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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


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-穴と雪と氷の国-嫁入り皇帝ものがたり・3

で、貴族らしいドレス姿で降りて来られるかと思いきや、何とまぁ、罰姦(ばちかん)聖母教会の助祭制服姿で現れたゾフィー・アウグステという名前の女性。


優雅な身のこなしは流石という感じですけどね、お召し物がね。


ええ、ご存知でしょうけど、いわゆるミニスカート丈なのです、左右の羽織り布。


ただし、流石に身分や状況を鑑みて、長袖インナーは着ておられますけど…ただ、それにしたっておへそ丸出しですよ。


しかも下半身は、痴女皇国の毎度というべきお尻剥き出しの姿。


で、助祭公式ではないガーターストッキングです。


つまり、下半身は下着姿。


ええんかい。


(ジニア…うちが付いてる時点で、普通の貴賓客じゃないんよ…いわば人質状態なんよ…)


(で、ダリアかーさまが護送役というわけですか…)


そう、ゾフィーという貴族女性の後から出て来たのは他ならぬダリア母様です。


痴女皇国・統括騎士団長を示す赤薔薇騎士団制服ベースの専用服、流石にお召しですけど。


ん。


何か、一瞬だけ漂う異臭。


ただ、それは黙っておきましょう。


ええ。


どうもですね、このゾフィーなる貴族女性の()()()()、オリエント急行の列車内でやった可能性がありますから。


Sophie Auguste Friederike ゾフィー Thousand Suction (Limited Ten thousand) 千人卒(限定一万卒) Slut Visual. 痴女外観 Red Rossy Kinghts. Imperial of Temptress. 赤薔薇騎士団 Mid Germany Branch, Imperial of Temptress. 痴女皇国中独支部


(後で香水吹かせておきます…イェニ・サライまでは馬車やろ?)


(ですよ。そこに待機させてます)


ええ、駅構内に馬車、入れるのです。


そして、屋根のない馬車に我々の先導で乗り込まれるゾフィー様。


その後に続くのは、ダリアかーさまとメーテヒルデさん。


で、セリム一世陛下とシェヘラザード様が乗り込んで満員となります。


あ、セリム一世陛下は流石にトルコ皇帝風の装束ですけど、シェヘラザード様は月星騎士団の制服です。


これ、緑色の鯖挟国章…緑色ベースの月と星を組み合わせたカメオが、頭部の兜…イェニチェリの兜のお匙が装着される辺りに着くのです。


そして、カメオを中心として左右につく、赤と白の2枚の色の布を組み合わせたターバンを頭に巻いて背中に垂らすのが基本。


で、緑色のビキニアーマーです。


ただ…ブラとぱんつの布面積は極小。


後ろに回れば紐同然という例のあれです、あれ。


なんで知ってるか。


他人のその姿を見る以前に、私もそれ、着ることあるからです。


で、シェヘラザード様は東方聖母教会の式典の際には八端十字騎士団の制服を着用される事もあるのです。


では、同じ月星騎士団制服のシェリーちゃんの隣に並んで、馬車の前を歩く私の格好。


仮面です。


それも、黄金の八端十字架をあしらった覆面みたいな白い仮面を顔につけるのです。


なんでこんなもん。


更には、私の上着ですよ上着。


えんじ色のマントはまだよしとして、その袖部は一の腕のところがバルーンスタイル。


んで、長袖です。


東方聖母教会の八端十字旗がついた儀仗槍を持たされて歩いてますけどね。


痴女種の体力でなかったら遠慮したい気分、満々。


もっとも、それは同じように鯖挟国旗の赤に白の月星をあしらった単純な旗を掲げているシェリーちゃんも同じ感想です。


で、私の後ろには八端十字騎士数名、シェリーちゃんの後ろには月星騎士が数名、馬車との間に入って行進してます。


これを名誉ととるか、それともめんどくさいと取るか。


救いは、理恵母様が強く主張したせいで、シルケジ駅がイェニ・サライ宮殿の南側すぐの位置に建設されておりまして、宮殿の正面…つまり帝王の門という正門まで儀礼行進で歩いても2分もかからないという事です。


