新人財務官の悩み・痴女になりたくて その1
「これがクレーゼ様の不忠不孝を誅した際の記念絵画。で、下の懲罰服姿の皆様は、先代聖母様が、先代聖女にして初代痴女皇国皇帝マリア陛下並びに、痴女皇国幹部一同を懲戒された際の記念写真」悦吏子さんが懇切丁寧に説明しておられます。
「しかし、毎度毎度だけどこの扉は禍々しいわねぇ」
「ああ…これが噂の懲罰具倉庫ですか。その横の大きな扉は?」
「これ、前はなかったな…あー、乳上。この扉が比丘尼国の元伊勢に繋がってるゲートのはずよ」
「その通り。たまにえすにっくな飯を食いにくる時にな、こうしてな」なんかいきなり扉が開いて、巫女さんみたいな方が。ただ、あちこちが大きく開いたり裂けたデザインですね。はっきり言って服の服たる「隠す」目的をまるで果たしていません。
「おかみさま、私用でこれを使われるのは…」
「ええやないか。あと、そこのちちうえとかまさみ、あんたらとうちのよりみつが魔羅勝負したい言うとったからな。近々来たら頼むわ」
はい、この一連のお話を最初から読まれておられる方にはお馴染みの場所だそうですが、私は2回目ですね。学生時代に一度見学させて頂いた記憶があります。
絵画の下の扉を開くと、危険な懲罰用具の数々を収めた倉庫になっているそうですが、禍々しい気配がする扉を開く人が現れない事を願って止みません。
「あ、時々、中は掃除を兼ねて在庫品の棚卸しをやってますよ」
「…まさか、これも資産扱い…償却以前に価格設定や価値判断に悩みそうだな…」ついつい税務屋思考で物事を見てしまう自分が悲しいですが、仕方ないでしょう。
なお、写真はまだしも件の絵画、描かれた内容はともかく美術品として資産価値が生じる可能性が高い立派なものですので、出来れば税制確立に先立ってここを独立非営利法人の美術館扱いにでもして、痴女皇国の資産管理とは切り離したい気もします。
「まぁ、墓所内の案内はともかくとしまして…ベラ子陛下。初代様を外道さんに下ろしますよ」
「はい、お願い致します」
「で、初代金衣女聖のテルナリーゼでございます。とりあえず田野瀬さん。貴女の痴女化は可能ですが…マリアヴェッラ。田野瀬さんの人格や個性を吹き飛ばしてでも強行すべき事案でしょうか」
「え…初代様、それは矯正不可と判断された女官が受ける最後から一つ前の処置…」
「そうです。ですので…田野瀬さん。貴女自身が、ご自分で痴女化に対する恐れや懸念を乗り越えたとご自身が判断された場合、自動的に体質変換が進みますよ」
「おーいてるこ。あんた、それができんからこの子が悩んでるんやないか…」
「姉様。ひまですか。なら手伝って差し上げ…え、外道さん、これが今みたいに気楽に痴女宮に来られたら私ら息苦しいから言い聞かせて欲しい?はいはい。確かに職場放り出して遊びに来るのはいけませんね」む。
「初代様ですか。比丘尼国の長たる方を応援にお呼びした場合の委託人件費が問題になるかと具申させて頂きます」あたしは勇気を奮って宣言します。
「さらに、おかみさまですか。お気遣いありがとうございます。ですが…失礼ながら、比丘尼国の頂点の方でしょうから好きに出来るとは思いますが、仕事を抜けて私用で来られておられるという事で、部下の皆さんからの視線の問題もあります。ですので仮に受け取っておられるならば役員報酬一部返上などのけじめをみずからつけられる方が、お国の規律に繋がるかと助言させて頂きます」
「ななな何じゃこの小娘は無礼なっ」
「いえ…おねえさま。この方…田野瀬麻里子さんの話は、この方の世界では筋が通っているのですよ。それにわたくしも、みだりに痴女宮に出て来て色街どころか淋の森にまで出没しているのは、比丘尼国大神官の地位にあるお方の振る舞いとして如何なものかと。あたくしもエマ子に頼んで身体作らせようかしら。…いえ、聖院女官として体験したいだけで、現世で遊ぶお金を荒稼ぎしたい訳では」
なんか姉妹だけに思考が似ておられますね。
