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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


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鬼さん月へ行く -Le diable va à Luna- ・4

「つまりさ、あんたはあんたで、独自に逃げ出す算段、整えてたってことでいいのかな」


鋭くサン=ジェルマン氏を睨む、痴女皇国のマリアさん。


久しぶりに、本気で怒ってるか怒りかけておられますね。


(このおっさんの口ぶりだと、逃げるも残るも君たちが好きに決めりゃいいってくらいは言い出しかねないからね…ただ、プラウファーネさんもここはキレちゃダメだよ…)


「ま、そうはいかないわね。少なくとも連邦世界の地球の宇宙進出に関わる技術供給をサン=ジェルマンさんと、このルナテックスが握ってる以上、あたしたちとの関係途絶はひっじょーに困るのよね」


と、うちのマリアさんに代わって、ズバッと直球で要望を投げたのは聖院のマリアさんです。


「何なら今ここで、あたしたちが連邦宙兵隊の外部委託機関として月全域の強制接収に及んでもいいくらいなの。エマちゃんたち…悪いけどさ、ちょっと手伝ってくれるかな」


「はいはい、何ですかいな…」


「まぁ、正直私らや他のMIDIも…サン=ジェルマン氏がこの寒冷化問題を放棄するのはちょっと困るっちゅう意見ですわな」


いきなり、この場に現れた二人の女性。


一人は、全力で見覚えがあります。


連邦世界の日の本の肉体労働者の姿であるという、人夫の装いで来られてましたから。


で、もうお一方は黒髪で白い聖院の騎士服の装い。


Immanuel Borgia Takagi 高木エマニエル infinitum Suction. 無敵卒 Slut and Angel Visual 天使外観 Construction department Director, Land Bureau, Imperial of Temptress. 国土局建設部長 Savior (M-IKLA-22) インマヌエル型救世主兵器・M-IKLA22型人間形状・MIDIシリーズ全領域迎撃機動戦闘機 Deus promissiones suas semper servat. 対人類契約救世使者


Immanuel Takagi 高木エマニエル infinitum Suction. 無敵卒 Slut and Angel Visual 天使外観 Physical Structure Manager,Holly temple. 聖院建造物担当顧問 Savior (M-IKLA-22) インマヌエル型救世主兵器・M-IKLA22型人間形状・MIDIシリーズ全領域迎撃機動戦闘機 Deus promissiones suas semper servat. 対人類契約救世使者


つまりは、痴女皇国側のエマニエル建設部長と同じ方のようです。


「うーん、それこそインマヌエルが主導権を取ってさ、彼女たちの懸念を解決してくれてもいいんじゃないかな?」


「お言葉ですけどな、それはダメっすよ」


「痴女皇国の私に同じ。私がすべきはあくまでも聖院の手助けであって、人をどこに導くかは人が決めるべき。サン=ジェルマン氏も、独自で世界の統治に失敗したからこその今の立場でしょうに…」


この、聖院側のエマニエルさんの発言で、いきなりうろたえだすサン=ジェルマン氏。


「たしかに、エマニエルたちがいうだけのことはありますわよ…サン=ジェルマン…」


え。


見れば、ベラ子陛下の髪の毛の色が真っ青になっています。


そう…今は独自のお体を持っていない、聖院初代金衣テルナリーゼ様…うちのおばはんこと、おかみ様の実の妹さんが、ベラ子陛下の体を借りた状態ですね。


「まぁ、このおっさんの本当の名前はないにひとしいからのぅ、せやろ、てるこ」


「そうですわよ姉様…わたしたちも、かつてこのおとこに生み出されたそんざいなのですから」


こんな暴露発言、神様じゃない私がお聞きしてもいいもんなのでしょうか。


私、そもそも鬼であって神様の部類じゃないのですがね。


(いばらき…おまえ、十月のつどいにかお、出せとるやないけ…いまさら何をいうとるんや…)


と、おかみ様には叱られましたが、私は別に鬼神として祀られておるわけでもありませんし。


どちらかと言えば、マイレーネさんかアレーゼ様の方が鬼神の名に相応しい強さじゃないですかね。


で、そのマイレーネさんと、アレーゼ様の一言。


「サン=ジェルマン殿。事はそなたの帰趨だけで済まぬようにもお見受けします。もし…そなたが当事者の1人である認識をお持ち頂けないようであれば、我らが主体となって対策せねばなりませぬかと」


「私もあえて言おう…マイレーネの言う通りにしか思えん。この問題を座視するに留めるなら、マリア…二人のマリアリーゼの采配に私もマイレーネも従う以外に、人々を生かす道はないと思えるのだが…エマニエル、いやインマヌエル…君たちはどう思うね」


「ま、そないなりますやろ…」


「創造主に逆らう被創造物があっていいのかとも思いますけど、そもそもMIDIシリーズ自体が一種の人の延命措置みたいなものですからね…」


(あれに人の脳を積んでいるのに人が乗らないようにされたのも、隠された目的だと思って欲しいんですよ…)


