三河監獄国ものがたり・3
(それでは皆様参りますわよ…抜き足差し足忍び足でお願い致します…)
(何やら泥棒にでもなった気分ですね…)
(なんでこんな場所で黒薔薇騎士団の戦闘服なんか着込むんですか…)
(見つかって騒がれないために決まっているではありませんか…あ、殿下、戦闘服の具合は如何ですか?)
(はぁ…未来の戦闘服がこれというのは分かりますが、何かこう、力の出し加減が面妖な感じで…)実は男性用の痴女服…在庫ありません!作ってません!…という訳でまりり経由でNBの陸戦戦闘服を都合してもらいましたが。
何ですかこの、もんのすごい値段。
るっきー用のオーダースーツどころじゃありません。
あれもイタリアでは八千万リレ、日本円に直して500万円はしたとか言われて仰天しましたが、その服は日本円で億超えてるじゃないですか。
(そりゃ仕方ないよ。例の透明ぴちぴち倍力筋肉スーツ込みだぞ。おまけにNBC防護機能だのヘルメットのセンサーだの空調供給設備だの…あ、実は痴女皇国と共同の半生体発電機能付きだから従来の核融合リアクターパックだの重金属電源だのよりコストダウンできてるからな。それでも一着一億円だよ。まぁ、壊す事はないと思うけど大切に扱ってくれ。あと、首から下だけでも着れるから、美男公がラインに入るなら着ていてもいいとは言っといて)
(はぁ…面倒なので生身で作業体験してみますよ…鬼種化しておりますから大丈夫とは思いますけどね)
(さて、さーびすたいむの始まりですわよ。まずは301、306号室から…寝てますわ)そうです。扉越しに精気を吸い取りに来ております。近い方が良い夢が見えるらしいので…。
(はい、たのちゃん練習を兼ねて306!)あい…上手く出来るのでしょうか。まずは寝てる対象を扉越しに確認。ちんぽに狙いを定めてチュっと吸い上げる感じ…と。
(一気に全部吸わないように。だいたい半分くらいにしておかないと、この方々は翌日の仕事がありますからね?)
(はいー。吸い過ぎたら…)
(とりあえずあたしかマリーが戻します。はい次二階に行きますよ?)ううう、手慣れているベラ子陛下やマリーさんに比べてどんくさいというか…。
(そりゃ、たのちゃんは昔の痴女皇国みたいに他国に攻め込む際に一万人以上の軍勢と渡り合うとか、あるいは陛下のように警備騎士を経験したりしてませんもの、手慣れなくて当たり前ですわ。むしろ良い機会と思ってやり方を覚えてまいりましょう)
(たのきちはまず、吸い過ぎ注意ですわよ。焦る余りに一気に吸わずに、最初に全量を確かめてじわっと吸引量を増やす感じで)
(なんとなく見ておりますと、日頃の伽で男性役をされているお二人が手慣れております気が。田野瀬さんは後で男の自慰の動作をして頂くとコツが掴みやすいかと)
げ。
昔、あの、りええと試して手が疲れただけのあれですか…。
(苦手ならあたしが咥えたげますから。写生するまでの吸い取られ感で抜き取る際の吸い上げリズムを掴みなさいっ)あい、ベラちゃんお手数かけます…。
そんなこんなで慣れた二人について行くのがやっとなのですが、とりあえず、たはら寮の慰安を終えます。実際にやってる訳じゃないんですが、向こうはこれでいいんですかね。
(吸い上げ技量によりますが、あたくしが致した場合、納屋橋や伏見の尺八屋同等以上だそうですわ)ふむふむ。
で…これの後にですね…。
「あー抜き取られ感が壮絶ですわね…マリア様がだいそんなら、陛下の場合はひたちと申しますか」
「あたしはまりりに吸われてないから分かりませんが、プールの水を抜かれるかの如く」
「ついでに私も還元して頂きまして」風呂にだれもいないのを良い事に以下略っ。
ちなみにこのお風呂…ステンレス製じゃないんでしょうか…。
(ああそれな、水圧プレス機のテスト品。江戸の湯屋でも試しに導入した所があるけど、人によっては滑るんだよな…とりあえず小石川の作業場とか、あと今治の造船所やら小倉の工場とか直方や端島の炭鉱とかで試験採用させた。湯船が汚れやすい場所では好評)
(つーかこの時代にステンレス鋼板作ってどうすんのよ!)
