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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


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ぢょおうさまとおよび -Adora me-・8

つまり、比丘尼国にあっては、もはや痴女皇国本国や他の支部と同様に罪を犯すのはもちろん、悪事の計略を立てることすら難しいようです。


(年賀決起挨拶国なんかそれで苦情言って来やがったもんなぁ…ほらほらおまつさま、アレですよアレ)


(ああ…倒幕は長州の悲願である上に河豚水鉄砲国の藩士の心を一つにする重大行事とあっては、敢えてお見逃しをとか申しておりましたね…)


(活け河豚と肝の塩漬けと干しひれの例年の差し入れで黙認した件ですな。まぁ実際に殺魔(ちぇすと)のごとく英国(えげれす)から大砲を買い求めようとしたり、軍船を調達するような実行意志を見せなくば良いとは申しておきましたが…)


(あれ物干し竿とか言って誤魔化そうとしてやがったからな…)


(まぁ、当てつけで決起挨拶国や超助平痴漢国(かつおたたくくに)ににいすぱにあやふらんすの余りの大型洋風帆掛船を融通してやり申したが)


(正之も割とそういう嫌味なとこあるよな。へっへっへっ)


(兄上には負けまする。はっはっはっはっはっ)


(あ、白天狗の姫君に紹介いたしましょう。これは保科正之(ほしなまさゆき)と申しまして、わしの不肖の父親たる秀忠という毛深い汚っさんが狩に出かけた際に地元の娘に手を出して産ませた不幸な身の上の男…すなわち、おれの弟なのに長年にわたって認知されなかった諸々があるのですよ…)


(で、現在は兄上はもちろん、今公方(いまくぼう)たる家綱様にお仕えさせて頂いております。何分にも我が比丘尼国は四方が海とあっては、いかに陸蒸気を走らせようとて海から運ぶ方が捗りますところもまだまだ大。船頭水夫に荷運びのくちの職を確保するためにも、南蛮で不要と相成りましたる帆掛船を大量に譲り受け北前南前の船運に用いております次第でございます…)


つまりは、かつてのジャムジュナ妃が時のリュネ王に手をつけて生まれたクシ王子のようなお方。


イエミツ様のほもだちであるチョウジュウロウ様…マツダイラ・ノブツナというお方と併せておまつ日本行政局長の覚えもめでたい才子のようですね。


でまぁ、ホシナ様いわく。


(確かにガチガチとあれこれを決めて民衆を縛っては、我が比丘尼国にあっては町衆はむろん百姓どもの不満は溜まるばかり。れんぽう世界の江戸の歴史も拝見させて頂きましたが、それはもう向こうの我らは何をやっておったのだと言いたくなることもしきり…で、ですな。大岡長官)


(は。先立っての馬を競わせる馬場開きと併せまして、賭場開帳の制度を見直させて頂きました。これにつきましては上様や信綱様、保科様はもとより徳田様ご臨席の上での御膳会議にての決議と相成りましたかと)


で。


比丘尼国で使われておることば、聖院第二公用語と源流は同じなのですが、少し昔のものだということもあって、いささか古い単語や言い回しも多分に含まれているそうなのです。


そこで、ベラ子陛下やマリア様などに助けて頂きながら不明な点をお伺いして理解に努めておりますが、要は痴女皇国の荘園ほどには男をがっちり縛ってはいないところも多い比丘尼国では、酒を飲んだり女を買うような、男の娯楽を提供することにやぶさかではないのだそうです。


しかし、そこで起きるのは喧嘩や盗みや、あるいは詐欺といった犯罪行為が当然のごとく予想されておるそうです。


(いえ、既に。例えば新橋や錦糸町、あるいは五反田や内藤新宿といった下々の者が出入りする下世話な町で破壊坊主、いえ徳田様とかいう破戒坊主な御仁が何軒もでいり禁止になっております)


(おまつさまぁああああああ!)


(せめて吉原だけにして貰えぬものかと思うたのですが、まぁ、上様に代わって徳田様が町衆の暮らし向きを視察なさると申されては我らとてあまり強ぅには咎められず)


(大岡。言っとくけどそれ強く言ったら長谷川も遠山も共犯だぞ。遠山が遊び人の金さんだってのは有名だけどよ、長谷川も若い頃はそりゃあもう鬼平だ鬼の平蔵が来たぞ店を閉めろって逸話の持ち主じゃんかよ…)


(うえさ…徳田様、それは言わぬ約定で!)


