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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


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-穴と雪と氷の国-嫁入り皇帝ものがたり・12

冬の訪れにあたり、全てを凍らせている…我が北方帝国の首都たるモスクワ。


ですがしかし、ところどころで雪が積もらない場所が存在します。


ええ、例えばこのモスクワ宮殿と広場を挟んで立ち並ぶ駅の向こうの線路。


雪や氷とは無縁にされておるそうです。


「あの日も…コウダユウ、あなたを迎えに赴いた時も、こうでしたね…」


そう、1年前のあの時、私は半年ぶりにコウダユウ(だいこくやこうだゆう)と再会できたのです。


この私、エカテリーナは…。


「いやはや、故郷の妻子と連絡を取ってみて仰天しきりでしたわい…」


で。


当時の状況ですがね。


なんと、コウダユウの遭難の第一報を聞いた実家と元・妻。


これは生きて帰ってはこないのかと落胆し、妻は離婚して新たな亭主を迎えておったそうなのです。


救いは…コウダユウが帰国の途についた船でアオモリへ向かっておる間に、聖環の通信機能で故郷の実家と連絡を取れたこと。


はるばると比丘尼国はイセ・シロコまでの長旅を終えた先で、そんな話を聞かされては仰天してしまったことでしょう。


しかし、父母との会話で妻の離婚と再婚を知ったコウダユウ、これで肚を決めてトクダ様にモスクワに戻れないかと打診できたそうなのですよ。


「まぁ、おかげさまで実家にも再度、おそろしあに向かう話もしやすうなりましたし…」


そして今度は、ニイガタの港から出ることになった船便に乗ってウラジオストックに戻ったコウダユウですが。


我が娘、アナスタシアがウラジオストック聖母教会の主教座の地位をソフィアに譲ってモスクワに戻る時期に合わせて帰還の日程を組んで頂いたそうなのです。


で、その時は極東号を更に上回る速さの超特急「ろしあ号」が運転を始めておりましたので、2日でモスクワの雪を踏むことに。


そう…アナスタシアは東方聖母教会の総主教として、モスクワに戻ることになりました。


そして、その祝賀として運転された新しいれっしゃで、自分の父親たるコウダユウを連れて帰って来たのです…。


ああ、よくぞ戻って来てくれました。


名目は比丘尼国のモスクワ通商館付きの通詞ですが、実際には聖母教会の者が同席しさえすれば、比丘尼国の者とは通訳抜きに話せるのですよ、我々。


従って、コウダユウの立場、実際には永住前提の派遣特使…それも、行動と生活の自由が保証された立場と思ってもらってよいそうです。


(ですので、1番の身分は痴女皇国日本支部モスクワ出張所事務官。そして指導偽女種として行ってもらっていますよ)


(ううううう、本当ならその椅子はわたくしがぁっ)


(エリザベータ()()…甥御さんお二人ともども、首が繋がっているだけでもありがたく思うのです…)


(ひいいいいい、おゆるしをっ)


ええ、ベラ子陛下のお話の通りでして、前帝エリザベータ様、辛うじて首が繋がっておる状態なのです。


しかも、このモスクワの苗床管理員として、そう簡単には離れられない立場にされてしまっております。


ですから、わがままを言ったり痴女皇国本国の意向をよく考えないから、こうなるんですよ…。


ま、おかげで私は北方皇帝候補に選ばれたわけですし、あまりエリザベータ様に辛くは当たらないようにしておるつもりです。


そしてエリザベータ様が溺愛しておられた二人の甥っ子。


本当なら、どちらかを私の婿として…というのが元来のエリザベータ様の意向だったようです。


しかし、男児を皇帝にと強く主張するエリザベータ様の意向と、痴女皇国・北方帝国支部長を兼任するからには、引退するにしても次期北方皇帝が女帝でなくては困るという本国の意向が真っ向から、衝突。


