えー、あれ操縦すんのー?あたしアレの専属パイロットちゃうぞ…」


「あたしとベラ子いるじゃんか。だいいち、G型改修終わってんだから太宰府上空にでも転移できるじゃん。何もめんどくっさいことして突入飛行許可も取る必要なしなし。見学が終わったらみんな乗っけて飛ぶぞっ」えー。あたしもスケアクロウは嫌なんだけど、まりり。


「るせぇっ、りええは操縦桿のついた席以外全部制覇しただろ!あ、そうそう。室見理恵さんは内務本部所属女官長なのにも関わらず、こうした経験を買われて企業の非常時防災担当者的にスケアクロウ乗務員候補になっています。はーっはっはっはっ」


「ぐげげげげ鬼やろまりりっ。んでたのはどうなのよ」


「りええが要員指定されてて、たのきちが逃げられると思うかね」


「無理」


「という訳でたのも転送で呼」ばこん。無重力下でもいい音がしますね。


「いってぇえええ!…って初代様ですか!」


「マリアリーゼ…流石に今回はたのちゃん不要でしょうに…とりあえずお船の貸し借りは聖院のマリアに任せて、わたくしたちはそろそろ太宰府に戻りましょう。で、学生さんたちは太宰府から電車で戻るとして…」


「テルナリーゼ様…実はですね、格納庫のスケアクロウを見た一部の学生から要望がありまして…あれ乗ってみたいと。いや、僕はあまり乗せたくないのですが。乗りたくないとも言いますね。はっはっはっ」


うん。わかるよ若様。


あの時代の聖院研究会関係者、全員、あれ見たら足が回れ右するよね。


だよね。


いくら飛行機詳しくないとか、父の会社で作ってる鉄道車両以外は詳しくない私でも、あのスケアクロウだけはすぐ見分けつきますから。ものすごく特徴的な変態な形してるし。


「いや、俺はあれを操縦してみたいのですが」


「やめて菅野ちゃん。あれは日本円にして五千億円とかクソふざけた値段で、同一重量の金より高い代物なんで、あんたのデストロイヤー癖が直らん限りは乗せたくないんやけどな…それ以前にNBに半年くらい缶詰になるか、痴女種でもあたしに毎日どつき回されて1ヶ月みっちりやらないと、規定の飛行ライセンス受験資格すら降りない難物なんや…一言で言うと翼長100mのモーターグライダー。それが高度2万メートルから3万メートルをせいぜい亜音速で飛ぶという、あんたにしてみたら全然おもろない代物やぞ?空戦機動とかもってのほかやぞ?」


「とりあえず乗せるだけは乗せてくれっ。陸軍の四式滑空機にエンヂン付けたようなモノだってのはマリアちゃんの説明で理解した。空母に乗せるから羽根を畳むためにも複葉機状態に変身するのも理解した」


「むー、直属上官の許可を得ろ。あと座席は操縦室後方の予備席を指定させてもらう。この条件に合意してくれ。百目鬼三佐。部下の管理をお願いします。ほれハリセン」


「うーん。エス○ンオンラインの課金機材であたしFFR-41で直ちゃんジャムタイプ1の方が効くよ。せめてFFR31でやらせろって泣き入るから」


「プライベートでも夫婦で操縦ってどうやねん…まさか自宅にコクピットみたいなの組んで…」


「うん2セット。F-35廃棄分の操縦席パーツ、タダ同然で譲り受けて信号読み替えボックスつけてDCS-W*rldとエスコンとフライトシム対応にしてもろた。築城ではこの手の自宅シミュレータが流行っておるのですよ。ジーナさんもひとつどないですか」


「…うち、そこまでして操縦環境作っていらんよ…なんで一回死んでるのにわざわざ定期的に嘉手納まで行ってババヤガー乗らなあかんねん!あれが死ぬほどめんどくっさいからこそあたしは崩御に同意した一面があると言うのに!」