(存在を知った諸方面から切望されてんだよ…この際どこの誰に発明させても構わないから陸蒸気作ってくれってよ…りええ父の会社ですら木造車体のノウハウないから、JRと宮内庁が管理してる木造御料車とか大英博物館収蔵品の客車を解析してるけど、英国のMk.2からMk.4あたりの鋼製客車か、はたまたフランスのミストラル客車みたいなバッド社ライセンスのステンレス車体で作れる技術与えられないかなーと。ほら、木の客車だと燃えるだろ)
(陸蒸気自体が文明開花じゃー!)
(電気動力与えたらどうよ意見多数。なおアメ帝GE社製のアメロコってあるじゃん。暴走機関車してたようなの。あれとかさ、ジーナかーさんの身体の祖国で蒸気機関積んでるのかっていうくらい煙吹き上げて動くやかましい重いデカいのとか、クリスとーさんの魂の祖国が昔大失敗した、魚雷艇用の変態エンジン積んだ変態機関車とか。あんなのからエンジン外して生体発電機積む程度でいいのよ。むしろエンジンより勾配やカーブ無くせとりええが言うのよ…踏切も作るなとか無茶言うんだぜ、あいつ…立体交差や高架造る土木技術まで与えんのかよ…)
えー。私やまりりの高校時代の同級生のりええ、つまり女官長リエティリーナこと室見理恵は別に鉄ヲタ女ではありません。なのに何で詳しいか。
はい、奴のお父様の勤務先、三河監獄国に該当する地域にある鉄道車両メーカーです。そして未だに放出新車センターこと、徳庵の何とか車両株式会社への出向が解けないとか言ってなかったかな。
(先日定年前人事でやっと戻れた模様。しかし今度は役員任期延長に加えて新潟赴任を打診されて泣いてるみたいよ! あ、非電化路線なら新潟の会社もいいけどオレンジな会社の父勤務先に!高山と鳥羽方面の納車実績あるから!機関車みたいなのやめて動力分散にしようって父が強く推してるから!仕様書と見積もりも出すわよ!るっきーがこの木何の木社イタリア法人に何か言ってるけど、あそこ電車ばかりじゃない!あんな会社より日本には日本の会社よ!)
(りええ…何の木社も日本企業だぞ…まぁともかく出身国や身内の会社に贔屓したい気持ちはわかるけどさ、あまりそれを言い出すとウチのお祖父様んちの祖国から変態製品を押し付けそうになるから密かに頼むよ…試運転でプロペラシャフトねじ切って擱座したとか、傾きすぎてホームこすったり反対側に傾いて乗客吹っ飛ばしたりするようなの押し付けられてみろよ…スケアクロウの時でも、何でこんな音速も出ないのに宇宙に行けるような変態輸送機にしたとか散々揉めたんだぞ?)
(えー、あれ、まりりの趣味じゃないの?)
(アホかーっ!あたしが開発に噛んでたら真っ先にボツるわあんなもん!お祖父様曰く、超音速機にしたらうちのかーさんかマリアお前くらいしか使えなくなるだろうという意見があってね、わざわざあんなもん作ったみたいだけどさ。いや、かえって操縦難しくなってしまってるだろと!)
(そーいや聖院のジーナさんも泣いてたって言ってたわよね。確かにスケアクロウが変態飛行機なのは認めるわ。あれ見たらあたしもたのも、足が固まるのよ。なぜか乗りたくなくなるもの)
(まぁいい、陸蒸気については監獄国も欲しがっているけど、実は監獄国を噛ませると話がこじれるんだわ。連邦世界で監獄国に該当する会社の製品ってなんだよ)
(住宅。フォークリフト。子会社に楽器とかヨットとかネット機器とか)
(待て待て待て!わざわざ変なもの言うなりええ!車だよ車、自動車!)
(…だからわざと避けたのよ!人事屋やらされてるあたしでも、まりりが車を作らせたくないくらいは分かるわよ?)
