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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


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需要に応えると書いて金はあるところから巻き上げろと読む・フランス王国編

みなさまこんにちわ、愛知県の東の外れの生まれに関わらず、いなりずしよりはひつまぶしがいいねと思える室見理恵、すき焼きはやっぱり関東風だよねと思える室見理恵(むろみりえ)です。


で、私の生まれ育った辺りは、このお話では聖院世界や痴女皇国世界の八百比丘尼国・三河監獄国の統治下にあった地域でした。


そして、連邦世界でも三河監獄社と…そして、父の勤務していた通称豊川社という、端的な業務内容の説明では「電車作ってる会社」の産業拠点でもある地方です。


つまり、お味噌汁は八丁味噌エリア。


ですが、どっちかというと豚肉と牛肉がイコールではなく、牛肉の地位が高い場所でもありました。


そして、私は諸事情で東京の学校に行かされたのですけど、そこで渋谷や原宿という土地を知ったのが運の尽き、売れる女になろうという方向性を間違えてギャルデビューを密かに果たしかけたとかいう昔の恥部は隠すことにします。


そればかりか、ある筋からの接触によって、学費を負担してやるから神戸のお受験校に転校して欲しいとか、親経由で接触があったのですっ。


そう…高木まりあこと、当時の次期聖院金衣候補だったマリアリーゼ・ワーズワースの学友になれやという件です。


私と似た事情で東京から引っ張って来られた田野瀬麻里子(たのせまりこ)、そして通称若様の智秋敬(ちあきたかし)くんと田淵誠(たぶちまこと)くんがこのお話の中では何かと特別扱いされている理由、この辺の事情もあったのです。


あの平安時代に実質的な日本の内閣総理大臣ポジションを得ていた藤原氏の血族の子孫でもある若様ですが、その後はなんと皇族の娘さん…それも苗字が存在しないお名前の女性との婚姻を結んでいます。


しかも普通なら臣籍降嫁となるはずですが、現在はなぜか皇居の敷地内に築かれた官舎という名の住宅にお住まい。


理由は、若様の今のお仕事…宮内()業務局管理部特務外事課長とかいう長めの肩書にあります。


つまり、若様の真のお仕事は、日本国と痴女皇国や聖院との外交折衝を行う実質的な外交官…つまりは大使なのです。


しかし、痴女皇国の特殊な性質上、こっちに常駐してもらうのはものすごく色々な弊害があると主張するまりり…上皇マリアリーゼの発言を加味して、基本的には宮内庁、そして宮内省の職員として世を忍んでもらうことになった経緯があるのです。


で、こうなった理由の一つに、痴女皇国と聖院双方の世界での日本を統治している八百比丘尼国という特殊国家の存在があります。


この国の政治の頂点、日本の江戸時代とは決定的に違うことがあります。


まず、「天皇を頂点として人間向きの政治を行う」京都朝廷が存在します。


そして、江戸幕府は「朝廷から勅許を得て期間300年の日本の統治事業を委託されている朝廷外郭団体としての軍事組織」であり、朝廷の下部組織である神社からの徴税を原資とした統治委託金によって運営を行っている立場なのです。


で、通称タヌキさん…連邦世界でも徳川幕府を開き、死後は日光東照宮に祀られている方がなぜ、この扱いに納得したのか。


さっき私は、人間向きの統治機関として京都の朝廷を紹介させて頂きました。


しかし、比丘尼国に住んでいるのは、人類だけではないのです。


なんと、人類と同等以上の高等知性体が、神話や伝説の存在ではないのですよ…八百比丘尼国。


そして、鬼や天女や人魚や妖怪といったこれら人外の方々を統治するのが、京都府で言うと北部となる、丹波と丹後の境界に近い場所の山奥に存在する大江山朝廷という組織なのです。


この大江山に所在する元伊勢大神宮という神社が、そういう人外の方々向けの対応者である巫女種を養成する機関の頂点でもあるのです。


つまり、神社の界隈で言えば伊勢と元伊勢の二重政府、人間向けで言えば京都と江戸、そして大江も入れると三重政府状態なのです。


こんなややこしい状態の上に、その本来の能力をもってすれば連邦世界の地球の人類を脅かしかねない凶悪な存在でもある人外が存在するとあっては、普通の外交…それも対等な外交など、可能なはずがないのです、通常ならば。


