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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど
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おんな上皇・さいごの演説「地面の下にも都はありまっせ」

どうも、いきなり死ぬことになったジーナおばはんです。

死ぬまでの経緯は闇落ちマリアとかアルトリーネさんの方に書かれていますが、頑張って読んでください。

あと、聖院や痴女宮である程度の地位の者が死ぬときは独特の葬儀方法を執り行います。その際の話はおそらくR18になっちゃいますね…ごめんなさい。何分にもマリアヴェッラがわたしの最後の娘を宿す描写が入るんですよ。

という訳で、ここに載るのはわたしが死ぬ際の式典で参列者の皆様を前にお話させて頂いた内容です。


ですが、普通に死ぬ訳じゃないんですよねぇ…。

「えー、ただいまご紹介に預かりましたジーナ・ワーズワース・高木でございます。本日はお日柄も大変よく、わたくしが聖院地下に埋葬されるにはちょうど縁起も良いのではないかと存じます。ちなみに、わたくしに先立ちまして現生を離れましたクレーゼ先代金衣女聖様。この方に言わせますとですね。プラウファーネ痴女宮施設管理長様、ちょっと代弁お願い致します」


「えー、クレーゼでございます。皆様お久しぶりですわね。で、焼かれた後ですが、実はすぐさま意識が復活致します。具体的には寝台が運ばれて墓所に納められるのを知覚できます。で、基本的にわたくし他のご先祖様状態になりました方々の意識は墓所の中に留まりますが、必要に応じてあちこちに行くことも可能でございます。場合によっては、ただいまプラウファーネさんに行って頂いておりますが、この通り、依代となる方を介して皆様とお話が可能となります。また、一定以上の力を持つ痴女とは直接の会話が可能です。こんなものでよろしいでしょうか、お義姉様」


「はい、ご解説ありがとうございます。とまぁ、そんな訳でクリス・ワーズワースとわたくしの寝台が墓所に格納される以前に意識が戻っておりますので、わたくしの葬儀の後に予定されております娘の戴冠式には、クリスとわたくしも、皆様の目に見えないだけできっちり参列しております」


「で、見てるだけでええんちゃうんと思いましたが、その戴冠式で皇帝の地位を譲る方と譲られる方双方の娘たちからですね、おばはんおのれがコメントせんでどないするねんと泣かれましたので、先ほどのプラウファーネ施設管理長と…実はプラウファーネさんは長年、当聖院の設備管理と墓所の維持の要職をお勤め頂きましたが、今般は出向を解かれまして元の職場たる比丘尼国は大江山の元伊勢大神宮にお戻りになられます。まぁ今までお疲れ様でした、個人的にも色々とお世話になり思い出もあまたなお方ですが、最後のお勤めの一つとして、わたくしとクリスの発する言葉を代弁頂こうと思います」


「で、二人分をお一人で喋って頂くのも大変なので、実はこれまた長年元伊勢大神宮に出向勤務してくれていた悦吏子神官こと、わたくしどもの女官エレンファーネ、次期痴女宮施設管理長就任予定の女官、この二人にて後ほどの代弁をお任せしたく存じます。よろしくお願いいたします」


「まぁ、言ってみればわたくしは体を失うだけで、うちの不肖の娘どもがいらんことしたらしばき回す役目は相変わらず継続いたします。ただいまわたくしが着用しております懲罰用の晒し者服、これを着せる能力も権限も維持されるらしいので、うちの娘どもがこれ着ておりました場合は着用に値する何かをしでかしたと思って生温かい目で見てやって下さい」


「でまぁ、この服の効用、我が夫のクリス・ワーズワースが先ほどから死にそうな顔をしておりますし、もっと死にそうな顔をしているマリアリーゼ二人と次期女皇帝マリアヴェッラの顔で効き目をお察し下さい。これ着ても平気なのはアルトくん…将軍アルトリーゼ二人と特戦指揮官のダリアリーゼ二人くらいですかね」


「ま、わたくしもこのままで埋葬されようと思っていましたが、流石にここにご出席の方々皆様にゆかりのある服装をさせて頂かないのも失礼な話だと思いますので、娘たちは正装、クリスは英国本国の某有名どころで仕立てて頂いたという一張羅に着替えて頂きます。マリアー。ちょっと服変えてー」


