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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


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鬼さん月へ行く -Le diable va à Luna- ・5

「ちょっとよろしいですかな」


「なんや、げどう」


で、緊縛…いえ、緊迫した室内で、手を挙げて発言するのは我が姉たる外道丸です。


で、立ち上がってサン=ジェルマン氏を見据えている姉が申すには。


「わしにはおたくさまが神様なのか、それとも仏様なのかようわかりません。しかし、他の皆様の頭の中を拝見するだに、尋常の知恵とお力のお方ではないんでっしゃろ。まぁ、凡夫に見えるのは、わしと同じで本当の姿を隠しておられるようにもお見受けしますがな…で」


と、そこで一旦は言葉を区切る姉。


「しかし、その超絶なお方…恐らくはうちのあるじや、その妹様のお生まれにも関わっておられた御仁にして、大地や海が冷えて凍りつき生き物が死に絶える可能性があるのを救う事は出来ないもんですやろか。おたくさまのお力にすがらせて頂くことで助かるもんが助かるならば、わしら大江の人外、何ができるかはわかりませんが受けた恩は必ず返せと一族郎党に徹底さすことが出来ますねや…」


ええ、この姉の言葉に、皆はさもありなんと思っていますが…あ、姉の真意に気付きましたね、おかみ様と初代様。


そう…姉が言った言葉ですけど、鬼族を含む大江の…そして、比丘尼国の人外化外を助ける力はもちろん、その意志があるかどうか、サン=ジェルマン氏に確かめておるのです。


ちょっと聞けば誠意に溢れた文言を並べて頭を下げておる姉ですが、その差し出した誠意を跳ね除けた場合、何をするかわかっているだろうなという、事実上の恫喝なのですよ…。


全く、血の気が多い姉ですが、実のところはこれでも、随分丸くなってはいるのです…。


で、この姉の真意に気付いたか気付いてないのか、困った顔のサン=ジェルマン氏ですが。


「いや、そこまで言われちゃ悪い気はしないんだけどさ…」


(ふむ…サン=ジェルマン、あなたの懸念もわかりますよ。そして、マリアリーゼが聞きたかったことでもあると思いますが、あたくしが代わりにお聞きしましょう。あなた、余命を気にしておりますね?)


ええと。


なんとも、核心に斬り込むが如き初代様の一言ですけど。


「嘘はつかぬように…あたくしとて、そなたには思うところ大。しかるに今、この場で寿命を全うするような話にはしとうございませんからね…むしろ、生き永らえていただけるならば、その方がありがたしというもの…」


「てるこのいうとおりや。わしらがそのきなら、げどうといばらきを真っ先にほんまのすがたにしとるわぇ…」


「ま、その前に姉様も、朕とおのれを自称するすがたになっておられますわよねぇ…ほほほ」


「うちがドカタすたいるのまま、そして聖院のうちが女官の服のままな事で納得していただけますかと」


「まぁまぁ…初代様、おかみ様…ちょっとちょっと」


「エマちゃん、悪いけど、サン=ジェルマンさんのお部屋にさ、おかみ様と初代様とあたしと黒マリ、まとめて飛ばせるかな…」


どういうことなのでしょうか。


初代様と、おかみ様いわく。


「今のエマニエルならば、サン=ジェルマンのからだに手をいれることができるのですけどね…」


「それをしてるさいちゅうのことは見せられん、ちゅうこっちゃな」


そして、その最中に最終の判断…サン=ジェルマン氏が私たちに今後も協力してくれるのか、それと…本当に、私たちの住んでおる世界が雪と氷に覆われてしまうのかなどなど、聞きたいことを聞いて頂けるようです。


そして、初代様とおかみ様がマリアさん達の提案した措置を了承した以上は、この場に反論するものはいない、という事でしょう。


とりあえず、エマニエル部長と聖院のエマニエルさんが、サン=ジェルマン氏とマリアさん達もろともこの場から消え去ってしまいますが。


「まぁ、マリアたちがかねてから言うとる通りで、氷河期突入はまず間違いないと思うわ」


「そもそも聖院と接触した後の沖縄事件当時にNBのマスコミ、その辺をしつこく聞いとったしなぁ」


「婢女…いやジーナ、あれははっきり言ってヘンリー・ワーズワース氏の得意とする策略と話法だろう…」


「ああそうか、アレーゼさんもその場におられましたな」

https://ncode.syosetu.com/n6615gx/21/


「でな。あの発言…地球が冷えるのと温まるのを繰り返しているという件だが、あれを言葉通りに受け止めて、危機感を募らせていた者、少なくとも連邦側の人間…特に取材とやらで来ていた人間には意外に少なかったのが私には気になっていたんだよ」


「アレーゼ様に同じ。あのワーズワース氏の発言は、有り体に申せば今のうちに支度をしろ、としか聞こえぬ話でしたよ」


この、マイレーネさんの一言。


当時の記憶をアレーゼ様が見せてくださいましたが、マリアさんたちのこの発言を聞いて血相を変えた者はおれど、話の全てを上役に伝えるかどうか悩んだり、こんな話は聞かせられないと考えた者も結構おったのですね…。


「マリアたちの知識がなかったら…そして科学に明るい者の知識を参照できねば、私だって半信半疑だったかも知れないな。しかし、聖院の各代の金衣銀衣の歴史を家族会として見た場合、やはり冷えたり冷えかけた時期はあったようだ」


「連邦世界の学業を修めた方々には常識であったようですが、氷の河を知らぬ者には今ひとつ、冷えた際に何が起きるかを掴めぬということでしょう…」


「ま、NB上院議員としてのうちの対応を言うときますわ。それと聖院うち、あんたの方は爺さんが生きてるやろ。そっちはそっちで対応考えときや」


「痴女皇国うち。あんたの方で一括してやな」


「ええい甘えるでないわ…いくつかの案が出てますけどな、ここで痴女皇国側のNBだと、南西大陸と仮称しとる大地をリュネ族の居留地として提供しとる件が引っ掛かってきますんやわ…つまり、リュネ世界にあった魔族大陸由来の母体苗床、あれの移植作業が進行中ですねん…あれを置くと流石に、NBの全陸地の20パーセントはいってまう大陸まるごと、魔毒対策処理を全く施してない人には立ち入れない環境となってしまいますからな…」

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