(そーなんだわー、あれ作るとなると動力がなー)
(生体機関はどうなのよ)
(一家に一台のペースで生産すると工場設備ごと連邦社会の衣浦あたり持ってくる方が話が早い。つか田原まるごと複製してぇよ!エンジン工場も敷地の中にあるんだよ、あの刑務しょいや工場)
(確かに、下手な町一つか二つは余裕で入るからね…)
(なお実質NB領事館な天王寺のビルが所在する天王寺区、旧行政区分で4.98平方キロ。くだんの刑務しょいや工場が4.03平方キロだから、天王寺区や隣の浪速区丸ごとより少し小さいくらいには大きいと思って欲しい)
(本当に町一つだった…)
(あたしたちがたはらに仰天してる理由わかるだろ…現代でもかなり大事業なのに、江戸時代突入直前なこの世界で展開する事業じゃねーよと)
(車を作りたくなる気持ちもわかるわね。だがまりり、車なら鉄道以上に困る話があるわよっ)
(道かよ…りええ先生。実は比丘尼国なんだが、例の鯛の天ぷらがあたって死んだ大権現将軍。あれ実はうちらの歴史ほど強い権力を持たされてないんだわ、比丘尼国では)
(ほう)
(つまり参勤交代や国替えとかはない。あっても大々的にやらんで良いし、あたしら由来の船と、水軍連中の船便があるから速いし楽。で、陸だと関所はあるにはあるけどシェンゲン協定批准国並みにユルユルだから街道を意図的に整備してないとか、わざと橋を架けてないとかはない。むしろ明治時代レベルで街道整備がなされていて、馬車で東京から大阪や伊勢や宮津舞鶴広島呉下関あたりまで行くのなんざ楽勝。かーさんがNBに押しつけられた狭い四駆あるじゃん、中東作戦で使ってたあれや、あたしがベラ子に買ってやった乱暴ルギーニの四駆で走れるくらいには整備されていたりするのだ!)
(えー、なら持って来たら良かったですわね)
(ばっきゃろー…ベラ子、今、お前どこにいるんだよ…)
(監獄国のたはら刑務所、いえ工場ですけど)
(そこに珍しい物を持ち込んだらどうなると思うよ…まず確実に見せてくれとなる。そこまではいいんだが…あいつら下手するとバラして分析しようとするぞ…持ち上げて木枠に載せて下回りを観察するくらいは当たり前にやるからな?)
(あああああ!流石にそれはダメです!泣きます!)
(巻尺持って寸法測られるどころじゃないんだよ…悪い事は言わないから車はやめとけ。持ち込むにしても連邦社会であの会社が作ったやつにしろ…ダンケな奴とかな…)
(ふぇら ーりとか持ち込んだら絶対、その日のうちに原型がなくなりますわね…)
(は◯えー…盗難車両ワースト3に入る奴なら盗めば、いや、調達する道はあるから、もし車を作る話になったらあたしが用意する。それまではフィアットはおろか車のくの字も話に出すなよ…いいな、マリーもシトロエンやルノーの話は絶対するな。ミシンや自転車の話題もプジョーに触れそうなら避けろ、わかったな! 約束を破ったら久々にダリアか、さもなくばあたしが痴女宮のダム堤防に連行するからな!)
(今になってマリア様のお仕置きとは…まぁ、もし工場内で車の試作品があっても見ないふりしときますわ。確か、工場内やてすとこーすで圧搾空気を使うとかして馬無しで走るやつを見た記憶はございますから)
(ぎゃああああ!やっぱりデトロイト滅ぼす気満々じゃねぇか!)