初代様も、バビロニアやアッシリア辺りではめちゃくちゃ崇められた方らしいんですけど…大丈夫だったんでしょうか、あの辺り。
そして、それよりも徴税官経験者としてよほど聞き逃す訳にいかない話をされてるじゃないですか。
「え…ちとよろしいでしょうか。初代様。聞き捨てならぬ話が。…おかみ様、淋の森で営業されてるなら、うちの国の租税鑑札に類するものはお持ちですよね? 無許可営業は罪人頭への通報対象と伺っておりますがっ」
「まっ待てっ!流石に…請願処だかにほけんだいとやらは払うておるわ!」
「では聖環を拝見させて頂きます。…ベラ子陛下ー。すみません、ちょっとおかみ様の聖環、あたしだとパーミッションかかって見れないので、職業ステータスとか調べて頂けますか?」
Oohime 大日女 Mimicry mode Goddess, in Japan. 八百萬神族擬態 Slut Visual 痴女外観 Empress, High Priestess, Imperial of Japan court. 八百比丘尼国女帝・大神官 Our Goddess 1st. 大日孁貴神 Temptress Palace Help-Call center, Imperial of Temptress. 痴女宮請願処
「あの…保険料、確かにお支払い頂いてますけど…売春婦扱いになってませんよ…客の支払い、どうされてるんですか? 南洋王国ルピーで現金とか? あと本名の漢字、どう読むんですか」
「おおひるめのむちのかみ、じゃ。最近の若いもんはこれも読めんのか」
「というかうちの国で売春してるんですか…」
「いやその、おこづかい欲しさに。とりあえず南洋王国の金で受け取ってるんじゃが…」
「ああ、後で請願処にお越しください。聖環に入金しておきます。あと、売春婦登録しておくと、設定した金額で貸与聖環持ちのお客からはキャッシュレスで受け取れますよ。更に、保険料のお支払いどころか、定期引き落としもお手続き頂きますと自動で毎月。引き落としだと割安になりますしお勧めですよ」
「なんかあたし、ここが日本かと…たのちゃんが完全に地方自治体窓口とか警察署の交通課みたいなサラサラっとした対応してるから…」
「え。雅美さん。今、両替処の女官全員こんなもんですよ。ノークレーム目指してすっきり簡潔親切対応。何でしたら可能なら…まりりー、おかみ様の売春婦登録、聖環処理端末機でないと無理なん? なんかおこづかいもらってないから仕方なく淋の森に立ってるらしいけど…ほら、今は立ちんぼさんでも売春婦用聖環で管理してるじゃん。だから職業登録入れといてさ、キャッシュレスでやって頂いたら硬貨じゃらじゃらしなくて楽してもらえるじゃん。ですよねーおかみさまー」
「…あたくし、今、奇跡を見た気が。うちの姉をこうも圧倒出来るとは…」
「ああ、日本のお役人様だなぁとしか」
「おかみ様。まりり…うちの上皇からです。すみませんが他国の頂点で八百萬神族の方が淋の森で客を引かれたら他の淫売が迷惑するから、なるべく控えて欲しい。外交官歳費は外道ちゃんに預けてるから極力それ使ってくれですと。一応、あたしの職務として売春婦登録処理しておきますが、外交的によくないというまりりの言い分も理解できますので…なるべく早く請願処に来てくださいね」
「うぐぐ、売春ひとつでこうも色々あるとは…まあ良い。後で聖環と金袋を持って行くからよろしく頼むぞ。で…」
「どうも田野瀬さんに売春行為の管理権限が多少はあると知ったようですね…」
「まぁ、お前さんの身体じゃが、わしから提案がある。まずは敢えて鬼化する。で、すかさず痴女体質にするんじゃ。これなら愚妹が言う、頭の中を綺麗にしてまで痴女体質にするほどの事もなかろう」
「なるほど。では早速実験をば」
「ちゅ、躊躇がないっ」
「すごい決断早いね…なんか痴女化の際に悩みまくってたのが嘘みたい…」
「ではゆくぞ。うっ。なかなか」
「どうぞっ。あっ、R15版の可能性があるので詳細な声は出せませんよっ」
「むむうっこれでどうじゃっ…で。まさみかちちうえ。次はどちらかで頼む」