「で、私ですが、まずはNBでの最近の公式行事出席時にこの姿で出ているのをご覧になられた方も多いかと存じますが、女性将官用典礼制服です。何でもNBでは佐官までは女性が勤める事例はそれなりにあるものの将官任命はわたくしが最初ということで、広告塔の役目もあるからと、見ての通りのスカート丈にされました」


「ええ。パパラッチされた写真がNBのゴシップ系情報コンテンツにばら撒かれたことも結構ありましたねぇ。ただ、被写体のパンチラどころじゃないもっと過激な姿が公式で出ておりますので、意外に反響や売れ行きは芳しくなかったようでして、頑張って撮られたカメラマンの方にはご愁傷様ですと申し上げておきましょう」


「そして、スケアクロウの乗務指導時にこの姿を見たNB空軍の皆様も多いかと存じますが、NB空軍の制式与圧型航空搭乗員服。何でも昔の地球のソビエト連邦の戦闘機搭乗員の与圧服を参考にしたそうでして、見ての通り、そこそこ無骨な外観の割に体の線がはっきりと出るものですね。ちなみにこれの原型デザイン、そこで蟹のような意匠の痴女皇国初代女皇帝正装をまとっている方のマリアリーゼの担当です。お前これほんまにお前の趣味丸出しでやったやろ。みんなには好評やったけどな。特に男性陣からは」


「というわけで娘のデザインセンスにはいささかの疑問を呈させて頂きましたが、中東作戦他で目にされた方も多い痴女皇国特殊作戦用戦闘服。主にダリアリーゼが着用していましたね。星人や巨人と戦えそうながんつな服として、NBはおろか日本を中心とした連邦世界でも割と注目を集めていたと聞き及んでおります」


「これがデザインできるのに何であのパイロットスーツとか将官制服があれやねんと思います。ええ、このかっこいい感じもマリア作なんですよ。レプリカモデルは連邦世界だとちょっとお時間と費用がかかりますけど、入手は可能だと申し添えさせて頂きます」


「そして、えー、ここからはとぉおおおおっても恥ずかしいというか、沖縄でこれを目にして仰天された方も多いんじゃないでしょうか。痴女皇国の対外正規作戦従事騎士用戦闘服。これ、今わたくしが着用している不透明版の他に、ここですね、こことかこの辺りがフィッシュネット素材になったメッシュ版やレース版も存在します」


「そうですね、今は流石に報道向け映像も撮影されておられますのでやりませんが、この服も要所要所が透明になったりですね、はたまた放熱。繰り返しますが放熱の為にコントローラ操作一発で要所要所が開口致します。NBと連邦双方で特許を取得しております半生体素材、くまくす君13号とかいうろくでもないファインテック株式会社の社内開発呼称がそのまま製品名称になっておりますが、興味のある向きは英国のファインテック支社にお問い合わせ下さいませ。このような用途以外にも、旅行ですとか、あるいは頻繁に室内と室外を行き来する際の気温変動が気になる場合のお召し物の素材として好評を博しておりますので、調達ご希望の向きは是非ご用命を頂きたくお願い申し上げます。ちなみに開発者は我が夫のクリス・ワーズワースと娘、二人のマリアリーゼの力作です」


「なお、今着用している件の戦闘服ですが、このように色が赤色から紫に…ですとか、白色や青色にも変化致します。でまぁ、痴女皇国では青色は宮殿内務担当、紫色は広報部所属といった具合にカラーコードで担当部署を識別しております。うちの雅美さん、広報第二部長がこの姿で皆様の前に出ている他、わたくしも痴女皇国や聖院広報に従事している場合はこの紫色の姿で皆様の前に出させて頂きました事もございましたね。で、実は少し前まで白色があったんですよ。ですが…痴女皇国の安定化までに散々人を貸したお返しをという事で、聖院側でも騎士団を編成し直すという話が出た際に、白色を下さいとマリア同士で話し合ったそうでして。で、聖院サイドで白薔薇騎士団として活動する際の制服も、この戦闘服がベースで…これがそうです」