何せ、比丘尼国ではこうした人外の方々が本当に危険な能力を有している上に、その上に君臨する神様が実際に存在していて「本当に人類の社会に対する能力の直接行使」が可能という状況。


しかし、話はついていたと言えばついていたのです。


八百比丘尼国の真の頂点である女性の神様たる通称:おかみ様。


その存在は、連邦世界の日本神話の頂点となる女性神である、あのお方と同一とみなして良いそうです。


しかも、連邦日本と違って、その真の力を解放すればとんでもない暴威暴虐を解き放てるそうです。


何せ、ムー大陸やアトランティス大陸を沈めたという実績だけでなく、太陽を隠すとか、地球の自転を止めることすら可能とまりりに聞かされては、絶句するほかありません。


(まぁ、さすがにその辺の大ごとな破壊行為、おかみ様と姉妹の初代様と組まないときついんだけどさ…問題はおかみ様も初代様もさ、りええも知ってるだろ…ヤンキー気質ばっきばきの好戦的ですけべで飲む打つやるが大好きでさ…)


この、まりりの説明の中で出た「飲む」の中には、いけにえ大好きという食生活習慣が含まれているそうです。


そして、「打つ」が賭博行為としても、国同士を戦争させて勝敗を賭けるとかいうとんでもない賭博が入っていることを教えられては、ヤクザも真っ青な反社会的存在に思えてしまうのです。


猛獣と奴隷を戦わせて勝敗を賭けるとかいう行為を、もっとスケールアップした非人道的行為ではないですか。


ご自身の息子さんの一人とも言える、崇徳上皇陛下に供えられた御神酒を平然とかすめて飲むような横暴行為すら、こうした実話からすると可愛いものとすら思えます。


(いや…室見殿、それ持って行かれたら行かれたで、世俗の民は困ると思うぞ…あの御神酒はそもそも祟り神と化した朕を慰霊し祟りを避けたいがために供えられたもの…それを飲まれては、何のために朕を白峯(神宮)に祀ったものやら…)


そう、崇徳上皇陛下は陛下で、今や日本滅ぶべしの部類である、日本三大祟り神の一柱なのです。


その御神酒を盗み飲んでは、崇徳上皇本来の祟り神としての能力の枷を外すことになってしまうのです。


この件からも、いかにおかみ様というこのお方が無茶苦茶かお分かりでしょう。


日本人と日本の国土を子孫かつ配下の神様が祟ろうと、本来はお構いなしの暴君、いえ暴神と申し上げるべきでしょう。


で、そんなおかみ様の実妹である、通称初代様こと、聖院を開闢した初代金衣女聖テルナリーゼ様。


つまり、まりりにしてもご先祖様です、直系の。


で、初代様もたいがいな暴君であったことは、私たちのお話を最初からお読みの方はあちこちで逸話が出ておりましたから、お分かりでしょう。


(更に言うと懇意の相手が雅美さん。で、二人の間の子供がペルセちゃんとアフロちゃんで、言ってみりゃギリシャ神話の神様を痴女皇国世界に呼び込むための憑依先として産んでもらったようなもんなんだよね…)


(しかもその時にあたくしはせっかくの身体を失って、今もいまいましいマリアヴェッラの身体とあいのり状態なのですわよっ)


(おばちゃんが暴れ過ぎたせいですぅっ。あたしもヤなんですけどぉっ)


(ベラちゃんと初代様の相互監視状態なのよね…)


(ちなみにたのがベラちゃんの部屋に戻りたがらないの、初代様とベラちゃんに責められるからなんですよみなさん…)


(りええ…詳細は話さないでよ…喋ったら減俸よ…)


痴女皇国財務副局長の地位を悪用する元・同級生の鬼畜行為はともかく。


私の言いたいこと。


性欲ばかりか、食欲も旺盛な女神様のこしらえたエロ宗教施設たる聖院と、その実質的な組織継承国家である痴女皇国。


その、所属女官はもとより支配地での食事に干渉することは異常なほどに情熱を注いでいると言えるのです。


何せ、現在の皇帝が遺伝子はともかく実質的には100%イタリア人と言っていいくらいに、ロシア人らしいそぶりは示しません。


いえ、時として暴力的になる性格はおそロシア人である母親のジーナさん譲りというべきか。


(うちはほぼ9割関西人と言ってええと思う…ロシア語得意ちゃうねんし!)