その結果として、当初は嫁入り皇帝として考えられていた私の北方入りでしたが、独身のままで赴任してしまったのですよねぇ…。


ですが、これも今となってはコウダユウを隣に座らせることが出来て万々歳。


アシアティシェ…アシアツキー(あじあじん)を皇配として公式に認めるのは貴族や他の皇帝親族にもまずいという話もありましたけど、その辺はシェヘラザード様の配慮で滅姦(めっか)の東方聖母教会・預言派神学部からそれっぽい勅言を出して頂き、ヴォイキッツァ全地総主教からの指導で「当代の北方皇帝においては、東方の婿を迎え入れよ」となったのです。


で、北方帝国と比丘尼国の関係ですが、実のところは連邦世界のロシアと日本との間柄とは大きく異なるそうです。


具体的には、シベリアの広大な大地に生える樹々。


比丘尼国には、燃える石に加工する原料として輸出しております。


では、その代金はいかに。


比丘尼国の漁師によって獲られた魚介を輸入することで、なるべく相互の支払いを相殺する案が考えられました。


なにせ、魚食文化については向こうが上。


そして、コウダユウが切望するであろう、ショウユやミソを送ってもらえますし。


つまり、我々は石炭生成原料だけではなく、船や建物の建材としても使える針葉樹木材を提供することで、向こうの漁師にある程度の漁を代行してもらうような立場というわけです。


(沿岸漁業以外の遠出をすると国の境や漁業の権利を巡って揉めますからね…)


(カニについては比丘尼国の漁師に獲らせて欲しいんだ…可食部位を捨てるなってあたしが厳命したから…)


ええ、マリアリーゼ陛下がどういう訳かこだわる、カニ。


あれが美味しいのは理解しました。


というのも冷凍されたものがモスクワまで運ばれて来るからです。


(何気に言ってますけど、これものすごい技術なのですよね…魚も凍らせて持って来れるのですから…)


逆に、ホーンネヒト(ガーフィッシュ)の燻製。


これ、コウダユウが気に入ってます。


「こちらでもサヨリ、食べられておるのですか…」


どうやら比丘尼国でも同じような魚が食用にされているようですが、この鋭い角を持つ細長い魚、私の祖国でも比較的出回っておりまして、冬場を中心によく食べられておるのです。


「しかし、冬が来る前の越冬準備、比丘尼国の北方とはあまり変わりませんな…」


まぁ、干したり燻製云々ですね。


しかし、あまり大っぴらに使われてはおりませんけど、痴女皇国の施設や聖母教会には必ず厨房に存在する「冷蔵庫や冷凍庫」というしろもの。


あれこそが真剣に世紀の大発明というべき。


本来ならばあと2〜300年は世間に出て来ないはずの代物だそうですけど、とにかく驚異の物件ですね。


あ、れっしゃの食堂車の中にも、密かに。


それとですね。


コウダユウはまだ、多少はマシな方ですが、比丘尼国人は度数の強い酒が苦手なようなのです。


そう…私の祖国はまだしも、この北方で好まれるのは蒸留酒。


「しべりやで酒を仕込めばどうなるでしょうな。睫毛も凍る寒さですから」


聞けば、比丘尼国では米から作る酒を仕込む際の温度を大変に気にするとか。


トクダ様から頂いたという樽に入った比丘尼国独特の、あの、果実のような独特の匂いのする酒、きつさはそれほどでもないのですが、腰が抜けるのですよね…。


ともかく、彼はここに来ました。


コウダユウの生まれた土地はもちろん、我が祖国より更に北のモスクワですが、それはもはや人が生きる障害にならない事は、痴女皇国の支援を得て整備されたこのモスクワ…そして第二首都の扱いとなったサンクトペテルブルグを見ても明らかです。