「で、このウェディングドレスを彷彿とさせる優雅な姿もマリアリーゼ渾身の力作だそうですが、実はこの服のモチーフになっています白薔薇。これにつきましては何と英国本国から疑問を呈されましてですね、君らうちの国が昔、二つに分かれてバラ戦争やった歴史知らんのか。どっちが勝ったか調べてみろとか言われましたが、採用してもうたものは仕方がないという事で納得して頂きました。その節はご迷惑をお掛けいたしましたことをお詫び申し上げます。聖女の衣装に黄色のバラ使うの諦めましたから許して下さい」


「で、この白薔薇使用を巡りまして本国と聖院の仲介に立ったワーズワース大公、そこにお座りですが、うちのマリアの結婚祝い言うて贈与頂いたこれ。本物も本物なのだそうですので、白手袋着用の上で保存用透明ケースに入れたものを扱っておりますがご覧いただけますでしょうか。これ、江戸時代に本当に使われた踏み絵だそうです。見ての通りマリア様描かれてますよね。うちの姑もうこういう皮肉でたしなめてくれてますから、英国の皆様はあまりその、自国のレベルでの皮肉を娘たちの国に言わないやらないようお手柔らかにお願い致します。あんまりきついと化けて出ますよわたし。あ、これ、幽霊とかお化けや妖精とかファンタジー系の空想上の何がしかが大好きな英国の皆様に、わたしが化けて出たらご褒美になっちゃいますね。マリア、あかんわ。わたしが幽霊になっても効き目ないわ」


「で、続きましてこれ。桃薔薇女官服です。これは女官長のリエティリーナさんとか、桃薔薇騎士団長としてのダリアリーゼはもとより、そこにおわすルクレツィア外遊長が公式の場で着用しているのをご覧になられた方も多いかと存じます。そして、チョイっと。で、このように白色になりましたが、聖院の正式女官服としてもこの服は採用されております。ただ、元来の聖院所属者と痴女宮からの応援者の識別用に、いくつかの変更点がありますが、基本は同じと聞き及んでおります。従来の聖院のイメージはもとより、痴女宮の方でも清楚さと女性の色香を両立させた服装として好評を頂いておりますようで、デザインしたマリアが胸を撫で下ろしていますね。ほほほ」


「そして、皆様お気づきかと存じますが、聖院も痴女宮も基本勤務服が黒色である人物以外は、誰一人として喪服めいた服装をしていない件ですね。両マリアリーゼやアルトくんはもとより、わざわざお戻り頂きましたアレーゼ顧問やマイレーネ欧州支部長のご両名も金色の最上位典礼用兼特殊戦闘装備のお姿をしておられますよね」


「で、わたくしの葬儀と言いますか、聖院では昇天する炎という事で昇炎の儀という式典、これは連邦やNBの皆様には信じ難い話とは存じますが、喪服で参列しない慣しになっております。まぁ、地球社会の常識で申し上げますと違和感を極める事だとは思いますが、予め広報として通知させて頂きました通り、わたくしは単純に肉体を喪失するのではなく一種の無機生命体に移行するとお考え下さいませ」


「すなわち、聖院世界では一定以上の地位の者は後進の金衣女聖…聖院も痴女皇国に続いて専制君主制度に移行しましたので、女皇帝を常に見守り補佐する必要性があることを認められた者はそうした特殊長寿形態に移行いたします。私もどういう訳か連邦社会出身者なのにそうした地位がふさわしいという事でこの形態に移行する儀式をこの後に執り行われる立場でございますが、人類社会の常識からすると様々な波紋を投げかけそうな作業だというのは各方面、とりわけ日本国政府の三権の一柱たる司法をご担当の皆様にはご迷惑をお掛けした事で特にご周知かと存じます」


「本当に法務省や警察庁の皆様の常識を凌駕するというか、日本国の刑法や民法の根底を揺るがしかねないとんでもない行為が今より行われる訳ですが、これを合法的に処理させて頂きたいが為に、わたくしの古巣と申しますか、実は今も生涯予備役として職務継続中な連邦宙兵隊、こちらや、同じく以前にお世話になりました連邦政府法務局のご協力を得まして、日本国単独で本件を処理するよりも簡単に「ジーナ・高木は死にました」という死亡判定を出して頂けます運びとなりましたので、日本国の関係諸機関に置かれましては上位法規互換制度並びに連邦政府特認案件を押し付けることになりまして不愉快かとは存じますが、なにとぞわたくしの死体の処理につきましてはここにある四つの骨壷ですね、そのうち一つの処理につきましては大阪市立瓜破霊園(うりわりれいえん)に建てております、わたくしども高木家代々の墓に納めても法的に問題なきようご処理を賜りたくお願い申し上げます」