(かーさま、関西弁か英語ですからね…通常会話)


(ベラ子も聖院第二公用語つまり日本語かイタリア語やろがいっ。あんた飛行機の操縦訓練の時に英語で苦労してたんバラすぞっ)


(かーさまとクリスおじさまとの恥ずかしい夜のエロ本を製作させますよっ)


(あんたとクリスのエロ本の方が遥かに部数出てるやろが…)


で、高木家の娘といえば、まずはマリアンヌちゃんとスザンヌちゃん。


通学のためとはいえど東京生活にどっぷりと浸かり、中学生にあるまじき食生活も時として経験しているのです。


しかし、痴女皇国東京支部の実質的な支部長職こそ私の部下だった犬飼葉子さんに譲りましたけど、大人状態で支部幹部としても活動しているのは知ってますから、これはまぁ、イタリアンやフレンチレストランだの中華だの寿司屋だのに出入りしていても仕方ないでしょう。


そしてスザンヌちゃんとマリアンヌちゃん、そしてベラちゃんの姉にして、食い意地は張ってなさそうで結構張ってるジーナさんの娘、それも長女が存在します。


ええ、高木まりあ…まりりこそ、聖院時代から女官食堂と罪人食堂の近代化効率化にこだわり、私たちだけでなくかなりの人数が出向している日本人向けのメニューを揃えております。


ですが、これとて「奴が味噌と醤油を使いたい」がために南米尻出国に大豆畑を大規模に開墾開拓させた件を思い出して頂きたいのです。


そして、この尻出国開発に先駆けて、有全珍(あるぜんちん)のパンパ平原開発に着手しとりますけどね。


そこの牛、痴女島に開拓した通称・智秋記念牧場で生育した原種を送り込んどります。


そればかりか、智秋記念牧場を開いた理由は牛乳やチーズにバターを罪人工場で生産させるため。


これによって、ヨーグルトやアイスクリームまでもを内製可能にした件は女官から文句が出ていませんから私も糾弾する気はありませんけど、中世時代にいきなり近代的な業務用の冷凍庫や冷蔵庫…それもジーナさんが文化汚染を恐れて持ち込みを躊躇していたのに、娘のまりりはあっさりと輸入しよったのですっ。


(理恵ちゃんええでーもっとゆうたってー)


(そのアイスをこっち来るたびに女官寮の購買に買いに行かせてはガツガツ食ってるのはどこのおばはんだよっ)


ああ、浅ましい食べ物の争い。


しかし、海賊のティーチさんや謀反陸軍大臣のクロムウェルさんですら、時に罪人食堂で出てくる焼肉系メニューはもちろん、女官食堂や貴賓食堂で出るステーキですとか、あるいはまりりが罪人幹部懐柔を兼ねて堤防でやってるすき焼きや芋煮の集いの牛肉に転んでいます。


というか、ナポレオンさんも美男公も罪人頭の時に、まりりの料理に転んでいます。


で、ナポレオンさんも、そしてルイ16世陛下やアントワネット妃までもが上質な痴女島育成高級和牛肉に屈して膝をついたのです。


もちろん、その娘さんや息子さんたちに、更にはスペイン王国から派遣されているフラメンシア王女殿下も。


そして英国本国にも有全珍や流刑地大陸はもちろん、比丘尼国各地で生育された和牛の評判、横濱租界の英国大使や英国の海外調査官であるイザベラ・バードさんを通じて広まっております。