「では先輩の立場であたしが…いけるかな。えいっ」
「あんっ、ステータス確認してみましゅ…」
Mariko Tanose. 田野瀬麻里子 Thousand Suction(Limited Million, Limited Orge mode)千人卒(限定百万卒・限定鬼化能力者) Pure female Visual(Male Functional restriction). 女性外観(痴女機能制限者) Rosy knights. 桃薔薇騎士団 Finance Bureau office, Limited duties. 両替処財務限定職従事者
ななな何という事でしょう。確かに能力は上がりました。ですが相変わらずリミッターが外れません。
どないなっとんねん、わしのからだ。
…あ、痴女宮にいると関東人でも経験する「ジーナ語汚染」あたしも経験しました。
「あ…このステータスなら、あたくしとでも大丈夫かも。では試しにあたくしも」ベラ子陛下レッツトライ。
「どうかなー田野瀬さん、ちょっと見てみて」
Mariko Tanose. 田野瀬麻里子 Thousand Suction(Limited Ten million, Limited Orge mode)千人卒(限定千万卒・限定鬼化能力者) Pure female Visual(Male Functional restriction). 女性外観(痴女機能制限者) Rosy knights. 桃薔薇騎士団 Finance Bureau office, Limited duties. 両替処財務限定職従事者
「おおっ限定だけどすんごく上がってますっ」
「あと田野瀬さんは普通に女性として機能してるのよね…雅美さんの時や乳上の時、嫌とか痛いとかはありませんでしたか?」
「全くありませんでしたっ!」言い切ります。本当ですし。嘘つけませんし。
「能力的にも、これだけ幹部と接触を持ってたら当然だけど、両替処対応シフトがなかったら、もはや上級どころか幹部扱いよね…居室も21階以上を検討されるレベルよ…」ああ、一般企業なら役員の扱いですね。ただ、21階は…区画の入り口が風紀の乱れで有名なあそこなのが…
「初代様、田野瀬さんについて何か思い当たる節はありませんでしょうか…」
「では外道丸さんの身体ですが、わたくしが接触を持ってみましょう。…田野瀬さん、失礼しますよ…ふむ。なるほど。…あちゃー、これみたいだな…」
「どうじゃ妹。わしがやって、しかもお前までもが拒まれるなら、寝ているまりやを起こして診察させねばならんかもな… 何としても田野瀬嬢に生やしてみせねば、もはや八百萬神族としての沽券にも関わる話よ」
「お姉様。あたくし達がしてると、むしろ逆効果かも知れませんわ…これ。皮肉な話ですけど、普通なら千人卒以上は精気流通の為の接触相手として、必ず部下が存在しますわ。ですが田野瀬さんの場合、その部下に対して手を出してはならずの性的接触禁忌が入るのです。むろん、あたくしは敢えて両替処勤務規制は外してみました。ですが…どうも本人の潜在意識が、自発的に制限を入れちゃうようなのですよ。ある意味見上げた職務に対する忠実さなんですけど…」
「なんちゅう公僕の鑑…たのちゃんの生真面目さがこうも裏目に出るとは…」
「本人が乗り気やる気生やす気満々なだけに、うちの朴念仁より困る話ですわよねぇ…」
「更に妹よ。この子は大和民族じゃろ。言うては何じゃが、ここの他の子達よりも自発的に秩序を守りたがる癖が出やすいであろう」
「それにしては室見さんや私は素直に痴女化しましたが…」
「ああ、お前やりえか、あれは職務上真面目にやらんでも良いからな。それに…生来の資質もあろう。聞けばこの子の家系、金庫番の職務が三代くらいは続いておるらしいの」
「ええ、うち、旧財閥系銀行勤めばかりなんです…父親も祖父も…」
「なるほど。逆に高校時代に痴女化できたのはまだ進路が定まってなかったからかな、たのちゃん」