(確かに馬のない馬車、鯖挟国の皇帝なら切実に欲しがりますね。彼の国の立地は私も存じておりますが、陸続きであちらこちらに行けてしまいますので。すえず運河の下に掘って頂いたとんねるとやらのおかげで、陸続きのごとく謎掛墓地国や諸子宦官国まで)
(国名がめちゃくちゃひどい…エジプトやモロッコから文句来ても知らないわよ…)
(砂漠はなー、鉄道敷設が難しいんだよ、ほら、砂。痴女皇国世界なら沿岸部の砂漠化が進行してないから、海沿いなら敷きやすいとは思うけどな)
(とらっくとやらがあれば捗りますわね。あれは本当、色々と使い道があって)
(大砲を積もうと考えるバカがいなきゃいーんだけどなー)
などなど雑談しつつお風呂を済ませてお部屋に戻ります。一応一人一室なんですが。なんですがね。
はい。ベラ子陛下の癖。
誰かにべったりし始めたら徹底的にべったりするクセがあります。
ジーナさんが崩御する前にもべったべただったそうですが、この人は性行為の相手以前に私を抱き枕か何かと思っておられるのでしょうか。とにかく隣に来たがります。
これ、私だからいいようなものの、普通の殿方だと評価が別れるのではないでしょうか。
とりあえず扱い方はジーナさんからも聞いてます。
あれはでかい猫と思え。暑くなったりしたら勝手に離れるからと。
確かにそう言われると思い当たる節があります。痴女宮でもこの癖を知っている人物はそう多くはありませんが、知る人はよく知るベラ子陛下の生態です。
なお、階下に響く音が迷惑なので、室内では下に在室者がいるか確かめてからと申し渡しています。
何ってあれですよアレっ。
なお床は畳です。
こう書くと日本だし当たり前じゃんと思うでしょ。江戸時代中期からですよ、畳が一般化し始めたの。
少なくともこの時代の罪人の居室に当たり前の顔して敷かれてるものではありませんよ。
そんな畳の上に自分の部屋から持ち出した布団敷いて寝てる人がいます。ちなみにすっぽんぽんです。
私は一応、部屋ごとに支給されている寝間着を着てますがっ。
で、お部屋の照明ですが、痴女宮で使われている発光結晶体。これがここにも導入されていて、蝋燭やランプのように火の元注意な事はありません。但し点きっ放しなので、消灯の代わりにスライド式のカバーをかけて暗くする事になります。
「ねーたのちゃん。ねーさんが言った話、海賊退治の時にもアレーゼおばさまから聞かされてるんだけどね、もう一つ重大事項があります」
「なんざましょ」
「マリアねーさん、ワーズワース大公の引退と併せて、しばらくNB政界の面倒見てくれないかと打診されている模様。本当はジーナ母様をNB政界デビューさせたかったが、一度は崩御した上に、こちらが今のような状態なら微妙に引き抜きづらい。かと言って御子息は若すぎる。せめてお子様…フレデリック君だったかな、彼が四十代になるまでは女王様めいたポジションでNB円卓騎士団に加わって欲しいんですと」
「クリスさんいるじゃん」
「クリス叔父様、政治的センスはないとは言いませんが薄いというのがねーさんの評価。あたしも同じ。あの人は本来ならバイオ関係の研究者ポジションだし、政治的には良くて参謀役。それにジーナ母様と同じでNB国籍者としては死亡扱いだしね」
「あー…いない人扱いなのか…」
「というより痴女皇国民扱い。NBでは母様同様、痴女皇国籍の外国人として改めて登録されていて名目上は別人よ。ただ、母様は完全に別人にするとまずいらしくて、何故か軍籍を持っていてNBでのパテンテは維持されている模様。向こうにはまだ、スケアクロウの操縦検定試験官資格者が少ないから、やむをえず教官資格を維持されてるみたいけど、実際にはいなくなって欲しくはない人扱いのようね。NBの政財界には痴女皇国経験者の有用性を理解していて、痴女種の危険性を鑑みてなお交流継続を希望する向きが圧倒的だというのが大公のお話」
「連邦のラッツィオーニ閣下も手放したくはなさそうだしねぇ」
「あの人は連邦社会で痴女種の有用性に気付いてる数少ない聖院・痴女皇国親派よ。加えてイタリア自体が痴女皇国との国交に熱心だしね。何せ、痴女皇国と付き合うって事はNBとのパイプが自動的に構成されてしまう事でもあるし、間接的に英国も自陣営に組み込めるから」
「なるほど、それでまりりをNBに…」