しかし、中世当時の英国は軍事力はまだしも、文化面ではフランスや他の国に大きく立ち遅れていた一面があったそうです。


メシマズ以前に、まず、調味料や料理法。


そこで、フランス王立料理学院の名誉顧問となっていたアントナン・カレーム氏と、痴女皇国の厚労局福利厚生部料理課長とされた中井義文さんの二人が、まずはロンドンに派遣されたのです。


しかしですね…食材の完全国内調達はもちろん、調味料も自国で栽培育成が困難とあっては、お肉や野菜はもちろん、貴重なスパイスや砂糖は言うに及ばずでお塩までもが完全に自国でまかなえない島国の英国です。


(だから植民地経営、特にアフリカとインドに注力もしたし、アメリカ大陸にも進出してたんだよ…英国…)


で、日の沈まぬ植民地大国になってもらうと痴女皇国では困りますので、代わりに商人たち…それも現地人との交渉に長けた海賊上がりの商売人を先鋒として貿易大国としての道を歩んでいる痴女皇国世界の大英帝国です。


その輸出入事業を助けるためと称して、この時代にユーロトンネル、既に掘られています。


そしてTGV-H型と言うか、スペイン国鉄向けのセリエ1919型をベースにしたクラス369型という、ユーロスターまがいの高速車両によってロンドン・ウォータールー駅とパリ北東駅は2時間で結ばれるまでになりました。


(うちの国から売春客をパリに呼び込むために整備したんだよな…)


(英国人専用の往復割引切符が買えるから、俺もティーチも安く移動できるんだけど…)


で、ロバーツさんやティーチさんといった海賊上がりの有名どころから寄せられた話。


「パリでのホテルは売春宿としてもよ、食事の場所はなんとかならねぇかな…」


と言うものだったのです。


何せ、コースメニューの普及も端緒についたばかり。


何種類ものカトラリーの扱いのマナーすら、これから広めるところです。


ですので、貴族はもちろん、一般市民においてもテーブルマナーの確立は急務だったのですけど、問題は売春客の主力を占める庶民のためのご飯を食べる場所を何とかして作って欲しい。


市場の情勢を見るに機敏なティーチさんやロバーツさんたちが口を揃えて言うのですから、これは何かあると見ていいでしょう。


で、こういう分野の担当となりますと、誰に話をすべきか。


「えいこくの話だったら、マリアが適任ですわね。マリア、ちょっとお話を聞いて差し上げなさいな…」


「クレーゼ母様の受け持ちじゃないですか…料理も産業ですし、輸入食材の調達や国内生産も産業振興の範囲ですよ…」


「牛どんやさんとか、例えばうどんやさんのチェーンをれんぽう世界のようにこちらでも作るようなはなしではありませんか…」


この、何気ないクレーゼ通商局長…まりりの実のお母さんでもある方の発言。


それや、と連邦世界の大衆料理チェーンを知る者が声を上げたのです。


で、パリの独身男性労働者はもちろん、今後はあのヌヴェールにも作る予定の大規模工場施設で働く男性のおなかと舌の福利厚生のためにもということで、まずはパリを訪れるガイジン観光客や売春客にも利用しやすい大衆向けの料理店を作ろうという話になったのです。


で、発足した大衆料理店チェーンですが、その名も「ビストロ・ニクヤキ」…そう、焼肉店ではなく肉焼き店なのです。


まさに、肉を焼いて提供することに主眼を置いた大衆向けのファーストフード・レストラン。


で、なんで焼肉ではなくて肉焼きにしたのか。


欧州地区では、聖院の不殺の掟を踏襲した痴女皇国の外郭宗教団体である聖母教会が政治経済を実質的に牛耳っているも同然の状態です。


で、ウサギとか鹿とか猪とか野鳥とか、いかにも畑を荒らしそうな生物の狩猟も基本的には一旦は禁じられたのです。


しかし、ジビエ料理の価値を知るまりりは、産業技術育成もあって、英国での猟銃生産を密かに許可するばかりか、痴女皇国の影響が強い地域のために狩猟用のドレイン銃までをもこっそり提供しています。