「あの頃は普通に好奇心旺盛でしたしねぇ。しかも今の職場、本当に色気や色香と縁がありませんし…」
「なんか、あたしの昔の職場の話を聞かされてるような…ええ、全国各地から喪女を集めたかのような部署でして…」
「博子さんとこも大概だったのは、あの押収騒ぎの時に瞬間的に把握できたわね。喪男のすくつでもあったから」
「あー、父親も言ってました。見合いが圧倒的だって。とにかく相手の家庭に関して厳しいんですよ。出世の妨げになるからと」
「風俗でも仕事を明かさないワーストスリーみたいね、官僚と銀行員と教師…」
「皆、ちと待ちやれ。確かこの子は修学宮見学を言うとらんかったか。うちの食客で修学宮講師か聴講生かわからんのが二人いたじゃろ、妹」
「あー!パンチパーマとロン毛の人!」
「あの二人から話があってな。まりやから天竺で話は聞いていたようなんじゃが、よければ診るから視察のついでに立ち寄ってくれと。なんか新人で仏教研究担当の講師志望がいるから、そやつに乗り移ると言うとるぞ」
「…髪型だけで誰か理解できるのが悲しい…」
「あたしも、何となく誰かわかる件…」日本人の二人がうんうん頷いてますが、あたしとしてはそんな方が関係者にいるのかと尋ねたいんですけど。
「あー、日の本で両方とも信者それなりにおるし、気楽に過ごせるからと居座っとる。満更役に立ってない訳でもないから、八百萬神族の職務も持って貰っとるがな。毎年十月には絶対出雲に来いが条件じゃ」
「もはや日本の神様扱いなのか…」
「くりすますやばれんたいんの風習には参加しとるぞ。両方ともモテる部類じゃからな」
「更に日本独自の風習化されてる!」
「ロン毛さんは童貞としてもパンチさんは妻子持ち歴ありじゃないですか…」
「どっちかというとパンチの方があしらい上手じゃのう。ロン毛はなんか生真面目で」
「まぁ、修学宮なら私の管轄なんで、教務長には私が話を入れておきますよ」
「あ、そーか。雅美さん管轄ですよねあそこ」
「何でしたらわたくしも。一度サラッと見学はしましたけど、何が何やらみたいな感じでしたから」
「で、略図抜粋だそうですが」
聖 院 湖 開 闢 記 念 大 堤
大 密 林 痴女宮 女官寮 罪人寮
大 密 林 痴女宮 修学宮 工 場
大 密 林 参 道 修学宮 運動場
淋 の 森 参 道 荷捌場 倉庫街
色 街 参 道 荷捌場 倉庫街
「ダムの上からも見た事あるんですけど、かなり大きいですよ。横の罪人刑務所と合わせたら、どこぞ大学の本郷キャンパスと医学部関係合わせたくらいはあるんじゃないかな、雅美さん」
「あと、刑務所工場を拡張したい話が出ていてね。世界各地で進めてるプランテーションの生産品加工の必要があって、工場拡張敷地を確保するために修学宮をまるっと痴女宮に向かって左側に移設しようかと。ついでにそれするなら女官寮兼学生寮を新設したい、冷房を強化して欲しいと修学宮側からも要望ががが」
「大密林切り開くんですか…あそこに修学宮作ると…問題ありません?すぐ下に淋の森が来ますよ!」
「隠したらいいのよ。あとは工事ね…」
「ふむふむ。場所を移すだけなら、あたくしがエマちゃんに乗り移れば一晩で出来ますわよ。ただ、女官寮は出来たらエマちゃんかおっさんに作らせたいですが。あれ、あたくしが作ると流石に年単位の時間がかかるので…」
「費用的にどうなんですか?この間の痴女宮拡張工事の時は結局、発電設備を導入する必要があったから、結果的に百億単位の支出がありましたけど…」
「なんかマリアちゃんがテンプレス借りてたでしょ。あの後で痴女宮に金塊10トンくらい下ろしてたけど。今は地下遊水池に隠してるって」雅美先輩、サラッと言わないでください、そう言う話。
「どこから都合したんや、まりり…」
「木星の衛星にイオってあるでしょ。あそこと金星は地球型の火山があるからって、その工事のミスの代償にエマ子ちゃん連れて行って以下略。レパルス連れて行って3,000トンくらいさらえてきたらしいわよ」待てやこらまりり!