------------------------------------------

鯖挟国イェニ・サライ(新宮殿)略図


 ------------

| 第三内庭 皇帝公務域 |

|クシュハネ門  幸福の門 |

 -||-----||---

|こちら側が |       |

|ムフフの間 | 第二内庭  |

| 後 宮 | 行政区域  |

|前側は  |       |

|皇族居域 |       |

| 車の門 | 挨拶の門  |

 -||----||---

|             |

|   第一内庭    --|

|           |アヤ|地下線

|    帝王の門   |教会|海底トンネルへ

 ----| |-----   || ||

                || ||

 ----| |-----   ---

| アヤ・ソフィア大聖堂敷地||シルケジ駅|

|             | || ||  


------------------------------------------


で。


第一内庭に入った行列は、私たちから見て左右に並んだ門のうち左側の「車の門」をくぐります。


そう…後宮(ハレム)の正面玄関なのです。


もっともこの第四内庭とも言われる後宮内、厳密に区分されておりまして、この車の門から入ると前に見えるのは、皇帝家族や皇族の居住宮殿となります。


そしてニコイチでこの皇族宮殿の真後ろに建築されているのが正真正銘の後宮殿。


ここが、いわゆるハーレムとか世間で言われる場所になります。


つまり、皇帝が寵妃たちを囲っていた場所です。


で。


私とシェリーに指示されている順路の道、要所に着飾った衛兵が立ってますから迷うことはないのですがね。


これ、皇族宮殿の右手の道を通るじゃないですか。


つまり、この馬車を中心とした隊列の終点、後宮殿であるのが明らかです。


で、ここやでという目印であるかのごとく、後宮殿の入り口前に立つ、衛兵。


再び、馬車を降りる要人のために乗降台左右を固める私と、シェリー。


今度はセリム一世陛下とシェヘラザード様が先に降りて、ゾフィー様を誘導なさいます。


で、ゾフィー様の隣につくのは、長めの2枚布からなる東方聖母教会尼僧服…つまり主教用を着たヴォイキッツァ総主教。


一団が後宮内に消え去ると、儀礼警護団も解散となります。


ただ、退却時もはぁ、やれやれ終わったとばかりに三々五々と散らばるわけではありません。


月星騎士は第一内庭を通って外の営舎へ。


八端十字騎士も、すぐ隣のアヤ・ソフィア大聖堂への帰還となりますが、そこまでは帰隊列で帰還するのです。


ですが、シェヘラザード様から心話が。


(これこれ…ジニアとシェリー、済みませぬが宮内護衛に付き添うように。儀仗を他のものに預けて、後宮内にお越しなさい…)


で、この心話に顔を見合わせる私とシェリー。


(室見局長様も後宮にお越しです。はよはよ)


えええええ。


なんか悪い予感がしますよ。


ええ、救いは…私のお話は未成年の方でも読めるようにと、助平な事が起きても具体的に何がどうなってこうなったかとか語らなくとも良いそうなことくらい。


そして、今から向かう後宮こそがその…セリム一世陛下とシェヘラザード様のお楽しみの場所だって知ってるだけにですねぇっ。


…私とシェリーの足、重いのですよ。


--


で。


後宮内。


とりあえず皇帝食堂なる、普段はシェヘラザード様とセリム陛下、そしてその時に指名された寵妃役の女官が使うダイニングですが、宴席としてセットされたテーブルにつかされた私とシェリー。


つまりここ、痴女宮本宮の貴賓食堂並みに広いのです。


ええのでしょうか。


(室見局長とゾフィー嬢の歓待の食事会だそうです)