「えええええ。一応こっちでは死んだ人ですよ。あたしもお葬式出たじゃないですか」


「ラッツィオーニ閣下が古巣にねじ込みくさりよった。蘇生者と言う軍籍カテゴリーを新設。さらに母国で死亡認定が出た場合は連邦の無国籍職員扱いでID登録するようにしたらしい。ほんっまにあの人はあたしを生涯部下扱いする気満々やなと!…ちなみに読者の皆様へ。ラッツィオーニ閣下やゴルディーニ閣下とあたしは肉体関係なぞ一切ない。特にゴルディーニ閣下は隙あらば背後からハゲ頭を磨いて差し上げて怒られる仲である。なのになぜあたしを手放してくれぬのや!」


「かーさん。無理言うな。ラッツィオーニおじさんにとって、すこぶる便利なんだよあんた。下半身関係の管理やスキャンダル揉み消しはもちろん女衒もするし、宙兵隊で手に負えない荒事には痴女皇国の幹部引っ張っていって対応可能。下手な情報部員より遥かに役に立ってんだよ。おまけにNBと太い太いパイプ持ちだろ?そりゃ何があろうと手放したがらねぇよ。諦めて次の嘉手納行きは向こうの指定期間内に行きやがれ。何なら宙兵隊からババヤガー借りてテンプレス2世に搭載しといてもらおうか?これなら嘉手納行かなくても痴女皇国で飛行時間と技能維持プログラム消化できるぞ」


ぎゃああああやめてーとかおばちゃんが叫んでいますが、高齢化して涙マーク義務化されたり、毎年毎年視力聴力運転適正の検査を受けさせられたりするよりは遥かにマシなんじゃないでしょうか。


ええ。ジーナさんがパイロット資格を維持しておいてもらわないと、下手したらベラ子陛下どころか、あたしにまでスケアクロウ操縦の話が舞い込む可能性もありますので。


この室見、本人的には自覚はありませんが、能力的に痴女種でも上位なんで、将来的にやらされる可能性は決して少なくないと踏んでおります。


ですので、「人の嫌がる嫌なことを引き受けてくださる貴重なお方」が為すべきことを為して頂くためにも痴女皇国女官室管理責任者として、可能な限りのバックアップをさせて頂きたいと思うのです。


とりあえず皇帝室秘書課派遣女官には23階のジーナさんのお部屋の壁に連邦暦のカレンダーを貼って、嘉手納での訓練教程修習期限日を書かせるようにしておきましょう。むろん、エマちゃんに頼んでジーナさんの聖環のアラームにも強制設定をさせて頂きましょう。


ああ、いいことをすると気分がよいものです。


決してあの時の聖院研究会の際にスケアクロウの格納庫でされた事を根には持ってませんよ。


…決して根に持ってませんからね!

黒マリ「持ってる持ってる、全力で根に持ってるよ、りええ」

ジーナ「ううう、欲望に負けただけやん!」

りええ「許していますよ。ただ半万年恨むだけです」

ジーナ「ひぎいいいいい」

りええ「というかジーナさん、痴女種としての能力、あたしより遥かに上のはずなんですけど…」

黒マリ「これも簡単な事なんだよ、りええ君。以前のエピソードでも言われてるんだが、エマ子仕様の救世主ボディの生体超兵器機能をほとんど使いこなしていない。というか意図的に横着している」

ジーナ「必要のない苦労はせんでええんや!」

黒マリ「あたしは祟り神な誰ぞ陛下よりもまず、この身近な横着者の母親を何とかしたい使命感に駆られるんだが」

なおし「マリアちゃん。おばはんが答え出してるぞ。しなくていい苦労はしなくていいらしい」

黒マリ「確かにそうだね菅野さん♪密かにかーさんの聖環のToDo機能とかアラームとかいじって、本人がど忘れしてるスケジュール管理を思い出させるとか、部屋の散らかり具合を秘書課付けの女官に連絡して清掃依頼するとか、クローゼットの中片付けるとかあれこれ世話焼かなくてもいいよな!」