「…あいつはアホかっ!そんな量、迂闊に使ったらどこ相手でもデフレ引き起こすわよ先輩…経済を教える必要あるんじゃない?」日銀の保有金塊量どころかIMFの準備資金すらぶっちぎりで上回ってるよその量。ちなみに地球全体で未採掘含めて3万5千〜4万トンくらいと見積もられていたかな…。
「NBへの支払いに10トンくらい使ったみたいね。聖院のマリアちゃんにもお裾分けしてたわよ」
「…太陽系の資源を無断で採掘してるのはいいのだろうか…」
「この時代に誰が咎めるかーっ!て、二人してドカヘル被って掘りに降りて行ったとジーナちゃんが。金星の高熱大暴風大気圏とか、致死性の木星磁場何するものぞと。ちなみにイオって放射線量換算で表面被曝量36シーベルト、木星至近宙域の強磁界バースト嵐で何であいつら無事に金掘って帰って来れるんやと」
「つか、イオなら酸素がないだろ…あとでまりりには説教しときます。断りなく資源増やすなって…」
「今度チタンとニッケルとタングステンとマグネシウム調達太陽系ツアーするとか言ってたわよ。あとタイタンからメタン抜いて変換して原油資源にしようかとか」
「家族会議としてはどうなんですか!」
「うちの資産が増える分には不問にする方向で。特にクレーゼが、資源価値を理解してるから乗り気でしてね…」
「初代様。あたしに生える生えない以前に一つだけ、是非やらせて頂きたい事が。二代目以降の女聖様全員、基礎経済学を覚えて頂きます!せめて最低でも中学生レベルの基礎知識は備えてください!」
まぁ、後々の影響を考えずに色々とやらかすと、経済的に痴女皇国の今後が危ないと言う話を簡単にさせて頂きまして。とりあえずおかみ様を請願処まで連行して強制的に売春婦登録してから、女官寮の自室に戻らせて頂きます。
と。同室の先輩、ダイアデレーヤさんからお話が。
「えーっと、たのちゃん。お部屋に戻って晩御飯食べてから、21階秘書課のジーナまたは室見まで連絡入れさせて欲しいって、皇帝室長からメッセージが来てるんだけど」ご自身の聖環のホログラムディスプレイを見せて来られます。
『田野瀬さんが自室に戻られて夕食がまだの場合、食後に21階皇帝室秘書課まで連絡願います@ジーナor室見理恵』差出人は…ジーナさんか。つまり飯食ってから来い。長い話になる可能性があるってこってすね。
で、我々痴女、心話使えますよね。普通なら千人卒以上、つまり旧・上級女官扱いのりええとですね、ついこないだまであたしがそれだった百人卒未満の旧・下級女官の間では、上役たるりええが許可しないと心話をしたり相手の記憶や意識にアクセスできませんでした。
ですが、あたしも千人卒、またはそれ以上になってるので、さっきまでの面子で言うと乳上や雅美さんや外道さんは問答無用で心の中が見れました。ベラ子陛下は本当ならNGですが、向こうで細工をしたか頼んだらしく、あたしとはツーカーの状態です。つまり、りええなら無条件にあたしと心話できるはずなのです。
ですが、それをしない理由がありまして…銀行など金融機関のオフィスに出入りしたり、類似同等にセキュリティが厳しい職場にお勤めの経験のある人なら閃くものがあるかも知れませんね。
ええ。制限、かかります。
以前、まりりが黒マリ状態で下足処の女官の皆様を気楽に気さくに呼び出していましたが、あたしが聖院に研修配属された直後、仕事中にりええと雑談しようとしたら、担当の先輩にえっらい怒られたことがありまして。
特定部署配置者が配置時、つまりお仕事中に心話交信する相手には制限がかかるそうです。
聖環の音声通話やショートメッセージやメールといった通信機能も制限監視下に置かれると教わってましたが、まさか心話までとは。
「まぁ、普通は入りたての女官が万人卒以上と対等に喋れるとかあり得ないからねぇ」と先輩は苦笑しておられましたが、その件ではりええにも注意が行ったそうです。女官長の立場の方が両替処業務従事者のサボりに加担してくれるなとえっらい言われたと、りええが苦笑いしながら教えてくれましたが。