(本当はダリアの方が格上…それもこの中ではダリアリーゼ統括が一番の上位職者なのですけどね…)


(ほらほら、うちがでかい顔する席ちゃいますし)


で。


この皇帝食堂。


純粋なオスマン帝国の様式とは違うと発言しろって、天の声なる人物に強要されました。


まぁ、天の声なる人の介入はともかく。


そして最大の特徴は、テーブル配置。


ごく親しい人との食事と、今のような公式餐の時では並ぶテーブルが変わるのです。


具体的には、セリム陛下とシェヘラザード様だけとか、あるいは数名の同席者がいるだけの場合は西洋風のテーブルが。


そして使者などの歓待の場合、皇帝と摂政が一端に座り、もう一方の端に被・歓待者が座る長卓が。


で、公餐時の大食堂で上級兵士や役人を歓待するような場合に登場するような円形テーブルの小型版が置かれた場合、それは上座も下座もない歓待を示すそうです。


そしてその際には、皇帝または摂政殿下…もしくは選任された給仕女官が、運ばれて来た大皿から料理を取り分ける役目を担うことになっています。


で、今、この皇帝食堂に置かれているテーブル。


円形です。


つまり、来客と鯖挟側…中東行政局側の上下関係はなく、皆が平等に同じものを食べようという配置ですね。


で、メゼと呼ばれる前菜から順に振る舞われます。


ギリシャ料理のドルマデスを思わせるサルマなる葉包み料理と、フムスというひよこ豆のペーストが今回の前菜。


このフムスは発酵させないパンに載せたり浸けて食べます。


で、鯖挟料理とトルコ料理の相違点。


まず、ビールやワインなどの飲み物を兼ねたお酒、当たり前のように出て来ますよ。


それと、豚肉などが使われます。


これは理恵かーさまやダリアかーさまに教えてもろたのですが、連邦世界のオスマン帝国やトルコ共和国ではイスラム教の食事戒律が存在するため、お酒や豚肉に代表される宗教的な禁忌食材は提供できないそうですね。


ですが、鯖挟国にはそんなものはありません。


むしろ聖母教会教典で、人は生きるために地にあるものを知恵を尽くして食すべし、但し食い尽くさぬようにすべしなどと教えております。


つまり、食材として利用可能なものは何でも食べるべき、しかし食材資源を乱獲するのは禁止ということです。


で、当たり前のようにイタリア風カツレツめいた、小麦粉を付けて浅い底のフライパンにオリーブオイルを入れて焼き揚げにした豚肉料理とか普通に出ますよ。


それとか、デザート前の最後の主食事。


海鮮ピラフとか、イカタコ入ってますからね。


この辺は近い土地であるギリシャの影響もあるそうです。


(ただし鯖挟国の南部は牛や豚の飼育にあまり適していないため、羊やラクダ肉が用いられることも多いみたいね。で、その一帯ではケバブのようなトルコ料理と同じようなものが肉料理の主流になってるようよ)と、理恵かーさまから入れ知恵。


あと、鯖挟(さばさんど)国の由来となったコンスタンチノープル名物・サバの挟みパン。


魚料理として、出て来ました。


これは塩とオリーブオイル、そしてケッパーで簡単に味付けして生のネギや玉ねぎ、あとパセリなどを降ってからパンで挟んだだけですけどね。


それとデザート。


鯖挟珈琲、なぜ砂糖を添えてないかよくわかります。


甘いのです、どれもこれもぉっ。


ええ、砂糖大根の産地の東欧が近いせいでしょうか。


それにナツメヤシとか干し葡萄とかありますけど、やったら甘いのです。


デーツってやつですよ。


これ、流石に食べ慣れてない人に食べさせたが最後、何じゃこれって顔になりますからね。


ええ、私も慣れるまでは苦労しました。


それとここら一帯、オリーブオイルを割と色々な局面で使います。


見かねて東欧支部で菜種油とかひまわり油を生産したり、鯖挟南部…アジア側でも灌漑事業でオリーブ畑とか作ってるくらいに。


これ、特にアラビア半島のような燃料事情が悪い場所での調理のための利用もあったそうですから、あまり苦手とか嫌いとか言わないようにしたいのですが、料理によっては結構オイリー。


