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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


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葉子さんの異常な信仰 またはいかにして私は信心の対象を変え◯◯を愛するようになったか・3

(まぁまぁ、別に藪から棒に僕を信じるようなことは僕だって望んでないんですから…僕を盲目的に崇めるよりも、僕が言った事が正しいのか、まずそこから自分で思索してから、ご自身の中で答えを出すをことして頂きたいのですよ…)


え。


(ですから、その3人に対する教義やら何やらを考えた僧侶の言ってることが果たして正しいのか、一から十まで信じていいのかって考えさせるのも人の道だと思いますよ、女神様)


(は、はぁ…確かに…しかしセヴァシミオタテー(とおとい)・ダスカーレ(どうしさま)はそれで宜しいので…)


(これこれアフロディーネ…ぱんちさまは人の身で悟りを開いて神と同格となられたかた…つまり、人はぱんちさまのように自分で努力してかんがえるべき。ですわね…)


(ええナンム殿。その者たちにも、何かを盲目的に崇めるのではなく、己が崇められるような言動を期待したいのですがね…)


(まぁ、それはアフロディーネやてしがわらさんのおやくめですわ。ところで、日本からおこしの3人。そういうじじょうもありますので、おじゅずくらいはいいのですが、かみのおふだですか…ごほんぞんというものはぜったいに自分のお部屋に持ち込まないようになさい…とくに、いぬかいさんでしたかしら。あなたがかばんにいれているおふだ、うちの他の者がすでになにか申したかもしれませんけどね、いやなけはいを出しておりますからね…)


この心話とやらこそが、聖院を開闢(かいびゃく)した初代様という方のものなのでしょう。


そして、またしても教団から私に渡された配布品や購入品についての指摘があったのです…。


ええ、先ほど「第2私物庫」と外道丸部長が言われていましたね…。


どうやら、私のように…そして恐らく、佐伯係長や峯課長のキャリーケースの中身のように、怪しげな影響を持ち主や周囲に与えるもの、特に痴女皇国にはよろしくない物を持ち込もうとした際の隔離倉庫なのでしょう。


それを考えると、わざわざ呪われた器物や金銀の置かれた部屋を通って往来する必要が理解できます。


要は、セキュリティのため。


(ご明察ですよ…ですからパソコン類も預かることにさせて頂いたのです…その宗教団体関連のローカルデータはもちろん、クラウドサービスに接続するためのソフトウェアも入ってますよね…)


勅使河原室長のお話だと、やはり教団への通信、認められないようです…。


で、呪いの金庫室の奥、少し小さめの鉄扉がありましたが、そこを開けて進んだ先に存在したもの…これは、見慣れたロッカールームまたはコインロッカーのような設備がずらっと並んだお部屋だったのです。


そして、空間に浮かぶホログラム誘導に従って進むと、私たちの荷物を入れておくべきロッカーが3つ、扉を開けて待ち構えておりました。


で、勅使河原室長…お尻むき出しではありませんが、大胆なスリットカットの入ったスカート姿の、青い制服を着用なさった日本人女性が申されるにはですね。


「すでに仕分けはお済みだと思いますが、一旦私物をこのロッカーに入れてしまうと、簡単に取り出せなくなりますので、これが最後のご注意となります」


あ…勅使河原室長が申されたいことが理解できました。


やはり、ここへは気軽に来ることができないのですね。


だから、今のうちに必要な品物はないか、持っておきたい物はないのかの最終確認を取っておられるのでしょう。


そして、先ほど心話で注意を受けた通り経典やご本尊といった宗教関係の用具は、学術研究目的で所有を許可されない限りは痴女宮に持ち込み不可と言われます。


あと、パソコンや板電話は基本持ち込み禁止、そしてメディアウォッチの部類は別途預かりになると言われました…ええ、着替えの際に取り上げられ、代わりに聖環とかいう銀色の腕輪を装着されております。


「具体的に申し上げますと、このお部屋に入るまでに通って来た場所は懲罰具倉庫と呼ばれていて、IFFステータスランクの低い女官がうかつに入るだけで本当に死んでしまうのです。みなさん、気分が悪いとは思いますが、それだけで済んでいるのはアフロディーネ女官長がみなさんを保護されているからなのです…」


「懲罰具というのは文字通りに懲罰に使うものですが、痴女種として上位の女官への懲罰を行うために、普通の人よりもはるかに強力な効果が発生する呪物。そこで、普段はあの手前の倉庫に隔離してあるのです…」


そんな訳で、渋々ながら荷物を収納してロッカー室を出た際に、重そうな金銀のインゴットを積んだ自律稼働式らしい電動台車が目の前の通路、床にペンキか何かで描かれた通行帯区分に沿って移動して行くのを目撃することになります。


「あれだけで何億になるんでしょ…」


「1kgの金地金としても50億は行くのでは…」などと峯課長と佐伯係長がひそひそ話しておられますが。


どうやら、呪いの金銀を納めた金庫と、そうでない金庫が分かれているようです。


そして、台車に付き添っている女官の制服、お尻が剥き出しになっていません。


いえ…よくよく見れば下着、それも勝負下着と言うべき派手で大胆なものを着用しておられるのがわかるくらいには透けてはおりますが、制服自体は紛れもないアオザイにしか見えない代物なのです…。


(財務局出納部の職員です。あの金塊は聖母記念銀行を経由して、他地域の聖母教会の運営原資などに運用されるものです…)


後で室見局長にお聞きしましたが、もともとこの先の駅から出ているゴムタイヤ式新交通システム、当初は通常の通勤用地下鉄として建設されたものではなく、財務局の職員が港湾部の税関兼銀行建物に出勤するのに加えて海外の痴女皇国拠点へ送金するための貴金属輸送用に敷設されたそうなのです。


(だから豊川社の車両で大阪市他向けの新交通システムを入れたんですよ…普通の第三軌条方式や中空架線式の本格的な電車の需要はないだろうって…)


現在、この新交通システムは罪人寮の地下駅と、港湾工業地帯との間の路線では2編成を併結して8両運転、この本宮地下の墓所なるこの洞窟の先の駅から税関施設方面へは4両で運転しているのだそうです。


それほど多くの需要、あるのでしょうか。


この、私の抱いた疑問は、その後の1週間の初期研修期間の間に、解決してしまったのです…。

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