ぢょおうさまとおよび -Adora me-・4
そうです。
この方、ジョスリーヌ・メルラン黒薔薇騎士団・欧州分団長様の類似品。
(待って!待って待って待って下さいマダムイリヤ!あの…ナンボナンデモこの小官をその快楽殺人鬼の類似品のシモーヌと一緒にされるのは)
と、早速にもそのジョスリーヌ分団長からの心話が届きます。
届くんですが。
そこに更に、もうお一方、乱入されるのです。
(これこれジョスリン。シモーヌちゃんもカエル女もフランス人でしょうがぁっ)
え。
このお声は、ベラ子陛下。
起きて来られたんですか。
(ええとですね、今のあたしはマリアねーさんが寝てた時の状態の類似です。苗床の中なので実体はないに等しい状況なのですが、意識はあります。そして…イリヤさんが見てる光景があたしにも見えるのはもちろん、なんでイリヤさんがそこにいるかも理解の内です。とりあえず理恵パイセンに従って、列車に乗ってくらはい…)
へいっ。
そんなわけで、室見様と二人して…いえ、秘書娘とドミネラとメリエンにも手伝ってもらって、パイローテとそのシモーヌという、見た目だけは虫も殺しそうにない女を箱の中へと押し込んでしまいます。
そして、わしとフユキ、秘書娘と息子、ドミネラとレヴェンネという具合に部屋を割り当てられるのですが。
「シモーヌさんとパイローテさんのお部屋と、イリヤさんとフユキくんのお部屋は続き部屋にしておきました」
なんでかというと、いざって時にわしがしばくためだそうで…。
というのもこのシモーヌ、人をたぶらかす才能も相応でして、こいつの提案する悪事についつい加担してしまう者が後を絶たぬとも教えられてしまうのです…。
(パイローテがシモーヌに籠絡されたりしたらどないしまひょ)
(それまでの人材として、イリヤさんのお好きにしてよいと思うのです…もしも処理に困った場合はパイセンに頼んでくらはい…パイセンは女官長資格者です…)
あ、なるほど。
確かに、室見様なら強力に女官を指導する資格をお持ち。
そしてベラ子陛下が苗床から出て来れないものの、起こされた理由はどうやら、わしのお目付け役としての意味合いらしいのです…。
(東京の分体は活動してるんですけどね、とりあえず全力は出せないのです…)
(出さんでええです、このパスタ女)
(出たら真っ先にカエル女を呼びつけます…)
…あ!
私の中で、何かが閃きました。
ええ。
そのシモーヌとやらの教育役、とても相応しい気がする人材に思い当たったのです。
で、わしは早速ベラ子陛下にご相談へと相成ります。
しかも、室見様も側におるし。
(それは有効な処置だと思います。アルトさん、ペルセちゃん、警務局に臨時の人事異動稟議をお願いします…)
(あいあいさーでございますべらこへいか)
(ほいほいさーでございます、ベラ子先生)
はやっ。
(イリヤさんもしってるとおもいますが、くろばら騎士はきんきゅうでとんでいくことがありますから、もっといそぐときはてつづきあとまわしでもいいのですよ…)
(そのための黒薔薇騎士の権力ですから…)
(まぁ、今回はカエル女が嫌がる気もしますから強制的にやった方がいいでしょう)
あの。
ご本人、大喜びでこっちに来られてるんですけど。
「いやーマダム、小官が比丘尼国から合法的に異動となる人事を出して頂いただけでも」
「よっぽど嫌だったんですか…」
「いえいえそういうわけでは」
もうお分かりでしょう。
ジョスリーヌ分団長、れっしゃの中に来てもらいました。
そして、シモーヌどころかパイローテまでもがものっすごく嫌な顔をしてるようです。
ええ、ジョスリーヌ分団長が淫化に赴任されていた際に「どういう人となりか」知ってしまっていたようで。ひひひ。
「ではジョスリーヌさんには、学園都市の警務騎士養成課程の顧問をお願いするとしましょう…」
ええ、わしもこの御仁がどういうお方かはよう存じております。
そして、ジョスリーヌさんも、わしがどういう女は理解しておられます。
「そりゃあマダムとシモーヌでは全くソリが合わないでしょう…少なくとも戦時下のリュネ大陸がどういう状況だったかを想像するだけでも、身内でこそこそ謀略や小細工をやっているような悠長な事態であったとは思えませんからねぇ」
で、ジョスリーヌさんも見た目は普通の人なのですよ。
動くところを見るまでは。
ですが、この方がシモーヌよりまともと思うのは、上下関係は一応は守るところでも明らかです。
それと。
「フユキも元気にしていたか? いやぁ、淫化以来だな…」
と、子供には普通に接する人なのです。
(騙されてはならないのです…カエル女は工作のために一般人に偽装できる逸般人なのです…)
(普段から逸般人やってるから苗床に漬けられるのですっこのパスタ女っ)
まぁ、特定の上君とソリが合わずにマンザイを始めるのはご愛嬌ということで。
「まぁ、そうですな…ルーン大陸の現状については、そのシテ・アカデミーク到着までにシモーヌともうお一方と予習をしておくとしまして…とりあえずは、淫化神官に対しての警務騎士教育当時の基準で諸々を教えるとしましょうか」