暖かそうな毛皮帽や耳覆いをつけ、グム市場を含む市場街を往来する多数の市民。


もはや農奴という階級は撤廃され、市民の中には郊外に用意された農場居宅(ダーチャ)から通うだけでなく、集合住宅に住まう者も増えています。


大きい街ではなかったこのモスクワも、今や数十万を擁する人口を抱え、一大都市に成長しております。


同時にサンクトペテルブルグが北方帝国の西の玄関として、同様に発展の真っ最中。


今は美男公…ラドゥ3世殿下の伝手で、冬の間は代政官を置くに留めておりますが、いずれはアナスタシアにこのクレムリン…モスクワ宮殿を譲って私が隠居するつもりでおります。


この両都市、今やスペインと同じような形の、高速で走る()()()()が結んでおりまして、この冬場でも片道2時間で往来が出来るのです。


そしてその、鉄の道は好戦的蹴鞠(ぽーらんどぼーる)国などを通じ、神聖ローマ帝国からドイツ・オーストリア帝国と名を変えた我が祖国にすら繋がっております。


(300年分の発展を数年で成し遂げる必要性があったからとは伺いましたが…)


この急速な変化に、市民がついていけるのか。


私はモスクワ…そして北方の開発と開拓が始まる際に渡された計画書を見せて頂いた際、このような懸念を申しはしました。


いえ、私も祖国で聖母教会とご縁が出来た事から、この北方皇帝就任への道が開けた女です。


ですので、痴女皇国と聖母教会が持つ何がしか、それまでの人の生業から数百年は進んだものがあるのを知ってはおります。


ただ…これらの全てをいきなり与えても使いこなせるのか。


そうした疑問は常に持って欲しい、全てを人が得るのはよく切れる包丁を握る危うさがあるとも、言い聞かされたものですから。


そうした中で、聖母教会だけではなく痴女宮本宮への女官研修者も順次送り込んでおる状況です。


これは通常の女官を養成するためではなく、痴女皇国の技術が入った生活に貴族や富農富商の子女をまず、馴染ませるのが目的。


従って文教局や財務局、通商局といった実務について触れる部署に向いた人材を募って送っております。


そして、こうした研修受講者を送り出しているということは、それまでの間、帝国の役所を回す文官の支援を本宮などから得ておる状態。


実はこれ、必然的に派遣者には非・北方民も多数が混ざるので、私やコウダユウに対する批判の声を薄めるかかき消すのに役立っております。


と申しますのも、私もコウダユウも、この国の生まれではないからです。


ですのでスラブ系とかいう北方民族の純血を尊ぶ者からは冷たい目で見られておったことも、事実ではあります。


しかし、農奴廃止とともに他国への移住希望者については受け付けるという勅令を発したのと同時に、痴女皇国からの応援者受け入れを行ったのです。


つまり、この北方の地の冬の気候の厳しさについていけぬ者、新天地を求める者は遠慮なく申し出よ、とやったのです。


ただ…その行き先は暗黒大陸であったり、はたまた流刑地大陸ですとか、あるいは淫化や尻出国。


つまり、冬場に寒く凍りつく以外の難関が待ち受けておる土地が斡旋されました。


それが嫌ならば学問を修めて他国に重んじられる者になるべきであろうと考えます、私も。


事実、連邦世界の日本同様に比丘尼国から南米への移住、募り始めておるそうですし。


(淫化や尻出国、アルゼンチンチンの開拓に日本人が貢献したのはよく知られていますからね…)


そう、日本のプロレスリング隆盛に大きく関わった人物は、南米移住時にスカウトされているとフランシスカ支部長からお聞きしております。


では、我が北方の民にそういう気概があるのか。


(これが実は結構難しいのですよねぇ…陸続きだとあまり頓着せずに動くのですが、船に乗るのを億劫がるんです…)


(連邦世界でもルーソ(ろしあじん)は独特ですよ。国にいられなくなったか、さもなくば領土を増やす尖兵になるか、軍事行動かのいずれかでしたね…)