(聖院の私が言う通りで、人の体の代替品と言うべき扱いなんで、有機生命体である人間の登場はかえって、その行動性能を阻害するんですわ…)


「ま、確かにMIDIシリーズを自己進化兵器となるように送り出したのは他ならぬこの僕だ。皮肉にもM-IKLA-22であるインマヌエルがそれを証明してしまったわけだけど…」


で、私は密かな疑問を投げてみます。


(マリアさん、仮にこの輩が協力を渋った場合、例えばこの月の中が荒場となりますでしょう。その際に、私たちだけでこのサン=ジェルマンなる者を圧倒できるんですか。姉なんて血気盛んですから、やりたいようですけど)


(できる。ただ、犠牲はゼロじゃないね…下手をすると、ここの基地の人の大半、サン=ジェルマンに眷属化されてるから、排除する必要が出てくるし…)


(そうそう、出来れば平和的に行きたいのよ。おかみ様や初代様にとっては因縁浅くない相手でしょうけどね…)


(まりやもようわかっとんのう…)


(まぁ、たんじゅんに仲良しのあいだがらではありませんわねぇ)


やはり、ですか。


そして、このサン=ジェルマンの能力。


何ができるのか。


私の興味はそこに移っております。


つまり、いざとなった場合に一戦を交えることが可能なのか、ですね。


(ええとね、エマ助のそれに似てるんだよ)


(なるべくプラウファーネさんにもわかりやすく言うと、そもそも聖院の私と痴女皇国の黒マリがここにいるわよね…そして、聖院にも痴女皇国にもアレーゼおばさまとマイレーネさんがいるでしょう。そんな感じで、あっちこっちから色々と持って来れるのよ)


(あと、このおっさんの体は自己修復が可能だ、それは知っといた方がいいな)


「やれやれ、本当に血気盛んだな…ナンム、アマテラス…どうしてこうも人というのは力を行使したがるのかねぇ」


「愚問ぞ。そもそもお主が完全無欠ではないであろ?」


「姉の言う通りでしてよ、本来は無名のお方…」


で、ここで手を挙げるお方が。


「ま、ちょっとうちらから提案さしてもろてよろしいかな」


「ぶっちゃけこのルナテックスの施設全部、よそに移植することは出来へんもんかな」


つまり、ジーナさんたちとしては、よそに移り住んで欲しい。


出来れば、私たちがどこかに引っ越すとして、その引っ越した先の近くにいて欲しいようです。


「何じゃ婢女、お前らなら月ごと、よそに持っていくくらいは言うと思うたが…」


で、このおかみ様の発言に対して、渋い顔をなさるのは2人のジーナさんです。


「あきまへんねや…それ」


「この月は地球に何かが飛んで来た際の盾の役目がありますねん」


「これこれ白うち、それだけちゃうやろ…そもそも地球の潮汐や自転に密接な影響がある衛星やぞ…地球と月はセットで考えなあかん代物や…月ごとルナテックスを別の恒星系に移転してもろたら、今度は地球の環境が良くて金星、悪ければ火星未満になるがな…」


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おかみ「あかんのかいな…」


じーな「あきまへん。詳細を言うと天体物理学のややこしい話になりますねんけどな、地球自体がくるくる回ってる理由の一つですねや、月の存在…」


じーな「間違ってもよそに持って行くと、地球が草木も生えない土の球になってまう危険が危ないんですわ、月…」


えまこ「まぁまぁ、月の複製を作ればなんとか」


えまこ「そうよねぇ、または既に衛星があるなら月と条件を揃えるとか」


じぇるみ「そこまでして僕を引っ張ろうとするのか…」


マリア「あんたの抱えてるオーバーテクノロジー抜きに色々進めるにはさ、こっちもまだまだ入り用なもんがあるんだよ…」


マリア「そーよそーよ、責任逃れは許さないわよっ」


べらこ「正直ねーさんたちと違って、あたしはこれを契機にサン=ジェルマンさん抜きで色々できないもんかって思ってんですけどね」


じぇるみ「縁切りしてくれるなら僕はマリアヴェッラの味方をする気になるな」


べらこ「ただ、言っときますけど聖環や痴女宮とか聖院本宮で運用しているそっち由来の技術提供は惜しみなくしてもらいますよ…まだまだ握ってるもんがあるでしょ」


マリア「で、もう一つ、突っ込みたいことがあるんだけどさ」


マリア「それは次回のお楽しみってことで、糾弾会は継続するわよっ」


べらこ「どこぞの利権団体のようなやり口に、あたしはサン=ジェルマンさんに同情してはいるのです…ほんの1ミリ程度ですが」


じぇるみ「それ同情っていうのかよ!(泣)」

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