なぜか。


畑を荒らされるからです。


特に、トリュフと、そして類似品かつ強力な催淫キノコたるチンポルチーニの栽培地を荒らされるのは困るとなったのです。


そこで、牛豚鶏だけでなく、ジビエ系の食材のお肉も「その日の日替わり」として提供することで野生動物の個体管理や、果ては珍味の流行を狙ったのですよっ。


(ちなみにこの日替わり珍味肉には鯨やイルカも含んでいます、ありがとうございます)


(保護団体の顔に泥をかけるようなことしてるけど、実際に鯨が増えすぎると困るから捕鯨船、出してるのよね…)


で、鯨の大和煮風の煮物料理、つまりシチューをアメリカ大陸の沿岸でも流行らせたりとかしているのはともかく。


カナディアン・ムースやアラスカン・ムースといった珍しい鹿肉までもが時として出たりするのです。


もちろん、本来ならば牛や豚を鉄板焼きにして出すような調理のシンプルなお店。


さながら、某牛丼系チェーンが焼肉メニューに特化したようなものを想像ください。


で、この肉焼き屋。


比丘尼国発のファーストフード店として勢力を広げようとしているSUSHIと並んで、パリやロンドンに来たガイジンの懐にも優しいお店として開かれましたが、自国民の大衆も「安さと手軽さに目をつけた」のですよ…。


言ってみれば、沖縄のステーキハウスで牛肉以外も出すようなお店なので、鴨肉の治部煮風クワ焼きとか、焼き鳥風串焼きとかも出せるのです。


(ただ、牛肉以外は日替わりの一面を持たせたんだ…なるべく新鮮な肉を提供する必要があるのと、ストックを作ると過剰に屠畜せざるを得ないじゃん…)


んで。


例の映画「鉄道売春婦」の続編撮影に協力するためにパリに滞在していた私やアルトさんも、実のところはこの肉焼き屋さんやお寿司屋さんのお世話になることも結構、あったのです。


特に肉焼き屋のフランス国内店、フレンチソースなどを使った「フランス料理風」と言うのが売り。


コースメニューの高級料理店には値段的に手が出ないと言う庶民にも優しいお値段なのですよ。


言ってみれば、我が出身地の愛知県で、名古屋コーチンや鰻や牛肉に手が出なくとも、きしめんを食べれば名古屋名物を味わえるというようなもの。


聖母教会の農業荘園の展開もあって、安定的に醸造可能となったお安いワインや果実酒も提供されるとあっては、一杯系の居酒屋需要も満たせるとあって、サン・ドニ地区に開店した1号店はもちろん、パリ市内の駅構内や付近の商業地域に順次開店しているチェーン店も、なかなかの賑わいの状態。


ですが、弊害もありました。


フランス王国…つまり、痴女皇国のフランス支部で開店したからには、現地の幹部も試食しています。


そして、美味しいのですけど堅苦しいフランス料理の毎日というテレーズちゃんやソフィーちゃん、そしてシャルルくんにジョセフくんといったフランス王家の王女王子様たちはもちろんですね。


ベルサイユ宮殿に詰めている幹部騎士や女官の皆様までもが、肉焼き屋での簡易な食事を所望し始めたのですぅっ。


しかも、意外にめんどくさがりのフラメンシアちゃんまでもが肉焼き屋をベルサイユの女官食堂に誘致しようとか言い出す始末。


これ、実はまずいのです。


というのもベルサイユと、そこから東に向かって伸びる宮殿群の食堂。


本格フランス料理の調理人の育成場でもあるのです。


そこの料理を食べずに、肉焼き屋に行かれては、何のために本式のフランス料理を出しているのかという話になったのです…。


(なんでみんなそっちにハマるのか、アルトさん…調べてみませんか…あたしも疑問に思いますよ…味だけなら、本格料理の方が複雑な味ですし…はっきり言って肉焼き屋の料理は辛めか味付け濃厚、労働者向けでしょ…本格中華と餃子チェーンの王様将軍を比べるようなものよ…)


(りえさん。くわしく調べるまでもありませんよ。にく焼きやさんのちょうみりょうやそえもののスープには、干したいんぽたけがいっぱいつかわれています)


(それか…!)