「で、残る三つの骨壺ですが、一つはNBの方でクリスの遺骨共々お持ち帰り頂きまして、NB四軍合同主催の国葬の上でワーズワース家の墓地に納めて頂けるとかで、ワーズワース大公始めNB皆様の厚遇に感謝申し上げることしきりでございます。そして残る二つですが、このうちこの大きいのですね、これは、私のこの体…ちょっとゆっくりと回って背中側を向けさせて頂きますけど、首筋のところをご覧下さいね。ええ、連邦の戦闘機や倍力防護装甲搭乗者の受ける身体改造手術の結果で埋め込まれた生体インターフェイスが、ちょっと目には目立ちませんけどここにあります。で、他にも筋肉や骨格など要所要所に設置されたマテリアル類で火葬時に焼け残ったもの。これにつきましては連邦の軍事機密指定品なので即時返還となります」


「本当は埋め込み方も軍事機密に該当していますので、わたくしの遺骸は元来ならば問答無用で所属軍の防諜部隊が回収して至近の医務部で司法解剖の上、機密部位を摘出後に遺族に返還される話だったのは、連邦軍の事情を知る方にはよくお分かりの話かと存じます。ええ、これは上位法規互換ですので、今後の為に申し添えておきますと、何らかの事情で連邦の軍人で生体インターフェイス他の装備手術を受けた者が死亡した場合、即座に所属軍組織で心肺停止とその場所がわかるようになっており、機密保全部隊が飛んできますので対応の方よろしくお願い致します」


「で、この際にたとえ遺体収容施設を破壊しようが、阻止する人間が何千人何万人と巻き込まれて死のうが死亡地の国家が壊滅しようが、絶対確実に任務遂行に来る類…もし回収不能であれば確実に完膚なきまでに破壊する事を命じられた命令書と、それを実行するだけの物騒な装備で来ますので、この話を聞かれた諸機関の皆様はご注意くださいませ…ええ、実はわたくしも、沖縄で交通事故に巻き込まれて死んだとか地元のやくざと揉めて喧嘩の挙句死亡したとかの事案で、この回収チームに入ってF-300バンシー、わたくしの当時の愛機、これにフル爆装した状態、具体的に申し上げますとルドゥタブル…弾頭出力100メガトンの純粋核融合タイプ弾頭装備型対地高速ミサイルを搭載した状態での乗務待機を命じられた事があります。ゴルディーニ准将、これ軍事機密漏洩になりませんよね? え? ならん? というか今はそんな物騒な対応することなんか数年に一回だろうと? ありがとうございます。ほほほ」


「そして今回も実はこれに該当する類の話だったんですよ。遺骸を回収する側から回収される側になるわ、あげく回収される手配まで自らがやるのも皮肉な話ですが、ただいま内輪ばなしにお付き合い頂きましたゴルディーニ准将が自ら該当品を回収頂けるそうなので、平和的返還が為される物と期待しております。頼むでほんま。そうです、この大きめの骨壺、もう該当品の大きさや数は判明しておりますので、それがちょうど入るサイズです。准将の信仰する宗教とは違う葬儀の内容におつきあいさせてしまって恐縮なんですが、この作業はうちの娘に指示して頂ければ該当部位を木のお箸と竹箸で回収のお手伝いをするように申し付けておりますので、骨壺持って娘の脇に立っとって頂ければ作業は完了するかと存じます」


「なお、わざわざ骨壷に納めさせて頂く理由ですが、実は連邦の方でも宙兵隊葬儀基準を適用して嘉手納基地で軍葬として頂くと聞かされております。これまた光栄で身に余る話ではございます。軍関係の公式葬儀の上、嘉手納基地付属墓地の合同慰霊碑下に収まると伺って…え?お前用の墓碑用意したからちゃんとそこに納めてやる?ありがとうございます。そんな訳で政府並びに軍関係の方々はこちらへ参列を頂けるそうなので、足をお運び頂く方々、そして何より宙兵隊並びに連邦政府に対しましても感謝の意を深く表明させて頂きます。敬礼」