「あたしでもいいんだけど、向こうをよく知ってるのはやはり、マリアねーさんだからねぇ。高木マリア行かせたらいいじゃんと言ってるけど、高木お祖父様の会社の精算やユニオンキャリー日本支社役員の立場があるから無理なんですと」
「マリアンヌちゃんやスザンヌちゃんは…まだ学生か…」
「あの子たちはNBと日本での重要なポジツィオーネが決まってるようなものだから。もっとはっきり言うと、フレデリック君の奥さんと愛人さんが確定してます。これも、本当はマリア姉が背負って行く話だったんだけど、痴女皇国作っちゃってるから…ワーズワースのお祖父様の愚痴酒の席にあたしも呼ばれたことがあるんだけど、もう色々あれこれ聞かされるわ言われるわ、そりゃあマリア姉がNBに行きたがらないわけがよくわかるわよ。ジーナ母様も嫌がってはいるけど、なんだかんだでワーズワース大公のお世話になってるし、ある程度はお互いがよく分かってるからねぇ」
「痴女皇国としてはNBと今後はどうして行きたいのよ」
「相互依存があるから最低でも現状維持。あと、これはアレーゼ叔母様からの受け売り。最悪、一時的にNBで開発中の地球型惑星への人類移住、これも考えてやっていいんじゃないかと。ただ、生活環境から様式から何から何まで変わるし、全ての人間が移住を希望するか。そしてNBでもNB国民としてなら受け入れたいのですと。この意味はわかるわよね?」
「あー、拒絶反応出そうよね。特にフランス関係者」
「一応マリア姉としては、姉とアルトさんとエマ子がいれば人類復元は何とかなるらしいわ。ただ、優先順位は既存人種保護または保存。次に文化様式や文明保存があるから、残せる個体数は多ければ多い方がよし」
「りええがいつか疑問だって言ってたけど、氷河期や地殻変動を抑えるのはダメなの?」
「現状では人類が宇宙進出するまでに必要な資源蓄積がなされていないから、再構築する必要があるみたいなのよ。だから必ず氷河期を含む大変動からやり直す必要があるんですと」
「地球表面を沸騰させる所から始める気か、あいつは…」
「マリア姉だけで決めてる話じゃないからね。ねーさん本来の性格なら、金を掘って来たみたいに他の星から資源引っ張ってでも現状をいじらずに人類進化を進めるでしょ」
「確かに…で。陛下。さっきしたところでしょうに、何をおたわむれに」なんかゴソゴソ身体をいじられております。
「さっきはあたしが男役だったよね? で、あたしがMIDI化すると子孫を残しにくくなるそうです。本当はあと二百年くらいはそれをしたくはなかったのですが、マリア姉がNBに出向するとなると、誰が痴女皇国の面倒を見るのよって話になるでしょ。で、ねーさんの代わりを務めるにはMIDI化必須。その前に受精卵だけでもこしらえておきたいのっ」つまり何ですか、私が男役…。
「下の部屋の人は…」
「今はまだ戻っていないわよっ。今のうちに済ませるのよっ」
はい、吸い取られました。18歳未満の方には皆まで言わない方が良いでしょう行為で。
しかも私まで、どさくさ紛れに子種植え付けられるしっ。
「ですから言っているでしょう…初代様に預かって貰いますと…今すぐ二人が出産するとそれはそれで困りますので、テンピスモを計る役を初代様にお願いいたします。それでいいよね!よね!」なんかベラちゃんの目が怖いです…。
「更に海賊退治の際に、聖院のマリア姉からもぼやき倒されたのです。痴女皇国並みに人材を積極的に確保すべきかと。つまり、最初は滅茶苦茶でしたが、積極介入を前提として組織拡充を図った我が方が結果的に正しかったのかなーとか散々っ」
「で…応援要員を作っておくという事ですか…」
「そしてね、痴女皇国側の姉からはね…」これこそ頭が痛い話でしょう。
(だから連邦世界のイタリアだと自力で鎖国してるような独自文化圏築いてるから留学の意味がねーんだよ。オックスフォードも考えたけど、英語圏だからベラ子がイライラすんの目に見えてるじゃん。あたしにNB行く事前準備させろやワレっておっさん他に言って、今から起きる段取りつけたからさ、ベラ子が行ってる間、一年くらいならあたしが痴女皇国の面倒見るわ。日本政府や連邦への話が済み次第、痴女宮または天王寺の家からあそこ高校に通ってもらうぞ。拒否は許さねえっ)
(お待ちまりり。あそこ高校というと、あたしの母校?ついでに理恵や雅美さんの母校?)