確かに、淫棒茸(いんぽたけ)の開傘前のブツ、干して焼けばマツタケのような味わい。


しかも、お料理のダシにも良いのです。


ええ、習慣性を増すためなのでしょう。


痴女皇国世界ではエロカロイド物質として定義される催淫習慣性麻薬物質を多量に調味料に混ぜ込んでいたのです、肉焼き屋で使ってるソースやスパイス、そして牛丼屋の味噌汁ならぬ添え物のスープ用のスープストック!


(痴女種やとインポタケ、今や直接に焼いて齧るか大きく切って料理に使わないと効き目がありまへんからええんでは)


(そうですよマダム室見。売春のために来てくれる観光客用のお安い食事っちゅうのが元々の構想ですやんか…)


ええ、連邦世界の日本のインバウンドブームの際の某・牛丼チェーンにガイジンの方が押し寄せているような状況で、出されている料理が股間を元気にしてしまう危険物。


ですけど、フランスの皆様はお金と精気収入が得られるなら良いわと、この肉焼き屋を咎めるつもりはないようなのです…。


(つーかあそこの味付け、うちのカレームたちとムッシュ中井はもちろんですけど、マリアリーゼ陛下が主体で決めてますさかいに、うかつな意見はワイもてれこもちょっと今ひとつ言い出しづらいんですわ…)


(これでまずかったら怒りようがあるのですけど、美味しいから困りものですねん…)


(ねえさまがた。この労務者か兵隊むけの濃いあじつけは貴人の繊細な舌にはいまひとつ。確かにおいしいのですけど、こればかりをたべていては舌がおかしくなりますわよ…)


(うう、ソフィーが辛辣や…ふらこ、確かにソフィーの言う通りや…肉焼き屋は週1回にしよ…)


(というかわしら、肉焼き屋の調理人免許持っとる料理人を呼んで作らしとるんですよ…)


そう、料理という名前の麻薬がベルサイユをむしばんでいるのにも関わらず、王族や遊撃騎兵隊所属の貴婦人はもちろん、女中女官や聖女騎士団員に至るまで、その麻薬的な味にめろめろなのです。


(ぼくも母も妹も、茨木さまもあれ、ちょっと味が濃いということで…ぼくたちは寿司屋の焼き魚とかの方が…)


え。


そうです、見た目が混血黒人とはいえ、中身は日本生まれの日本育ちの弥助くん。


しかも、ご飯と焼き魚と味噌汁がご馳走の時代の比丘尼国人なのです。


(私は生肉の方がどっちかといえば。そうそう、連邦世界のユッケとかたるたるすてーきとか、あるいは鳥刺し馬刺し牛刺しに豚の肝とか)


(プラウファーネさん…それ、普通の人間だと食中毒や寄生虫で死にます…)


(いえ、私、トラフグを生で頭からがぶっと齧れますよ)


あああああああ…。


そう、比丘尼国鬼族の頂点をお姉さんの外道丸ちゃんと二人して務める茨木童子こと、プラウファーネさんです。


フグ毒なんてものは、むしろ隠し味に感じてもおかしくありません。


(でね、私も評判だっていうことで、あの肉焼き屋の料理、頂戴してみましたけどね…あの味付けって、痴女種…それも聖院で言うと上級女官向けにインポタケの量を決めてませんか…少なくとも普通の人間に食べさせたら元気になりすぎてる気配、ありましたよ…)


(ああそれ売春地帯用レシピだよ。サン・ドニなんて特にアレしたい客が来ると思って)


(まりり…今からでも遅くないわ…インポタケの使用量、半分にしなさい…)


(いいじゃんか!パリを売春都市にするからにはガンガンと女を買って欲しいんだよ!)


ええとですね。


ガイジン相手に強盗やスリだの詐欺だのを働く国も大概だとは思いますけどね。


女遊びをさせるために、食事に一服盛るような国について、皆さんの意見をお聞きしたいのです。


媚薬盛りまくった食事を出す国が、果たして正常な観光国家なのかを!

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