白マリ「なお、うちの方の母様も大体似たようなもん。クリス父様が泣いてます」

黒マリ「一体全体、嘉手納の兵員官舎で長年しごいたりしごかれたりしたあの軍隊生活は何だったのか」

ジーナ「これも天王寺の領事館暮らしとか痴女宮ペントハウスとか聖院暮らしが悪いんや!メイドさんとか女官の子らが黙ってあれこれやってくれんねんから!」

白マリ「装備満載の高級車に乗り慣れた人間が軽自動車の低グレードに乗ったような叫びね…」

黒マリ「なお、天の声がこないだ、三河監獄国に該当する企業で作ってる高級ブランドあるじゃん、あの中では中くらいのグレードのSUVモデルに乗って「ク○ウン以上に楽。これ何が何でも乗り逃げしたい」とかほざいていたが、確かにあれは堕落するだろうな…」

ベラ子「あたしの乱暴ルギーニのSUVもたいがい色々装備ついてますけどねぇ、おっきいんですよあれ。それにスポーツカーモデルまんまの走行系なんで、遅いスピードで這い回ると快適じゃないです…」

白マリ「監獄国の製品には精神を堕落させる効果があるとは聞くけど、確かにわからなくはないわね」

黒マリ「ちなみに中東作戦の時にかーさんが乗ってたランドローバーだけど、あれもエントリーモデルながら結構色々な装備付いてることは付いてるんだよなぁ」

白マリ「かーさんが男の人並みに体格があるから狭いとか言ってるだけで、車としての寸法はかなり大きいんですよ。あの人が贅沢言ってるだけです」

なおし「やっぱあれだ、贅沢は敵だよな」

黒マリ「今度なんかやったら星条旗ペイントのスーパー○ブでベトナム縦断してもらおう。またはシトロエン探検隊のノリでサハラ砂漠横断」

白マリ「ゴルディーニさんが嬉々としてフランス車を貸し出す手配をしそうね」

黒マリ「何なら監獄国の系列会社に頼んでパリダカ仕様のアレを貸してもらおう。ほら、あの会社、カミオン部門に長年出てたから、出場用のトラック保存してるはずだし」

クリス「その罰には僕も加わらせて欲しい。実はブラフシューペリア、父のガレージにあるんだよ」

なおし「ああ、アラビアのロレンスが乗ってたあれか!」

クリス「なかなかに良い案ではないかと思うのです」

ジーナ「みんながつめたい」

なおし「初心忘れることなかれだ!おばはん!あんたも軍人なら軍人精神を思い出せ!でないと満洲打通させるぞ!」

ジーナ「インパールだけはやめて!絶対やめて!」

白マリ「まぁ、かーさんはとりあえず、本編であまり言われてないだらしない一面を改善する必要があるわね」

黒マリ「監獄国で期間従業員6ヶ月コースを言い渡してみよう。無論、たはら送りだ」

ジーナ「インパール行くから!たはらはやめて!」

白マリ「インパールがたはらよりマシっての、さすがに監獄国に怒られると思うわよ…」

ひとみ「まぁ、陸さんの百キロ行軍とか北米大陸出張冬季演習とか、海さんのCIC缶詰48時間コースでええんじゃないですか。うち…空はまぁ地味にしんどいだけなんで、派手にしんどいことの方が効きますよ」

ジーナ「お前ら絶対覚えとけよ!残りの人生後悔するぞ!」

黒マリ「その、死刑判決が出た反社会的組織の親玉みたいな発言はやめてやれよ…」

白マリ「そんなかーさんですが使い道が」

黒マリ「何だよ」

白マリ「恐らく祇園で暴れるのどうのこうの言ってるおばちゃんたち、鎮めるためにも慰安は必要だと思うのよ。初代様やおかみ様の慰安って、他に一体誰が出来ると思うの?」

黒マリ「そうだな。罰は言いすぎた。かーさんにはそういう重要な責務があるよな。うん」

ジーナ「あたしはまた竿役か!結局竿なのかーっ!」

白マリ(やっぱり、これが罰としては一番効くわね…ほーっほっほっほっ!)

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