ただ、一定以上の上位職…りええは該当するそうです…から切り出すなら心話はOKだそうですが、これとて「傍受」されると知りまして。
更に、女官寮でも特定区画…ええ、両替処関係者に割り振られたブロックでも同様。
「ほんとーにまりりが言うた通りだった。すげー厳重なのねぃ…両替処関係者…」とりええも呆れてましたが、そんな訳で、秘書課の誰かさん(笑)に頼んで、先輩に了承させる形態でこっちに呼ぼうとしたのでしょう。
「あ、もうご飯終わらせたんで、行って来ます。この呼び出し方だと多分、時間かかる話だと思いますので先に就寝頂いても…というか外出許可って私たち、誰に言えばいいんですかね」
「…ちょっと待ってね。この時間だと女官寮警備担当の騎士さん。出寮時のゲートくぐる際に声かけて呼び出されたって言えばいいわよ」
「ありがとうございます。ではちょっと行ってきます」ぺこりと頭を下げて寮内衣装から白アオザイに着替えます。実はこの白アオザイ、以前は聖院研究会の女子研究員が痴女皇国や聖院世界で活動する際の服としてまりりが作ったの、覚えておられますか。
これが皆様の目に止まってありゃ何だとなった結果、下足処や両替処など、一般の方の目に触れる場所での制服に欲しいというリクエストに応えたまりりが広めてしまいまして。
なもんで生ケツ剥き出しはうちの職場ではありません。ただ、その下は各自支給品を着用するか任意でとなりまして、お洒落したけりゃ毎月支給される被服購入福利助成金または自分のおこづかいの使用可能額の範囲ですけど、マリアンローズブランドカタログ見て取り寄せるか、さもなきゃ購買処を利用せいと通達がありました。
あたしの見る範囲では、アオザイから透ける下着、Tバック派八割行ってます。…生理用パンツ以外、ほとんどTバックばっかりなんですよ、購買処の陳列在庫!ええ、もちろんド過激な奴も、それなりに陳列されていました。
更に言うと聖院の購買処も。
白い方のまりりに文句言うたら「伽業務のある女官用途を最重視したと黒マリが言います。文句はあいつに」更に黒マリの方のまりりいわく「そりゃ痴女の国の制服購買だからそうなるじゃんか。いや、地味フェチがいるからわざと地味系なフルバックが入ったカタログ配ってるから、たのが恥ずかしいってんならそっち買ってくれ」と言われまして。
可愛い系フルバックという種類の下着は、彼女たちの脳内には存在しないようです。
「いや、一応あるよ。連邦社会なら地球でもNBでも服装規律が厳しいとこ向けや、未成年で学校が厳しいとかあるから、一般用途の奴も作ってんのよ。だけどな、ワ○ールとかトリ○プとか○ヴィとかさ、既存の連邦系の下着メーカーあるじゃん。あそことシェア食い合いすんのも色々あるから、うちは過激系で勝負しとるんだわ…たのの欲しい奴に力入れると、それとなく嫌味というか無形の圧力がな…解ってくれ」と泣かれまして。しかし、痴女皇国で他社ブランドをわざわざ輸入して売るほどお人好しではないそうです。まぁこれは仕方ありませんね。
仕方がないので、あたしの持ち下着、生理用以外は全てすけべ仕様です。そっちの方が色も柄もデザインも色々揃ってましたから…。
で、女官寮区画から出寮します。千人卒以上の下足処利用免除者は10階経由でも行けるようになってますので、今回は試しにそっち使ってみようと。普段は1階か地下が勤務先なんで、1階側の下足処ゲート使いますよ。
10階ゲートに詰めてる騎士さんに声をかけて「両替財務の2011田野瀬麻里子です。ジーナ皇帝室長とリエティリーナ女官長が21階でわたしを呼び出されているそうなので、この件で出寮します。長時間になりそうなのですが…」と伝えます。
何も言わずに外出して不帰寮が長時間に及ぶと、部署を問わずに所在確認センシングが入るわ、捜索命令が飛ぶわとえらいことになるから寮居住者は絶対に外出告知しなよと、まりりに念を押されていましたから。女官寮のしおりにもその辺、きっちり書いてありましたしね。