ええ、北方民というのはよほどこの国に居づらくなったか、さもなくば金を握らないと、あまり他所に行きたくはないようです。


そして、領土を増やすための尖兵となることについては結構、熱心なのです。


自分の耕作地や土地を増やすのに興味関心を示すという調査結果も出ておりますし。


で、ひいては自国が他国を併呑して拡大するのにも、強い支持傾向があるという分析も。


では、この閉鎖体質や侵略傾向をどうするか。


実のところは私の真の身分、痴女皇国北方帝国支部長となります。


つまり、北方帝国の経営だけでなく、痴女皇国本国の意向も受けての統治を為さねばならない立場。


従って、他所の行政局や支局あるいは支部管轄地への侵略なぞもっての外でしょう。


しかし、私だけが戦争だめ侵略だめと言っても、大多数の北方国民…特に帝室に近しい重臣や貴族が南下をけしかけた場合はどうなるか。


いえ、実際にそれをやらかしかけたからこそ、痴女皇国に介入されたのです。


そして、とりあえずは自国内の自給自足と、余剰な資源の輸出によって食料…特に冬場の備蓄分を購入する資金を調達することが至上とされたのです。


そして既存の行政組織は注意深く無力化あるいは解体され、地域の行政機関は各地の聖母教会に移りつつあります。


更には、富農富商の土地・資産買い取りや徴発によって、旧来の北方帝国支配階級はその権力や資力財力の基盤を脅かされたのです。


これらの貴族たちのうち、資金のある者については事実上の亡命となる海外移住も打診され、東欧や地中海の島々はもちろん、スイスやイタリアのコモ湖畔ですとか、あるいはバーデン=バーデンに…更には尻出国や淫化のマンコラに離魔など、保養地整備を受けた場所までもが候補地として示されたのです。


要は、今までの蓄えを差し出せば余生の面倒は見てやるから隠居しろ。


引退貴族が別荘や別邸に引きこもるようなことを半ば強要したわけです。


そして子女のうち、優秀な者は北方帝国に残して幹部教育を受けさせることも提案。


これならば、一族郎党の追い出しには見られないでしょう。


ちなみにこの際、国を跨いで転居したものたち、新たなる居住支部の扱いに移っていますから、当然ながらその支部の定めた諸々に従って頂くことになります。


(これ、悪辣なことにお客様扱いじゃないんですよね…別荘だの何だのの建設費用はもちろん、支給年金についても敢えて痴女皇国の補助がつくようにしているのですよねぇ…)


つまり、営利目的で財産をかっぱぐどころか、痴女皇国側も彼らの生活のために予算を組んで支出をしている立場にしたそうです。


これ、良く言えば面倒を見ていることになりますが、悪く言えばその支部のある国家の国民としてしまったも同然。


すなわち、母国の政治に直接には関われなくしてしまう措置なのです。


こうした…強引とも取れる人の入れ替えを行なっているが如き状況なのですが、それが一段落すれば、恐らくは私やコウダユウの生まれをくだくだと追及するような者はいなくなるだろうと、マリアリーゼ陛下もベラ子陛下も申されるのです。


(ま、痴女皇国世界版の赤化革命みてえなもんだけどね…)


(ただ、貴族や資産家、富農たちの子弟子女はなるべく母国に残すことを勧めていますよ。言ってみれば、この子達が北方少年少女団(ピオニール)、更には年長少年少女奉仕団(コムソモール)の団員として未来の北方帝国の行政の中核を占める事になるのです)


つまり、聖隷騎士団の下位組織となる奉仕集団での合宿生活を経験した者が、北方聖母教会における事務文官僧侶として認定される資格を得るのだそうです。


そして、これらの少年少女団に属した子供たちは一種の秘密警察としても機能し、親元のことどもを密告する存在になるのだとも。


(といっても反体制者を捕らえて死刑や強制労働に処するわけじゃないんですよ。ちょっと言うこと聞いてもらうようにするだけです)