サバサンドなんて、元々のサバが旬だとアブラギッシュなお魚ですから、思わず醤油が欲しくなるくらいですよ。


(宮廷で鯖の味噌煮とか塩焼き、朝食でたまに出ますよって言っておくように…)


(比丘尼国との商取引の結果、醤油や味噌が運ばれてきたり、向こうの業者が醸造工場をギリシャの辺りに建てたのはジニアも知ってるでしょう…)


ええ。存じてます。


ティアラのお父さんがその原因なのも。


味噌と醤油、意外に広まってるのです、痴女皇国世界。


温度管理は必要ですが、冷蔵庫が存在する聖母教会や慈母寺では、絶対に給食用冷蔵庫に保存されてるくらいには。


で、この食事中の会話や雑談で判明したことですけどね。


「ゾフィー殿、しかし何故にプロイセンなる地からこの鯖挟を経由して北方へと行くことになったのですか」


「セリム陛下、それがですね…一言で言うと政略結婚とやらの話なのです」


まー…これは予想の範囲内でした。


「ですが、今の北方帝国は痴女皇国の軍門に降った立場。当然ながらあちらの王室に行ったところで、向こうの皇族男児の方々を皇帝と任じ、私がその妻となることはないと言われております」


これも、前回でお話しした通り。


特に、北方帝国はその気候上、凍らぬ港と暖かい土地を求めて南へと下り攻め込む性質があるので、支部をはじめ帝国の要職には痴女種女官を配置しろと厳しく言われているのを存じております。


要は北方帝国出身者、痴女皇国には信用、されとらんのです。


では、何のためにこのコンスタンチノープルにお越しになったのか。


「我が祖国は中独支部の管轄下にあり、管内の聖母教会は罰姦の所轄。当然ですが、私も罰姦系の聖母教会の洗礼を受けております…しかし、かの北方の地は東方聖母教会の所轄と伺っております」


「で、ゾフィーさんにはこのコンスタンチノープルで、東方聖母教会の尼僧修行をしてもらってから北方帝国に行って頂くのが良いかというのが関係者の意見です」


では、トランシルバニアの乳上のところの方がいいのでは…。


私のこの思いを読み取られたのでしょうか。


メーテヒルデ様の口から出た、お返事とも取れる発言。


「乳上のところは本気で真剣に東方教会の尼僧を育成するための、いわば本気の神学校を抱える行政局。既に罰姦聖母教会での司祭教程までを終えたゾフィー様には、それはちょっとあんまりやろと言う意見もありましてね。で、配置転換教程をこのアヤ・ソフィアとアヤ・イレーネで行うことで箔をつけようというのが我々の狙いです」


そして、後を引き継いだシェヘラザード様の驚愕の発言。


「ゾフィー嬢がこのコンスタンチノープルに滞在する間ですが、北方帝国皇帝として必要な教育も密かに期待されております。()()()()()の大地や言語について十全な教えが出来る訳ではありませんが、少なくとも東方聖母教会の典院司祭または掌院司祭としての資格を持たせてモスクワないしサンクトペテルブルグに送り出すべき。我々中東行政局としてもそう判断せざるを得ません。それと…ヴォイキッツァ総主教」


「はい。ゾフィー様、滞在中は尼僧としての宿舎が存在するアヤ・ソフィアではなく、敢えてこのイェニ・サライ宮殿のハレムを宿所として頂きます。これは出身のお家柄を考慮しての待遇であることもさりながら、一旦はセリム陛下と()()()()()()頂いた上で、北方の地に赴任をお願いしたいのですよ…」

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