(もちろん、そうに決まってるじゃねぇか。ちなみにあたしの母校でもあるからな。ベラ子の保護者役はかーさんとルクレツィアさんに頼んでるけど…今回、行きたがってる人がいるんだよ…つまり、おかみ様がな…)
(えええええ!あの方抜けて大丈夫なんですか?)
(確かに痴女宮には割と来てるけど…)
(あたしも反対してる。ベラ子、あんたがあそこ高校に行くとだ、絶対にあたしが通った時より波乱が起きる。そこにおかみ様加えてみろ。絵図は想像つくだろうがよ…)
(日本や連邦には話は?)
(実は連邦側からの打診だ。あたしがNBに行くとなると痴女皇国に見知った顔がいなくなり、外交や通商上の話が通らなくなる懸念を示された。日本政府は死ぬほど嫌がっているが、今の連邦トップがさ、頭がハゲてるけど精力的に仕事も女遊びもするイタリア人を地で行く誰かかを考えるとよ、日本政府が連邦に押し切られるのは理解できるよな)
(事務局長…ラッツィオーニ閣下…)
(しかもワーズワース大公同様に、体質転換で200歳近くまで存命確定だ。ワーズワース大公としても、NBと地球と痴女皇国の良好円滑な関係構築のためにも、痴女皇国の皇統者は地球留学の慣習を作らせたいとな…預けてる呪いの金塊の呪い、もう少し凶悪にしときゃ良かったぜ…とりあえず比丘尼国での研修予定は通常通りこなしてくれ。戻ってから詳細は話す。あと、たの吉。お前らの受精卵はたった今あたしが預かったから、心置きなくラインで汗かいてこい。今日からだろ?もうそろそろ支度しないと船に間に合わねーぞ。職区集合時間までにちゃんと行っとけよ。ほら、マリー来たぞマリー)
はい、ノックの音がしてドアを開けられます。
…寮監業務代行で生活指導もしてるからマスターキーも預かっていると…
「ほらほら早く支度してくださいませ!水筒も持って!あと獄票と食券札もお忘れにならないようになさってくださいね!」
…なんか、監獄国の監督官よりビシビシやっておられませんか、マリーさん…。
たのの「話はいきなり降って沸く、それが痴女皇国」
まりり「聖院側も似たようなもんだって」
ベラ子「しかし、何故高校なのでしょう。聞けば一年生の時に転入とか」
まりり「大学はでかい上に、専攻分野に進むせいで他学部との交流が難しい。ランクの低い大学なら四年生になってもサークル活動やらに明け暮れられるかも知れないけどさ、連邦や日本政府が望むのは、社会に出た暁には日本や連邦の利益代弁者として痴女皇国皇帝や要人と対話交渉が出来る人材との交流なんだよ。つまり、職業分野を問わずにあそこ大学に進学して日本の中核で働くであろう優秀な人材が学友でなくてはならない。これはあたしが通ってた時期の向こうの方針だが、今回も変化はねぇな」
たのの「今回も若様大学は見送り?」
まりり「あそこはな…以前、比丘尼国と皇室の関係を密にしようとし過ぎて揉めた話があるんだよ。今回、おかみ様が混ざるのを検討してるのはその辺あたり。ただなぁ…あの人が来たら来たで頂点すぎるだろ。どこの高校が天照大神の通学を快く了承するか想像してみてくれ…」
ベラ子「確かに、いえめん宗教でいう聖母マリア様が通うというような…ってあたし二代目聖母じゃないですか。しかも産歴二人目確定だし」
まりり「というわけで、あたしの通学実績を鑑みて一年程度の留学に留める。あ、天王寺の家はまりあとマリアンヌとスザンヌが使ってるだけなんで空き部屋はあるけど、痴女皇国から通う事も、今ならあたしの時より楽に出来るんだよなぁ」
ベラ子「その辺は状況を見て判断しましょう。正直、痴女皇国から通う方が色々捗りますし」
まりり「あと、ベラ子が抜けた際の穴埋めだな…」