その、言うことを聞かせるために何をするのか、千人卒痴女種同等の身体になった少女か、はたまた偽女種が行くことで何が起きるのかをお察し頂ければと思うのです。


(つまり、連邦世界のソビエト連邦は反体制的な者や共産党幹部にとって邪魔な者と見なしたが最後、言いがかりをつけて投獄したりシベリア送りにしたり、はたまた銃殺していたのですよ。ただ、そんな恐怖政治なんて、痴女皇国世界では絶対にしてはならないことなのです…なぜかわかりますか、エカテリーナさん…)


(精気授受のため、ですか)


(その通りです。美味しいものを作って自分たちで食べて、お楽しみに耽れる健康的な生活こそが1番の幸福であり、そのためには悪いんだけど聖母教会の指導に従ってね、とやって欲しいのです。そして学問や運動で頭角を表す少年少女についても、その卓越した能力をあくまでも人への奉仕に使うべきであり、盲目的な支配に使ってはならないとして欲しいのです…)


なかなかに難しい話ですね。


(ですので、マルハちゃんが提唱してくれた北方文化に根ざした娯楽の提供ですね。この雪と氷に閉ざされた北方の大地を克服するためには痴女種能力が必須であり、飢えと寒さに怯える暮らしから解放されるための有効手段だと訴えて頂きたいのです。それができないなら、聖母教会にすがるべし。これは、ジーナ母様の東方聖母としての談話の形で広めてもらってもいいですよ)


ふむふむ。


そして、今は総主教がアナスタシアで私が皇帝ですが、退位後は私が総主教になって精神面で北方民の支えになって貰いたいとも申される、ベラ子陛下。


(なぜならば、光太夫さんのシベリアの苦難の旅に同情したばかりではなく、この地を踏破した光太夫さんの能力にも惚れたわけでしょう。一種の冒険者として、光太夫さんが祭り上げられる条件は揃っていると思いますよ)


そう…私とコウダユウとの馴れ初め、一種の恋愛小説めいた話として脚色され、世に出るらしいのですよ…。


ただ、こうした政治的宗教的なお膳立てはともかく、少なくともコウダユウの人生を彩り、その最後を看取る役目が私に与えられたようなもの。


そう…これからは、コウダユウとの暮らしに溺れて良いのです…。


それと、私は退位した後に、一つやりたいことがあります。


それは、船乗りとしてのコウダユウの腕前を見込んでのこと。


例え小さくとも良いので、彼がかじを取る船で、世界を回れたらなぁと思っております。


(マルハちゃんに打診しておきましょう。あたしでなく、マルハちゃんが思いついた方が内務局広報部出版課の賞賛を得やすいでしょう。更には、文教局の図書教本の指定も取りやすいかと…)


そう、自動販売機のえろほんではなく、ちゃんとした物語として本にするための取材旅行ならいいよ。


ベラ子陛下は、そう申しておられるのです。


(コウダユウ、あなたには今しばらく、この北方の地の暮らしでシンボウを余儀なくされるでしょう。しかし、家督をアナスタシアに譲った後は、より私たちの時間が多く持てるのです…)


(風を待つことも船頭には必須の務めでした…)


そして、我々のこの…いわば老後の娯楽めいた話は、海外に移住した者たちにも紹介され、移り住んだ現地の風俗や事物に知見を得たり、文化に触れて触発されることを狙っておるそうです。


この、私の細やかな夢がいつ、叶うのかはわかりません。


しかし、やって良いという勅命が下りた以上、機会が巡ってくれば実現される部類の、夢。


皆様にはこの、私の夢が叶ったときのお話をさせて頂けるのかはわかりません。


しかし、私とコウダユウとの船旅が実現すれば、何らかの形でお伝えはできるでしょう。


もしもその時に語れることがあれば、なるべく皆様のお耳に入れて面白がられるような事をお伝えしたいものです。


ですので、私とコウダユウの旅路、そして船出が成功すること、お祈り頂きたいのです。


では、またお会いしましょう。


Ich hoffe, dass Sie alle die Möglichkeit haben, mit Ihrem Ehepartner zu reisen.(伴侶との旅路の機会があることをお祈りして)

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