…あ、いわゆる幹部連中…十万卒とか百万卒はその辺フリーですよ。ただし、業務内容的にいつもフリーな暇人はなかなかいなくて「偉い人ほどこき使われて泣く」痴女皇国の伝統はいまだ改善されていないようですが。
「田野瀬さんですね。了解しました。21階受付までお越し下さいと女官長の通達が出ましたので、どうぞ」うん、あたしの聖環にも、行動指示上長表示にりええの名前が出ました。これ、この先はりええが解除しない限り、あたしの行動に関する責任と権限はりええが持つ事になるそうです。実際の配置区処によって直属上司がコロッコロ変わる両替処の財務女官は、特にこれをしっかり確かめろと言われておりますので。
そしてゲートをくぐり、壁や天井の透明ベースの案内表示に従って21階まで行く高層階エレベータを探して乗り込みます。
業務用機は聖環をかざして起動っ、と。
で、21階で降りて秘書課受付の前へ。オープンカウンターの呼び出しベルを押します。
…っとですねぇ。ここ、以前は中の秘書課オフィスが丸見えだったらしいんですが、丸見えだと色々まずいものが見えまくる…具体的には最近、痴女宮の新人教育で古巣に戻ってきてるマリーさんが本領発揮してジーナさんと以下略とか、それを見とがめたベラ子陛下やるっきーに身体で怒られてるのとか、色々見えてしまうのが訪問者に問題になりまして、急ごしらえの木製ローパーティションが設置されました。
ま、色合いとか木目は周囲の壁などと合わせているので、事情を知らない人には前からあったような仕上がりですが。
「だから、中で変な音や声がしてた場合は、お説教の代わりにいきなりずかずか入って行って驚かすの、たまにやってあげて。ただ、普段はそこの呼び出しベル押してあげてね」とりええに言われてます。今は変な声や音もしてないので大丈夫なのでしょうが、普通は企業や省庁の受付と同じで、人が出て来るのを待つのが常識ですよね。
「あーごめん、たの。ちょっとお話があんのよ。と言っても、あんたの痴女化の話じゃなくて、両替処の女官の人でないとわかんない話があってね。とりあえず入って入って」と、出てきたりええがカウンターの中にあたしを引っ張り込みます。
「なんなのじゃりええ。さては不祥事めいたことかね」お、りええの頭ん中見える読める。この辺は限定解除されてるようですね。
「うむ、なもんでちょっと心話のパーミッション設定をいじれる人にも同席してもらっているのじゃ。ささこの中へ入った入った」
げ。淫魔室と一部に知られる皇帝室長公室ではないですか。
ジーナさんは一度焼かれて死にましたが、復活後は皇帝室長兼初代聖母として23階にもお部屋があるそうです。本当はこっちで寝泊まりさせられる話だったのを、本人が頑なに拒んだ為に23階の本来のお部屋が本来の目的で使われるまでの経緯も聞きました。
「ここはかなりきつい防音防諜措置かかるからね。ちょうどいいのよ」で、部屋の中にいたのは…ベラ子陛下、エマ子さん、ジーナさん、アルトさん、ダリアさん。部屋の匂いからしても、そういう用途で集まってた訳ではなさそうなので安心します。
「ごめんね田野瀬さん、呼び出してもうて。ほんまはご飯食べながらと思ったけど、秘書課にはあまり御馳走買い置きしてへんから…ま、座って座って」と、ジーナさんが本気で申し訳なさそうに言います。
うん、この人たちだと食事を取る必要ががっつり減ってしまうので、作るのめんどくさい場合は罪人寮の購買処にまで足伸ばして買いに来たり、女官食堂でご飯食べてる事すらありますから。とりあえず示された、リビングのソファに腰掛けます。
「で、たの。話は他でもない。…ドア閉まってるよね。よしよし。エマ子さん、たのの心話リミッター、この部屋とまりり限定でお願いしますね。あんたの同室のダイアデレーヤさん。ちょっと今のポジションシグナルの位置見てくれるかな。それとさ、彼女の聖環の入出金記録。今限定で、エマ子さん経由で地下両替処オフィスの痴女皇国側ホストフレームにこれ、つながるから」と、りええがポータブルラップトップを出してきます。