「そして着せ替え。いつの間にかこそーっとさせて頂きましたが、これ、連邦宙兵隊の将官典礼服です。実はこの制服は既に何名か支給対象前例がありまして、わたくし専用のデザインというわけではございません。ですのでスカート丈もまぁ、これなら常識的ですよね」


「で、聖院の皆様にはわたくしのこの姿を目にされた方も結構いらっしゃると思います。これが宙兵隊制式戦闘機操縦士用与圧服です。こんなんで与圧大丈夫かと思いますが、状況によって膨張します。あと、戦闘機搭乗員はこの中に更にTAPPS-0、スキンタイプの強化倍力装備ですね、ちょっとこれご覧頂けますかしら。首から下が透明素材になってるのがそれです。これを着用するのが元来の正式な手順です。余談ですが、クリスの容態が急変した際に、このTAPPS-0だけ着て緊急飛行した事がありまして…ええ、降りた瞬間にしまったと思いました。なんせこの下は下着だけですから。それも、応急的に着たので元来着用するトイレ代わりの専用装備でなく普通の下着です。今だからお話しできるあたくしの黒歴史ですね。どれだけ焦ってたんでしょうか…まぁおかげでクリスも無事退院できましたし、今日この日に至るまで共に歩む事も可能となりました。その際に治療に携わって頂きました皆様、改めて感謝の意を表明させて頂きます。その節はありがとうございました」


「で、最後にもう一つ。実はですねぇ、今から着替える衣装こそ修正がかかる可能性があるんですけど、わたくしを知る皆様には「これが一番馴染みの制服」と思うのですよ。そうです、沖縄のママのお店でよく着用していたこれです。ちなみに後任には痴女皇国外遊長はもちろん、次期痴女皇国皇帝を任じておりますので、いつもいつもいてる訳じゃないんですが、たまーにお店の女の子に紛れ込んでます。常連になれば来る日を教えてくれるらしいので、どこの世界にポールダンスを極めた女皇帝がおるねんという珍妙な光景をご覧になりたい方、是非いらしてください。ママは本日この席に列席しておりませんが、このお話はリアルタイムで視聴しておられるそうなので。ママー、これでええやろ?るっきーとベラ子とあと何人か来たら頼むで?」


「そうです、わたくしの人生の転機ですね。その契機になった懐かしいお店での格好で、敢えてわたくしはご先祖様家族会と呼称しております一団に列席させて頂こうと思います。まあ、どのような姿で最後は寝台に横たわるのかを娘たちと鳩首協議致しましたが、痴女皇国並びに聖院の国母として、また上皇に該当する立場にまで任じられましたのもこの姿からが始まりではなかったかと思う所感を述べたところ応諾を頂きました。プラウファーネさんを通じてご先祖様方にも問い合わせましたが、国母上皇の祖国では火葬の際に思い出の品物をひつぎに入れて極楽なり天国という場所へ送り出す風習の存在があると聞いておるし、まさに現在痴女皇国が痴女皇国たる原点の姿で昇炎することには全員一致で賛同を示したいと申されまして、快諾頂きありがとうございます」


「で、痴女皇国に馴染みのない方が多いであろう公共の場で晒すにはあまりにも物議を醸しそうなわたくしのこの姿ですが…まぁ、痴女皇国も聖院も状況に応じてこのくらいの露出度にはなりますので、何かの節にお越し頂いた方々には引き続き、痴女宮世界や聖院世界を善導する任に就く女官各位が皆様への眼福を提供する事を願って止みません」


「また、痴女皇国や聖院はもとより、プラウファーネさんに代わって今後お迎えすることになる比丘尼国の実質的な大使となるお方につきましても、一般的な地球社会の常識に収まらない特性をあまたお持ちであり、迂闊な接触は相互のためにはならないという教訓的な意味からも、連邦社会側のわたくしですが、敢えて痴女皇国の状態に近い姿を取って相互交流に必要なこちら側の譲歩の一形態を示させて頂きたいと思います。実際、現在でこそある程度の解決をみており、この葬送式場の大講堂で痴女とNB・連邦社会の皆様が普通に同席可能なまでとなっておりますが、常に高温を身体から発する女官体質者が多数を占めていた10年以上前であれば、到底このような式典は開催不能だったことでしょう」