てるこ「それについて意見があります。マリアリーゼ、貴女はたのきちを国家摂政にと考えておりますが、姉を地球の連邦社会に放り込むことを考えますと、いや、たのちゃんの力量や適性を鑑みますと、たのちゃんが財務本部長昇格、あたくしが摂政で回す方が適材では?」
まりり「ううっ初代様を否定できないっ…よく考えたらクレーゼ母様いるじゃないですか。それに、あのおばは…ジーナ母様も今回は健在ですよ?どちらかと言うとクレーゼ母様の方がおかみ様より厄介な気が」
てるこ「マリアリーゼはあの腐れ姉をよく知らないから言えるのですよ。あれの面倒な事と来た日には…あたくしの髪の毛の色が青の方が多いでしょ?最近とみに…」
まりり(ベラ子…たの…わかった、初代様はおかみ様を厄介払いしたいんだ…)
てるこ「それもありますが比丘尼国に引きこもって欲しいのが本音です。日本に行かせたら行かせたで揉めるのが分かっておりますから。何せ、あちらでも最上位の祀られ方をしているのは間違いありませんからね…」
おかみ「黙って聞いておれば無茶言いよって。それと、日本が比丘尼国と仲良くしたいならわしの一柱くらい黙って受け入れんかいと」
まりり「前の時にも割と無茶言ってなかったかな…」
おかみ「いや、わしが行くと騒がれるのは分かるんやが、もう少し手はないんかいなと」
エマ子「簡単っすよ。学校の◯子さんになればいいのです。生徒からは見えるけど教師からは見えないとか」
まりり「なるほど! 確かベラ子は実年齢で18歳未満余裕だから、20歳以上には見えないようにすりゃ学生以外に認識できないし、センサーでも引っかからないなら学生が何を言おうとも教師が認識できなきゃいないとして扱うしかないよな!エマ子ナイス」
おかみ「なんか釈然とせんのう」
まりり「まぁ、あたしらの扱いに慣れてる人間、日本サイドに今も約二名いますのでね。可能ならあそこ高校に送り込む学生の統括役として赴任しねぇ?とか声をかけてみますよ。一名はともかく、もう一名はあたしらと馬のあしらい方をよく知ってますから、にやにや」
たのの「まぁ、こういう事の処理をサクサク進められるのって、やはり彼しかいないよね…」
りええ「彼さえ来てくれたら諸事つつがなく進む、そんな安心感のあるお方ですね」
まりり「ちなみにあたしらがどれだけ彼に感謝してるかと言いますと、万が一拉致られでもしたら痴女皇国総力挙げて見つけ出します。アレーゼおばさまやマイレーネさんどころか、初代様やおかみ様に本来の姿で出撃してもらうつもりでおります」
おかみ「あの子ならまぁ、それくらいしてやる方がお互いのためにいいわな」
てるこ「たのちゃんや理恵ちゃんがここにいる契機を作った…つまり痴女皇国の発展に必要な人材確保に協力して頂いたり、日本と痴女皇国の関係改善に尽力して下さった恩はございますからねぇ」
たぶぶ(僕には何もしてくれないのだろうか)
まりり「とりあえず親父の票田引き継げるまで民間企業で修行しなさい!長州の総理も筑豊の総理も民間出身なんだから、ぶっちーも実績積め!あんたは甘やかされたらだらけるタイプだ!」
りええ「まぁ、まりりが見捨てる事はないと思うから、安心して世紀末状態な産油国とか治安なき南半球某国とか砂漠地帯で仕事して来なさい!」
たのの「田淵くん…海賊退治とか蒙古騎馬軍団とかバイキングとか人食い鬼軍団と戦うよりはましよ、それでもまだ…」
りええ「美男公のツテで罪人生活体験とかイェニチェリ生活体験とか!イェニチェリならほもれるわよ!」
まりり「まぁ、細胞か遺伝子だけでも残ってりゃ再生してあげるから、うちの北米支部か、はたまた比丘尼国の舞鶴興業か監獄国で半年やってみるかい?」
たのの(ぶっちーには痩せられるから、たはらはいいかも知れないな…)
たぶぶ「ぎゃあああああ」