ものの大きさとサイズと重さは、500mlペットボトルくらいの円筒を想像してください。あたしたちの世界ではそこそこ大型携帯機に属するもので、急に降ってきた天の声によれば、21世紀地球ならA4以上サイズのゲーミングノートパソコンでテンキー付きのものに相当するそうです。
「あんたの聖環でアクセスしたら特別業務許可出して両替処業務も出来るようにしてるから」
「おっけー。電源はっと、これか」転がらないように滑り止め部を確かめて円筒部の右端のスイッチ部に触れると、にょきっとフローティングホロディスプレイが本体上に出てきます。
そしてバーチャルキーボードが本体前方に展開。起動が一瞬で終わり、ログイン画面で本体中央に光ってるリーダー部に聖環をかざして操作画面に移行するのを待ちます。操作画面のふいんきは…けーでぃいーぷらずまふぁいぶとまっくおーえすびっぐさーのあいのこみたいなかんじと天の声。
で、ホロディスプレイの両替処端末機能を起動。全画面がそれに覆い尽くされます。
「ユーザ検索、八百比丘尼国滞在者、おおひめ様っと。あ、これテストですからね。おかみ様に売春従事者属性ちゃんと付いてるか確認したいんでついでに」
Oohime 大日女 Mimicry mode Goddess, in Japan. 八百萬神族擬態 Slut Visual 痴女外観 Prostitute 売春婦 Empress, High Priestess, Imperial of Japan court. 八百比丘尼国女帝・大神官 Our Goddess 1st. 大日孁貴神 Temptress Palace Help-Call center, Imperial of Temptress. 痴女宮請願処
「お、よしよし来てる来てるついてる、で、入金出金明細確認っと。うん、南洋王国ルピアで3万を入金処理してる筈だから…ちょっと待てやおい。9/11 19:32 Prostitute Payment deposit SOKR 6,000- Total SOKR 36,000- …ってこれなんじゃい!」
「どーした、たのの…え?これ、売春料金受け付たってこと?おかみ様?」
「え…あのおばはん…早速淋の森におるんかい!」ジーナ様が慌てて自分の聖環を確認しておられます。
「えまこー。おかみさま、どこにいるかさがしてー」棒読みでベラ子陛下。
「ええ。探し回るまでもありません。例の陸橋を利用して本宮女官区画に入り込まれてます。あの人のセキュリティパーミッション見直しておきます…」
「勝手に部屋使ってんのか…空き部屋だよね…」痴女宮全体の警備責任者のダリアさんが、上位職のアルトさんと顔を見合わせています。
「該当使用室は1018。10階入ってすぐです。幸いにも空き部屋ですが、いますぐ心話で叱りますか?」
「いや、ええわ。下手に今追い出したら、今からの話にも差し障る…今晩は好きにさせとけ…」ほう。
「で、あたしが話すわよ、たの。今からさっき言ってたダイアデレーヤさんのおこづかい口座金額と、ここ1ヶ月の入出金記録を出してくれないかな」
「む…閃くものがあるわね。ユーザ検索。まずステータスチェック」
Diadeleiea. ダイアデレーヤ Hundred Suction 百人卒 Pure female Visual (Male Functional restriction). 女性外観(痴女機能制限者) Rosy knights. 桃薔薇騎士団 Finance Bureau office, Limited duties. 両替処財務限定職従事者
「で、入出金記録っと。ぽちぽち。アウト額はともかく入金はねぇ…普通は月イチのおこづかい支給日にしか入金はないはずなんだよね、うちら財務の個人口座は…ん?たった今じゃん!何で入金入ってんの?」
9/11 19:58 Prostitute Payment deposit SOKR 6,000- Total SOKR 366,000-
「それよそれ。で、ダリア。ダイアデレーヤさんの今の居場所。言いたくないだろうけど、たのに教えてあげて」
「…ええ。淋の森です」