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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


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痴女宮よいとこ一度はおいで・8

で。


女官寮と罪人寮の中を見学するわたくしテレーズと、もはや腐れ縁になりつつあるのを互いに理解していても金輪際理解し合いたくないスペイン王国王女にして南欧支部長・南欧行政局副局長のフラメンシア・ド・ヴァロワですが、奴の名前をイスパニア語読みするとフラメンシア・デ・ヴァロイス…つまり建前上ではスペイン王家の出自が正式な地位なのです。


で、なんでフランス語読みしてるさせてるのか。


奴は南欧行政局長にしてイスパニア王女かつ、フランスにブルボン王家が覇権を唱える前の王朝だったヴァロワ家の王女であるイザベル陛下の娘です。


そして父親不詳が公式発表ですが、実際の親父たるや、何度でも重ねて書きますけどフランス人の変態男爵であるジョルジュ・バタイユその人です。


もちろん、こうした理由ははっきりしています。


フラメンシアの南欧行政局内における事業の担当は、スペイン王国を中心とした行政局圏内の芸術文化振興も含まれています。


で、奴の指揮下にはロントモン歌劇団というフランスの巡業歌劇団を乗っ取ってスペイン王立にした演劇集団がおりましてね。


その芸術活動とやらによって、痴女皇国本国に貢納する精気量の増大を図りたいということで、本国の活動承認もばっきばきに取り付けているどころか、手厚い支援すら受けています。


これは、奴も泣きながらレッスンに付き合っておるバレエに、私たちブルボン王家の子女だけでなく痴女皇国幹部も順次付き合わされて泣いていることでもご理解頂けますでしょうか。


で、泣いてるふらこへ。


その代わりに、わしらもタンゴやフラメンコ、覚えさせられたからな。


あんたも頑張ってアン・ドゥ・トロワやで。


で、ふらこのお仕事の中にそうした芸術関係の振興が入っている背景には、欧州全域を活動地域としていた河原者(じぷしー)の把握と痴女皇国の精気収集戦略への尖兵化を言われておる実態があるのです。


(あの河原芸って、ほら…今度、ビクニ国からフランスに駐留する大使の随伴でカブキを広めていた向こうの河原女のイズモノオクニって女の芸も参考にして戦略転換するらしいんだけどさぁ…)


(東洋の河原芸以前に、まず、こっちの河原芸を観る習慣を売り込みたい気もすんだけどね…)


で、河原者たち。


言うまでもありませんが、ただ、芸をするだけのために諸国を漫遊して、要所要所に天幕を広げていたわけではありませんでした。


当然、売春っちゅうこともやっとったわけです。


そして、元々の河原族だけではなく、痴女皇国からも河原芸を仕込まれた女官や偽女種を使っての興行が企画されています。


その極端な例が、北方帝国(おそろしあ)支部。


あそこはボリショイ雑技団(さーかす)なる曲芸集団を、国営で組織しています。


しかも、ボリショイ雑技団あるいは曲技団もしくは曲芸団とやら、1つの天幕を持ち運ぶ単一集団ではないのです。


(私どものボリショイ団、モスクワのボリショイ劇場を拠点とした国営曲技団ですよ…戦争の代わりに曲技と売春を行う軍隊だとお考えを…)


と、北方帝国支部のエカテリーナ支部長からは訂正が入りましたが、エカテリーナ帝陛下の言われる通りで、第一から始まる数十のボリショイ曲技団の分団が、今やシベリアの遥か東の果てから北方以外の欧州や、果ては南米や中米にまで興行の足跡を残そうとしておる昨今。


(そちらのシトロエンの開発したくるまによる探検によって、シベリアはもちろん中央アジアの貴重な情報があまた寄せられた件については感謝申し上げます、プリンセツィン・テレーズ…)


(まぁ、あれはプロフェソーア・マリーの功績でもありますし…)


そうそう、私の事をドイツ語で王女って呼んでいるエカテリーナ様ですけどね。


彼女には北方皇帝家に入る前の都々逸(あるまん)語読みの名前が存在する…すなわち、都々逸国の貴族の出なのは、既にご存知の話であったかと。


で、わしの不肖の母親たるマリー・アントワネット。


都々逸国がドイツ・オーストリア・ハンガリー三重帝国だの神聖ローマ帝国だのを名乗っていた時分からの帝家の出身ですよ。


つまり、お互いの実家同士の格で言えば、わしことテレーズの方が上っちゃ上なんすよ。


(ウィーンが消し飛びでもしない限り、わしが都々逸皇帝を継承することはないんやけどな…一応、あっちの帝位継承順位の中に入っとることは入っとるんやぞ、わし…)


(てれこ、それ言うとおのれはわしを変態男爵の娘扱いして小馬鹿にできんのやぞ…都々逸人(あるまん)の変態の血がお前にも流れている話になってまうやないけ…)


(せやけどな、ふらこ。お前がマドリードのマンサナレス川か、あそことかかんぽ公園(カーサ・デ・カンポ)でやっとるようなこと、言うたら変態の極みちゃうんけ…)


(てれこのところのヴァンセンヌやブローニュはもちろん、肝心のベルサイユの庭があれやろが…)


(というか淋の森が手本やろ…あれ…言うたらよ、女官寮の建て替えとか本宮に手を入れる話がそもそも、淋の森愛好者の方がなんだかんだ言うて比率としては大きい件も影響しとると聞いたぞ、わし…)


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てれこ「せやけどふらこ、痴女島の暑さとか雨の降り具合を考えるとやな、表で開放感を味わうとか」


ふらこ「わしとこ…マドリードはパリほど寒くはないんやぞ」


どみにく「すみません…シャモニーとかフランスアルプスのスキー場で」


てれこ「マダム…スキーだけに好きなのですか」


ふらこ「てれこにも駄洒落菌が…と言うわけで」


てれこ「淋の森の話、せなあかんのか…」

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