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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


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鬼さん月へ行く -Le diable va à Luna- ・1

窓の外の景色がぐるん、と回ります。


「ベラ子、金閣湾上空に滞空しながらウラジオストックの市街上空回ったり。できるか」


「な、何とか…」


「よし、ここだけうちがやる。アイハブ。緩上昇旋回、左180度。艦首仰角1度」


という訳で、まだこの大きな船を飛ばすことに慣れておらぬ様子のベラ子陛下に代わって、ジーナさんが舵を取ることにした様子。


「マリ公はこれくらい余裕でできるねんけど、今はベラ子の実習訓練中やからな…」


言いながらも、手際よく右手左手、そして両足も動員しながらこの巨船を慣れた手つきで操られます。


見ておりますと、金閣湾なる海沿いに広がるこの、ウラジオストックという町を右手に眺めながら大きく旋回して再び湾の上空に出て、そのまま陸地と海の境を上げて行く様子。


そしてこのウラジオストックという町、あちこちで何かを建てていたり土を掘り返し木を抜き植え直しと行ったことをやっておるようです。


「まだまだナホトカを含めて開発途中だって言ってたよな…」


「そういやナホトカの上も寄ったらんとな…方位はヒトマルマルでええか…CAS130ノット維持、左旋回継続っと」


にしてもジーナさん、こういう船を動かしたり飛行機とやらを飛ばしたりというの、得意なようですねぇ。


(うちはもともと女が動かすようなもんやないデカブツ動かすのが商売の会社の社長の娘やったからな…しかも宙兵隊行かされて宇宙船の操船資格まで取らされたし…お、汽笛鳴らしたらんとな)


ぼぉおおおおおおお、ぼぉおおおおおおお、ぼぉおおおおおおおと3度、長めの汽笛が鳴らされました。


と、それに呼応して、海に浮かんで動いているいる中にも同じように、汽笛を鳴らす船が数隻おります。


「長音三声いうてな、別れの合図とかご安全にという意味があるんや。うちら浮いとるけど船乗り同士の合図いうやつやな…」


なるほど、船乗りの仁義のようなものですか。


で、真東ではなく少し南に進みますと、ナホトカという港町の上へ。


ここを飛び抜けると、いよいよと大海原に出るそうです。


そして、朝ぼらけの雲混じりの晴れ空に速度を上げて突っ込んで行く、テンプレス。


「よしベラ子、ユーハブ。このまま東南東方位ヒトマルマル、函館の方向に向けて加速上昇前進。目標到達高度3万6千フィート、最終到達対地速度430ノット。AP入れたらスティックス・ドライブレベル4の設定に入るからな…」


「はははははいっアイハブっ」


で、見ておりますとジーナさんとベラ子陛下の席の前の窓に重なって出ております絵柄、また変わりました。


「真面目にやると電子天文年鑑を参照しながら目標惑星や衛星の位置まで計算せなあかんから、専任航法員の乗艦が必要やねんけどな…ここは略式で行くで。ベラ子、超光速航行ナビモードにCFD…中央部フローティングディスプレイ表示を固定、操舵系統サイドスティックモード、キーボードテーブル出し」


「あぃ…」


何やら涙目のベラ子陛下ですが、ジーナさんが椅子から小さな卓子を出すのに合わせて、同じことをなさいます。


「いくつかの主要目標はプリセットされとるから、連邦世界の月をまずは呼び出しなさい。で…」


で、これは私たちにも馴染み深い、月の拡大された絵が出てきます。


「月は地球のように自分でぐるぐる回れへんから、地球に対して向いてるのは常に同じ面やねん。で、今回の目的地はまさにその地球から見えへん裏側にあってな…そして、月の周りは警備の船やら他の船もおるから、事前通告して転送で出てくる場所を管制に指定してもらうんや…まぁ、前にルナテックスに行った時と同じで、月の公転軌道を後方から追尾して進入するポイントを指定されると思う。ほな、連絡取るぞ…」


(Hello、This is UGH-SMY DDCV-200"KUMANO". UGH-SPACY Luna regional satellite orbit controll center calling…)


(こちら連邦宇宙軍月面衛星軌道管制センター、宙兵隊所属艦DDCV-200くまの、どうぞ)


(ルナコントロール、DDCV-200臨時指導艦長、ジーナ・タカギです。ルナテックスCEOの招待によりこれより本船はルナテックス本社港兼・宇宙軍月面艦船整備製造基地を目指します。護衛艦船との邂逅軌道位置を指示されたし)


(DDCV-200、ルナコントロール。ジーナ艦長、貴艦のIFFタグに練習航海中の付箋表記あり。月軌道出現指示地点、いつもより後方にずらします。指示点座標確認されたし)


(ルナコントロール、DDCV-200、ジーナ…参りましたな…2000キロは後ろですやん…まぁええか)


(DDCV-200、ルナコントロール。娘さんの研修でしょ?レベル4ドライブは出現地点の立ち入りを禁じます上に船舶が周囲を航行すると排除現象に見舞われますから、予防措置ですのでやむを得ないと考えてください…座標受領の場合は月面上空進入・入港管制番号を送信します。受領操作を行ってください)


(よっしゃベラ子、座標受領処理。時空軸座標と三次元空間座標確認。…ルナコントロール、DDCV-200。管制番号受領。本艦は現在航行中の状態で転移影響些少な地点到達後に転移に入ります。遷移予定時刻、連邦グリニッジ標準時で送ります。確認下さい)


(DDCV-200、ルナコントロール。時刻受領。遷移後は待機中の宇宙軍地球圏防衛艦隊月面分駐隊所属艦、アクエリアス023の先導に従ってください。それと…これは聖院呼称テンプレス3世だと思いますが、DDCV-201もがみと合流の上で2艦ともにルナテックス社有港の指定ドックに入港の指示を受けています。聖院所属艦ですから高木閣下にも話は行っていると存じますが、念のために通告しておきます…)


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じーな「というわけで呼ばれて飛び出たらいきなり月に行けとか」


白マリ「でね痴女皇国かーさん…こっちのテンプレス3世にはあたしとサリーとダリア、それからこっちのアレーゼおばさまとマイレーネさんが乗ってます。で、船長は…」


じーな「うちや…」


じーな「これこれ白うち、ややこしうなるから聖院の方のマリアみたいに独自の名前を名乗りなさい」


じーな「それはともかく、そっちはプラウファーネさんに外道ちゃんかいな…何を言い出すつもりや、サン=ジェルマンのおっさんは…」


黒マリ「白かーさん、聖院幹部まで呼びつけてるんだからさ、まぁ良い話じゃないと思うよ…」


白マリ「黒マリに同意。絶対に変なこと言われるわよね…」


いばらき「何か悪い予感がします…」


じーな「プラウファーネさんの予感が正しいかは、次回で明らかにされるやろう…」


黒マリ「では次回、月面の地下のルナテックス本社基地・工場からお送りします…(多分)」

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