「痴女の側もNB社会はもとより、連邦社会とも全く無関係ではなく、一定の安全距離を置きながらも引き続きの交流や親交を継続する意向であることは、先ほど述べました我が娘にして次期女皇帝のいけないアルバイトですね。これでわかります通り、この辺りで静かに密かに繋がりを保たせて頂きたいとの話を貰っておりますので、人類側の方でもご理解とご協力と、そして幾ばくかの黙認…なんかいやらしいのがおるけど見て見ないフリをして頂けますと助かります。いずれにしましても、それぞれの世界を背負って立つ頂点の三人の娘たちと、彼女達が率いる痴女たちをこれからも温かく見守って頂ければというのが、母親としてのわたくしの所感でございます」


「それでは、与えられたお時間もまいりましたので、我が夫と共に聖炎宮の方へ向かわせて頂きたく存じます。重ねて申し上げますが、クリスとわたくしは死ぬわけではありません。これからは、常に皆さんとご一緒です。いえ、一緒である状態に「戻る」と申し上げた方がよろしいですかね。それと一つ朗報を申し上げておきます。これね、実はうちの娘でも喜ぶやつもおれば、二名ほど死にそうな顔してやがるのもいましてね、ええ。今ここにいる三人のおんな皇帝のうち、誰が喜び誰が嫌そうな顔してるかでお分かりでしょう」


「実は聖院と痴女宮技術の改良発展やNBとの協力によって、クリスやわたくしが近い将来、マテリアルボディと称して現在開発中の人工半生体身体ですね、これを装備して今までと変わらぬ姿で現実世界を闊歩可能になるかも知れません。ええ、二人のマリアがものっすごく嫌そうな顔をしていることで、この技術の現実化の進捗とですね、それが実現した場合の状況というものをご理解いただけるかも知れません。そうなった場合の法的な立場とかはまたおいおい考えて行くとして、この場では私たち夫婦、もしかすると復活してくるかも知れませんので、ちょっとの間のお別れみたいなもんですよとお考え頂ければ幸いです」


「では、三人姉妹のマリアがクリスとわたくしを案内するそうですので、娘たちとわたくしども夫婦揃って壇上でお別れを述べさせて頂きます。あと、聖炎宮での実際の葬儀につきましては既にご案内の通り、あの小島と付近は猛火と高温に包まれますので高度能力者の痴女以外は接近不可能となります。このため、聖炎宮島への浮き橋は一旦封鎖されますのでご注意ください。戴冠式は墓所で執り行いますが、参列者全員を収容する面積がございませんので、指定された方以外は引き続きこちらにて列席待機頂けますようお願い申し上げます。式典状況は正面に映像表示いたしますのと、プラウファーネさん並びにエレンファーネさんが心話で皆様に音声を中継致します」


「そして本日の警備担当は聖院側から高木サリーことサレルフィール・ワーズワース。そして痴女宮側からはカシウス・ダリア・ボルジアとロンギヌス・ダリア・ボルジアが担当いたします。彼女たちと、彼女たち並びにリエティリーナ女官長の指揮下で配置に入る熱遮断結界構築担当女官、そして本葬儀儀式全般の指揮と警護を担当するアレーゼ臨時騎士団長とマイレーネ臨時女官長の指示には絶対にお従い下さいませ。新人女官ではございますが地下墓所担当のクリサンサマーネ女官、プラウファーネさんとエレンファーネさんに従って寝台搬出作業の補助や誘導をよろしくお願いいたします。これは今後の貴女の地下墓所関連職務の一環として、エレンファーネ施設長の監督下で必ず習得頂きたい内容です。きちんと手順を履修習得願いますよ」


「それとですねぇ、言い忘れてました。今回の炎葬手順、通常より少しだけ時間がかかるかも知れません。で、お手洗いに行かれる方、わたくしどもが聖炎宮に入宮するまでは今しばらく時間がございますし、入って少し経つまでは大したことは起きませんので今のうちにどうぞ。案内の下にいる女官がお手洗いにご案内いたします。それと、少しお時間がかかる理由ですが、ちょっと面白いサプライズを戴冠式の時にお目にかけられると思いますので期待してお待ち下さい。では、クリスちょっとこっち。そうそう、マリア三人もこっち。ここ。…御清聴ありがとうございました。ではちょっとマイレーネさん、台詞借りますよ」


