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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


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弥助の大冒険 -少年は巴里を目指す- 7.46

で、痴女島南部の聖院港・痴女皇国専用突堤…つまり本宮からの坂道を下りた先の海に突き出ている埠頭に停泊している、3隻…いえ、4隻の船。


本宮から見て左側手前に比較的小型の2本マストの帆船のエルトゥールル号、そしてその先にサンタ・マリアヴェッラという3本マストの大型帆船が係留されているのです。


んで、私たちが乗ってきた貨客船珠絹丸(じゅけんまる)と、巡洋艦華厳号(けごんごう)は、本宮から見て埠頭の右側に係留されました。


ところでこの痴女島への寄港ですがね。


私たちに聞かされたのは弥助くんと、お母さんと妹さんへの駆け足教育を行うために臨時寄港したという話ですが、この寄港は本来の予定にはなかったものです。


そして、朝に江戸を出港したというのに、今は日本時間で午前9時のはず…、痴女島時間での午前10時過ぎです。


そして、先ほど茸島から帰ってきたというエルトゥールル号が児童や生徒を下ろした後で、船内清掃や整備点検に入っています。


んで、この後、エルトゥールル号に続いて茸島保養所に向かう女官を満載して出航するはずのサンタ・マリアヴェッラ…アメリゴ・ヴェスプッチ級痴女皇国仕様3本帆柱汎用戦列艦の1隻ですが、実はこの船は海賊共和国の旗艦として貸し出されていたものです。


しかし、近年は帆船ゆえの限定された貨物室形状や積載量が問題となったために、改めて同型艦のうち、他の3隻ともども茸島航路に向いた内装に改められ、南洋島のスマランまたはスラバヤ航路に投入されることになったのです。


さて、このサンタ・マリアヴェッラというイタリア語名の船名。


その由来になった人物の本体が、涙目状態で聖院埠頭に来ております。


「お願いですから茸島別荘の視察だけはぁっ!」


「あかん、あかんでマリアヴェッラ…」


と、そこに現れたるは、金髪巻き毛のアメリカ人…でもないかの如何にも白人白人したスーツ姿の女性です。


エイリーン・ヨシムラ・ダレスという方が、その方の連邦世界と、NBでのお名前です。


で、現在は聖院の上級騎士であり、高校在学時代から私とも顔馴染みではあった吉村アンジェリーナさんのお母さんです…正確には、お母さんに偽装している方、ですが。


そう、北欧神話神種族管轄の運命の三女神だったスクルドさんです。


(運命選定種からはよ解任されたいけど解任されとらん。というか私のほんまの担当はNBよ、室見理恵…)


(はいはい、で今回わざわざ痴女皇国世界にお越しになった理由とは)


ええ、NBへの鉄道敷設の際、私はそこそこの期間、NBに出張しておりました。


そしてジーナさんやスクルドさんとも、毎日とはいきませんが顔を合わせる立場だったのです…。


なんせ、ダリアの相方ということで、アグネスさんが手配した宿舎というのが他ならぬワーズワース家の洋館でして…で、日本の松江の小泉八雲邸を参考にして建てたという例の和洋風離れの住宅で朝食を頂くのが日課だったんですよね…。


そんな訳ですので、スクルドさんがどういう性格の神様なのかもある程度は知っております。


そして、ここに現れたからには、ベラちゃんをしばきに来たとしか思えないのも。


で、そのお膳立てに必要らしき封書、ひらひらと振ってみせるヨシムラ夫人、いえスクルドさん。


「マリアリーゼ、ジーナ・高木とアグネス・ワーズワースからの親書、預かってるんだけど…」


ええ、まりりでも迂闊に逆らえらない喧嘩できない相手だというのも知っていますが、一方でこういう風にスクルドさんの方も、ある程度の筋道を通さないとベラちゃんやまりりに文句を言えない間柄なのですよ。


んで、その封書の中身を改めもせずに内容を言ってのけるまりりですが。


「要はあれでしょ、ベラ子とクリス父さんの別荘の視察を要請する内容でしょ…しかも、NB首相とか議員じゃなくて現在のワーズワース家の家長と、高木家の世帯主の私的な連名要請じゃないですか…」


「なら、いちいち開封して読み上げなくてもわかるわね、私の言いたいこと…」


「とりあえず乗ってください…と言いたいところですけど、ちょっとその前にこの子達を見て欲しいんですがね」


で、プラウファーネさんに連れられた弥助くんとそのお母さんと妹さんを、ちらりと一瞥するまりり。


「ふむふむ…まぁ、東洋女の二人はあまり気にしなくてもいいわよ、ニホンのミコとして生涯を終える話が待ってる程度でいいです。ただ…そこの色黒でニホン人の混血者の男児。ヤスケというのね…うん、こっちのアカシックレコードでもヤスケになってるわ…あなた、独自の人生を歩むかも知れないわね…」


えええええ。


で、弥助くんはともかく、そのお母さんと娘さんは痴女皇国の女官の知識もちょうどいいから持っとけということで、まりりが私の女官教練知識をもとにして二人の頭の中へ流し込んでしまいます。


実習を伴ってはいませんが、これでパリに行ってもある程度は仕事に困ることはないだろうと言う、まりり。


んでまぁ、なんで弥助くんに注目したのか。


ここで話すのもなんだということで、珠絹丸の私たちがいる船室に戻ることにします。


「ええとね、この子はオーァフリカ…暗黒大陸の出身なのね…でまぁ、本当なら人の未来は告げてはならないことになっています。しかし、茨木童子。あなたの庇護下にあるのと、痴女皇国関係者としての生体改造が終了していることを鑑みると、言っておく方がいいでしょう。弥助、あなたの故郷は、おそらくあなたを同族として受け入れはしない…いわば、よそものとして見てしまう可能性が高いわね…」

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