(わしが鬼平と言われておったのはあくまでも凶賊退治の達人だからこそと世に言われておりまするのに、流言蜚語(りゅうげんひご)は奉行所の沽券(こけん)にも関わります話ゆえ、なにとぞお広めなどなきように…)


(でも宣以、お前の管轄を歩いたら鬼平が来たって蜘蛛の子散らすようになるのはともかくさ、本所(ほんじょ)(てつ)だって言って逃げ出した奴いたじゃねぇか…)


(それは町屋の桜吹雪の御仁とて同じ…)


どうやらこのトクダ様、要職をご子息に譲られたのを良いことに、あっちこっちほっつき回っては遊び歩いておるようなご様子。


遊ぶオカネとか、どうしてんでしょうか。


(んなもん幕府の金蔵から出す訳には毛頭行きませぬ。それも老齢ならばまだしも、若返っておる上に偽女種であれば自分の稼ぎで何とかなさいと突き放させて頂きましたわっ)


(で、母上にかくも言われて困り果てた父上、庄司甚右衛門に話をいたしまして穢多手形を融通され、品川宿や吉原の陰間茶屋で小遣い稼ぎをですね…信綱の叔父が怒ってましたよ…俺まで付き合わせないでくれとか)


(それより家綱にまで(おかま)(ばいしゅん)の道に誘い込もうとさせないで下さいましっ。そもそも家綱も綱吉ともども、奥の娘どもの相手で手一杯なのをご存知でしょうがっ…穢多にしても、甚右衛門と矢野の子が四苦八苦して奥に貸し出す者を選んでおりまするのに…)


(あの…芳春院様に兄上。そのような話は江戸のお城の中のみでと…それよりは、江戸市中の悪党どもの扱いをですな。こほん)


(はいはい…で、比丘尼国の中でも悪党罪人の類、どうしようかって話にはなったんですけどね、一応はうちの国の中では「実際にやらかすか、やらかそうとしてから捕まえる」ことを基本にしようって話にしたんですよ。大岡)


(は。聞けば白天狗の姫様のお国は長く長く続くいくさの果てにようよう平定が成ったと伺い申しまする。かくのごときお国では、民が散財しようにもそもそも楽しみが少なき事かとお察し奉りまする次第。ましてや博打に女郎などといった、男から金を巻き上げる諸々もなかりせば、撮り方の数を増やす必要も無きことかと…)


(いやいや大岡越前殿、そこはそれ、遠山と長谷川にさ、ちょっとその辺をさ…)


どうもこのオオオカという御仁、戦士の思想を強く叩き込まれていた上に文官官僚の教育も受けている、いわばえりーとの出自のお方の模様なのです。


そして、向こうの有力戦士の所領境界を巡っての係争を公平正大に裁定した実績持ちでもあること、ジョスリーヌ様やオマツ様から教えられます。


(ただですねぇ…滋光様が言われる通りで、かたぶつなんですよ…倹約大好きで、同じく倹約派の紀州徳川家と者っすごく仲良しでして…)


(で、小官とは正直、あまりウマが合わないのですよ…小官といえどフランス支部やスペイン支部の推進する芸術文化振興策に接しておりますし、何より痴女皇国本国の芸文担当者でもあるマルハレータ殿下には比丘尼国でも、連邦世界のニホンが築いたような独自文化を醸成すべきと強く進言を受けておるのですけどね、ただ…それをやるには比丘尼国の民間、特に大衆への金回りをよくするのと、多少の贅沢や治安悪化はある程度は避けて通れないって小官もサン・ドニなどの事例を出してご説明してるんですけどねぇ…)


(まぁまぁじょすりぬ様、それについちゃ遠山や長谷川こそがその道の達人ってもんでさ。なんせこの二人の若い頃っていや、それこそ俺が野育ちだったらこれくらいはやってたよなぁって感じの悪童ざんまい、飲む打つ買うに長じて博徒どもにも一目置かれてたんですから…)

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