「このジーナ・ワーズワース・高木の生涯に一片の悔いなし!」


黒マリ「ごらぁ」

白マリ「こらぁ」

ジーナ「やかましい。あたしが語ったのは事実であろう」

ベラ子「しかし、さすがはおかー様。堂々たるお話に改めて惚れましたわ」

クレーゼ「久々におねー様の本気演説をお聞きした気が」

るっきー「まぁ、ベラ子の出生の事とか、明らかにし過ぎると皆様が悩まれますしね」

両アルト「ちなみにわたくしたちも熱遮断結界担当です」

両ダリア「基本的に痴女宮と聖院幹部はほぼ、聖炎宮周囲か参道または桟橋に配置されますよ」

りええ「あたしで出来るんですかねぇ、結界構築」

黒マリ「あー、大丈夫。どっちかっていうと以前、クレーゼ母様がしばき倒されたような不手際とか、はたまた当のクレーゼ母様が人間の状態で死んだためにあたしらが炎を出して焼く羽目になった場合の非常事態対応要員と考えてくれ」

白マリ「今回はそんな事態はまず起きないと思っていいわよ。それに、アレーゼおばさまとマイレーネさんの指示に従えば間違いはないから、りええは心配しないでもいいわよー」

りええ「あのお二人がいるなら安心感絶大ですね」

黒マリ「ちなみに二人とも例のマテリアルボディ化施工予定者だ。こういう場合も含めた対応要員としてご先祖様はもとより、本来は叱られる立場のあたしたちからの信頼も絶大だからなぁ」

カシウス「なお、わたしたちはある程度の期間が過ぎるまでは無口キャラらしいです」

ロンギヌス「喋った時がどうなるか、その時のお楽しみで」

きく子「ち…私、なんか略称がひどいのですが…しかも、ひとことも本編で発してないのに周りの風評だけでイメージが固定されている気が!」

ジーナ「辛抱なさい。それに、大江山最強ベストスリーに入るお目付役呼んでますからね?」

きく子「あああああああのエロお…おねーさん(でいいんですよね)」

えりこ「うちもおりますぇ」

きく子「ひぎいいいいいい」

えりこ「ちなみに、まさみさんとひろこさんは地下でプレス対応や中継放送だの映像送信だのでめっちゃ忙しいようです。まぁ、このお二人はあまり表に出しすぎると問題がおますからなぁ」

ジーナ「そーいえばその外道丸さん、今回は来ぇへんの?」

えりこ「いや、死ぬほど行きたがってるんですわ。しかも大巫女様とか将軍様とかみんな一同。言うたらなんですけど、聖母様て大江でも人気なんですよ。ただほら、うちの山、全員で空けるのもまずい話やないですか…誰かだけ行かしたら不公平になるし。だからうちと茨木さんの中継で涙を飲んで我慢する話にになりましてねぇ。ちなみに、聖院や痴女宮側とも本来は過度の接触禁止令なんですが、今回はそれを破ってでも、何としてでも自分が行くか特使を派遣したがってたんですよ、うちの大巫女様。だから。もしかしたらこそーっと誰かくるかも知れませんので、来てたらよろしくお願いいたします」

ジーナ「そういうこっちゃからマリ公2名、よろしく頼むで」

えりこ「ちなみに神野さんと山本さんも来たがってたんですが、あの人らは参列者を怖がらしたり驚かすのが精気吸収源兼生き甲斐なんで阻止されました」

ジーナ「さすが化け物の東西親分2名」

えりこ「あの人らはまぐわいやのうて、人に恐れられたり怖がられる感情が精気に該当するんですわ。あと、敬われるのはめっちゃ気分ええそうですから、もし来たら怖がったり敬ったってください」

ベラ子「なんかおばけの専門家が来たって感じね」

えりこ「大江では酢豚スタイルでしたけど、もしかしたらいわゆるましゅかぜですか、しょーとへあーでおめめ半分隠してちゃんちゃんこと下駄の姿でうろつくかも知れまへん」

全員「その境港市とどこぞプロにビビビビビと往復ビンタくらいそうな危うい姿になるのはやめようね…ま、葬儀自体の様子はベラ子かマリアの語りでお話を予定していますのでお楽しみに!」



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